2018年11月11日

日の残り ノーベル賞作家カズオ・イシグロさんの代表作

日の名残り ノーベル賞記念版
カズオ イシグロ
早川書房
2018-04-18


2017年のノーベル文学賞受賞者のカズオ・イシグロさんの代表作「日の残り(The Remains of the Day)を読んでみた。ノーベル賞受賞記念版が出ており、村上春樹さんが「カズオ・イシグロを讃える」という一文を寄稿している。村上さんは、イシグロさんの新作が出れば必ず読む。イシグロさんも、同様に村上さんの新作が出れば必ず読むという、お互いファン同士だそうだ。

アンソニー・ホプキンス主演で、エマ・トンプソンが出演している映画にもなっている。



いつも通り、小説のあらすじは詳しくは紹介しない。かつては英国貴族に仕え、現在はその屋敷を購入したアメリカ人富豪に仕える執事(英語ではButler)の英国南部への6日間の旅行中の出来事と、過去の回想を織り交ぜた物語だ。

父親も執事だったスティーブンスは、第1次世界大戦後からダーリントン卿に使える執事だった。

ダーリントン卿は、英国外務省出身ということもあり、その邸宅:ダーリントン・ホールには、内外の有名人がたびたび訪れ、第1次世界大戦のベルサイユ講和条約が締結された直後には、過酷な条件をドイツに押し付けたベルサイユ条約の見直しをテーマとした私的な国際会議が開催されたこともあった。

第2次世界大戦直前でも、ドイツの駐英大使リッベントロップや、英国のハリファックス外相、イーデン伯爵が秘密裏の会談を開催するなど、ダーリントン・ホールは英国の外交の一翼を担っていた。

そんな重要な貴族の邸宅を執事として取り仕切っていた時代がスティーブンスの絶頂期だった。

しかし、ダーリントン卿がドイツの協力者として戦後批判され、失意のうちに亡くなると、邸宅は売りに出され、めったにダーリントン・ホールに滞在しないアメリカ人の富豪は、少ない使用人で屋敷をマネージすることをスティーブンスに命令する。

スティーブンスは、富豪が滞在していない間に休みを取り、かつて一緒に働いて、今は結婚して孫もいる女中頭の旧姓ミス・ケントンに、富豪のフォードを借りて復職を相談しに行く。1956年という設定だ。

英国の田園の美しい風景が小説の中に登場する。あいにく筆者は、英国は旅行・出張で訪問したことがあるだけで、全く土地勘がないのが残念だが、英国最南端の各州、ソールズベリードーセット州サマセット州デヴォン州を経て、最終目的地のコーンウォール州に行くドライブ途中での出来事と景観が紹介されている。ちなみに、リンクを埋め込んだウィキペディアの記事で表示される各州の地図は、イングランドの地図であり、実際にはウェールズイングランドに隣接しているが、ウィキペディアの地図ではカットされているので、ご注意願いたい。

英国の田園風景は、映画の見どころの一つだろう。本を読んで映画が見たくなった。

さすがノーベル文学賞を受賞した作家の本である。一気に読めてしまうこと請け合いだ。


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Posted by yaori at 00:05│Comments(0) 小説 | 村上春樹