2019年08月12日

君たちはどう生きるか 1937年の作品が今よみがえる

君たちはどう生きるか (岩波文庫)
吉野 源三郎
岩波書店
1982-11-16


戦前、1937年=昭和12年に発刊された本が、平成〜令和の時代にベストセラーとしてよみがえった。この本の漫画版もよく売れているようだ。



岩波文庫版を読んでみた。

旧制中学2年生のコペル君が主人公だ。コペル君のお父さんは、大銀行の重役だったが、2年前に亡くなったという設定だ。お母さんの実の弟で、大学の法学部を卒業して間もない叔父さんが、コペル君の家にちょくちょくきて、コペル君にいろいろ教えてくれる。この本はコペル君と叔父さんの会話と、手紙のやり取りが物語の中心となっている。

学校生活での出来事、たとえば、商売人(豆腐屋)の子どもに対するいじめや、それに義憤を感じて立ち上がる仲間、上級生のいじめに立ち向かう仲間と、意気地なしで逃避してしまい、後悔にさいなまれて学校を休んでしまうコペル君などを描いている。

旧制中学といえば、昔はエリートコースだ。一般の人は高等小学校を卒業して就職するところを、旧制中学出身者は、旧制高校、大学と進学する人が多かった。だから、商売人の子どもに対する嫌がらせというのもあったのかもしれない。

筆者の出身の神奈川県の湘南高校も、昔は湘南中学だった。新制高校となってすぐの1949年(昭和24年)に夏の甲子園で野球部が全国優勝している。

学校生活や、なにげない普通の暮らしで感じたコペル君の感想や質問に対して、叔父さんが詳しく説明してくれるという展開だ。

銀座のデパートの屋上(屋上でも7階しかないというのがいかにも時代を感じさせる)から見た人や車の動き、それと粉ミルクや羊毛がオーストラリアから日本に来て、その間に多くの人が携わっている話(マルクス経済学では「生産関係」という)、ニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て、空にある月が落ちてこないことに思いをはせ、万有引力の法則を思い立った話などを取り上げている。

資産家の息子の友達の家を訪問して、友達のお姉さんからナポレオンの話を聞いたという設定で、ナポレオンの代表的な勝利である1809年のワグラムの戦いと、これまたナポレオンの代表的な敗北である1813年から1814年のフランス対全欧州の戦争を紹介している。

1814年の進軍としてこの本で紹介されている絵は次のものだ。

Meissonier_-_1814,_Campagne_de_France

















出典:Wikipedia

偉大な人間とはどんな人か、ということで、この本では詳しくナポレオンを取り上げている。Youtubeでも1993年のテレビ番組が公開されているので、時間のある人はこれを見ると参考になると思う。



岩波新書でもナポレオンについての本がある。割合最近の2018年発刊の本なので、筆者はこれを読んでみる。




最後にこの本では、仏像はギリシャ人がはじめてつくったという話を紹介している。




コペル君の亡くなったお父さんの「人間として立派な人間になってもらいたい」という言葉が随所に出てきて、面白い読み物ながらも、全体として修身(道徳)の本となっている。

簡単に読めて、ためになるベストセラーである。

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Posted by yaori at 01:58│Comments(0) 人生設計 | 趣味・生活に役立つ情報