2019年08月26日

睡眠負債 どれだけ、どう睡眠をとればいいのか

筆者注:マリアナ・ハフィントンさんの本とデメントさんの本のあらすじを別途掲載したので、あらすじを再掲する。

睡眠負債 『ちょっと寝不足』が命を縮める (朝日新書)
NHKスペシャル取材班
朝日新聞出版
2018-04-13



NHKスペシャルで取り上げられた「睡眠負債」の取材結果を本にしたもの。テレビ番組ではとりあげられなかった事柄も豊富に取り上げている。

睡眠負債が毎日積みあがると、土日に寝た程度では解消できず、仕事や家事など生活の質を下げるだけでなく、重大事故の原因となったり、がんやアルツハイマー病といった命にかかわる病気のリスクを高めたりすることもある。

放送された内容は、「放送した内容・リスク☑結果」というページにまとめられているので、こちらも参照願いたい。

筆者は平日は大体寝るのは1時前後で、起きるのは6時〜7時の間だ。午前中にアポイントがあるときは6時台、アポイントがないときは7時頃にしている。つまり、大体毎日5〜6時間の睡眠時間だ。

会社員だった2年前までは、6時台のロマンスカーで通勤していたので、平日の睡眠時間は、ほぼコンスタントに5時間以下だった(ロマンスカーでも30分弱は寝ていたが…)。そして、土日は大体午後に2時間程度昼寝することが多かった。

伝説上の話かもしれないが、ナポレオンやエジソンは4時間しか眠らなかったといわれているので、筆者も平日は5時間程度の睡眠と土日の昼寝でやっていけると思っていた。

以前よりは睡眠時間は若干長くなっているが、今の方が午後眠くなることが多い。一つには、会社員だったころは、ほぼ毎日1万歩程度歩いていたが、今は多くても6千歩程度だ。たぶん1万歩毎日歩くことで、適当に疲れてよく眠れていたのだろう。

今は、土日に「寝だめ」しても、到底解消はできず、これが「睡眠負債」となっていた。そんなわけで、睡眠のとり方を見直すためにこの本を読んでみた。

NHKスペシャルでは、芸人の陣内智則が出ていて「結局、何時間というのを教えてもろてええですか?」と単刀直入に聞いたのに対して、睡眠評価研究機構の白川代表は「基本的に7時間前後なんですよ。これが一番健康被害がない、あるいは死亡率が下がる時間なんですね。7時間から8時間です」と答えている。

この本で紹介されている細かい議論を踏まえた上での発言だ。

この本が契機となって、睡眠に関する他の本も読んでみた。ハフィントンポストの創設者のアリアナ・ハフィントンさんの「スリープ・リボリューション」のあらすじは別途取り上げているので、そちらを参照していただきたい。




睡眠では4つのステージがあることがわかっている。
ステージ1は浅い眠り、容易に目覚めることができる。目や筋肉も動いている。
ステージ2はもう少し深い眠りで、眼球と深部体温も下がる。
ステージ3は最も深い眠りで、目も筋肉も動かない。
ステージ4がいわゆるレム(REM)睡眠で、入眠から約1.5時間後に始まる。急速な眼球運動(Rapid Eye Movement=REM)が見られ、血圧と心拍数が上昇し、筋肉はマヒしたような状態になる。

この本が紹介しているもう一冊の本が、「ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?」で、著者はレム睡眠の発見者の一人で、スタンフォード大学睡眠医学研究所初代所長のデメント氏だ。デメント氏が「睡眠負債 Sleep debt」という概念の提唱者だ。

デメント氏は、REM睡眠を次の様に表現している。

「レム睡眠が発見されるまで、睡眠は車をガレージに入れてエンジンを切るようなものだと考えられていた。動かないし、ガソリンも減らない。でも実は睡眠は、車を止めてギアをニュートラルにしておくに近い。エンジンは回り続けているんだ」。

ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?
ウィリアム.C・デメント
講談社
2002-07-25


デメント氏の本はさすがに睡眠に関する世界的な権威なので、医学的な見地からの情報が多く報告されているが、原著が書かれたのは1999年で、20年前の本なので、医療法も現在とは異なっているので、別途あらすじを紹介する

この本では、「睡眠負債」ががんを含む腫瘍の成長が早くなり、重大な結果をもたらすというシカゴ大学の研究者のインタビューも紹介している。

睡眠の質・量が不足すると、がんを殺すはずのM1マクロファージが、がんの仲間のM2マクロファージになってしまうのだと。

睡眠負債による注意力、運動能力の低下が重大な事故等を招く危険性があるので、厚生労働省では「勤務時間インターバル」の導入を企業に勧めている。つまり、勤務終了後に一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保するものだ。

残業などで勤務が延びた場合には、翌日の出社時間を繰り下げるといったものだ。

EUは1993年に11時間のインターバルを企業に義務付けるように求めている。

「ベッドで眠れなくとも、目を閉じていれば眠っているのと同じ効果がある」という俗説は、明らかに否定されている。横になっているだけでは、睡眠状態でなく、覚醒状態であり脳は疲労する。

寝だめも「ダメ」だ。平日にマイナス2時間だと、土日で2X5日=10時間余計に、つまり合計20時間寝なければならないが、そんなことはできないだろう。

寝る時間を1時間早くして、起きる時間を1時間遅くするのが専門家のアドバイスだという。できるかな?筆者は自信がないが…。

「すみやかに寝るための10カ条」は次の通りだ。
1.午前中に日の光を浴びよ
2.食事の時間は一定にせよ
3.運動は夕方に。散歩もよし
4.カフェインは寝る3時間前まで
5.酒は寝る3時間前まで
6.寝る2時間まえより強い光を避けよ
7.風呂は寝る30分前に
8.寝室は18度〜26度に保つべし
9.布団でのスマホ・ゲームは御法度
10.寝なきゃとあせるべからず

この本の最後の60ページほどは、全部で76問のQ&Aに充てており、このQ&Aも参考になる。パラパラと本屋で、ページをめくって興味あるところを読めば参考になると思う。いくつか紹介しておくと:

電車や車の中での仮眠では、睡眠負債は補えないが、脳をリフレッシュさせる一過性の効果はある。一方、昼寝は夕方に近くなると夜の睡眠時間に影響してしまう恐れがあるが、午後1〜3時くらいの間の昼寝なら睡眠時間を補完する効果がある。

二度寝は気持ちがいいが、睡眠のリズムを整えるという意味では逆効果だ。一回体温が下がってしまうので、睡眠から覚醒への切り替えが悪くなる。朝、目が覚めてしまったら起きてしまって、昼寝をする方がましだと。

睡眠の質は時間とは直接的な関係はない。睡眠が短くても大丈夫な人はわずか0.5%(ショートスリーパーの率)であり、大多数の人は最低6時間、できれば7時間必要で、睡眠の質がよくても、時間が短ければ睡眠負債は溜まる。

酒は睡眠には逆効果なので、飲みすぎると睡眠の質が悪くなり、微量だと興奮性の作用があるので、寝つきが悪くなる。寝つきが悪い人は、寝る前に体温を上げる軽いストレッチなどを5分程度やるとよい。

人によるが、カフェインは就寝前3〜4時間は控えた方がよいという。

筆者はカフェインについて、全く誤解していた可能性がある。この本は気づきを与えてくれたので、大変有益だった。

実は筆者は、夜12時頃までコーヒーを飲んでいても問題なく眠れるので、カフェインには影響を受けない体質だと思っていた。しかし、この本やハフィントンさんの本、デメント氏の本など、睡眠に関する本を何冊か読んでみると、違う見方もあるように思えてきた。

つまり、毎晩1時前後まで起きていられるのはカフェインで刺激し続けているせいで、それでも1時頃が限度なので、限界をすぎると「バタンキュー」となって、よく眠れるのではないかと思えてきた。

カフェインのせいか、途中でトイレのために起きることもあり、睡眠を中断されることがしばしばある。睡眠の質確保という意味でも、カフェインについては気を付けた方がよさそうだ。

基礎代謝と睡眠は関係しており、筋肉量が減ると睡眠時間が減る。だから、高齢者の睡眠時間は若い時に比べて短くなるのだ。

たしかに、筆者は最近トレーニング回数を増やして、週3回トレーニングしている。トレーニングした日は、筋肉疲労があるので、寝つきもよい。睡眠中に成長ホルモンが分泌されるので、一流アスリートは良い睡眠を重視しているという。

トレーニングは、単に体力維持・向上のみではなく、睡眠にも良い効果を与えるのだ。

この本と、上記に紹介している睡眠に関する本を読んで、これまで睡眠時間を短くすることが、生産的活動に充てる時間を増やすことだと思ってきたが、これが大変危険な考えであることがわかった。

寝る直前のメール対応も、寝つきが悪い原因となる。

これからは睡眠時間を削ってまで仕事や書き物をすることはしないようにし、もし睡眠時間を削った場合には、昼寝等で取り返す習慣をつけようと思う。

気づきを与えてくれるという意味で、大変参考になる本である。

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Posted by yaori at 22:50│Comments(0) 趣味・生活に役立つ情報 | 睡眠