2020年05月16日

老いと記憶 打つ手がないわけではない



神戸大学発達科学部の増本康平准教授の本。

筆者も記憶力の低下を年々感じている。そのため、その場で覚えようと努力しないで、メモに書くなり、ネット検索を使うなどの手段で、後から調べられるようにして、忘れても対応できるようにしているが、記憶力の低下に打つ手はないかと思い、読んでみた。

記憶力の低下は加齢によるもので、リバースはできない。しかし、記憶力低下のメカニズムを知ることで、生活上問題ないレベルに維持することはできる。

そもそも記憶は、脳の神経細胞が別の神経細胞と結合することで記録され、その神経結合はシナプスと呼ばれる。

電気信号が神経細胞の先端まで行くと、神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、アセチルコリンなどの化学物質が放出され、別の神経細胞の受容体と接合して、細胞間での電気信号が伝達される。それが記憶のメカニズムだ。

新しい情報を記憶することは、新しい神経細胞間の結合のパターンが形成されたということだ。

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出典:Wikipedia

脳は生まれた時は400グラムくらいで、成人になって1,200〜1,400グラムになり、20歳がピークで、それから90歳までに約10%重量が減少する。1秒に一つの脳細胞が失われていく。

シナプスの密度も低下し、神経伝達物質のドーパミンは成人期を過ぎると、10年ごとに4〜10%ずつ減少する。脳の生理学的変化が、記憶力にも影響しているのだ。

加齢による機能低下は、長期記憶(エピソード記憶、過去の出来事の記憶)、ワーキングメモリ(まさにPCのメモリ容量の様に、頭の中の作業スペース、それと考えるという作業そのもの)、情報処理スピードが顕著だ。

しかし知識の記憶(意味記憶)はむしろ年齢とともに向上するという。意味記憶というのは、たとえば九九や、歴史上の人物などの知識の記憶だ。

楽器の演奏、スポーツ全般、将棋や囲碁、あるいは車の運転、ブラインドタッチ、包丁さばきなど、技能学習の基盤となるハウツーの記憶は「手続き記憶」と呼ばれ、加齢の影響が小さい。

一般に熟練者とされるだけの技能の獲得には、1万時間の訓練が必要と言われているが、毎日3時間の練習を10年間行えば、熟練者になれる。定年退職後でも、たとえばピアノやギターなど、新しいことにチャレンジし、その分野の達人になることは可能なのだ。

この例で挙げたいのが、山下真司さんだ。筆者より年上の68歳でありながら、「東大王」というクイズ番組で難読漢字が読めず悔しい思いをすると、漢字の勉強を始め、いまでは「山下漢字」と言われるほど、博識の漢字博士になっている。



筆者は、クイズ番組ばかり見ているわけではないので、漢字を学びなおそうという気にはならないが、山下さんの場合は、このビデオの様に、漢字問題に正解できず、悔しい思いをしたことが、強いモチベーションになった。

この本では、「SOC理論」というライフマネジメント法を、ピアニストの故・ルービンシュタインの例を出して紹介している。ルービンシュタインは、89歳で目が悪くなって引退するまでコンサートを開いていた。



ルービンシュタインは、
(1)演奏のレパートリーを絞り(Select)
(2)それらを、これまでより集中的に練習し(Optimize)
(3)速い手の動きが求められる部分の前の演奏の速さを遅くすることで演奏にコントラストを生み出し、速い動きの部分の印象を高める(Compensate)
ことで、ピアノ演奏における年齢の影響をマネージしていたとインタビューで語っている。

これを「記憶力の衰え」という問題に当てはめてみると、
(S)覚えておく必要のある重要なことは記憶するのではなく、
(O)メモや手帳などの記憶補助ツールによって正確に記録し、
(C)記憶力の低下を補い、物忘れに対処する。
ということになる。

これがこの本の推薦する加齢による記憶力低下の対策だ。メモや手帳といったアナログなものだけでなく、スマホは有効な記憶補助ツールで、音声入力⇒リマインダ・アラーム機能がおススメだという。

筆者も最近、GACKTの「英語ガク習塾」で学んで、スマホの「メモ」に音声入力して、自分の英語の発音をiPhoneのSIRIが聞き取れるかチェックしている。

次のGACKTのレッスン2回目で(この回だけで1時間23分ある。GACKTのやる気が伝わってくる)、これの1時間20分過ぎからiPhoneの「メモ」機能を使って、SIRI(英語版)で自分の発音をSIRIに聞き取らせる手順を、自分のiPhoneを使って説明しているので、大変分かりやすい。



記憶力の低下程度なら、まだいいが、高齢になってくると、最も心配なのは認知症だ。この本では、高血圧、肥満、心疾患、糖尿病といった生活習慣病が、認知症の危険因子となるので、認知症予防の生活習慣として次を挙げている:
(1)豊富な社会的交流
(2)適度な運動
(3)魚の摂取
(4)ビタミンEやビタミンCの摂取

筆者は、4月7日の非常事態宣言以来、コロナ対策で、買い物を除いて外出を控え(この間、電車には一度も乗っていない)、自宅にいる生活を続けているので、上記(1)〜(4)の重要性を痛感している。

筆者は現役のビジネスマンなので、ウェブ会議で顧客と打ち合わせしたり、メール、電話等で、在宅でもそれなりの社会的交流を保っているが、週2〜3回行っていたゴールドジムは、当分行けないので、どうしても運動不足になりがちだ。

デスクで仕事しながら、簡単に前腕筋が鍛えられるパワーグリップを使ったり、スクワットしたりしているが、不足を感じている。




(3)、(4)については、サプリで補っている。筆者が使っているサプリは次のものだ。

ディアナチュラ DHA with イチョウ葉(240粒)【イチオシ】【Dear-Natura(ディアナチュラ)】
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小林製薬の栄養補助食品 マルチビタミン ミネラル コエンザイムQ10 約30日分(120粒入)【イチオシ】【小林製薬の栄養補助食品】
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自分が認知症にならずに、このまま行けるかどうかわからないが、認知症予防のためにも上記(1)〜(4)は絶対必須だ。そんなことを再認識できる本である。


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Posted by yaori at 12:38│Comments(0) 趣味・生活に役立つ情報