2021年10月10日

クララとお日さま カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞後第1作

クララとお日さま
カズオ イシグロ
早川書房
2021-03-02


ノーベル文学賞受賞作家のカズオ・イシグロの受賞後の第1作。

「はじめてお店に並んだとき、ローザとわたしに与えられた場所は店央の雑誌台側でした。そこからだとショーウィンドーの半分以上が見えます。お店の外もよく見えました。‥‥。」という書き出しで始まるので、最初のうちは何の話か皆目わからなかった。

そのうち何の注釈もなく「AF」という言葉が出てきて、これがたぶん「Artificial Friend」(人工の友達)のことではないかと気が付いて、それで物語がわかってきた。

近未来の話で、遺伝子操作が進み、子供の大部分は「向上処置」を受けている。遺伝子ドーピングなのだろう。

中には「向上処置」を受けない子供もいて、そういった子供は大学進学の道が閉ざされている。

クララは最新式のB3型でないので、嗅覚が備わっていないが、それでもクララを気に入った病弱の子供に買われていった。

病弱の子供のシングルマザーはクララを驚くべき目的で購入したのだ。それは‥‥‥。という具合にストーリーは展開する。

いつも通り、小説の詳しいあらすじは紹介しない。近未来の話で、太陽光で動くアンドロイドのクララが主人公という設定だが、なぜか筆者のようなオジサンでも感情移入ができる。不思議な小説である。

カズオ・イシグロさんの作品では、「日の残り」のあらすじを以前紹介した。「日の残り」とはまた違ったテイストの、映画化が待ち望まれる作品である。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)
土屋 政雄
早川書房
2012-08-01




日の名残り [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
ヒュー・グラント
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017-11-22



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Posted by yaori at 00:37│Comments(0) 小説 | カズオ・イシグロ