2014年11月03日

人を生かす 稲盛和夫さんの経営相談

稲盛和夫の経営問答 人を生かす 新装版
稲盛 和夫
日本経済新聞出版社
2014-09-04


京セラの創業者・名誉会長で、破綻したJALの経営再建も見事にやり遂げた稲盛和夫さんの経営相談。

このブログでは稲盛さんの「生き方」など、何冊か紹介しているので、これらも参照してほしい。

生き方―人間として一番大切なこと
稲盛 和夫
サンマーク出版
2004-07


稲盛さんの生き方が、「必ず夢は実現する」というマンガになって京セラのホームページにeブックとして掲載されているので、稲盛さんのことを知りたい人は、まずはこのマンガを読むことをおすすめする。

稲盛さんに教えを受けようという経営者の集まりが盛和塾だ。盛和塾は現在74カ所、約9,000名の会員がいるという。

日本各地とブラジル(3カ所)、米国(カ所)、中国(11カ所)にも盛和塾がある。

この本は稲盛さんが盛和塾の塾生からの16の質問に答えたものだ。盛和会の塾生は中小企業の経営者が多いので、質問も父親が創業した中小企業の2代目社長からのものが多い。

カテゴリーとしては次の4つにまとめられているが、どれも企業経営ではよく直面する問題だ。

第1章 活力ある社風をつくる
第2章 社員の心に火をつける
第3章 幹部を育てる
第4章 自らを高める − 尊敬されるリーダーとなる

稲盛さんが熱心に、「あなたを弟だと思って」懇切丁寧に答えている。

中小企業はなかなかいい人材が集まらない。稲盛さんも創業した当時は、なかなかいい幹部をつくれなかったので、「孫悟空になりたい」と思ったという。

社長が必死になって、自分の思いを伝えてくれる「宣教師」のような幹部を養成するように、あらゆる機会を設けて、訴え続ける他はないという。

創業者の父親を継いだ2代目社長が「アレやれ、コレやれ」といっても、古手の幹部が動かないのは、組織が硬直化していることもあるが、よく説得して、納得させたうえで命令することをやっていないからだと。

「経営者は一流の心理学者でなければならない」。働く人たちの気持ちが、どう揺れ動くかが読めないようでは、経営者のうちに入らないと稲盛さんは言う。

中小企業には、そんな立派な社員が来るわけはない。京セラも零細企業から始まったが、当時はどこにでもいそうな人しか来てくれなかった。しかし、そういう人たちをまず大事にするということから始めなくてはならないと。

中小企業は、資金もあまりない、技術もない、徒手空拳で創業するケースが多い。そうすると、そこにあるのは社員を含めた人間の心しかない。

稲盛さんの思想の根底にあるのは、その人間の心を大事にしてあげなければ、人をまとめることはできないということだと。

稲盛さんも、創業当初は「稲盛和夫の技術を世界に問う」を目標に会社を創業したが、すぐに「全従業員の物心両面の幸福を追求すること」に目標を変えたという。

これに「人類、社会の進歩発展に貢献すること。」が加わっている。

「人の心は移ろいやすいが、ひとたび固い絆で結ばれると、これほど強いものはない」と稲盛さんは語る。

社長は社員を惚れ込ませなければならない。惚れ込ませるには、まず社員を大事にすることだと。

このような問答の最後に、次のような稲盛さんの「リーダーの役割10カ条」が紹介されている。

要諦1 事業の目的・意義を明確にし、部下に指し示すこと

要諦2 具体的な目標を掲げ、部下を巻き込みながら計画を立てる

要諦3 強烈な願望を心に抱き続ける

要諦4 誰にも負けない努力をする

要諦5 強い意志を持つ

要諦6 立派な人格を持つ

要諦7 どんな困難に遭遇しようとも、決して諦めない

要諦8 部下に愛情を持って接する

要諦9 部下をモチベートし続ける

要諦10 常に創造的でなければならない

これとは若干異なる「稲盛経営12カ条」が京セラホームページにある稲盛さんの特設サイトに掲載されている。

特設サイトには、稲盛さんのフィロソフィーキーワードが、紹介されており、稲盛さんによる解説へのリンクがあるので、興味のある人は特設サイトも見て欲しい。


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2012年09月27日

再掲 生き方 稲盛和夫さんの70万部を超えるベストセラー

2012年9月27日再掲:

このブログの管理者機能では、人気記事ランキングを表示する機能がある。現在のトップはヴィクトール・フランクルの「夜と霧」で、2位は稲盛和夫さんの「生き方」だ。

夜と霧 新版夜と霧 新版
著者:ヴィクトール・E・フランクル
みすず書房(2002-11-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

このブログのPV(ページ・ヴュー)が9月で21,000PV、「夜と霧」が227PV、「生き方」が150PVだから、毎日10人弱の人が「生き方」のあらすじを読んでいることになる。

2012年9月19日の日本航空再上場につながる日本航空再建の立役者として注目を集めているからだと思う。

このブログでは稲盛さんの本は5冊紹介している。その中でもやはりベストセラーとなっている「生き方」が最も参考になると思うので、そのあらすじを再掲する。


2010年6月1日初掲:

生き方―人間として一番大切なこと生き方―人間として一番大切なこと
著者:稲盛 和夫
販売元:サンマーク出版
発売日:2004-07
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

京セラ最高顧問、稲盛和夫さんの本。

日航の会長に就任されたので、一躍注目を浴びている。この本の売れ行きも70万部を突破したとのことだ。

読み始めて、既に読んだ本であることがわかったが、このブログにはあらすじを収録していない。おかしいと思ったら、ブログを始めた2005年1月以前に読んだ本だった。

この本の発行はもともと2004年8月で、出たばかりの頃に読んだ。強い印象を受け、稲盛さんの本はその後何冊かブログに紹介している

稲盛さんの本をどれか一冊ということになると、やはりこの本だろう。


この本の構成

この本では稲盛さんの考え方を次の5章にわけ、それぞれ15前後のサブタイトルで紹介している。アマゾンのなか見、検索に対応しているので、是非目次をチェックして欲しい。

1.思いを実現させる

2.原理原則から考える

3.心を磨き、高める

4.利他の心で生きる

5.宇宙の流れと調和する


ひとつひとつに稲盛さんの考えが現れており、どこから読んでも良い本だ。

初めて読んだときに強烈な印象を受けた。筆者がいまだに覚えているものを箇条書きで紹介する。

★心に描いたものが実現するという宇宙の法則

★松下幸之助さんの「ダム式経営」発言に衝撃を受ける
聴衆から「どうやったらダム式経営ができるかやり方を教えてくれ」というQuick-fix質問に対し、松下さんはポツリと「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」と語ったという。

聴衆は失笑を漏らしたが、この言葉に稲盛さんは大きな衝撃を受けたという。松下さんのつぶやきに、稲盛さんは「まず思うこと」の大切さを学んだという。寝ても覚めても強烈に思い続けることが大切だ。

そして有名な言葉が続く。

★現実になる姿が(夢が)カラーで見えているか?
思い続けると、成功への道筋が見えてくる。それもカラーで夢が見えるという。

「手の切れるようなものをつくれ」が稲盛さんの教えだ。

★本田宗一郎さんのエピソード
あるとき稲盛さんは本田宗一郎さんの話が聴きたくて、高価なセミナーに参加した。本田さんは遅れてきた上に、到着一番「みなさんは、いったいここへ何しにきたのか。経営の勉強をしにきたらしいが、そんなことをするひまがあるなら、一刻も早く会社へ帰って仕事をしなさい。」と一喝されたという。

稲盛さんは本田さんの人柄に、よりいっそう魅せられたという。

★好きであればこそ「燃える」人間になれる
人には3つのタイプがあるという。1.可燃性、2.不燃性、3.自然性の人だ。仕事を好きになれば自然性の人間になれる。

★アンドリュー・カーネギー博愛賞を受賞
2003年に稲盛さんは、カーネギー協会から日本人ではじめてアンドリュー・カーネギー博愛賞を受賞したという。過去テッド・ターナー(CNN創始者)、ビル・ゲイツ、ジョージ・ソロスなどが受賞している賞だ。

「個人の富は社会のためにつかわれるべきだ」というカーネギーの言葉に強い共感を覚えると語る。

★人間の細胞1個には30億もの遺伝子情報が詰まっている
遺伝子学の権威の村上和雄筑波大学名誉教授が、「サムシング・グレート」と呼ぶ偉大な力、森羅万象を絶え間なく成長させる宇宙の流れ、そんなものを感じて、65歳で仏門に入ったのだと。

一度は仏門に入った稲盛さんだけに、以前紹介した「1メートルのはしで釜ゆでうどんを食べる話」や、旅人の話などの仏教講話も面白い。

「旅人の話」は、旅人が虎に追いかけられ松の木に登ると、上からは龍が、下からは虎が迫ってくる。そんな絶体絶命の立場にありながら、ふと松の木の上から流れてくるハチミツに旅人は心を奪われるという話。人間の弱さ・欲深さを象徴しているという。


200ページ余りの本だが、活字が大きく、簡単に読める。稲盛さんの本をどれか一冊読むなら、間違いなくこの本だ。

松下さんの講話と比べて、稲盛さんの講話はややクセがあるが、松下さんの450万部を超えるベストセラー「道をひらく」と同じように、座右の書にしても良い本である。

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
発売日:1968-05
おすすめ度:5.0
クチコミを見る


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2007年05月17日

アメーバ経営 稲盛和夫さんの独特経営手法がよくわかる

アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役
アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役


京セラ名誉会長の稲盛和夫さんが、5年間にわたって京セラの経営幹部に対して行ったアメーバ経営講義をまとめた本。

アメーバ経営は京セラグループに定着している経営手法だが、その思想や仕組みをまとめた本はなかったという。2006年9月に出版されたばかりだ。

アメーバ経営とは、会社の組織をアメーバと呼ばれる小集団に分け、それぞれにリーダーを置き、独自の会計基準に基づいて独立採算で運営する手法だ。

稲盛さんは筆者の尊敬する経営者というか人生の先達なので、このブログでは今まで「稲盛和夫の実学」、「高収益企業のつくり方」、「君の思いは必ず実現する」の3冊を紹介してきているが、それらの中でもアメーバ経営という言葉は幾度か出てきた。

今までばくぜんと理解したつもりだったが、この本を読んでアメーバ経営を導入する具体的手法はどういうものかわかった。

京セラやKDDIだけではなく、他にも300社以上が京セラの関連企業のコンサルティング会社の支援を受けてアメーバ経営を導入しているという。


アメーバ経営の原点

稲盛さんは大学を卒業して京都の松風工業というセラミックメーカーに就職するが、数年で辞めて京セラを創業する。創業3年目で前年に採用した高卒新入社員10名が、昇給・ボーナスを将来にわたって保証しないと辞めると団体交渉を求めてくる。

創業したての京セラに将来を保証できるはずはなく、稲盛さんは三日三晩社員と話し合って納得を得たが、このことが稲盛さんに、小さい会社でも従業員は会社に一生を託して入社してくることを痛感させる。

このことが原因で、稲盛さんは京セラの経営理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と定めた。

またあたかも自分が経営者であるように従業員が懸命に働いてくれる全員参加の経営の仕組みを考えた。それがアメーバ経営である。


アメーバ経営の三つの目的

アメーバ経営の目的は次の三つである。

1.市場に直結した部門別採算制度の確立
2.経営者意識を持つ人材の育成
3.全員参加経営の実現

この本で稲盛さんは上記の三つの目的について、わかりやすく解説している。

重要なのは、人間として何が正しいのかというフィロソフィーをに基づいた明確な意志、売上を最大に、経費を最小にする努力、そして市場変化に従いアメーバの様にダイナミックに変化する活力だ。

アメーバは、まず第一に収入と費用が切り分けられる単位であることが必要だ。

第二に、アメーバの単位は単に細かくするだけではだめで、ビジネスとして完結する単位にする必要がある。例えば、セラミック製造工程の中で、京セラは事業単位を、原料、成型、焼成とわけた。それぞれ同じ事業を行う他の会社が存在していたからであると。つまり理論的にはその部分をそっくり他社にアウトソーシングできる切り分けである。

第三に会社全体の目的、方針を遂行できる組織であることも必要である。

例えば営業の場合は、受注部門、納期管理部門、代金回収部門と分け、全体の手数料収入10%を例えば5%、3%、2%と分けることも可能だが、それだと顧客に対して一貫したサービスを提供できず、お客様第一主義という会社方針に沿った営業ができなくなるので、営業の組織を分けることはできない。

アメーバ経営は実力主義であるが、成果主義ではないと。つまり短期の成果で個人の報酬に極端な差はつけないが、長期にわたり実績を上げた人を正当に評価して処遇に反映させているのだと。


アメーバ経営を支える経営管理部門

アメーバ経営の思想、手法と仕組みを維持、発展させる重要な役割を担う部門が経営管理部門であり、その役割は次の三つである。

1.アメーバ経営を正しく機能させるためのインフラつくり
2.経営情報の正確かつタイムリーなフィードバック
3.会社資産の健全なる管理


アメーバ経営の時間あたり採算表

アメーバ経営の時間あたり採算管理といっても、今まではっきりとしたイメージがわかなかったが、この本では製造部門と営業部門の具体例が紹介されており、わかりやすい。

製造部門だと次の様な構成となる:

総出荷     : 650百万円
(社外出荷   : 400)
(社内出荷   : 250)

(−)社内買  : 220百万円

総生産     : 430百万円

(ー)控除額  : 240百万円
(原料費、電力水道代、通信費、公租公課、減価償却、旅費等)

差引売上    : 190百万円

総時間     :  35,000時間
(定時     :  30,000時間)
(残業他    :   5,000時間)

当月時間あたり :  5,430円


営業部門だと次の様な構成となる:

受注      : 360百万円
売上高     : 350百万円
受取口銭    :  28百万円

(ー)経費合計 :  12百万円
(運賃、旅費、通信費、販促費、交際費、公租公課、減価償却、金利、本社経費、間接共通費等)

差引利益    :  16百万円

総時間     :  2,000時間
(定時     :  1,800時間)
(残業     :    100時間)
(部内共通・間接共通時間 100時間)

当月時間あたり :  8,000円

ちなみに営業部門の収入は生産金額の10%を口銭として受け取るルールとしており、製造と営業の仕切価格は認めていない。さらに製造がいくつかのアメーバに分かれている場合には、各アメーバが公平に負担する。

アメーバ経営の特長は、人はコストではなく付加価値を生み出す源泉であるという考え方だ。だから労務費は経費としては扱わない。

これによって各アメーバの時間あたり採算が計算できるので、アメーバの時間あたりの採算が実際の労務費を上回れば黒字、下回れば赤字となる。


アメーバごとの年度計画(マスタープラン)

採算管理と並んで重要なのが経営計画だ。各アメーバは経営の最小単位なので、会社全体の方針や事業部に於ける方針や目標を受けて、三年ごとのローリングプランと年度ごとのマスタープランを作成する。これによってリーダーの意志を示すことになる。

具体的な売上、総生産、時間あたり採算などの経営目標も、アメーバ単位で設定され、年度計画(マスタープラン)に基づく月次計画が作成される。

明確な目標を設定して、全従業員のベクトルをあわせるのだ。そして毎月マスタープランに対しての進捗を確認し、部門長以下の関係者は、もし遅れていればキャッチアップのためのアクションを取らなければならない。


アメーバ経営はリーダーを育成し、全従業員の経営者意識を高める究極の教育システムであると稲盛さんは結論づける。

経営の基本を抑え、採算と費用をわかりやすく把握し、人材を育てるアメーバ経営がよくわかる。おすすめの本である。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします。


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2005年07月10日

稲盛和夫の実学 京セラの経営を支える会計思想


稲盛和夫の実学―経営と会計
筆者は最近稲盛和夫氏の本を結構集中的に読んでいる。この本もその一冊であり、『会計がわからんで経営ができるか?』という稲盛氏の言葉が本の帯にもなっている。

筆者もまさに同感で、最近になって恥ずかしながら簿記3級の通信教育を始め、今年後半の試験でまず簿記3級を取得し、次は簿記2級を取得する予定。稲盛氏の言っている会計は京セラ独自の会計基準であり一般会計原則とは異なる。

もともとこの本も京セラの経理部長だった故・齋藤明夫氏が後進のためにまとめたものをベースとしている。

稲盛氏は他の著書でも1.売上を最大に、経費を最小に、2.値決めは経営、3.会計がわからなければ真の経営者になれないと言っているが、この本は京セラの7つの会計原則を説明するとともに、盛和塾での質疑応答でケーススタディを行っている。

前置きとして常識に支配されない判断基準例として設備の減価償却をあげている。セラミック加工機械は摩耗が激しく、5年程度でダメになってしまうので、10年の法定耐用年数によらず、自主耐用年数を定め、有税で償却していると。

また銀行が定期預金を担保として貸し出す歩積み両建ても常識的におかしいとして、稲盛氏は拒否したが、結局世の中みんながやめた。

京セラの会計原則とは次の7つである。詳しい説明は省くが、基本は会計原則にとらわれず、物事の本質をとらえて、キャッシュの動き、モノの動き、余計な物は持たず、採算単位ごとの厳しい管理をするというシンプルな原則である。

1.キャッシュベースでの経営ーお金の動きに焦点をあてて物事の本質に基づ  いたシンプルな経営 儲かったお金はどうなっているか?

2.1対1の対応を貫く モノの動きと伝票の対応

3.筋肉質の経営 中古品で我慢、健全会計、固定費の増加を警戒、投機はやらない、当座買いの精神

4.完璧主義をつらぬく マクロとミクロ両方 100%達成でないと価値を認めない 厳しいチェックでパーフェクトを目指す

5.ダブルチェックによって会社と人を守る 人と組織を守る保護メカニズム

6.採算の向上を支えるーアメーバ経営の時間あたり採算制度 付加価値測定
時間あたり採算と会計との関連

7.透明な経営を行う 公明正大

手法はともかく、基本となっている『会計がわからんで、経営ができるか』という一言。肝に免じて経営に取り組む必要がある。

  
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2005年06月19日

高収益企業のつくり方 稲盛和夫の盛和塾での講義と質疑応答


[実学・経営問答]高収益企業のつくり方京セラの稲盛和夫氏が書いた子供向けの『君の思いは必ず実現する』については以前書いた。『君の思い…』を読んで稲盛氏の経歴と考え方を知った上で、この本を読むことをおすすめする。

稲盛氏が開催している経営を学ぼうとする経営者の集まり盛和塾は始めてから20年以上がたち、日本全国に52塾、米国やブラジル、中国にまで広がっており、様々な業種から3,600人が参加している。

本書は稲盛氏の基調講演の後に質疑応答で稲盛氏が答えるという構成となっており、4つのテーマでまとめている。

序章の『会社の存在意義を問う』では、京セラ設立2年目で入社した高卒社員11名が昇給、賞与の保証を求めて団体交渉を申し入れてきたことを紹介、このことがきっかけとなり、それまでの『稲盛和夫の技術を世に問う』という当初の目的を捨て、京セラの経営理念を『全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること』と定めた。

また第二電電事業に乗り出す際には日本の長距離通信料金が欧米と比較してあまりに高く、日本経済の健全な発展を妨げているという義憤から手を挙げたことを紹介、『動機善なりや、私心なかりしや』と毎日自問したというエピソードを紹介している。

経営者が次元の高い目的、大義名分を確立し、そのような会社の目的、意義を全従業員に示し、理解と協力を求め、経営者自身がその実現に向かって率先垂範することが会社を発展させる原動力となると説く。稲盛氏は一時仏門を志したことが有名だが、経営にいわば精神鍛錬を持ち込むと宗教の修行に近くなってくるのかもしれない。

1.『高収益の基盤を築く』ではのっけから『事業を営む以上、税引き前で最低10%の収益をあげられないようでは経営のうちに入りません。高収益というのであれば、少なくとも15〜20%は利益率がなければならないのです』。

京セラの物流部門の例は参考になる。いままでグロスで出していた発注を細かく分析し、工場ごとに適した運送会社を選定し、トラック中心だった輸送手段に飛行機、鉄道、船などを加え、最適なものを選ぶようにした。また入出庫、梱包などの社内の出荷業務も大幅に改良をすすめて、従業員の数も減り、高齢者やアルバイトでもできるようになった。このように知恵を使って既存事業に集中して利益を伸ばせ。

2.『挑戦し続ける企業を目指す』では多角化について取り上げる。多角化の際に必要となるのは経営者の心構えであり、『有意注意』が重要であると。『有意注意』とはどんな些細なことでも意識を集中させて物事を判断することなりと。またM&Aを成功させるには被買収会社の従業員を惚れさせる人間性が大切である。

3.『パートナーシップで経営する』では大家族主義、京セラ風コンパなどで心の絆を大切にする経営を説く。この辺が稲盛哲学なのであろうが、『すばらしい業績には栄誉と賞賛を与え、報酬で大差は付けない。業績が大きく伸びた時は、その部門をたたえ、全従業員に臨時ボーナスを出す』。

4.『自ら燃える集団をつくる』では経営者意識を持った人材を育てるために、『アメーバ経営』を説く。会社の組織をアメーバと呼ばれる小集団に分けてリーダーを置き、アメーバの経営全般を任せるという手法。アメーバ単位の採算が発表されるので、構成員も努力の結果がすぐわかり、全員参加の経営が可能となる。

アメーバは京セラの登録商標とは初めて知った。サイバーエージェントのアメーバブログは名称変更か方針変更を余儀なくされそうだ。

最後のまとめとして、松下幸之助の講演を聴いた時の話で締めくくっている。人間はそうしたいと強く願わなければ何事も成就できない、『心の底からの強い願望』が必要である。強い願望を心に抱き、その実現を心底願うことがものごとを成就させる原動力である。角川春樹が影響を受けたナポレオン・ヒルなども同様のことを言っている。

筆者も自らの身を振り返って、改めて自分の願望とはなんなのか、考えているところである。

参考になれば次クリックお願いします


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2005年04月26日

君の思いは必ず実現する 子供にすすめられる稲盛和夫の子供達への本

最近文庫版が出たので、追加する (2010年5月24日)

君の思いは必ず実現する―二十一世紀の子供たちへ君の思いは必ず実現する―二十一世紀の子供たちへ
著者:稲盛 和夫
販売元:財界研究所
発売日:2004-04
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

君の思いは必ず実現する君の思いは必ず実現する
著者:稲盛 和夫
販売元:財界研究所
発売日:2010-05
クチコミを見る

一度は仏門に入ろうと決心した京セラ稲盛名誉会長の子供達への本。平易な内容で、ふりがな付き。ところどころマンガもある。

人生に明るい希望を持ち、努力を続ければ、必ず道は開けることを、いろいろな切り口から説いている。

稲盛さんの人生を通じて仏教の影響は強い。

また中学の恩師や大学の友人、京都での独立資金を家屋敷を担保に出して調達して支援してくれた恩人。人のおかげでいまの稲盛さんがある。

中学受験に2度失敗した話とか、中学で結核となったこと、鹿児島の実家(印刷の町工場)が空襲により焼失し、戦後手作業で作った紙袋を自転車で行商した話とか、苦労した話が続く。

阪大入試も失敗し、やっと入った鹿児島大学の卒業は近づいたが、就職先が見つからない。

なんとか京都のつぶれる寸前の松風工業という碍子メーカーに就職できたが、入社した早々給料も遅配となる。

しかし自らのセラミック技術を利用して、高周波絶縁材料を開発し、ブラウン管向けとして松下電子工業に採用された。

会社でストライキが起きたときも、スト破りをして生産は続け、製品は塀を越えて投げ、向こうで待っている女子社員に届けて貰うということで、なんとか納入を続けた。ちなみにその女子社員が稲盛さんの奥さんであると。

その後独立して京都セラミックスを創立。誰にも負けない努力を続けること。

仕事を好きになること。

日々、創意工夫を重ねること。

素直に喜ぶこと。

会社を好きになること。

創造性を大事にすること。

「人生の結果=能力X熱意X考え方」。

人生の目的は美しい心の人間になること等々。

寓話として心に残るのは地獄と極楽の話。

地獄も極楽も見た目は変わらない。釜ゆでのうどんを1メートルのはしとつけ汁で食べるのだと。

地獄では誰もが1メートルのはしを使って自分で食べようと争奪戦が起こる。

極楽では1メートルのはしを使って向かいに座っている人に食べさせる。向かいの人はお礼に自分に食べさせてくれる。誰もが穏やかに食べることができる。

みんなが思いやりを持って、利他の心でものごとをとらえることができれば、すばらしい社会が開けるはずなのだと。

平易ながらも、心に残る。感受性の強い子供にすすめても良い本だと思う。
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