2005年11月08日

社長の仕事 48の鉄則 船井総研社長小山政彦さんの実践的アドバイス

社長の仕事48の鉄則―船井総研社長が提言!会社を強くする「ヒト・モノ・カネ」の実践ノウハウ


船井総研社長の小山政彦さんの経営鉄則集。2002年2月発刊の本だが小山さんの先見性に驚く。


先見性と予想の正確さに驚く

たとえば鉄則9の「5つの『一体化』から時流を読みとれ」だ。

『分離と融合』の一体化では競合は3社が最適なので、3社に淘汰されると説く。この本発刊時の2002年の時点では4大金融グループが誕生したばかりだったのに、5年以内に3大金融グループへの再編が来ると予想している。東京三菱ーUFJ統合で、3年も掛からずに小山さんの予言が実現した。

中国製のフレームと韓国製のレンズを使った眼鏡業界の安売り業界化も予想している。

また『エコノミーとエコロジー』の一体化ではトヨタのプリウスを取り上げる。初代プリウスは一台売ると50〜100万円の損と当初言われていたのだが、エコノミーとエコロジーを両立する解決策がプリウスだと。

現在のハイブリッドカーの人気を2002年の時点で予測しているのだ。


ハリアーハイブリッド

話は横道にそれるが、筆者も今年ハリアー・ハイブリッドに買い換えたが、満足感が非常に高い車である。

先日東京モーターショーに行ってきたが、多くの自動車メーカーがコンセプトカー、あるいは近日発売予定の新車として展示しているのが、ハイブリッドカーあるいは燃料電池車、水素エネルギー車だった。

その中でもトヨタは現在販売中のハイブリッドカーをずらっと並べ、コンパニオンによるエスティマハイブリッドの新モデルの説明や、レクサスの来年発売予定のハイブリッドモデルも多く展示し、エコロジー=トヨタを強く印象づけていた。

レクサスは日本よりアメリカで多く売れているが、アメリカのエコロジー意識が高まっていることをにらんで、レクサスの最高級車やスポーツカーもハイブリッドモデルを販売するのだ。もはやベンツもBMWもこの分野ではレクサスの敵ではない。


船井総研の得意分野

船井総研というと、船井幸雄さんや小山さんが有名だが、本業はなんのコンサルティングなのかこの本を読むまで、筆者も知らなかった。

船井総研は小売業を得意とするコンサルティング会社なのだ。

小山さんによると、船井流コンサルティングとは全国各地の小売店に足を運び、経営指導して、たとえば15〜20万円のコンサルティング料をもらうというやりかたであり、船井幸雄会長に教えて貰った地方回りのコンサルタントが創業の原点であると。

小山さんは商店や会社のレベルを次の3段階にわけている:

生業レベル : 『戦略、戦術、戦闘』がひとりに集中 ワンマンカンパニー

家業レベル : 『戦略、戦術』と『戦闘』にわかれる 社長と部長、あるいは店長

企業レベル : 『戦略』『戦術』『戦闘』がわかれる 社長が戦略、部長が戦術、社員が戦闘

社長はどこかの段階でさらなる権限委譲をするという戦略を持ち、社長自身が自己改革をしなければレベルアップは難しいと。人をうまく使う。それが社長の仕事だ。

船井総研のトップコンサルタント五十棲さんが社長は現場に出るなと言っていることもこの小山さんの話と同じである。


この本では社長の仕事の48の鉄則をあげている。いくつか印象に残る話を紹介しておこう。


船井幸雄研究

小山さんは『船井幸雄研究』で社長になったと。会社にとって正しいことは、その会社における常識であり、『社長の常識』である。従って社長の考えを正しく理解して社員に伝えてきたらからこそ、船井幸雄さんを継いで社長になったのだと。(鉄則1)


社長は『資金繰り』『人材育成』に全力を尽くせ

タイトルの通りだが、コミュニケーション能力、『対話力』があることがトップであることの重要な条件の一つである。ニッサンのゴーンさんが良い例だ。(鉄則4) 


一体化

これからの経営では『一体化』がキーワードであると。

たとえばウォルマートは超ローコスト経営で有名であるが、店の入り口にはグリーターがいて、あいさつをし、返品カウンターには3人がおり、レジスターは平日にもかかわらず多くが開いている。欠品を出さないというコンセプトで在庫も多く抱えている。

お客に見えるところではハイコストなのだが、お客に見えないバックヤードでは徹底的なローコスト経営をしているので、お客に接する部分でハイコストにやれるのである。ローコストとハイコストの一体化である。

競争と共生の一体化の例としてはトヨタとニッサンの共同配送をあげている。

両社は激しい競争をしているが、同じ地区に別々に配送するよりも1台の輸送車でまとめて運んでトヨタとニッサンの両方の販売店に輸送することを始めているのだと。

この話、筆者は寡聞にして知らなかったのだが、もし本格的協業が実現しているのだとすると凄いことだ。(鉄則8) 


現象の裏にあるニーズをつかめ

吉野屋の牛丼は400円から280円に3割値下げして、売上が5割増えた。にわかには信じられない計算だが、この理由は新しいニーズをつかんだことだ。

従来昼食価格帯は800円ゾーン、500円ゾーンの2つだったが、これに加えて300円ゾーンが登場した。

住宅ローンと教育費で小遣いが減り、年収800万円程度のサラリーマンが昼食300円族として牛丼屋に走ったのだ。

マクドナルドは既にハンバーガーを半額にしてこの人たちを取り込み、吉野屋も300円でお釣りが来ることが魅力だった。

このように表面的な現象に目を奪われず、ニーズのベースとなっていることを把握することが最も重要なのであると。(鉄則39) 


ビジョンを絵に描いた餅で終わらせない

5年後会社をどうしたいというビジョンを持っているか?それを実現するための具体的な方策を持っているか?

小山さんのビジョンは6年で売上を倍にすることで、これの実現には逸材社員の流出を止めることが重要だ。

社員というのはある程度やめるものであり、やめていいものなのだ。船井総研の場合、従来40人が入って、40人がやめていく会社であったが、これを60人が入って、20人がやめていく会社にするのだと。

具体的には評価制度、給与、賞与の査定を変えた。

外部に対しては『創客』『創品』、つまり顧客の創造と、新規商品創造である。

船井総研ではリフォーム、リサイクル、エコロジーで新規分野を開拓、これと新規顧客獲得で売上高倍増をめざすのだと。(鉄則44)


タイトルだけでも理解できる

鉄則22 後継者は雰囲気で決まる

鉄則23 モチベーションのアップこそが業績向上のカギである

鉄則25 社員が話したくなる環境をつくれ ー 社長さん、社員と食事に行っていますか?

鉄則26 すべての不満を聞くことが正解ではない ー 民主的な企業は崩壊する

鉄則27 怒りそうになったら、『一杯の水』と心得よ

小山さんのお父さんは怒りっぽい人だったが、怒るのをやめるために怒りそうになった瞬間、「水を一杯くれ」と言って、それを飲んでから話すようにしていたと。

鉄則28 ほめるは、やる気アップの特効薬だ

鉄則29 女性社員はアナログ対応で使いこなせ ー 女性は3日に1回ほめよ

鉄則31 やめていく社員の影響力を軽視するな

鉄則45 最終的に目指すところを確認せよ

鉄則46 社長は全社員と夢を共有せよ

小山さんが考える社員の夢とは「自分の生活が安定して、所得が伸びること」だと。

小山さんの近著の『へえ、儲かる会社はこんなことをやっているんだ!』もスッと読めてインパクトがあり、参考になる本だったが、この本も2002年の本とは思えない新鮮なものである。一読の価値がある。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします


人気ブログバナー


  
Posted by yaori at 01:05Comments(0)

2005年10月25日

売上2億円の会社を10億円にする方法 船井総研トップコンサルタントのイソズミマジック

売上2億円の会社を10億円にする方法 業績アップの「設計図」、教えます。


イソズミマジック

船井総研では名誉会長の船井幸雄さんと社長の小山政彦さんが数々の著書を出していて有名である。

このブログでも小山さんの著書は紹介したが、この本は船井総研のトップコンサルタントで、短期間で企業業績を向上させる『イソズミマジック』で知られる執行役員の五十棲剛史さんの著書である。


売上3億円の壁

中小企業には売上高3億円の壁があり、この壁を突破するためには今までと全く違うアプローチが必要である。それは社長が自ら現場に出ないことだと。

もう現場には出ないと決断した瞬間から社長の仕事が変わり、会社のあり方そのものが変わる。社長自ら戦闘している状態を変えない限り、成長の余地は限られる。

売上2億円までは超優秀な個人事業主にすぎず、社長の人脈以上には広がりがない。
自分で何でもできるゆえに、自分以外の社員が活躍する舞台をつくることに手つかずでいるし、社員を育成し、教育することもままならない。

2億円企業には優秀な営業マンが一人しかいない。社長だけだ。


社員の能力は社長の30%! でもOK!

平均的な社員は社長の30%程度の能力しかないが、それでもOKなのだ。30%も仕事ができたら十分。その社員に今社長がしている仕事をやって貰う。

10億円企業は自分の30%の能力しか持たない人材を前提に組み立てなければならない。仕事を分解して、複数の担当者で処理するやりかた。つまり分業である。

10億円企業はビジネスモデルという設計図を持っており、そのビジネスモデルをつくるのが社長の仕事である。

社長がいなくても売上が上がり続ける体制に移行できるかどうか。それが10億円企業へ脱皮する鍵だ。


社員教育で売れるしくみをつくる

営業設計では個々の営業マンのセールスパワーアップでなく、もともとスキルの低い営業マンでも売れる為の仕組みをつくる。

社長の必殺トークをアプローチブックとして外出しする。暗黙知だった社長のノウハウを誰もが使えるようにして、社員全員でそのノウハウを共通の武器とすることだ。

3ヶ月で1人前になるプログラムをつくり、導入すること。3ヶ月で自社の理念を語れる様にする。社長がしゃべった話を録音して、社員に配る方法も有効であると。

またクレームにも社長が出ていってはならない。社員で解決できるようでないと会社としての成長がないのだ。


スタープレーヤーをつくる

社員の中からスタープレイヤーをつくる。

船井総研も創業以来25年間は1億円プレーヤーは船井名誉会長、小山社長、佐藤芳直常務の3人に限られていた。しかし五十棲さんが1億円を超えたら、他にも1億円プレイヤーが続出した。

あの人ができるならと闘志を燃やす人も出てくる。できるぞという気持ちが社内を伝わる。

全体の底上げを図るよりもスタープレイヤーをしっかりサポートした方が、会社全体で社員が成長するのだと。スタープレーヤーが育つ環境があれば他の人間も育つのだ。


採用は成功の鍵

10億円企業になろうと思ったら、社長の時間の半分は採用活動に当ててもよいくらいだと。

総務担当と採用担当はわけ、直:間比率は70:30から75:25を目安とすることも、五十棲さんはすすめている。


社長が大黒柱であることは変わりがない

現場から離れてもやっぱり社長が大黒柱だ。

売上高2億円までは一人芝居。10億円企業は劇団。社長は演出家兼劇作家であると。
社長が設計し、社員を動かすのだ。

船井総研社長の小山さんは:
『商品』=『本体的価値』 x 『価格』 x 『サービス』 x 『ブランド』 x 『情報』 x 『理念』
という方程式を使っている。

社長の仕事はその6要素の一つ一つを設計して、『商品』=その会社の『売り』を構築することだ。

筆者も長年商社でトレーダーとして働いてきたので、つい自分で現場に出てしまう。しかし、これでは組織として伸びない。ビジネスモデルで稼ぐのが10億円超企業であり、伸びる企業なのである。

このブログでもベンチャーの社長を中心に紹介してきたが、古くは京セラのアメーバ経営にはじまり、楽天のプロデューサー制度とか、藤田晋氏のサイバーエージェント野尻佳孝氏のテイクアンドギブニーズなど、すべてしくみをうまく構築し、急成長している好例だ。

反省するところしきりである。この本の表紙には『持出禁止』とか書いてあるが、目から鱗の、非常に参考になる本であった。


印象に残る逸話

世界最高のサービスで知られるリッツカールトンホテルは、従業員に2、000ドルまでの決裁権が認められている。現場のその場での素早い対応を制度としてサポートしているのだと。

最高のサービスとは何かを考えた上で、この様な即応のしくみを導入しているのだ。なるほどと思う。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします


人気ブログバナー


  
Posted by yaori at 12:59Comments(0)TrackBack(0)

2005年06月26日

儲かる会社はこんなことをやっているんだ! 事例が多く刺激になる船井総研社長の本


図解へえ、儲かる会社はこんなことをやっているんだ!―ここに気づくかどうか!?
船井総研社長の小山政彦氏の本。事例が多く、刺激になる。小山氏の実家は倒産したことがあり、小山氏自身も36歳で失業した。悔しさ、『発憤』は成功の大きなバネになる。

船井総研ではトップコンサルタントに1,780万円の冬のボーナスを払った。多く稼いで会社に利益をもたらした人には報酬で報い、稼ぎはそれほどでもないが、別の面で会社に利益をもたらせる人には役職で報いる。徳川家康ではないが、『功には禄を、能には職を』である。

船井総研の採用では最初に社長が面接する。いわゆる80:20のパレートの法則で、トップ20%の人材は5〜6社の内定は普通なので、もし自社が第一志望でなければ、それを覆すことができるのは社長だけである。また逸材の流失を防ぐのも重要である。

創業者でもサラリーマントップでも成功者に共通しているのは、『使命感』である。大成する人は強烈な使命感を感じさせると。信念で1億円企業はできても、そこに使命感が加わらなければ100億円企業にはならない。筆者も見習わなければならない最大の課題である。

頭のいい人はこの情報を聞いてほくそえむ』の例で、アマゾンが年間2,000件の住宅販売もやっているというのには驚く。顧客情報の活用=リコメンドの最先端である。

ユニット戦略として、つんく♂のモーニング娘の小ユニット細胞分裂をあげている。たとえば矢口真里は身長が低いことなどで、自分は女っぽくないというコンプレックスを持っていた。つんく♂はこれを逆手に取り、メルヘンチックな衣装で小さくてかわいらしい雰囲気のミニモニを結成し、大成功した。

すべての人に売ろうとするな!』ではいくつかの例が紹介されているが、ソムリエの田崎真也さんが経営しているフランス料理店も面白い。

ここは料理がコースで3,800円と安く設定され、おまけに300種ものワインも料理と同じ3,800円で提供している。これは筆者のコメントだが、フランス(ヨーロッパ?)で一般的にいわれている、料理と同じ価格のワインを選べという原則を日本でも実践して人気を集めているようだ。

船井総研のトップコンサルタントの話もふるっている。彼が採用面接に出ると、まず学生に『何でもいいから質問のある人は質問してください』と切り出す。学生が次々と質問してくると、彼は『どうしてその質問をしたのか教えてください』と切り返す。これによりどのように考えるかを面接で見るのだ。

トップは決断業、社員は答え出し業』。『社員の提案は最低4案はだせ』なるほど、筆者も仕事の進め方で反省することしきりである。

『とにかく3年間必死にやればなんでもできる。人生の師を見つけてとにかくコピーせよ』、『なんでもいいから他人と違う1番をつくれ。得意なこと、やりたいことから始めよ』で締めくくっている。

スッと読め、大変参考になる本であった。

参考になれば次クリックお願いします


人気ブログバナー







  
Posted by yaori at 00:00Comments(0)TrackBack(2)