2018年10月08日

間違いだらけのコンプライアンス経営 蒲弁護士の最新作



ガンホー・オンライン・エンターテイメントやティーガイアなどの企業の監査役や桐蔭法科大学院長としても幅広く活躍している城山タワー法律事務所代表の蒲弁護士の最新作。このブログでも、「大人の法律事件簿」シリーズなどを紹介している

この本では、サラ・リー、ジョンソン&ジョンソンなど外資系企業の日本法人のトップを歴任して、多くの経営書を出版している新将命(あたらし・まさみ)さんの経営論を取り入れて、それを蒲弁護士自身の企業の監査役や顧問としての多彩なビジネス体験で肉付けし、法律や判例論議を超えた、新たな切り口の経営論を展開している。

単行本として出版されているが、多くの人に参考となる内容なので、いずれ新書として、より多くの人に読んでもらいたい良書である。

第1章は、「『法令』、『運用マニュアル』、『社内規定』を遵守しても炎上してしまう理由」という題で、次のようなテーマについて説明している。

1.「伝説の外資トップ」が考えるコンプライアンス
2.そもそもコンプライアンスとは何か?
3.企業の好循環を生み出す「三方よし」を忘れてはいないか
4.コンプライアンスは経営者の正しい理解から
5.コンプライアンス経営における「企業理念」の重要性
6.あなたの企業の「内部通報制度」は形骸化していないか

「伝説の外資トップ」とは新さんのことで、新さんの「経営の教科書」、「王道経営」などの著書から多く引用され、最後に蒲弁護士と新さんとの対談も掲載されている。このブログ記事のサブカテゴリーを「新将命」としたほどだ。






話はそれるが、そもそも日本で「コンプライアンス」という言葉を用いた最初の例の一つは、筆者が審査員となっているプライバシーマーク制度のベースとなっているJIS Q15001:1999規格である。

このJIS Q15001:1999要求事項の根拠となっているのは、1995年の「EUデータ保護指令」であり、これが2018年5月25日にGDPR(一般データ保護規則)」として生まれ変わった。

GDPRは、EU在住の人の個人データの取扱いに関するEU共通の規則で、これに違反すると、最高26億円または全世界の売上高の4%の罰金が科せられることから、話題になったので、記憶されている人も多いと思う。

1995年の「EUデータ保護指令」は個人情報保護が十分な国でなければ、EU在住の人の個人データの移送を禁止している。日本は「十分な国」とはみなされていなかったので、これの対応のために当時の通商産業省が1997年に「個人情報保護に関するガイドライン」を改訂し、1999年にJIS規格が制定された。1999年当時は、日本には個人情報の保護に関する法律は、まだなかった。

日本の法律が定めていない分野のことまで定めているから、JIS Q15001:1999をベースに構築した個人情報保護の仕組みは「コンプライアンスプログラム」と呼ばれた。法律のみならず、その他の指針、規範、さらにEUの指令をベースにしていたからである。

この辺は、次の本に詳しい記述がある。



横道にそれたが、この本では「コンプライアンス」という言葉が、「法令遵守」と訳され、ともすれば、法令や社内ルールに従っていればよいという誤った理解が広がり、問題が生じていることをいろいろな例を挙げて説明している。

まずは、バニラエアーが、奄美空港で同行者が車いすの身障者を車いすごと抱きかかえてタラップを上がろうとしたのを制して、バニラエアーの社内ルールを理由に、身障者自身に手でタラップをよじ登らせた例だ。この事件は日本のみならず、BBCなど海外のメディアでも大きく報道された

東レの子会社が検査データを書き換えていて、東レの社長まで知っていたにもかかわらず、1年以上も公表しなかった例も挙げている。東レの社長は「法令違反などがなければ、公表の必要はない」と発言して、さらなるメディアの批判を浴びた。

蒲弁護士は、「コンプライアンス」が「法令遵守」と訳されたから、東レのような大会社のトップでもこのような誤った理解が生じている。しかし、「コンプライアンス」で守られるべきものは、形式的な法令や規則のみではなく、社会的規範、社会常識、倫理も当然含まれると説明する。

この「コンプライアンス病(法令違反していなければ、それでよい)」は、多くの企業を蝕み、たとえば日経新聞電子版で「品質不正」というキーワードで検索すると、宇部興産、スバル、川崎重工、日産、スズキ、東洋ゴム、フジクラ、三菱マテリアル、神戸製鋼所など、1年間に138件の記事が出てくる。頭を下げて謝罪する企業トップの写真のオンパレードだ。

蒲弁護士は、「法令遵守」に代わり、新さんの「法徳遵守」という言葉や、桐蔭法科大学の同僚のコンプライアンスの権威の久保利英明弁護士の「コンプライアンスは"Be Gentleman”(紳士であれ)という一言で置き換えられる」を、より適切な言葉として例に挙げている。

さらに、旧経営陣の不正経理を内部告発したオリンパスの元社長のウッドフォード氏の「家族に堂々と言えない秘密を持つくらいなら、社長の地位なんかいらない」という発言を紹介し、「法令遵守」よりも、倫理性も併せ持つ「インテグリティ」(誠実さ、真摯さ、高潔)の方が適切と紹介している。

ドラッカーが「現代の経営」のなかで、経営者や管理職が他から得ることができず、どうしても自ら身につけていなければならない資質は、才能ではなく、「インテグリティ」であると語っているあの「インテグリティ」という言葉だ。

新訳 現代の経営〈上〉 (ドラッカー選書)
P.F. ドラッカー
ダイヤモンド社
1996-01


「インテグリティ」の日本版として、蒲弁護士は、企業の好循環をつくりだす、近江商人の「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)を忘れていないかと語り、DeNAのキューレーションメディアの不祥事コンプガチャなどの例を挙げている。

元は近江商人につながる伊藤忠商事は、採用応募者向けページに「三方よし」を紹介している

ちなみに、筆者も「三方よし」を目標として、プライバシーマーク審査に取り組んでいる。申請者、審査機関、世間の三方よしだ。

この本では、新さんがジョンソン&ジョンソンのCEOだったジェームズ・バーグ氏に、経営者にとって最も重要な資質を問い、バーグ氏が「平均を上回る知性と極めて高い倫理性」と答えたエピソードを紹介している。

コンプライアンス経営における「企業理念」の重要性では、蒲弁護士自身が携わったグレイステクノロジー(マニュアルのプロで、滝川クリステルのCMの会社)の社長が「企業理念」の重要性に気づき、一時倒産の危機に瀕したが、その後立て直して、上場まで至ったことを紹介している。



「企業理念」が持つ危機管理面での効果について、ジョンソン&ジョンソンで1982年に起こった、タイレノールへの毒薬混入事件への対応と、ジャパネットたかたの個人情報漏えい事件の対応を挙げている。

逆に最悪の結果に終わった例として、阪急阪神ホテルズ社長の食材偽装会見や、日大のアメリカンフットボール部の監督・コーチの記者会見を紹介している。

ジャパネットの高田社長が「記者からの質問が出尽くすまで、2時間以上答え続けた」のに対して、日大の会見では、当事者でもない大学広報部の司会者が、記者の声を無視して強引に会見を終了させるなど、あまりにも不手際が多く、マスコミの先にいる「学生やその保護者」及び「被害者」らに対して説明するという姿勢が全く見られなかったと。



近年の不祥事は、「内部告発」によって発覚することが多い。内部告発は正規の社内ルートを経ずに、マスコミなどにダイレクトにリークするもの、一方「内部通報」は、多くの会社が取り入れている正規の自浄ルートだが、内部通報制度が形骸化して、機能していない場合も多く見受けられる。

この本ではオリンパス、東芝、逆にすぐれた例として中国のファーウェイのCEO(内部通報者を誉めて昇格させた)などの例を取り上げている。

日本の公益通報者保護法は、オリンパスの内部通報裁判を見ても実際のところ、本当の意味で社員を守ってくれないと見なされている。一方、米国では、内部告発者の告発で企業が摘発された場合には、制裁金の10〜30%を内部告発者に支払うという法律(ドッド・フランク法や自動車安全公益通報者法など)まである。

蒲弁護士は、日本の場合は内部通報者に分け前や昇進を与えるよりは、名誉を与えるべきだと語り、企業トップが裸の王様にならないためにも健全に機能する内部通報制度が必要だとしている。

この本の第2章は、次のような構成で身近なテーマを取り上げている。

1.ブラック企業とコンプライアンス(パワハラ、セクハラも取り上げている)
2.コンプライアンス経営と長時間労働(ワークライフバランス)(電通事件など)
3.コンプライアンスと不当表示
4.コンプライアンスと情報漏洩
5.ベンチャー企業のコンプライアンス

最後は蒲弁護士と新さんの対談で締めくくっている。新さんの勧めは、ブックメンターも含めて、社内・社外に3人のメンターを持てというものだ。

蒲弁護士自身の経験も含め、具体例が満載で、非常に参考になり「あたまにスッと入る」。冒頭に記した通り、いずれ新書としてより多くの人に読んでもらいたい良書である。


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2018年05月11日

おとなの法律事件簿 今度は家庭編 ストライクゾーンがわかる



ガンホー・オンライン・エンターテイメントやティーガイアなどのIT企業の監査役や桐蔭法科大学院長としても幅広く活躍している蒲弁護士が、5年間「ヨミウリオンライン」の「おとなの法律事件簿」というコラムで書いた事例(フィクション)から22ケースを選んで編集したもの。最後の第22ケースは120年ぶりの民法改正について紹介している。

民法改正は、元々は「ヨミウリオンライン」で2015年に紹介された話題だ。なかなか国会で成立せず、やっと2017年に民法改正が国会で成立し、2020年4月に施行されることになった。

22のケーススタディは身近な話題ばかりで、「ヨミウリオンライン」に掲載した内容に、最新の判例や法令等を加筆・反映してアップデートしている。

この本で取り上げている身近な話題は次の通りだ。

これらの話題に関して、プラスになる判例等とマイナスになる判例等の両方を紹介し、どの辺が今の裁判所のストライクゾーンなのかが大体わかる。その意味でも実務家ならではの役立つ本だ。

第1章 転職、起業に関わる諸問題

CASE1 自分の名前で検索すると悪い情報が…。ネットの検索結果は削除できる?

このケース1は、アマゾンの「なか見!検索」で立ち読みできるので、こちらをクリックして見ていただきたい。

前作と同様、個人情報に関する最新のトピック、今回はEUで始まった「忘れられる権利(現在は消去権と呼ばれている)」について紹介していて参考になる。

CASE2 会社に内緒で副業を始めたいが、何か問題になる?

筆者も会社の人事部のOKを取って、会社員と審査員の二足の草鞋(わらじ)を履いて10年間、本業(子会社管理・統制業務)に直接役に立つ副業を続けてきた。結局副業が本業となって、会社を設立したようなものだ。自分のキャリアデベロプメントプランを考えて、積極的に副業を身につけることをおすすめする。

CASE3 自宅を利用して民泊を始めたいが、何に気をつければいい?

日本には民泊を規制する法律が何種類もある。民泊を始めるには、どの法律に沿って開始するのかで、次の選択肢がある。
・「旅館業法」(許可が必要)
・国家戦略特区の「特区民泊」(市長・区長の認定でOK。特区のみが対象)
・「民泊新法」(届け出だけでOK。年間180日まで)。
自分の住居に客を泊める余裕がある人は、どれが自分のニーズに合うのか見極めてスタートすることが重要だ。

CASE4 逮捕歴や懲戒処分歴、転職時に履歴書に書かないと経歴詐称?

いろいろな判例が紹介されているが、一言でいうと会社との信頼関係を根本から崩すような経歴詐称は、会社にバレると解雇等につながる可能性がある。

第2章 老親に関わる諸問題

CASE5 高齢の母を悪徳商法から守るにはどうすればいいか?

任意後見人制度法定後見人制度の活用。

CASE6 認知症の人が起こした事故における家族の責任とは

2016年3月1日の最高裁判決を紹介している。91歳の徘徊老人が、JRにはねられ死亡し、JRが遺族(要介護1認定の85歳の妻と遠隔地に住む長男)に720万円の損害賠償を求めていた裁判で、最高裁は家族の責任を否定した。

人身事故で電車の運行を止めた場合、家族に多額の損害賠償が求められるといういわば都市伝説があり、ネットでもいくつかの説が紹介されている。

一般化はできないが、事例によっては家族の責任が問われないケースもある、程度に考えておく方が無難だと思う。

万が一の事態に備え、賠償責任保険には入っておくほうが良いと思う。

第3章 子供に関わる諸問題

CASE7 子供が起こした事故、親はどこまで責任を負うか?

ケース7で紹介されている2015年4月9日の最高裁の判決は大変興味深い。小学校の校庭でサッカーボールでフリーキックの練習をしていた小学6年生の蹴ったボールが、たまたま校庭の外に出て、バイクで通りがかった85歳の男性がボールを避けようとして転んで死亡したという事件だ。

この判決で、最高裁は1審、2審の判決を破棄して、親の責任を否定した。

一方、小学5年生の児童が坂道を猛スピードで下って、老女に衝突し、老女が意識が戻らない状態が続いているという事例で、9500万円の賠償が認められた判決もあり、一般化はできず、事例ごとの個別判断が必要だろう。

CASE8 息子が同級生からいじめで大ケガ 法的手段は?

この例では、まず同級生の親、次に学校の責任を問えるか、親の慰謝料を請求できるか等について細かく解説している。もしこんなケースが発生したら大変役に立つと思う。

キーワードは「いじめ」。これを学校側が認識しているが、放置していたかどうかだ。

CASE9 娘の裸の写真がネットに流出、どうすればいい?

リベンジポルノ法のことが詳しく紹介されている。

このケースは、「SNSで知り合った人に裸の写真を交換」という事例で、本当にこんなケースがあるのか知らなかったが、この行為は「セクストーション」と呼ばれ、東京都では2017年12月に18歳以下の男女に自分の裸の写真を送るように脅す行為を禁止する条例を成立させているので、実際に多発しているようだ。

CASE10 血は繋がってなくても子供が欲しい! 特別養子縁組とは?

実親とは親子関係がなくなる養子縁組が特別養子縁組だ。

この特別養子縁組制度が成立した遠因を作ったのが菊田医師事件だ。

岩手県在住の産婦人科医が、妊娠中絶を考えている女性に出産を勧め、生まれた子を子宝に恵まれない夫婦に無報酬であっせんしたものだ。当時は現在の特別養子縁組制度に相当する法律が日本には無かったため、その際にはやむを得ず偽の出生証明書を作成して引き取り手の実子とした。それは実親の戸籍に出生の記載が残らないよう、また養子であるとの記載が戸籍に残らないよう、そして養親が実子のように養子を養育できるように配慮したためだった。

結局菊田医師は医師法違反などで同業者から告発され、有罪となったが、法律に違反しながらも100名以上の乳児の命を守ったことへの賛同の声が巻き起こり、特別養子縁組制度が誕生したものだ。

第4章 夫婦関係に関わる諸問題

CASE11 不倫をした夫から妻に対して離婚請求、認められる?

「踏んだり蹴ったり」判決として知られている1952年2月19日の最高裁判決で、有責配偶者からの離婚請求は認められないという判例が確立していたが、1987年9月2日最高裁判決は、その判例を覆す判断を下した。ただし、それは有責配偶者ならだれでも認められるというわけではない。

CASE12 妻と離婚しても子供と会える?

2013年12月23日に離婚調停中の男性が文京区の小学校に侵入し、次男と一緒に焼身自殺するという事件が起こった。

離婚してからも子供と面会できるかどうかは重要な問題だ。2012年の民法改正で、面会交流は明文化された。離婚後も親権を持つ親が、面会交流を認めない場合には、1日当たり5万円の支払いを命じた判決を正当と判断した最高裁判決(2013年3月28日)もある。

CASE13 妻と離婚したら自分の退職金と年金はどうなる?

年金分割制度が始まったが、離婚した妻が、元夫の年金、退職金の半分をもらえるわけではない。

会社員は3階建てと言われている年金制度の仕組みとか、別居期間はカウントされるか、退職金は対象となるのか、何年後にもらえる退職金まで対象となるか、どのように払うのかなど、具体的な内容について詳しく説明している。

第5章 身近な事件・事故に関わる諸問題

CASE14 愛犬が他人に怪我をさせた…。飼い主の責任は?

民法第718条第1項は、飼い犬が他人に損害を与えた場合、飼い主が責任を負う旨を規定している。飼い主が「相当の注意」を行っていれば、免責される場合もあるが、「相当の注意」を行ったという立証は非常に困難だ。

CASE15 プロ野球観戦中に打球が直撃して失明、誰に責任追及?

札幌ドームでファールボールが野球観戦中の女性の目にあたり、失明した事件で、2016年5月20日の控訴審の札幌高等裁判所は、3,350万円の日本ハムの賠償責任を認め、球場を管理する札幌ドームと札幌市の責任は認めなかった。

女性がボールの行方を最後まで見ていなかった点も過失相殺されている。

CASE16 自転車の危険運転による事故が多発、前科がつくおそれも

2015年6月1日に施行された改正道路交通法では自転車の危険行為として14類型を挙げて、安全運転違反者には自転車運転者講習の受講を命じることができるとしている。

第6章 住宅に関わる諸問題

CASE17 賃貸マンション退去時の補修費用、誰が負担?

筆者も誤解していたが、通常の原状回復のための補修費用は家主が負担するもので、賃借人には負担させられない。

第7章 相続や自分の死に関わる諸問題

CASE18 遺言書がないと、残された妻は兄弟に財産を奪われる?

まさにタイトル通りだ。子供がいないDINKS夫婦の場合には、残された配偶者に全財産を残すことを公正証書による遺言書にしておかないと、亡くなった配偶者の兄弟が「遺留分」を請求すると対抗できない。

CASE19 「全財産を兄に」と亡父が遺言、弟は1円も相続できない?

ケース18と同じ兄弟の遺留分の問題だが、蒲弁護士は法的解決でなく、まずは兄弟間でよく相談して解決することを勧めている。その通りだと思う。

CASE20 縁の切れていた亡父の莫大な負債、支払うべき?

本来相続開始から3ケ月以内に相続放棄はしなければならないが、後から巨額の負債があることが分かった場合などは、3ケ月を過ぎていても例外的に認められる場合がある。

CASE21 終活ブームの日本、尊厳死・安楽死の現状

米国のブリタニー・メイナードさんは2014年11月1日に予告通り「尊厳死」を選び、服毒死した。

この本では、究極の「終活」ともいえる「尊厳死」と「安楽死」の違いなど、具体的な事例を挙げて説明している。

第8章 総合編

CASE22 2020年4月施行の改正民法、ポイントを教えて

120年ぶりに全面改正される改正民法の主なポイントを紹介している。

1〜3年の短期消滅時効の廃止、法定比率の引き下げ(これにより保険料に影響がでる)、保証人の責任限度、敷金は原則返還、購入した商品の欠陥(「瑕疵担保」という難しい言葉はなくなるようだ)、定型約款などについての変更点を解説している。

改正民法の施行は2020年4月1日だ。オリンピック直前には改正民法が話題になることだろう。

以上のように、しろうとにも大変分かりやすく、かつ、話題としても面白い。この本はオンデマンド出版なので、ネット販売と一部の大手書店のみで取扱っており、一般の書店には並んでいないため、まずはアマゾンの「なか見!検索」で、立ち読みしてから購入することをお勧めする。


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Posted by yaori at 18:18Comments(0)

2017年01月09日

おとなの法律事件簿 最新判例・法令がわかるコンプライアンスハンドブック



IT企業などの監査役や桐蔭法科大学院長としても幅広く活躍している蒲弁護士が、5年間「ヨミウリオンライン」の「おとなの法律事件簿」というコラムで書いた事例(フィクション)から16ケースを選んで、企業向けに再編集・加筆したもの。

どのケーススタディも「ヨミウリオンライン」に掲載した内容から、その後の判決などを織り込んで加筆・修正している。

16のケーススタディは実践的で、最新の判例や厚生労働省の指針等を反映しているので、企業の実務担当者にはコンプライアンスハンドブックとして役立つと思う。

この本で取り上げているケースは次の通りだ。

第1章 情報漏洩に関する事件簿

CASE 1 相次ぐ個人情報漏洩事件、企業における防止対策の決定打とは?

CASE 2 「産業スパイ」事件、うちの会社は大丈夫?

第2章 ハラスメントに関する事件簿

CASE 3 セクハラに対する企業の処分が、急速に厳罰化しているって本当?

CASE 4 社員から「パワハラ」の訴え、防止策は?

CASE 5 出産後にマタハラ、無事に職場復帰できる? パタニティーハラスメントの解説と共に

第3章 時間外労働に関する事件簿

CASE 6 話題のブラック企業、自分の会社がそう言われないためには?

CASE 7 実態が伴わない”名ばかり管理職”、残業代を請求できる?

CASE 8 50時間もの残業代、年俸制だと請求できない?

第4章 人事異動や退職に関する事件簿

CASE 9 嫌がらせ同然の上司による退職勧奨、法的に問題は?

CASE10 関連会社への出向命令、無効になる場合とは?

CASE11 転勤辞令、「子どもの通学」理由に拒否できる?

第5章 組織の不祥事に関する事件簿

CASE12 ライバル企業の社員の引き抜き、どこまで許される?

CASE13 内部通報で報復人事、配転の取り消しは可能?

CASE14 社内情報で妻や他人名義で株売買、インサイダー取引になる?

第6章 経営に関する事件簿

CASE15 当社も上場、企業にとってのIPOの意味とは?

CASE16 監査役への就任、賠償責任で全財産を失う?

法律本によくある、「この場合はAだが、こういった条件の場合はBで、さらに条件が変わるとCで…」といった、結論を言わない論点はぐらかしのような部分がなく、すべてのケースで「So What?」(だから、どうなの?)がはっきりしていてわかりやすい。
 
どのケースも参考になるが、特に筆者の専門分野である個人情報漏洩事件についてのCASE1が絶対おすすめだ。この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しており、CASE1は全文が立ち読み可能なので、ぜひこちらをクリックして、「なか見!検索」の画面を表示して、右側のスクロールバーを操作してCASE1の全文を読むことをお勧めする。

個人情報漏洩については、「悪意を持った内部者」の犯行を抑えられるかが重要なポイントであり、蒲弁護士は情報漏洩が割に合わない実態を教育で徹底的に周知すべきだと語る。

三菱UFJ証券の個人情報漏洩事件の犯人の三菱UFJ証券の部長代理は、わずか12万8千円の現金のために、そのまま勤めていればもらえたはずの数千万円の退職金を失い、懲役2年の実刑判決で収監され、離婚して家族も失った。

一生消えない刑事前科がつくので、再就職もままならず、さらに会社からも総額70億円と言われる損害の一部を賠償請求される見込みだ。

たった12万8千円のために、失ったものは計り知れなく大きい。

ベネッセ事件の犯人の刑事裁判では2016年3月29日に、不正競争防止法違反による3年6カ月の懲役、罰金300万円の判決が言い渡された。

この本では、社員の日常の変化を見逃さず事前に対応することの重要性、悩み事相談窓口の設置、ベネッセ事件を例にあげての記者会見での発言の注意点や、500円の金券に限らない補償のやり方など、至れり尽くせりの実務的な解説をしている。

その他のケースについて、参考になった点を紹介しておく。最近施行された法令・指針や判決が多く、この本の内容の新しさがわかると思う。

★営業秘密について、2016年1月に施行された改正不正競争防止法では、罰則が強化され、個人に対する罰金の上限は1,000万円から2,000万円に、法人に対する罰金の上限は3億円から5億円になった。国外に流出させた場合の罰金の上限は3,000万円と、法人10億円。

それに加えて、営業秘密侵害行為によって得た収益は、上限なく没収できることを定めている。また、当初は親告罪となっていたが、裁判で営業秘密を公開しない秘匿決定手続きが導入されたこともあり、非親告罪となった。海外のサーバーで管理されている営業秘密が、海外で不正取得された場合でも、処罰の対象となった。

★パワハラケースの最後に「心にしみる言葉」として、次が紹介されている。ある企業の人事担当役員の言葉だそうだが、パワハラケースでよく引用されているそうだ。

すべての社員が家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さんであり、お母さんだ。そんな人たちを職場のハラスメントなんかでうつに至らしめたり苦しめたりしていいわけがないだろう。」

★マタハラケースの最初に「ガラスの天井」をヒラリー・クリントンが破れなかったという米国の大統領選挙の話を紹介している。12月9日初版発行の本なのに、話題の新しさに驚かされる。判例や法令は常に新しいものが出てくるので、その意味では、この電子書籍+オンデマンド出版という出版形態は、このようなコンプライアンスハンドブックに適したものではないかと思う。

★マタハラ防止措置義務も2016年に動きがあり、厚生労働省が「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」と「子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」を2016年8月に公表し、2017年1月から施行されている。

パタニティーハラスメントについてもマタハラの最後に紹介している。東京都の小池知事が、就任早々、都の幹部職員に対して「イクボス宣言」をおこない、男性の育児休業取得率を2020年までに13%に引き上げる目標を掲げている。

★ブラック企業に関するケースでは、厚生労働省の「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が紹介されている。エービーシー・マート、大阪の「まいどおおきに食堂」などを運営するフジオフードシステム、ドン・キホーテなどが「かとく」が書類送検したケースとして紹介されており、2016年11月7日に電通の強制捜査に入ったのも「かとく」だ

★ケース12のライバル企業の社員の引き抜きも参考になる。サイバーエージェントの藤田晋社長は、ライバル企業に引き抜かれた社員に対して「激怒」し、それを社内に拡散させたという。

2000年頃に他社社員の引き抜きを行った際に、業界第2位以下の会社は寛容だったのに対して、業界1位の会社は「出入り禁止」とばかりにカンカンに怒り、その企業は今でも業界首位を維持しているという事例を見て、自分も不寛容と言われようが、社員が同業に引き抜かれた場合には「激怒する」という方針に決めたのだと。

社員の転職も、企業による社員引き抜きも原則自由で、競業禁止の特約はわずか6カ月の制限でも無効とされた判例がある。しかし、首謀者が部下をごっそり引き連れて転職するようなケースでは、損害の範囲は限定的ながらも、損害賠償責任を認めた判決もあり、ケースバイケースで考えなければならない。

会社側の対抗手段は、あまりなく、だからこそ藤田社長も意図的に「激怒」して、それをメディアに載せることでけん制したのではないかと蒲弁護士は推測している。

★ケース13の内部通報者に対する報復人事も参考になる。事例として挙げられているのは、オリンパスの内部通報者が、2007年に内部通報したら、必要のない配転命令を受けたケースだ。

訴訟に発展し、いったん2012年に会社側の権利の濫用を認めて最高裁で確定したが、その後も通報者は元の営業職に戻れず、2012年9月に損害賠償を求めて新たに訴えていたもので、2016年2月に和解が成立して、会社側が1,100万円支払うことになった

この間にオリンパスの粉飾決算による不正経理が発生している。不正経理に気付いた社員が、社内告発をしようと考えたが、内部通報制度で不利益を被った社員がいることを知り、社内通報をやめて、外部のフリージャーナリストに情報を提供したことから、明るみに出た。

オリンパスの内部通報制度が機能していれば、あれほどのダメージは受けなかったのではなかろうかと。

もともと「ヨミウリオンライン」のコラムだったこともあり、一般読者向けにわかりやすく解説している。コンプライアンスの担当者のみなならず、一般読者にも参考になる話題が多いと思う。

この本はオンデマンド出版なので、ネット販売と一部の大手書店のみで取扱っており、一般の書店には並んでいないため、まずはアマゾンの「なか見!検索」で、立ち読みすることをお勧めする。


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2015年10月15日

マイナンバー いまさら聞けないという人に

マイナンバーの配布が始まりました。来週あたりから皆さんのご家庭にもマイナンバーの通知カードが世帯分まとめて簡易書留で届くはずです。

さっそく事故が起こっています。茨城県取手市がマイナンバーを間違って記載した住民票を配布していたことがわかりました。

マイナンバー漏えい





















来年1月から住民票にも希望すればマイナンバーを表示できるようになりますが、取手市はミスで、すべての住民票にマイナンバーが表示されるように設定していたようです。

マイナンバーはたぶん今年の流行語大賞の上位に食い込むのは間違いなく、インターネットやメールマガジンでもマイナンバー関連サービスの広告が目立つようになりました。

マイナンバーの問題は、制度がスタートするというのに国民の理解度が進まない点です。それに付け込んで、マイナンバー詐欺という新しい手口も登場しています。

マイナンバー詐欺





















そんななかで、私が尊敬する弁護士で桐蔭法科大学院の法科大学院長でもある蒲俊郎先生が、ご自身のヨミウリオンラインの「おとなの法律事件簿」のなかで、わかりやすくマイナンバーを取り上げています

大変タイムリーな読み物で、さっそくページビュー上位に登場しているそうです。マイナンバーへの実務対応について「いまさら聞けない」と不安がある方には、是非一読をおすすめします。

おとなの法律事件簿





















蒲先生はヨミウリオンラインの人気コーナーのバックナンバーをまとめて、「おとなのIT法律事件簿」という本も出版されています。



どれも興味深い記事ばかりです。

ヨミウリオンラインの前回のコラムは「改正派遣法成立 派遣労働者にとって有利?不利?」という大変興味深い読み物でした。

改正派遣法





















マイナンバーや改正派遣法について簡単に知りたいという方。蒲先生のヨミウリオンラインのコラムがおすすめです。


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2005年12月13日

新第三世代ネットビジネス 電子商取引法の権威 蒲俊郎氏の新著 ネット業界の教科書として最適!

新第三世代ネットビジネス―新たな潮流に対応できる法務・マーケティング


桐蔭横浜大学法科大学院教授で、日本で初めて電子商取引法講座を開設した蒲俊郎氏と、インターネットやポイントCRMのコンサルタント林一浩氏、ICカードやポイントカードの専門家昌栄印刷の信濃義朗氏の3人の共著である。

このトリオで前著『第三世代ネットビジネス』を2003年6月に発刊している。

第三世代ネットビジネス―成功する法務・技術・マーケティング


前著は大学の教科書用に1/4程度が各種法律の引用資料編だったのに対し、新著は同じタイトルに『新』をつけただけながら、内容は全く異なる。

資料編無しで380ページもの大作である。じっくり読むと延べ10時間くらい掛かったが、内容が濃く実戦的手法が満載で驚く。

いくつかの例を挙げると:

マーケティング 顧客のシーンを考える

マーケティング解説では、顧客に選ばれる企業こそが勝ち残る企業だという考え方から、選ばれるために次の切り口から顧客のシーンを分析している。

タイトルを見れば内容が想像できると思うが、非常に実用的な解説である。

1.Webを見つけるシーン
  (1)ドメイン名はどんな名前にすればよいのか
  (2)検索サービスを有効に使う
  (3)広告
  (4)SEO(サーチエンジンオプティマイゼーション)
  (5)アフィリエイト
  (6)検索エンジンとPPC(Pay Per Click)広告
  
PPC広告の説明の中ではGoogleのAdWordsのクリック上限単価とクリック率の相関関係による課金額の決定方式がコラムとして紹介されており参考になる。

2.Webを見続けるシーン  
  (1)利用者にあわせたページつくり
  (2)アクセシビリティ(受け入れやすさ)という考え方

利用者を引きつけるウェブサイトのナビゲーション、構造、デザイン、文章の作り方などの基本が説明されており役に立つ。

3.利用後のサービス(会員化/メール/ポイント)
  (1)会員組織を作るということ
  (2)会員登録は個人情報を提供するに値するサービスとなっているか
  (3)ネットにおけるポイントの意義
  (4)ポイントの種類と動向

2005年のインターネット白書によると、最も投資効果の高いアクセス誘導対策は次の通りである:

  会員登録して貰った人へのメルマガの配信   23.8%
  SEO(検索エンジン上位に表示される技術)   20.8%
  キーワード広告への出稿              17.9%
  懸賞・プレゼント企画への参加            7.7%
  オークションへの出品                 7.1%
  アフィリエイトプログラムの導入            6.5%

会員組織をつくり、個人情報データベースを構築する最も効率的な手段がポイントである。

4.口コミとネットビジネス
  (1)口コミマーケティングの科学
  
イノベーター(新しもの好き)、メイブン(イディシュ語で博識な人のこと)、コネクター(顔の広い人)というカテゴリーが紹介されており興味深い。

  (2)会員組織とネットビジネスの関係
  (3)お友達紹介の構造  

5.クレーム対応とネットビジネス
  (1)利用者の声は誰のため
  (2)FAQとフィードバックのツール

カスタマーサポートツールASPお任せ業務メーラーというサービスが紹介されており参考になる。

ネット関連の新しい技術動向として、ブログ、携帯電話、QRコード、QUICPay、おサイフケータイ、電子マネー、ICカードなど専門家の見地からわかりやすく説明してあるのも参考になる。


ネットビジネスにおける法務

第2章のマーケティング編も参考になるが、なんといっても本書の肝は、電子商取引法を得意とする蒲俊郎弁護士みずからが、実例に基づき詳しく説明する第3章である。

前著『第三世代ネットビジネス』ではネットビジネスに関係する諸法規を網羅的に解説していたが、本書では次のテーマをそれぞれ掘り下げて説明しており、大変参考になる。

1.ネットビジネスとコンプライアンス経営
雪印食品の不祥事などが相次ぎ、企業の社会的責任とコンプライアンス(法令・倫理遵守)がいっそう重要になってきている。

内部告発者保護の公益通報者保護法が2006年4月より施行され、もはや隠蔽することが大きなリスクとなったことも、企業のコンプライアンス重視にいっそう拍車をかける事になるだろう。

2.ネットビジネスにおける規約の役割と重要性
会員制を取っている多くのネット企業が会員規約をサイト上に掲載しているが、蒲教授がサンプル規約をベースに詳しく解説をしている。

インターネット業界に働く人でも、実際に自社の会員規約を読んだことがない人が多いのではないかと思うが、この本を読めばまるで蒲教授を家庭教師にした様な親切な解説で、会員規約の考え方やリスクが理解できる。

未成年者を会員とする場合、契約の成立時期、個人情報の利用、免責事項、クッキー使用の注意書きなど、すぐに役立つ解説である。

丸紅ダイレクトが19万円のパソコンを1万9千円と価格を誤表示した事件などの具体例も解説しており、わかりやすい。ちなみに丸紅ダイレクトのケースは、注文を受けると自動的に注文確認メールが発信されるシステムであったことから、丸紅は表示価格通りで販売するという苦渋の選択をした様だ。

しかし、2ちゃんねるで『祭(まつり)』になり、注文が殺到したことを考えると、発注者も誤表示であることを認識してた訳でもあり、悪しき前例を残さないためにも『誤表示であって契約は無効である』と主張して対処する方が適切であったと解説している。

3.ネット広告における法規制
景表法(不当景品類及び不当表示防止法)による表示の規制、ネット上の懸賞についての制限、ポイントが当たる懸賞広告、特定商取引法(通信販売への規制)による誇大広告等の禁止、迷惑メール規制(特定電子メール法)と電子メール広告の平均単価下落、広告倫理綱領、広告掲載ガイドラインなど、実用的な説明が満載である。

4.ネット上の誹謗中傷
掲示板で誹謗中傷されたという事件が、古くはニフティ、最近では2ちゃんねるを相手にしていくつかの訴訟が提起されている。この関係で2002年に施行されたプロバイダ責任制限法を説明している。

結論的には、よほど極端な例を除いて、開示請求に応じない方がリスクが少ないと。

プロバイダ責任制限法は発信者からの意見聴取義務を定めているので、本書では発信者への通知のサンプルまで掲載されている。至れり尽くせりである。

サイト運営者が掲示板等で誹謗中傷されるケースでは、無視して放置しておくのが最善の策であることが実は多いと。

追従者を出さないように徹底的に叩くという選択肢もありうるが、いずれにせよ基本スタンスがぶれないことが重要である。

ちなみに日本では名誉毀損の損害賠償額は低額なので、勝訴しても弁護士費用もまかえない程度であることが現実である。

5.現時点でのビジネスモデル特許の意義
もはやビジネスモデル特許は神通力が薄れているので、あまり気にする必要はないと思われる。

6.ネットビジネスにおける個人情報保護法
各省庁のガイドライン一覧、過去の個人情報漏洩事件、訴訟リスクと慰謝料相場、個人情報保護法の概説、サンプル規約、事故対策がわかりやすく解説されている。

NPO日本ネットワークセキュリティ協会2004年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告を公開しているが、個人情報漏洩の原因別件数による集計結果は次の通りである:

(1) 盗難(36.1%)
(2) 紛失・置き忘れ(21.6%)
(3) 誤操作(10.7%)
(4) 管理ミス(9.8%)
(5) 内部犯罪・内部不正行為(7.9%)
(6) 不正な情報持ち出し(2.7%)
(7) 目的外使用(2.7%)
(8) 不正アクセス(1.9%)
(9) 設定ミス(1.6%)
(10) バグ・セキュリティホール(1.4%)

個人情報漏洩事故の多くは企業内の人為ミスと犯罪によるものであり、技術的対策不足に基づく事故は少数にすぎない。従い社内体制整備を確立することによって個人情報漏洩事故の大半は防止できるのだ。

漏洩経路もネット経由でなく、紙やディスク等の媒体経由であることが多い。さらに大規模被害を引き起こした事故の多くは、内部者が関与するケースである。

その意味でも社内体制整備が最重要だが、社員を監視し、疑うのではなく、ちゃんとやっていることを社外にもアピールし、それによって会社を守り、ビジネスチャンスをつかむという積極的な発想が重要であると結論づけている。

最後のコラムはカカクコムの不正アクセスとメアド流出事件を取り上げている。非常に実用的で、すぐに実際の業務に使える。まさにネット業界の教科書である。


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