2010年01月17日

半島へ、ふたたび 蓮池薫さんの韓国旅行記 再び踏んだ朝鮮半島の土

半島へ、ふたたび半島へ、ふたたび
著者:蓮池 薫
販売元:新潮社
発売日:2009-06
おすすめ度:4.5
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元拉致被害者で、現在は新潟産業大学専任講師、翻訳家として活動する蓮池薫さんのソウル旅行記。

筆者も家族で昨年9月にソウルに旅行して、この本で出てくる観光地なども訪問したばかりなので興味深く読めた。

この本の第1部は、蓮池夫妻のソウル旅行記、第2部は日本での翻訳家としての活動と韓国人原作者との対話を紹介している。

旅行記は蓮池さんのブログ(My Back Page)を元に構成したもので、ブログは本の出版に際して閉鎖されており、本の目次などが載っている。


第1部はソウル旅行のトピックス

第1部はトピック中心の内容で楽しめる。

たとえば、韓国のドラマは普通週2回放送され、前回の放送分に対する視聴者の反響を次回に反映することが慣例となっているので、制作は非常にあわただしく、監督が現場でメガホンを握ったまま居眠りしていたということがあるという。

視聴者はどんどん注文をつけてくるので、「冬のソナタ」も何度も変更され、ペ・ヨンジュンの演じる「チュンサン」は死ぬはずだったのが、ハッピーエンドに終わったという。

ソウルタワーからソウルの夜景を見て、蓮池さんが思い出したのは、拉致されて北朝鮮の船から見る柏崎の夜景だったという。

「捕縛され、ボートで運ばれながら、殴られて腫れ上がったまぶたのすき間から見た最後の日本の姿は、故郷柏崎のほんわかとやさしい夜景だった」

こんな具合にところどころに拉致の思い出、北朝鮮で暮らしていた時代の苦労話が紹介される。

いままで蓮池さんの本数冊をこのブログで紹介したが、北朝鮮の生活について具体的に書いているものは初めてだと思う。


ソウルでの訪問先

蓮池夫妻が訪問した場所は普通の観光客が訪れない場所も含まれている。

★教保文庫 ー メインの大通り世宗路に面する巨大書店 翻訳家の蓮池さんならではの韓国の書籍の売れ行き調査だ

★景福宮(キョンボック) これはソウル一の観光名所 表紙の写真もここの写真だ

★仁寺洞 ー 繁華街

★ナイフギャラリー ー 日本の手裏剣を購入したという

★Nソウルタワー

★地下鉄 ー 駅に駅員がおらず、自動販売機は千ウォン札しか受け付けず困ったという。実は筆者もソウルの地下鉄の電子マネーではトラブルを経験した。地下鉄内では布教者に出会ったという。

★戦争記念館 ー ピョンヤンの戦勝記念館との対比 北のT−34戦車との再会

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出典:Wikipedia

★漢南区の住宅密集地「月の町」の狭い道路

★韓屋村 北でのキムチ作りを思い出したという。北では一人当たり300キロの白菜と一人当たり50キロの大根が配布される。10キロの乾燥唐辛子を自分で粉にして唐辛子だらけになった思い出。家族4人分1トン以上の白菜を300個くらいの瓶に漬ける作業は大変だったという。

★ベストセラー作家、孔枝泳さん、金薫さん、パク・ピョンウクさん達との会食。

★西大門刑務所歴史館 ー 北朝鮮の革命映画に登場していたという。
 
★韓国占い ー 占い師に奥さんのことを「残念だが、真に心を分かち合った相手ではない」と言われたという。

★猛スピードで走るタクシーの運転手 ー 注意したら、李明博大統領がソウル市長の時にタクシー認可を緩和して、タクシーの台数が1.5倍に増えたので、客の回転を上げないと暮らしていけないと抗弁するタクシーの運転手。

たしかに筆者もソウルのタクシー、特にデラックスタクシーではない普通のタクシーは運転が荒くてハラハラした。


初めて日本を訪れた韓国人が驚くこと

蓮池さんは、初めて日本を訪れた韓国人の驚くことは次の通りだ書いている。そしてソウル旅行の時に、これらの感想に挙げられた日本との違いを検証している。

1.自動販売機が多い
2.タクシーが自動ドアになっている
3.女子高校生のスカートが短い
4.カラスがやたら多く、しかも大きい
5.町並みがきれいで清潔
6.路線バスの停車位置が正確


第2部は蓮池さんの翻訳家としてのデビュー

第2部は蓮池薫さんが、翻訳家としてデビューするところから、韓国人の原作者との交流を紹介している。

蓮池さんは、翻訳家として生きることを決心し、翻訳家の友人に相談し、「北極で冷蔵庫を売る凄腕」エージェントを紹介して貰う。彼女が蓮池さんの翻訳処女作「孤将」の原作を推薦してくれたという。

孤将 (新潮文庫)孤将 (新潮文庫)
著者:金 薫
販売元:新潮社
発売日:2008-09-30
おすすめ度:4.0
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最後に「半島へ、ふたたび」が拉致問題の世論喚起に役立てばと切に願っていると記して終わっている。

ソウルへは日本のほとんどの地域から2時間弱のフライトで行けるが、蓮池さん夫妻にとっては、朝鮮半島に再び足を踏み入れることには、大きな心理的な壁があったことと思う。

この本では韓国との比較で、北朝鮮の思い出がところどころに紹介されていて興味ぶかい。蓮池さんは北朝鮮でも日本語講師として生活できていたから、まだましだったのだと思うが、他の拉致被害者はひどい目にあって、自殺あるいは餓死に近い形でなくなった人も多いのではないかと思う。

拉致問題がデッドロックに乗り上げて久しく、北朝鮮が核兵器を持った以上、交渉はなかなか進まないと思うが、金正日も健康問題から息子の誰かに政権を譲る可能性もあるので、是非タイミングを捉えて、たとえば日本から調査団を長期派遣するとか、交渉を前に進めて欲しいものである。

そんなことを考えさせれら本だった。

蓮池さんの北朝鮮時代の生活が、かいま見えて参考になった。


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2009年09月27日

ハングル入門 ハングルが読めると世界が違う

2009年9月27日再掲:

先週家族でソウルに3泊4日で旅行した。朝9時の羽田発の飛行機で行き、帰りは夜9時の金浦発の便だったので、4日間ゆっくりできた。

出発の前日に高信太郎の「マンガハングル入門」を読み返し、行きの飛行機の中でも読み直したので、記憶を呼び起こして大体ハングルを読めた。

まんが ハングル入門―笑っておぼえる韓国語 (カッパ・ビジネス)まんが ハングル入門―笑っておぼえる韓国語 (カッパ・ビジネス)
著者:高 信太郎
販売元:光文社
発売日:1995-07
おすすめ度:4.5
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ハングルが読めるようになったのはよかったのだが、会話が問題だった。

高信太郎や蓮池薫さんの本に漢字+ハムニダ(たとえば感謝とか失礼+英語の"do
"に当たるハムニダ)を使うことが紹介されているが、たしかに簡便な会話法として役立つが、これだけでは会話は成り立たない。相手の言うことを理解できないからだ。

今回一番困ったのが電子マネーを使って地下鉄に乗ろうとした時だ。

韓国にはT-Moneyという電子マネーがあり、ソウルではSeoul City Passという地下鉄、バス、タクシーすべてに使える電子マネーICカードがある。

T-Money










地下鉄の駅でSeoul City Passの販売機があったので、3,000ウォンで買って地下鉄に乗ろうとしたら、改札口を通れず立ち往生してしまった。

改札口に係員はおらず、インターフォンで聞くしかないので、困っていたところを日本語のできる人に助けて貰って、やっと事情がわかった。

3,000ウォン(約230円)は電子マネーカードの発券手数料だけで、発券されたカードのバリューはゼロなので、別のチャージ機でバリューをチャージしなければならないのだ。

事情がわかったので、チャージ機でチャージして地下鉄に乗れたが、片道電子マネー切符の発券手数料は500ウォンでリファンドされるので、Seoul City Passの発券手数料も500ウォンで残りの2,500ウォンがバリューだと思い込んでいた。

チャージ機には英語、日本語の音声案内があるが、Seoul City Passの券売機は韓国語のみで、カード自体は箱に入ってクーポンブックや説明書が付いてくるが、解説が韓国語のみで、英語も日本語もないので、さっぱりわからなかった。

せめてSeoul City Passの券売機も日英対応にするか、もっと観光客が使いやすいように最初から往復運賃程度のバリューがチャージされたカードを発券して欲しいものだ。

ロンドンの地下鉄のオイスターカードはあらかじめチャージされたカードが簡単に券売機で購入でき、現金で買うよりも安く便利で使いやすいので、是非Seoul City Passも観光客が使いやすいように改善して欲しいものだ。

Oyster card





結局この地下鉄のT-Moneyの件では、家族からひんしゅくを買う結果となった。やはりちょっと本を読んだくらいで、ラクして語学を覚えようという姿勢に問題があったといわざるを得ない。

しかしハングルが読めると世界が違う。たとえばホテルの近くの老舗の菓子屋に入ったら、アイスクリームの冷蔵庫にハングルで「モナカアイスクリム」と書いてあったのにはびっくりした。

最中は韓国語でも「モナカ」なのだ。

漢字の読み方が多数あり、難しい漢字の読み方がクイズにまでなっている日本語とは異なり、韓国語の漢字の読み方は一通りしかないので、覚えやすい。

また日本語とかなり近い漢字の読み方も多いので、ハングルが読めれば意味も推測できる。たとえば路(みち)は「ロ」だし、鉄橋は「テッキョ」だ。

ハングルが読めれば韓国に旅行したときに世界が違う。是非高信太郎の「マンガハングル入門」か、蓮池薫さんの「蓮池流韓国語入門」で勉強して欲しい。

半日でハングルが読めるようになるので、是非試して欲しい。

尚、蓮池薫さんの「半島へ、ふたたび」がベストセラーとなっている。近々読んでこのあらすじも紹介する。

半島へ、ふたたび半島へ、ふたたび
著者:蓮池 薫
販売元:新潮社
発売日:2009-06
おすすめ度:4.5
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2008年12月27日初掲:

蓮池流韓国語入門 (文春新書)蓮池流韓国語入門 (文春新書)
著者:蓮池 薫
販売元:文藝春秋
発売日:2008-10-21
おすすめ度:4.0
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拉致被害者で、現在は翻訳家、新潟産業大学講師の蓮池薫さんの韓国語入門本を読んでみた。

2008年10月20日発売の新刊書だ。

日本語と韓国語は語順が同じなので、同じ発想で話せるという。蓮池さんは時々自分が韓国語を話しているのか、日本語を話しているのかわからなくなることがあるほどだという。

その他にも共通点が多い。たとえば省略である。日本語では主語や言葉尻を省くことがよくあるが、韓国語も同じだ。日本語の「この、その、あの」も英語や中国語ではthisとthatしかないが、韓国語も3通りある。

儒教の国だけに父母や祖父母に対しては絶対尊敬語がある。他人に対しても身内をへりくだった言い方はしない。

このブログで紹介した蓮池さんの訳書「孤将」の韓国の英雄李舜臣将軍は、日本軍の戦闘の真っ最中に親が死んだという知らせを受けると、戦場を部下に任せ、故郷に帰りかなり長い間喪に服したという。

それと固有語と外来語、特に漢語の一致だ。

次が日本語の固有語と外来語の比率だが、このうち漢語の9割は韓国でも使われている。

日本で作られた「野球」、「午前、午後」、「会社」、「汽車」、「映画」などは中国では使われていないが、韓国では使われている。日中の漢語一致率は7割だが、日韓は9割となっている。

固有語  34%
漢語   49%
外来語   9%
混種語   8%

もっとも北朝鮮では、戦時中の日本のように外来語禁止なので、野球もサッカーも用語はすべて韓国語で言い換えているという。

第一部の基本編「日本語と韓国語はどれだけ似ているのだろう」は上記の様な内容でわかりやすいが、第二部の「実践編」はちょっとハードだ。

正直ハングルが読めないと難しい。

筆者は10年以上前に漫画家の高信太郎さんの「まんがハングル入門」でハングルを覚えて、韓国に出張したときは「ヤク」=薬屋などの店のハングルサインを読んだり、自分の名前をハングルで書いたりして、コミュニケーションに役立てていた。

それから韓国にはずっと行っていないので、筆者のハングルもリフレッシュが必要だが、この高信太郎さんのまんががあれば、1時間程度で思い出せると思う。

超簡単まんがハングル―明日から使える韓国語 (カッパ・ブックス)超簡単まんがハングル―明日から使える韓国語 (カッパ・ブックス)
著者:高 信太郎
販売元:光文社
発売日:2002-02
おすすめ度:4.5
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筆者が読んだ本は次の本だが、これは絶版となっており、上の本が新版だ。

まんが ハングル入門―笑っておぼえる韓国語 (カッパ・ビジネス)まんが ハングル入門―笑っておぼえる韓国語 (カッパ・ビジネス)
著者:高 信太郎
販売元:光文社
発売日:1995-07
おすすめ度:4.5
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1446年にハングルを公布したとき、李氏朝鮮第4代国王の世宗は、「これなら2時間で誰でも覚えられる」と喜んだという。

たしかに誰でもハングルを2時間で覚えられると思うので、まずは高信太郎さんのマンガでハングルを覚えて、蓮池さんの本を読むことをおすすめする。


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2007年08月14日

孤将 韓国の英雄李舜臣将軍の孤独な戦い 蓮池薫さんの翻訳大作

孤将 (新潮文庫 キ 13-1)
孤将 (新潮文庫 キ 13-1)


蓮池薫さんの初の本格的翻訳小説。

この作品は2001年に韓国最高の文学賞と言われる東仁文学賞を受賞した。

韓国で50万部を超えるベストセラーとなり、廬武鉉(ノムヒョン)大統領が愛読したことでも有名になる。

ストーリーは16世紀末豊臣秀吉の朝鮮出兵の時に、日本軍と戦った韓国の国民的英雄李舜臣(イ・スンシン)将軍の戦記だ。

李将軍像













(写真出典:Wikipedia)

李舜臣将軍は「乱中日記」という戦記を残しており、翻訳本が日本でも発売されている。

乱中日記〈1〉壬辰倭乱の記録 (東洋文庫)
乱中日記〈1〉壬辰倭乱の記録 (東洋文庫)


著者の金薫(キム・フン)さんは、学生の時に「乱中日記」を読み、その感動が30年後に自分でこの作品を書いたきっかけだと語っている。

秀吉の朝鮮出兵を打ち破る韓国の英雄の話なので、蓮池薫さんは、日本で受け入れられるか心配だったと。


文禄・慶長の役

文禄・慶長の役と呼ばれる朝鮮出兵の時代的背景は次の通りだ。

16世紀末に天下を統一した秀吉は、戦功のあった部下に対して十分報いる土地が足りなかったという背景もあり、朝鮮出兵を決断する。

対馬の大名宋氏は貿易を通じて朝鮮とも関係が深く、秀吉出兵計画の情報は1591年に朝鮮に伝えられる。

秀吉は1592年にキリシタン大名小西行長、加藤清正などに命じて、15万人強の軍隊を組織して、朝鮮に攻め入り、わずか19日で朝鮮の首都漢城を陥落させる。

日本軍は圧倒的な勢いで、平壌まで攻め入るが、明が朝鮮支援を決定、李舜臣の率いる朝鮮水軍の活躍で、補給路を断たれた小西行長の日本軍は次第に劣勢となり、結局釜山付近まで撤退する。これが1593年まで続いた文禄の役だ。

和平交渉が開始されるが、仲介役の明が秀吉を日本国王に任命するという書状を出してきたことから、秀吉が激怒し、再び朝鮮へ増派を決断する。

1597年の慶長の役だ。緒戦は勝利を収めるが、またしても李舜臣の水軍に敗北し、勢いはそがれる。

1597年には五島水軍の働きで、包囲されていた加藤清正軍が明軍を打ち破った。戦闘はもっぱら朝鮮南部で行われていた。1598年に豊臣秀吉が死んで、日本軍は目的を失い、撤退に移る。

そして1598年11月に撤退中の日本軍への攻撃で、李舜臣将軍は戦死する。54歳の生涯だった。


「孤将」のあらすじ

小説のあらすじは詳しく紹介しない主義なので、簡単にとどめておくが、この小説で、李舜臣将軍は、朝鮮王朝から一時は官位を剥奪されるなど、確かな支援も得られず、農民などをうまく使いながら、山の木を切り戦船をつくり、捕獲した武器をリサイクルして鉄砲などの武器を製造した。

朝鮮は硝石の産地であり、それを使って火薬も製造した。

李舜臣将軍の就任以前に一度は壊滅的打撃を受けた朝鮮水軍だが、李将軍の増強作戦が功を奏し、朝鮮の大きな干満の差を利用した戦術で敵の混乱を招いて成功して、日本水軍に対して連戦連勝を飾る。

この小説では文禄・慶長の役に於ける朝鮮各地での戦いの実話をベースに、キム・フンさんがフィクションをとりまぜて様々なストーリーを展開している。

蓮池薫さんが言う様に、日本人にとって、負け戦続きのストーリーは愉快なものではないが、反面、朝鮮出兵について知識がほとんどないことに気づかされる。

第二次世界大戦や満州国の関係もあり、中国の地理なら筆者も含めて日本人の頭にはかなり入っていると思うが、文禄・慶長の役の戦場となった朝鮮全土、特に韓国南部のリアス式海岸地帯の地理は全くと言って良いほど頭に入っていない。


韓国地図










(地図出典:Wikipedia)


筆者は韓国に仕事で何回も行ったことがあるが、一部の大都市がどのあたりにあるかはわかっているが、その程度しか韓国の地理を知らないので、自分ながら愕然としてしまった。

この本では各地での日本軍との戦闘が詳細に描かれている。巨済島(コジェ島)、閑山(ハンサン)、陜川(ヒョブチョン)、珍島(チンド)、鳴梁(ミョンリャン)、光陽(カンヤン)湾など、挙げればきりがない。

韓国の地理を勉強するには良い教材なので、当時の地図を本に掲載するようにすればもっと良かったと思う。(これは蓮池さんというより、編集者の気づきの問題と思う)

ともあれ、蓮池さんの力作であることは間違いない。この本を読むことで、蓮池さんのハングル翻訳の実力もわかる。是非これからも翻訳家として成功して欲しいものだ。


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2007年08月08日

お金持ちになる心得71 韓国のベストセラー 蓮池薫さんの翻訳本

成功への道―お金持ちになる「心得71」
成功への道―お金持ちになる「心得71」


拉致問題の本をいくつか紹介しているが、翻訳家として活躍している蓮池薫さんへの応援の意味もあって、蓮池さんの翻訳本をいくつか読んでみた。

この本は2005年1月の発刊以来、韓国で42万部を超すベストセラーとなっている自己啓発本だ。著者のハン・チャンウクさんはフリーランスのジャーナリストのようだ。

英語のタイトルは"Good habit to change myself"となっており、そのまま訳すと「自分を変える良い習慣」となる。

翻訳者の蓮池薫さん自身も、「読んでいてこんなにうなずかされた本も最近めずらしい」と語っている。ちょっとしたファンになり、さっそくいくつかの心得を実践している。大事なのは自分を変えてみようという意識ではないだろうかと。

この手の自己啓発本は、筆者が好きなジャンルで、デール・カーネギーをはじめ、スティーブン・コビー、アンソニー・ロビンス、ジム・ローン、ブライアン・トレーシー、日本人では松下幸之助稲盛和夫PHPの江口克彦さん新将命(あたらしまさみ)さんなど多くの本を読み、かつこのブログでも紹介している。


能力主義の徹底 IMF危機を乗り越えた韓国らしい心得

韓国の自己啓発本を読むのはこの本が初めてだが、どの国でも通用する習慣を71例も紹介するとともに、いかにも韓国らしい部分もある。

1997年のIMF危機が、韓国でのビジネス慣行をガラリと変えたのだと。IMF危機後は終身雇用という概念が希薄となり、契約関係に急変した。人脈や学閥やコネが通用しない時代となり、できない社員はリストラの対象となった。社員も会社との関係を、報酬や待遇でドライに考える様になった。

心得28の「自分だけの特技を持て」では、世の中が急速に変わっており、年功序列給が能力給にかわり、目に付かない社員は無能な社員として烙印を押される様になった。リストラの対象になるのは、同じような能力を持った社員達で、他に埋め合わせができない必要な人材のみを会社は求めているのだと。

これといった特技のない人は淘汰されざるをえない。未来がどう変わるのかを予測して、特技を選択しろという。英語よりも中国語だと。

これには全く同感である。英語はいわば当然で、次に第2外国語としてなにができるかが重要だろう。筆者は英語もスペイン語もできるが、中国語はできない。

約30年前に会社の語学研修生というキャリアを選択した時、中国語やロシア語は駐在地とその後のキャリアが限定されるということで人気がなかった。当時は英語やスペイン語が人気だったが、今は中国語だろう。

筆者が最初に中国に出張したのは1983年だが、当時の上海は戦前の外国人居留区の風景が残っていて、まともなパンは上海で唯一のフレンチレストランのマキシムでしか食べられなかった。今の上海とは似ても似つかない。

著者のハンさんが言うように未来を予測するという意味で、中国語圏の人口から考えれば予測できた当然の結論だったのかもしれないが、それにしても中国の進歩はめざましいものがある。

ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICs(最後のSは大文字にして、南アフリカを入れる場合もある)の次はベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンのVISTAと言われているので、これからはこいうった国の語学を学ぶこともキャリアディベロプメントには役立つだろう。


自分を売り込もう!

自分を売り込むことをいろいろすすめていることも、この本の特徴と思える。

品格を備えよう。大声で笑ってあいさつをせよ。欠点をカバーし、長所が目立つ服装を。自分を宣伝しろ等々。

心得17は「失敗しても言い訳をするな」と。サムスングループの李建熙会長は失敗して弁解する人間を最低の社員とみなす。他のグループの総帥も同じだと。

心得18の「歯にお金をかけろ」では、浅田次郎の「天国までの百マイル」の主人公 安男が事業で失敗し、前歯が2本抜け落ちていることを例に出している。

”神の手”心臓外科医に、前歯がないと運が逃げていくと忠告されるシーンだ。「あなたなら前歯の抜けた女を誘惑するか」と。

成功する人は歯がきれいで、堂々としていると。

天国までの百マイル (朝日文庫)
天国までの百マイル (朝日文庫)



記録する習慣

心得27の「記録する習慣を身につけろ」では、1983年のソ連軍戦闘機による大韓航空機撃墜事件の時、ある日本人乗客が緊迫した状況の中で事故の記録を残していたことが、例として出されている。

絶体絶命のなかで記録を残したことをみると、その人の普段の習慣がどういうものであったかわかる。

記録することは良い習慣で、成功した人の中にはメモの習慣を持っている人が多い。本を読んだり、映画をみたら、感想をメモにしろと。反省のない人には進歩もない。


韓国人の儒教精神

心得33の「うちに秘めているリーダーシップを起こせ」では、韓国人が持っている儒教精神がリーダーとして重要だと説く。大義、奉仕精神、犠牲精神こそ、リーダーが備えるべき基本的な資質なのだ。

立派なリーダーになるためには、次の3つを肝に銘じよと説く:
1.責任感がなくてはならない
2.個人の利益よりも全体の利益を考えなければならない
3.犠牲心がなければならない

完璧に見えるリーダーは、忍耐と粘り強さで自らを磨いてきた人たちで、自分のやるべき事を知っており、引き受けた仕事はかならずやり遂げられるという自信を持っている。


韓国の留学熱

心得34の「惜しむお金と惜しんではならないお金」では、韓国人の留学に対する考えがわかって面白い。惜しんではならないお金は次の4通りだ。

1.能力の啓発と留学など未来に対する投資
2.健康に対する投資
3.配偶者に対する投資
4.セミナーや集まりの参加に掛かる費用


なんと小泉前首相も登場

心得36の「本を読まない人に進化は望めない」では、なんと小泉前総理の言葉を紹介している。「本を読んでものを考える人とそうでない人は顔に明らかな違いがある」と。

韓国のサラリーマンの一ヶ月の平均的な読書量は、1冊から3冊だが、成功する人は一般人よりずっと多くの本を読む。人間は今も進化しているはずで、その進化を可能にしているのが、本のような知識の媒体物なのだ。

成功する人は読書を通じて得たものを現実にうまく活用する。話をするときに本の内容や表現を使うなど、本を読んでたえず自分を進化させようとしている。情報化時代の成功は進化した人たちのものだと。


韓国流ポジティブ・シンキング

心得37「勝者になるのか、敗者になるのか」も良い。

二人の子供が居て、一人は小銭があると貯金し、一人は使ってしまう。貯金する子供の方が成功する可能性が高い。

バスが遅れて約束の時間を守れなかった。一人は「バスが遅れた」と言い訳をし、一人は「ごめん。僕がもう少し早く出ていれば…」と言った。

遅れた理由を自分のせいにする人は伸びる、その人は2度と同じミスを繰り返さないように努力するからだと。

「一朝一夕で大成する人などいない。成功するぞという覚悟、成功を目指す緻密な計画、成功のための自己革新、成功をめざしたたゆまない努力など、多くのことが一つに凝縮されてこそ成功という高い敷居をまたげるのだ」と。


シニアへのエール

心得61の「歳をとるほど強くなる」では、高齢のため自信をなくした人によく出会うが、新しい仕事を始めるという点から見ると、短所より長所がはるかに多いと、シニアへエールを送る。

金で買えない人生経験や広い人脈、豊富な知識を持っているではないかと。

好奇心と興味を失えば歳をとる。一生懸命仕事をする人は歳をとらない。

人生の年輪を積んだということは強くなったことを意味する。

孫子の兵書には「敵を知り、己をしれば百戦危うからず」という言葉がある。歳を取った人は既に己を知っている。だから戦うにはいっそう有利なのだと。


なにせ全部で71もの心得があり、全部紹介していると長くなりすぎるので、この程度にしておくが、それぞれが2〜4ページで簡潔にわかりやすく書かれている。

最後に男あるいは女の人生を駄目にする悪い心得が、それぞれ10ずつ挙げられている。たとえば男の場合には、時間に拘束されないようにしようとか、まずは自分の利益から追求しよう、言いたいことはその場で言おう、背広三着で1年をすごそうなどだ。

女の場合には、仕事ではあなたが女であることを密かにアピールしようとか、上司に叱られたら涙を見せよう、感情のままに行動せよとか、自分の非を認めてはならないなどだ。なかなか面白い。

韓国らしさもあり、ユニバーサルな提言もあり、それぞれが参考になる。簡単に読めるので、一度手に取ってみることをおすすめする。


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