2016年08月07日

影響力の武器 カーネギーとは比較にならないと思うけど

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
誠信書房
2014-07-10


現在アマゾンの本の売り上げランキングで205位につけているベストセラーだ。

京大客員准教授の瀧本哲史さんの「読書は格闘技」に、カーネギーの「人を動かす」と対比して紹介されていたので読んでみた。



瀧本さんによるとカーネギーの「人を動かす」は、「他者を味方につける」分野のチャンピオンだが、致命的な弱点があるという。

それは読みやすさを作り出しているエピソード中心の構成は、科学的な実証性に欠け、全部で30も原則があるというのは、体系性がないし、抽象度のレベルもそろっておらず、重なりもある。

チャレンジャーの「影響力の武器」はその弱点を正確についてきたという。著者は米国を代表する社会心理学者ロバート・B・チャルディーニで、この本で紹介されている人を動かすテクニックは、社会心理学上の実験によって証明されているものばかりで、実験には学術論文の出典が示されている。

とはいえ、筆者には「人を動かす」と「影響力の武器」は全く別物に思える。

「人を動かす」は科学的な実証性に欠けると瀧本さんは言うが、実証性があろうとなかろうと筆者には関係ない。自分で試してみて、それが役に立てば、それで良いのである。

多くの人が、カーネギーの本を推薦書に挙げるのは、その人に役に立ったからだろう。

第一、「人を動かす」は読んでいて、新たに感動を覚えることが毎回あるが、「影響力の武器」は、学術書であるからかもしれないが、感動が全くない。

ともあれ、「影響力の武器」は何かを他人に売ろうとするときには役立つ社会心理学の法則を集めた本なので、参考になる点も多い。法則のいくつかを紹介しておく。

1.カチッ・サー
この本で「カチッ・サー」という訳で紹介されている英語の"automaticity"とは、テープレコーダーに行動パターンが録音されているように、一定の条件で、スイッチが入って、同じ行動が現れることをいう。

実験として紹介されているのは、図書館のコピー機で、「すみません。5枚だけなんですが、先にコピー取らせてもらえませんか?」という実験だ。理由を言って頼む場合と、何も理由を言わずに頼む場合では、成功率が倍違ったという。

セールスに役立つ例としては、宝石店ですべての商品の値段を間違って倍にしたら、陳列ケースの商品がすべて売り切れたという。

「高価なもの=良いもの」というステレオタイプが、お客の心理にぴったり、はまったのだ。

2.コントラストの原理
洋品店では、客に高い商品を先に買わせるよう店員を指導しているという。(ちょっと半端な数字だが)275ドルのスーツを買った人には、75ドルのセーターは安く感じる。スーツと一緒に小物を買わせるのも同じだ。

車のディーラーも同じだ。数百万円の車を買った後は、数万円のアクセサリーやオプションは取りに足らないものに見えるが、最終価格はオプションで跳ね上がってしまうことがしばしば起こる。

不動産のセールスマンは、最初に魅力のない物件を紹介するという。「セットアップ」物件と呼んで、これらは客に売るためではなく、ただ他の住宅を魅力的に見せるために入れられる。

3.返報性
ちょっとしたギフトやおまけを受け取ることで、客は買うつもりがなかったものも喜んで買うようになる。スーパーマーケットの無料試供品や試食品がいい例だ。

アムウェイ社は、家具用クリーナー、洗剤、防臭スプレー、殺虫剤、窓ふきクリーナーなどを無料試供品としてひとまとめにして、2〜3日置いていくという。数日後に取りにきて、気に入ったものだけを買うシステムだ。客は少しでも使ったものは、注文しなければ悪いという気持ちになってしまう。

この本にはアメリカ退役身障者軍人協会の住所ラベルシート付の寄付要請のことが書いてある。米国に住んでいた時に、よく受け取ったものだ。

単に寄付を要請すると、成功率は18%だが、自分の名前と住所を印刷したラベルシートを同封して寄付を要請すると、成功率は倍の35%に跳ね上がったという。

4.ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
最初に大きな要求を出して、それが拒否されたら小さい要求を出す。ボーイスカウトの大会チケットが例として挙げられている。まず、5ドルのチケットを買ってくれと頼み、それがダメなら1ドルのチョコバーを買ってくれと頼む。

5.コミットメントと一貫性
クリスマスシーズンには、決まってその時の人気ギフトが登場する。この本では、キャベッジバッチキッズ、ビニーベービーズなどが紹介されている。筆者が覚えているのは「たまごっち」、今だったらポケモンとかだろう。







クリスマス前に人気が沸騰して、手に入らなくなり、なんとか手に入れることができたのはクリスマスが終わってからというよくあるパターンだ。おもちゃメーカーは、クリスマスが過ぎても販売を持続することができる。

5.フット・イン・ゼ・ドア・テクニック
まず小さい要求で承諾をもらい、次に大きな要求を出す。この本の例は、最初に「安全運転」シールを貼ることをOKもらい、次に「安全運転をしよう」という大きな看板を設置することにOKをもらうというやりかただ。

看板を置くことを最初に要求された人は17%しか、看板設置にOKしなかったが、最初に「安全運転」シールを貼ることをOKしたグループは、実に74%が看板設置をOKした。シールを貼ることで、コミットメントが生まれ、看板設置までもOKしてしまうのだ。

筆者も最近この事例を経験した。

筆者の会社は普通の売り込みは一切シャットアウトだが、某生命会社のセールスレディはエレベーターホールまで行けるのだ。先日保険のセールスレディから、エレベーターホールでティッシュをもらったら、名前を聞かれたので、保険は間に合っていると言いながらも、名前を教えてしまった。

そうすると、次は生年月日を教えてくれという。これは拒否して、切り抜けたが、まさにフット・イン・ゼ・ドア・テクニックそのものだ。

6.ローボール・テクニック
最初にある条件で承諾を得て、あとからその条件をひっくり返して、もっと店に有利な条件で契約するやりかただ。

たとえば新車を500ドル安い値段を示して、客から買う約束を取り付けた後、ローン申し込み書などにサインしていると、計算上のミスとかが発見されたり、価格が安すぎてマネージャーのOKが取れないとかいった理由で、当初より高い値段で買わせる手口だ。

チャルディーニさんは、地元のシボレー販売店で、セール訓練生のふりをして紛れ込んでいた時に、この策略に接したという。

会員制リゾートで、アンケートと称して、旅好きだという証拠を挙げさせておいて一貫性に付け込んで、会員権を売り込むやり方は、一貫性を保ちたいという人の弱点を突いたやり方だ。

7.自殺報道は類似した人々の自殺を促してしまう
自殺報道は類似した人々の自殺を促してしまうという統計が示されている。

8.類似性を操作することによって、好意と承諾を得る
車のセールスマンは、類似点の手がかりを探すように訓練されている。旅行、ゴルフ、出身地、出身校など。

保険会社のセールス記録を調べたある研究者は、年齢、宗教、喫煙の習慣がセールスマンと似ている客は、保険契約をしやすいことがわかったという。

ギネスブックに載っている世界一の車のセールスマンは、毎月13,000人ものお客さんにメッセージを印刷したカードを送っていたという。あからさまな好意の表現が効果があったのだ。

9.希少性
不動産のセールスマンは、なかなか決断できない客に、別の買い手が現れたという話をでっちあげることがある。好んで用いられるのは、「税金対策として物件を物色している州外の投資家」や、「この町に移り住むことになった医者夫婦」だという。

チャルディーニさんの弟のリチャードの学生時代の金儲けの話が紹介されている。リチャードは週末に中古車を数台買っておいて、次の週の日曜版で広告を出す。広告を見て電話してきた見込み客にはすべて、車を下見する時間として、同じ時間を指定する。そうすると鉢合わせした客同士でライバル心から言い値で車が売れるのだという。

このような実際的なテクニックを紹介しているので、車や不動産、保険などを買おうとしている人は、セールスマンの手口に引っかからない様に読んでおくことをお勧めする。

もちろん自分がセールスを担当している人にも役に立つだろう。

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2016年05月16日

「タレント」の時代 求められる人材とは



東大院卒で、大手通信会社研究所勤務後独立して、人事・組織関係のコンサルティングをやっている酒井崇男(たかお)さんの本。

なぜアップルやグーグル、トヨタは成功し、なぜ日本の電機・半導体・通信・IT企業は完敗してしまったのか。

酒井さんは、それは売れるモノやサービスを生み出す「タレント」とは何かを理解し、価値を生み、利益を生むとはどういうことかを理解していたかか否かの違いだけであると。

日本の賃金相場は次のように分けられる。

1.知識を伴わない定型労働 −−−時給1,000円

2.改善労働を伴う非定型労働 −−−年収300万円〜500万円

3.知識を伴う定型労働 −−−年収400万円〜600万円

4.複数分野の知識を伴う創造的知識労働 −−−年収1,000万円〜数億円

ある仕事を分解して、それぞれの割合を掛け合わせたものが給与の目安になる。

いわゆる士業は3.で、ほとんどの公務員や準公務員は実質1.のハタラキしかないが、中央官庁に勤めている役人の中には、国の政策をまとめあげるような4.の仕事をしている人もいる。

日本では年収的には3,000〜5,000万円もらっていても不思議ではない優れたタレントが、年収600〜1,000万円くらいしかもらっていないこともある。

大手電機メーカーのエンジニアなどに多く、そのためサムスンやアップルなどのような企業が、ピンポイントで優れたタレントを簡単にヘッドハンティングできたのだ。

タレントの特徴は、創造性と非定型性で、それらは知識を目的的に組み合わせる能力である。「知識を獲得する力」の強さがタレントの必要条件であり、別の言葉でいうと「地頭」となる。

現在最も貴重なタレントは、「広くて深い基礎知識があり、2つか3つの専門分野を持っていて、目的的に知識獲得をしながらアナリシス(分析)、シンセシス(統合)を繰り返し、答えを出す人」だという。

タレントの例としてトヨタの主査制度を取り上げている。主査制度は、人材のタレント性にまで踏み込んだうえで運用されている制度だ。

トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎は、戦後すぐ将来を見越して戦前・戦中の航空技術者を多く採用した。

たとえば、初代パブリカと初代カローラの主査を務めた長谷川龍雄氏は東大の航空工学科を卒業した後、立川飛行機に勤務し、20代でB29撃墜用の異形の戦闘機キ94の主任設計者を務めていた人物だ。

キ94の最初の試作機は次の本の表紙となっている。前後にプロペラが付いている多分唯一の機種だ。



2番目の試作機、キ94−兇鷲當未侶舛鬚靴討い襦



日本陸海軍機大百科 2012年 6/13号 [分冊百科]
アシェット・コレクションズ・ジャパン
2012-05-30



映画「風立ちぬ」のモデルとなった零戦の主任設計者の堀越二郎さんも同じく東大の航空工学科出身で、三菱航空機に勤務した。



航空工学では、機械、電気、制御、流体、素材、材料加工技術などバラバラの専門技術をシンセシス(統合)して、目標性能を発揮する戦闘機というシステムを設計・開発していたのだという。

酒井さんのいうタレントとは、いわゆる「T型人間」のことを指すのだと思う。

具体例が少ないので、あまり印象に残らない本だが、自分のキャリアが「T型」となっているか見直すにはよい本だと思う。


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2014年06月17日

面接の達人 2015 バイブル編 中谷彰宏さんの就活定番本



会社で中谷さんの講演を聞いたので、著書を読んでみた。

中谷さんは中谷塾ということで、いろいろな対象のオーディエンスに講義している。



最近モバイルでも中谷塾を始めたそうだ。



YouTubeで中谷さんの1時間20分の講演が全編公開されている。中谷さんの講演がどんな感じがわかるので、時間があれば、見て欲しい。筆者が聞いた講演も、大変面白く、わかりやすくて説得力のある良い講演だった。



最初の登場から中谷さんは違う。帽子を斜めにかぶって、体にぴったりしたスリムなスーツで、颯爽と登場した。いかにもフィットという感じで、相当体を鍛えているのだと思う。

講演は「仕事は最高に楽しい!!〜楽しさは面倒臭さの中にある」というタイトルで、1時間15分の持ち時間をオーバーして、1時間半ほど熱弁をふるっていた。

仕事には意味が無くて単調な仕事と、難しい仕事がある。

単調な仕事は、「面白がる」ことが重要だ。工夫するのだ。空港の駐車場に案内するシャトルバスの運転手の話をしていた。

難しい仕事は、できないことを楽しむのだ。できるかどうか50:50の時が、一番成功する確率が高いという。受験でも、80%の合格確率の時はかえって危ない。

仕事にはJobとCareerとMissionがあるという。お金のためにするのがJob、自分の成長のためにするのがCareer、人のためにするのがMissionで、Missionが天職だ。

というような内容だった。

中谷さんは多作の人で、全部でもの860点の著作がある。著作リストはこんな感じだ。

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出典:「なぜあの人の話は楽しいのか」

まずは「メンタツ」と呼ばれ、就活の定本となっているこの本を読んでみた。

いまさら就活について学んでも、筆者が生かす機会はたぶんないと思うが、興味深く読めた。

中谷さんの本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックして目次と、この本のエッセンスが詰まっている最初の数ページを見てほしい。

特に疑問2.の「面接で言うべきことはたったの2つ。自己紹介と志望動機のみ。自己紹介が言えればトップ合格。」は、まさにその通りだと思う。面接官はその点が知りたいのだ。

自己紹介と志望動機については、150字くらいで書いてみることを勧めている。150文字で、だいたい30秒程度の話になる。面接では、相手からの質問も出る。2分版を用意して、質問があって、言い足りないということも起こる。

30秒で用意しておけば、尻切れトンボにならなくてすむ。時間が余りそうなら、30秒を1分にも5分にも引き延ばすのだ。逆に2分の話を、30秒で終わらすのはプロのアナウンサーでも難しい。

参考になる話が満載だ。たとえば、

★「社交性」、「協調性」、「好奇心」、「指導力」、「企画力」は自分からは使っていけない言葉だ。

★「同好会の幹事をやっていた」というのは有利か。

★「アルバイトをいっぱいやりました」というのは有利か。

★「勉強ばっかりしてました」というのは不利か。

★志望理由は会社のオベンチャラを言っていいのか。

★企画や商品開発の仕事をしたいと言ってもいいのか。

★「僕」が学生らしいのか、「私」と言うべきなのか。マナーでしくじると、中身を見てもらえない。

★プレエントリーシートは本番だ。書きにくい欄から逃げない。そこが一番差のつくところだ。”プレ”をつけているのは、油断させて素の姿を見るためだ。

★グループディスカッションでは、自分だけは抜け出そうと思わない。「この5人で通っていくんだ」というつもりで進めていく。困った意見をフォローしていくのがリーダーシップだ。お笑い番組でも、ちゃんとフォローのツッコミを入れるのは一番腕のある芸人だ。


いまさらではあるが、なんで落とされたのかわかった

もう40年近く前の話だが、筆者は就職活動では、あまり積極的ではなかったので、会社説明会も含めて訪問したのは7〜8社で、本格的な就職活動をしたのは3社だけだった。

そのうちの1社は面接で落とされた。

メーカーなのにリクルーターが法律の専門知識について質問してくるので、「ちょっと違うな」と感じていた。

だから自分から辞退しようと思っていた会社なのに、リクルーターが課長面接をどうしても受けてくれというので、課長面接を受けてしまったのが間違いだった。

その時に、出てきたのが、この本の84番目に出てくる疑問だ。

★「ほかに何か質問はありませんか」と聞かれたら。

筆者は、実は課長面接のときに、こう質問されたので、「次は健康診断か?」と聞いてしまったのだ。

この質問は面接で一番大事な質問なのだと肝に銘じろと中谷さんは言う。

そして、その真意は「あなたがわが社に対して一番関心のあることは何ですか」ということなのだと。

面接でもアウトだったと思うが、この本を読んで、さらになぜ落ちたのかわかった。

最後に中谷さんは、企業の人事部長様へということで、採用した学生より、採用しなかった学生の方が大切なのだと説く。落とされる学生の方が、何百倍も多く、その口コミ効果はTV CMどころではない。

採用されなかった人は、得意先か消費者になる。中谷さんも、博報堂にいたときに、「私もおたくの会社を受けまして」という人に何人も会ったという。

「ダウンからボクシングは始まる」、「就職界のゾンビ」になれと、中谷さんはエールを送っている。

巻末の付録には、お礼などの各種手紙の文例や、エントリーシートや履歴書の書き方サンプル、「面達ノート」(会社訪問の時に聞かれたこと、自分の答え、次回はこう答えようという比較メモ)などを載せている。

中谷さんは、学生相手に面接相談をやることもある。しかし、中谷さんの面接相談を受けるためには、まずどこかの会社の内定を取らなければならないという。就活を実際に経験した学生でないと、中谷さんの言うことの意味がわからないからだと。

たしかに就活生には大変役立つ実用的な本だと思う。

中谷さんも最初に言っている通り、就活のハウツー本の受け答え例などを暗記せず、採用面接のための準備の基本を学ぶことで、応用が利くように作られている。

就活の渦中にある人は不安ばかりで大変だろうが、多くの会社を見るチャンスということで、ポジティブに考えてほしい。中谷さんは、その会社の社風を知るためのテクニックを次の様に挙げている。

1.会社の中に入る。
2.トイレに入る。
3.社員食堂に入る。
4.会社の前の食堂に入る。
5.出社・退社風景を見る。
6.店舗を見る。
7.就活イベント以外のイベントに参加する。
8.会社の中にできるだけ長くいる。

その会社に入らなくても、社会人となって、その会社を知っていることが役立つ日もくるだろう。


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2014年06月15日

「原因」と「結果」の法則 成功哲学のバイブル

「原因」と「結果」の法則
ジェームズ アレン
サンマーク出版
2003-04


原著は1902年に書かれ、デール・カーネギー、ナポレオン・ヒル、オグ・マンディーノなど、現代成功哲学の大家たちが最も影響を受けた本。

人を動かす 新装版
デール カーネギー
創元社
1999-10-31


地上最強の商人
オグ・マンディーノ
日本経営合理化協会出版局
1996-09


「聖書に次いで一世紀以上も多くの人に読まれ続けている」とこの本の帯に紹介されている。

原著は1902年に発行され、ジェームズ・アレンは英国以外での著作権料を無料にしたので、世界中で読まれている。

As a Man Thinketh
James Allen
Shadow Mountain
2002-11


この本の訳者まえがきには、「近年の自己啓発書のほとんどは、アレンのシンプルな哲学に具体的な事例をあれこれとくっつけて、複雑化したものにすぎない」と指摘する人さえいることを紹介している。

たしかにナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」は、この本に大きく影響されていることは間違いない。「思考は現実化する」は最近、文庫化されている。

思考は現実化する〈上〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2014-04-10


思考は現実化する〈下〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2014-04-10


この本のエッセンスはシンプルだ。

要は「Positive Mental Attitude」、PMA、に尽きる。

成功する人は、常に前向きに物事を考え、常に積極的に自分から行動する人だ。

そういう人は、必ず「自分はそれを達成できる」という信念を持って取り組む。だから成功する。というより成功するまで止めないと言った方が良いかもしれない。

アレンの言葉だと、「自分は自分の心の園芸主任であり、自分の人生の総責任者である」ということになる。

外側の世界である環境は、心という内側の世界に合わせて形づくられる。

それが「原因と結果の法則」だ

ナポレオン・ヒルの訳本のタイトルそのものだ。「思考は現実化する」。

コミック版もあるので、読んでみた。コミック版は200ページあり、ややピントがぼける感じだ。




本文はわずか80ページ程度の本で、一日で簡単に読める。現代の成功哲学の元となったアレンの本を一度読んでみることをおすすめする。


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2013年09月07日

ライク・ア・ヴァージン リチャード・ブランソンの成功哲学



ヴァージングループ総帥のリチャード・ブランソンさんの成功哲学と、読者からの質問に答えるQ&Aをまとめた本。

ブランソンさんは現在でこそ「サー」・リチャード・ブランソンだが、バッキンガムの高校を中退して自分の雑誌を作り始めたころは、問題児だった。実は失読症と注意欠陥障害だったのだという。失読症(英語ではディスレクシア、Dyslexia)という病気の名前を初めて知った。

失読症とは、知的能力に異常がないにもかかわらず、読み書き学習に著しい困難を抱える障害である。トム・クルーズが告白して有名となり、レオナルド・ダヴィンチ、エディソン、アインシュタイン、ジャッキー・チェン、キアヌ・リーブスなども失読症だったという。

「マンガ・リチャード・ブランソン」という本にブランソンさんの子供のころの話が載っている。アマゾンの”なか見!検索”に対応しているので、ここをクリックして出だしのところを見てほしい。



ヴァージングループは現在世界に400社ある。ブランソンさんは高校を中退して「ストゥーデント」という雑誌の出版を始め、それからレコード店経営、レコード会社経営、さらには航空会社、フォーミュラ1レーシングチーム、宇宙旅行会社、失敗に終わったヴァージン・コーラなど様々な事業に乗り出していった。

この本では、自分の成功哲学を具体例を挙げて語るとともに、今まで受けた代表的な質問に対するQ&Aという形式で、ブランソンさんがヴァージングループの経営理念や、モーターボートでの大西洋横断、熱気球世界一周などの冒険に乗り出したことなどを自由に語っている。

この本はなんといっても翻訳がいい。いかにもブランソンさんが語っているような口ぶりで、頭にスッと入る。一部を引用しておこう。

「ぼくはだれかの下で働いたことがないので、この本は創業者の視点に立っている。でも、ここに書いたアドバイスは、企業で働くことの難しさに直面しているすべての人に当てはまるものだ。」

Q. 朝起きて、最初に考えることは?

A. 「普通の人と同じさ。『今何時かな?』って考えるよ。それから『どの国にいるんだっけ?』と。

Q. 朝、ベッドから起き上がる原動力となる言葉を一つ挙げると?

A. 「正確に言うと三つかな。『リチャード、いいかげん、起きなさい!』っていうグラスゴー訛りの妻の声だよ」

Q. 成功のカギとなる言葉を、三つ挙げてください。

A. 「ヒト、ヒト、ヒト」

Q. まだ手に入れたいものはある?

A. 「孫が欲しいよ。妻と一緒さ。どうか願いが叶いますように!」

Q. ヴァージン・ブランドを表現する単語を三つ挙げると?

A. 「革命的、おもしろい、お値打ち価格で質の高いサービス。最後のは単語じゃないけど、大目に見てもらえるかな」

というような具合で、テンポがよく軽妙だ。

参考になる話も多い。いくつか紹介しておく。


麻薬被害を減らす戦略

ブランソンさんは、もともと麻薬と戦うことが社会にとって最善の策だと思っていたが、「薬物政策に関する世界委員会」に加わったことをきっかけに考えが変わったという。

ポルトガルでは、2001年に薬物の使用と所持を非犯罪化し、ここ10年は麻薬犯を一人も刑務所に送っていない。ヘロイン使用者のための病院を設置し、注射や中毒治療用の合成麻薬剤メタドンを提供するとともに、医学的治療を施した。その結果、薬物使用者は大きく減少した。注射針を使いまわすことによるエイズも70%減少した。強盗の件数も大幅に減っている。

スイスも同様だ。通常は麻薬の使用者であり末端の売人でもあった中毒患者にヘロイン代替物を支給することにより、一般市民と麻薬組織とのパイプ役がいなくなったのだ。

ヴァージンでは他の国で成功した事例を研究し、どうすれば新しい市場に移植できるか考える。麻薬に対する戦いも同様だと。


CEOになりたいなら

CEOになりたいなら、会社のすべてを知り尽くす必要がある。ヴァージン・ブルー(今のヴァージン・オーストラリア)のCEOだったブレット・ゴドフレイは、幹部社員全員が航空会社のすべての業務を体験しなければならないというルールをつくった。ブランソンさんもチェックド・バゲージの積み込みをやって、整骨院に通うことになったという。

こうすることで、会社がどれだけ成長しても、適切な人材に仕事を任せられるようになる。部下が相談に来たときも、現場を直接知っていれば、適切なアドバイスができる。

それと、CEOは会社が振り出すすべての小切手に自らサインし、少なくとも6週間に1回はすべての発注書に目を通さなければならない。こうすることによって会社のお金の流れがわかる。

ブランソンさんはヴァージングループでも長年これを続け、半年のうち1か月はすべての小切手にサインする。グループ会社の社長にも同じことを求めているのだと。

会社のお金の流れをつかむというのは、基礎的だが重要なことだ。筆者の友人でも励行している人がいる。


量産可能な航空燃料プロジェクト

ブランソンさんは、工場のCO2を含む排ガスを利用して、航空燃料に変えるプロジェクトを紹介している。ニュージーランドのランザ・テックと開発しているのだと。

オーストラリアでは小型ユーカリ樹のマリーを使って、やはり航空燃料を生産するプロジェクトを推進している。これはヴァージン・オーストラリア、ダイナモーティブ・エナジー・システム、リニューアブル・オイルなどと組んでいる。


アップルのiPod, iTunesはエイプリルフールのジョークにインスパイアされた?

ヴァージンは世界各地にレコードショップのヴァージン・メガストアを経営していた。これの息の根を止めたのが、iPod, iTunesのアップル勢だ。

ブランソンさんは、ある年のエイプリルフールに、「イギリスに設置した巨大なコンピューターに、あらゆるレコード会社のあらゆる楽曲を保存し、音楽ファンがどこでも好きな音楽をダウンロードできるような”ミュージックボックス”という端末を発売する」と発表し、昼ごろにジョークだと発表した。

レコード会社の面々は真に受けて、「やめてくれ」と泣きついてきたという。ところが、スティーブ・ジョッブスはこれにインスパイアされて、数年後にiPod, iTunesをつくったのだという。

この話の教訓は、「エイプリルフールのジョークを仕掛けたら、最後まで自分でやれ」ということだと。

アップルのデザインやマーケティングはすばらしく、iPhoneによって携帯電話市場を席巻してしまった。それからiPadで出版業界に攻めてきた。


ヴァージンは新しいアイデアに対してオープンであり続ける

ヴァージン・レコードを始めたのは、マイク・オールドフィールドが、ほかのレコード会社に断られ続けた「チューブラー・ベルズ」を売り込みにきて、その価値に気が付いたからだ。マイクを助けるためにレコード会社をつくることにしたのだ。



ヴァージン・レコードは1990年代には世界最大の独立系レコード会社になった。今はヴァージンはレコード会社とレコード販売事業を売却してしまったが、音楽祭を主催するなど音楽との関係は保っている。



ヴァージン・メガストア事業からの撤退が遅れたことに関して、ブランソンさんは自分がタイムズスクウェアや、オックスフォードストリートなどの一等地に旗艦店を置くことにこだわったからだと語っている。

これらの旗艦店は知名度を上げるのに役立ち、グループの歴史にも深く結びついていたので、これらを失うことが怖かったのだと。


バーチャルネットワーク・モデルで事業展開

1990年代末には、携帯電話でTモバイルと組んでヴァージン・モバイルを立ち上げ、若者向けに割安な価格で提供し、同じモデルで世界各国でも事業展開した。

既存の会社と組んで、「ヴァージン」ブランドを冠したサービスを提供する”バーチャルネットワーク・モデル”がうまく機能した一例だ。


ABCD戦略

ブランソンさんはヴァージングループの戦略としてABCD戦略を挙げる。Always Be Connecrting Dots(ひたすら点と点を結べ)だ。故・スティーブ・ジョッブスの有名なスタンフォード卒業式スピーチを思い出させる。

次のスピーチの最初のテーマが"Connecting Dots"だ。ビデオの5分くらいから、"Connecting Dots"の教訓が語られている。



最初にヴァージン・アトランティック航空をスタートした時は、本業(ヴァージン・メガストア)と何の接点もなかった。

当時の航空会社のサービスはあまりにもお粗末だった。もっと質の高い仕事をすれば、大きなチャンスがあるはずだと思ったのが参入のきっかけだ。

実際に事業を始めて、機内エンターテインメントに最高の音楽と映画を持ちこみ、お客様の世話をするのが好きというスタッフを集め、居心地のよくモダンな内装を設計し、すべてを割安な値段で売り出すことにより、点と点がつながった。

ヴァージングループのカスタマーサービスで長年大切にしてきたルールは「最初に問題を知った者が、最初に対処する」というものだ。これの例が挙げられている。

サンフランシスコ空港でフライトの出発が遅れたとき、乗務員が飛行機から飲み物のワゴンを持ち出して、ゲートでお客様にサービスを始めた。数か月後、この乗務員にブランソンさんは年間優秀社員賞を授与したという。


事業化で考慮すべきポイント

最後にブランソンさんは事業化で考慮すべきポイントを挙げている。簡単だが参考になるので、紹介しておく。

1.価格は適正か?

2.設備が古くないか?

3.顧客になりそうな人々をリサーチしよう

4.サービスの幅を広げられないか?

5.収入の一部を地域の慈善事業に寄付しよう



翻訳が良いこともあり、スラスラ読める。本人は大変な努力をして、ヴァージングループを作り上げたのだろうが、労働者階級出身の人ではないので、底辺から這い上がったという感じはない。

気軽に読める成功哲学である。


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2013年01月08日

仕事は楽しいかね? iPS細胞発見者・山中伸弥教授が助けられた本

仕事は楽しいかね?仕事は楽しいかね?
著者:デイル ドーテン
きこ書房(2001-12)
販売元:Amazon.co.jp

このブログで紹介したiPS細胞の発見者・山中伸弥教授の「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」に、山中教授が自称”PAD”(Post America Depression)で、うつに悩まされていた時助けられた本として紹介されていたので読んでみた。

3冊ほどのシリーズで、他に「仕事は楽しいかね? 2」、「仕事は楽しいかね?最終講義」がある。これらも読んでみたが、ほぼ同様の内容なので、最初のものを紹介する。

仕事は楽しいかね? 2仕事は楽しいかね? 2
著者:デイル・ドーテン
きこ書房(2002-07-26)
販売元:Amazon.co.jp

仕事は楽しいかね?《最終講義》仕事は楽しいかね?《最終講義》
著者:デイル・ドーデン
きこ書房(2012-08-01)
販売元:Amazon.co.jp

この本はアマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして目次を見て欲しい。

シカゴのオヘア空港で季節はずれの吹雪のために飛行機が欠航となり、26時間も空港に閉じこめられた主人公が、たまたま会ったマックス・エルモアという著名な企業家の話を聞くという設定だ。

マックスの質問が「仕事は楽しいかね?」だ。


明日は今日と違う自分になる

マックスは成功のための戦略に関して、「目標設定」に×(バツ)をつけ、「今日の目標は明日のマンネリ」となる、「明日は今日と違う自分になる」が唯一の目標だと語る。

そして「試してみることに失敗はない」と付け加えた。毎日”試すこと”を続けなければならないのだ。


偶然は発明の父

「必要は発明の母かもしれない。だけど、偶然は発明の父なんだ。」

コカ・コーラをつくったジョン・ペンバートンは、薬屋で従業員がたまたまシロップを混ぜ合わせた頭痛薬をつくっていたので、それを飲んでみて水を加え、ソーダ水を加えて売り出したのだ。

コカ・コーラの筆記体のロゴは、広告会社が考え出したものではなく、ペンバートンのパートナーが売り上げノートに書いていたものなのだ。

チョコチップ・クッキーも偶然の産物、リーバイス・ジーンズも余ったテント用の帆布を利用して使って作ったオーバーオールが金採掘に集まった人々にヒットしたものだ。

世界的なフルート奏者のジャン・ピエール・ランパルは「努力に努力を重ねて、コンサートで或る曲を『完璧』に演奏できたとします、そうすると、私はまた努力に努力を重ねて、翌日のコンサートでは『さらに素晴らしい』演奏をするんです。」と語っていたという。

ベスト・オブ・ランパルベスト・オブ・ランパル
アーティスト:ランパル(ジャン=ピエール)
EMIミュージックジャパン(2009-06-17)
販売元:Amazon.co.jp


ホーソーン効果

ある工場で照明、休憩時間を変えると生産高にどう影響するか調査したところ、どんな状況でも生産高が上がった。結局、労働者は調査に参加するのが好きだというのが結論だった。調査が行われているというだけで、普段より業績をあげてしまうのだ。

マックスの人生はホーソーン効果の連続だ。


ウォルト・ディズニーの細部へのこだわり

成功の秘訣として、マックスはウォルト・ディズニーが細部までこだわり、白雪姫の一シーンに多大な時間を費やしたことを紹介する。

次のYouTubeに載っている白雪姫のビデオの中程にある、願いを叶える井戸で王子と出会う場面で、井戸をのぞき込む白雪姫と王子の顔が、水に映って、しずくでできた輪でゆらゆら揺れるシーンだ。CGもなかった時代に、アニメーションで見事に再現している。



ウォルト・ディズニーは、成功の秘訣を「ものごとを見事にやることだよ。もう一回それを見るためならお金だって払う、と言われるくらい見事に」と言っている。

それは”あるべき状態より、良くあること”なのだ。

心臓蘇生術を生み出したドクター・クーパーは、事切れた患者に怒りのパンチを食らわせたところ、心臓が動き出したので蘇生術に気が付いたという。まさに偶然の産物だ。


アイデアを生み出す三つのメモ

マックスはアイデアを生み出すヒントとして、次の3つのメモをつくれと言う。

1.仕事でやったミスをすべて書き出す

2.問題点を書き出す

3.仕事に関してやっていることを”あらゆること”を書き出す

売れ残ったテント用の帆布を使って何をすべきか考え続けてこそ、リーバースのジーンズを思いつくことができるのだ。

"Where there is a Will, there's an A"(やる気があればA(=優)が取れる)というインフォマーシャルで成功したクロード・オルニーは、息子の試験の成績を上げるために本を片っ端から調べた結果、綺麗な字を書き、計算は縦の列を揃えた方が成績が良いと気づいたという。

CBSの人気番組「60ミニッツ」は、テレビ番組には新聞に相当するニュースや、本に相当するドキュメンタリーやドラマはあるが、雑誌に相当する部分がないと気が付いたプロデューサーが思いついたものだ。

モハメド・アリは、プロになりたての頃、プロレスラーと一緒にテレビに出て、派手なパフォーマンス、ショウダウンの重要性に気づいた。自分の仕事を広い範囲で定義し、他のスポーツ選手からも学べることに気づいたのだ。

新しいアイデアは、新しい場所に置かれた古いアイデアだ。だからリストに書き続けることが重要になる。


間違いは気づきのもと

「ポスト・イットを思い出せ!」だ。

間違ったら、それが何か役に立つことを考える。間違いは気づきのもとだからアンチ・ミステイク、問題も気づきの元のアンチ・プロブレムなのだ。

マックスは最後に「きみが”試すこと”に喜びを見いだしてくれるといいな。」と言って別れた。

アイデアをいっぱい持って、あらゆることをやってみる。明日は今日とは違う自分になり、そして朝を待ちこがれる。単純な教えではあるが、このような毎日”試すこと”を探しながら仕事をすれば、仕事が楽しくなる。仕事が楽しくなれば、成果も上がり、評価も上がるだろう。

冒頭に書いた様に、山中伸弥教授が推薦していたので読んでみた。アマゾンでは現在売り上げ345位とよく売れているようだ。

平易な内容で、200ページ弱の本なのですぐに読める。

アクションを取らなければ何も変わらない。”試すこと”を始めるには、よいきっかけとなる本だと思う。


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2013年01月07日

なぜ、勉強しても出世できないのか? スキルアップをあおった記者の反省

なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術 (ソフトバンク新書)なぜ、勉強しても出世できないのか? いま求められる「脱スキル」の仕事術 (ソフトバンク新書)
著者:佐藤 留美
ソフトバンククリエイティブ(2012-10-18)
販売元:Amazon.co.jp

ネットバブル期からスキルアップをあおる記事をたくさん書いたというフリーランスライターの佐藤留美さんの反省文。

週刊東洋経済の2011年11月26日号の「さらば!スキルアップ教」で佐藤さんは記事を書いており、それを見た編集者から、この本を書くよう提案があったという。

週刊 東洋経済 2011年 11/26号 [雑誌]週刊 東洋経済 2011年 11/26号 [雑誌]
東洋経済新報社(2011-11-21)
販売元:Amazon.co.jp

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックして目次をチェックしてほしい。

この本で紹介されている最も「わりに合わない」勉強ランキングは次の通りだ。

1位 各種キャリアアップセミナー

2位 「朝会」「人脈交流会」などの各種イベント

3位 国際ビジネス系資格(MBA,USCPAなど)

4位 一部経営・コンサルタント資格(中小企業診断士、ITコーディネーターなど)

5位 供給過多の国家資格(行政書士、社労士)

その業界で働く人や、資格を持っている人には、アタマに来る話が多いと思う。

この本は元々の出版経緯からしても、悪く言えば「週刊誌的なネタ」のよせ集めだ。これらの情報をもとに「勉強しても出世できない」という結論を出せるとは思えない。

しかし一面の真実は伝えていると思うので、いくつか参考になった情報を紹介しておく。


スキルアップフィーバー

スキルアップ分野では「スキルアップの女王」・勝間和代さんやレバレッジ・シリーズの本田直之さんなどが代表格で、このブログでも勝間本レバレッジ本を4冊ずつ紹介している。

佐藤さんはネットバブル時代にスキルアップをあおる記事を多く書いたが、当時スキルアップを目指した人の中では、成功した人は驚くほど少ないという。


ビジネス書は「毒」に気をつけろ

佐藤さんは、ビジネス書の著者は、何らかの目的があって本を書いているということを意識しておいたほうがいいと語る。あらゆる本にはバイアスがかかっているので、別の価値観の人がうっかり真に受けると痛い目に会うことがある。

例として、「どう考えても元ヤンキーとしか思えない著者が、仁義や義理人情、あるいは突拍子もない奇天烈な仕事術を書いた本を出し、ベストセラーになったりする」と、このブログで紹介している某書を批判している。

「こうした本の著者は、その人が、その職業を、その手法でたまたま成功しただけで、一般的に、読者が同じように同じことをやって果たして成功できるか疑わしい。ロールモデル性は極めて低いと言わざるを得ない」と。

吉本隆明は、「万人が読書は良いことと決めつけているが、それは危険である。読書とは作者の知恵と同様に毒をも浴びる行為である」ということを言っていたという。ビジネス書著者が放つ「毒」にも気を付けたいと、佐藤さんは語る。


USCPA 

世界がIFRSで世界的に統一されつつあるので、USCPAは「履歴書の華やぎ」にしかならないという。資格ごとお役御免になるのだと。USCPA資格予備校だったANJOインターナショナルは2006年に倒産。二番手予備校も跡形もないという。

本当にそうなのか筆者には判断がつかない。

少なくとも会計基準が変わっても、USCPAで勉強した基礎的なことが、全く役に立たないということはないと思う。ともかく佐藤さんの説として紹介しておく。

外資系などスキル重視企業が日本から引き揚げているから、MBAやUSCPAなどの国際ビジネス系資格の需要が減っているという。

日本から撤退した例として、スティール・パートナーズがサッポロ株を売却し、日本での買収ビジネスを手じまいしたことや、リップルウッドが「シー・ガイア」をセガサミーに売却し、日本から引き揚げたことを挙げている。


税理士

「税理士」は、今から取っても食える資格ではないという。日本の税理士7万2千人のうち、60歳以上が半数を占めるので、おじいちゃん税理士と親しくなって、仕事のおこぼれにあずかるのが一番の営業なのだと。

この本には書いていないが、税務署に23年間勤めれば、退職後無試験で税理士となれる。日本の税理士の約半数が税務署OBだという。

試験を受けて税理士資格を取った無経験の税理士と、税務の表も裏も知り、税務署にも顔がある税務署OBの税理士のどっちを起用するかと聞かれたら、誰でも税務署OBの税理士を起用するのではないかと思う。

税理士が「今から取っても食える資格」ではないという背景にはこういった事情がある。筆者が冒頭でこの本を”週刊誌ネタの寄せ集め”と評しているのは、こういった突っ込みが足りない点が目につくからである。


公認会計士

税理士以上にむごい仕打ちを受けているのが、公認会計士だと。弁護士同様に国策的に合格者人数を増やした結果、供給過多になってしまった。

三大会計事務所の一つでは、2010年から大リストラを実施し、「2008年以降に入所した人」を狙い打っているのだという。

2000年までの公認会計士試験の合格者数は、1,000人以下だったが、金融庁が公認会計士の活動領域の拡大を目指して試験内容を平易化した2008年以降は、合格者が3,000人を超えている。上記のリストラはこの「ゆとり会計士」を狙ったリストラなのだ。

この会計事務所では、J−SOX導入による需要増を見込んで、社員4,500人のところ、2008年には650人以上を新規採用した。ところがリーマンショックでJ−SOXバブルが吹き飛び、2009年には赤字に転落した。いまや資格の学校TACも希望退職を募っている。


ノキ弁にもなれない「ケータイ弁護士」

これまで弁護士は「イソ弁」といって、ボス弁護士の事務所に雇われ、OJTで仕事を覚えて行くのが常道だった。ところが司法試験制度改革で、弁護士資格保持者が2007年から急増し、「イソ弁」になれるのは、”一発合格で合格順位が1,000番以内の25歳以下の男性”だという。

「イソ弁」に慣れなければ、「ノキ弁」(軒先(机)を借りて、固定給なしで働く弁護士)という手もあるが、これも未経験者には狭き門。やむなく「タク弁」(在宅で働く弁護士)の「ソク独」(研修期間が終わってすぐに独立すること)が増えているのだという。

いままで過払い金返還請求で食ってきたが、従来21%だった過払い金報酬をダンピングする弁護士も現れている。武富士が過払い請求受付を終了し、”過払いバブル”は終了したという。

さらに法務大臣の認定を受けた司法書士は、2003年の法改正で、140万円以下の借金についての交渉権と簡易裁判所の訴訟代理権が認められた。消費者金融の過払い金の債務整理業務など、弁護士が行っていた業務ができるようになった。弁護士の仕事がさらに少なくなっているのだ。

司法修習生は以前は国から給費をもらっていたが、現在は返済義務のある貸与制となっている。ロースクール時代の奨学金も含めて、1,000万円以上の借金を背負った弁護士がどんどん誕生しているという。


英語TOEICフィーバー

英語を社内公用語にしたアパレル企業は、毎週10時間、TOEIC700点達成までリスニングやグラマーなどの勉強がノルマとして課せられ、月一回は講師と電話会議する。小型カメラ付きのパソコンが配られ、TOEICの点数が前回より上がっていないとツール使用料5万円が自己負担になる。

店舗勤務の人はいったん退社するフリをして、20時から23時までサービス残業するのが当たり前の社風だから、週10時間のノルマを達成するのが大変。オンラインプログラムはエンターキーを押し続ければ、受講したことになるため、勉強したフリをする社員が続出して、講師と電話会議するリアル学習に切り替えた。

「TOEIC700点以上にあらずんば人にあらず」といわんばかりのトップのアナウンスが徹底している。

同じく英語社内公用語化を発表したインターネット企業では、TOEICの団体特別テストがほぼ毎週行われるので、スコアを上げないと居場所がないプレッシャーがある。

2012年の新卒は730点、2013年の入社予定組は750点を最低クリアーした高得点者ばかりなのも、社員へのプレッシャーになっている。

多くの社員は7時前後に仕事をやめ、毎日2時間くらい仲間と会議室でリスニングやリーディングの勉強をしているという。会社がTOEICに染まりだしてから、社員に秀才型が増えて、ベンチャーっぽくなくなったという社員もいる。


飛べないスーパーマン

最後に佐藤さんは、経営共創基盤パートナーの塩野さんの言葉を紹介している。

「”東大君”が外資コンサルなどに入って、うまくいかなくってクビになり、うまくいかなかったのは、『まだ偏差値が足りないからだ』とばかりに、資格やMBAに走る。そういう人は、いわば『飛べないスーパーマン』。飛べなかったら意味がない。つまり実務ができなければ意味がない。」


「脱スキル」で幸せな職業人生を作る28の仕事術

佐藤さんは、「脱スキル」で幸せな職業人生を作る28の仕事術として、1.地方を目指す、2.仕事を選ばない、4.職場の「デキる人」を真似るなどを28項目提案している。

28の仕事術の最後は、「抽象より具体」だ。自分にとって頼りになるのは、「なんとか力」のような抽象的なものではなく、「お客さん」であり「経験者にしか分からない具体的な業務ノウハウ」であり、「周囲の人間からの確たる評判」などの、極めて具体的なものだという。

この本はスキルに関するプロ・コン(どちらかというとコンが多いが)の本なので、資格や英語力、IT力、FT(Financial Technology)力の面だけをとらえて議論している。

しかし、筆者は成功するためには最も必要なのは、向上心と相手の立場に立って考えられるコミュニケーション能力だと思う。

たとえばマイクロソフト社長の樋口泰行さんが、このブログで紹介した「愚直力」で書いているように、MBA資格に意味があるのではなく、MBAを取るために死にものぐるいで英語の原著を大量に読んで勉強したことが後々生きてくるのだ。

またMBA留学経験者の人脈も大きな宝だ。ローソンの新浪さん、楽天の三木谷さん、マイクロソフトの樋口さんはみんなハーバードMBAだ。ハーバードの人脈は日本だけでなく、世界に広がる。これは日本にいては得難い人的資産だ。

TOEICの点数をはじめ、様々なスキルや資格はあればあったで良いが、それがあるから成功するというわけではないというのは、当たり前だ。

採用選考で企業が最も重視するのはコミュニケーション能力だというアンケート結果が出ている。

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出典:「就活生の親が今、知っておくべきこと」111ページ

スキルはあった方が良いが、スキルだけあっても成功はできない。結論はありふれているし、情報は割り引いて考える必要があるが、参考になる本である。

蛇足ながら、ネットバブル期の説明として、「今では業績絶好調の商社も、ネットバブル期は息も絶え絶え。本社が大手町から”都落ち”した会社もあったほどだ」と書いてある。

たぶんあの会社のことだと思うが、世間から見ればそう見えるんだなと変に納得してしまった。


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2012年11月14日

大富豪アニキの教え 成功哲学の基本はみな同じ 「本気でぶっちぎる」のみ

大富豪アニキの教え大富豪アニキの教え
著者:兄貴(丸尾孝俊)
ダイヤモンド社(2012-06-22)
販売元:Amazon.co.jp
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バリ島に住む関西弁の日本人大富豪に、うだつの上がらない年収295万円のサラリーマンの鈴木一郎(いっちゃん)が数度にわたって教えを乞うという寓話のような本。99%実話だという。「大富豪アニキ」のサイトもあり、こちらに主要な教えが紹介されているので、参照願いたい。

アニキを呼ばれる丸尾孝俊さんは、ホームページやFacebookアカウントも持っている。

アニキは母と離別し、家が貧しくて中卒で”アンパイ”と考えていた自衛隊を受験したが、不合格だったので看板屋の丁稚として働き、夜や土日は副業で稼ぎ、ふとしたことからバリ島で担保に取った不動産が高く売れ、不動産業など30あまりの会社を持ち、5,000人余りを雇う大富豪となったという経歴の持ち主だという。

この本の帯には「やばいで、オレ人生を変えるとんでもない秘密をバラしてしもうた」というアニキの口癖が載っている。

この本の教えは単純に言うと「必死のパッチ」(必死でということ。パッチはももひき。単に強調語として使い、意味はない)で、「本気でぶっちぎる」ことができれば、生まれつき持っている才能やお金に関係なく、誰でも成功できるということだ。

たとえば暴走族のOBは社長になったヤツがいっぱいいるという。普通の会社に就職難しいので、自分で独立して社長をやらなければならなかったという事情もあるが、「本気が炸裂!」、「根性が強烈!」なのだと。

以前紹介した「夢をかなえるゾウ」と似たような感じだが、「夢をかなえるゾウ」の方ファンタジックながらも成功法則の具体策が多く紹介されており、このアニキの方はもっと基礎的な心構え編というところだ。

アマゾンのカスタマーレビューでは、「『夢をかなえるゾウ』の『ガネーシャ』のモデルらしいですが」と書いている人が多いが、真偽のほどはわからない。

夢をかなえるゾウ 文庫版夢をかなえるゾウ 文庫版
著者:水野敬也
飛鳥新社(2011-05-20)
販売元:Amazon.co.jp
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アニキの教えはシンプルだ。次のアニキの言葉に集約されている。


一日14時間働く

「いろいろな『成功法則』とか呼ばれとるものがあるかもしれんけど、結局な、『本気でぶっちぎる』ことができたら、生まれつき持っている才能やお金に関係なくな、誰でも成功できるんやで」

だから「リミッター」をはずせと。一日14時間、週7日間働くのだと


年がら年中仕事のことについて考える

そして年がら年中仕事のことについて考える

「『誰も見ていないところで、その仕事について思い入れている時間を長く持つこと』を繰り返すと、『工夫』がたくさんできるようになる。そうするともっと良い仕事ができて、もっと仕事が増えて、だから、たくさん稼げるようになる。」

といった具合だ。

マンガ家の手塚治虫も、『仕事に思い入れている時間』が長かったという。しょっちゅう徹夜して、平均睡眠時間は4時間、息を引き取る最後の言葉が、「となりの部屋へ行くんだ。仕事をする。仕事をさせてくれ。」だったという。だからマンガの神様と言われるようになったのだ。


あきらめないで、一所懸命(一生懸命ではない)

『天職』は、仕事を選んだ時点ではわからない。5年から10年本気で仕事を続けてみて、ようやくわかるものだと。アニキは転職するかどうかでフラフラしているいっちゃんに今の仕事に集中して取り組むようにアドバイスする。

ハリー・ポッターシリーズを書いたJ.K.ローリングは、昔は教師をやっていたが、夫と離婚して娘を連れて家を出て、生活保護を受けて暮らしていた。

5年間かけて「ハリー・ポッター」を書き上げたが、どこの出版社も長すぎるとして取り上げなかった。たまたまブルームズベリー出版の編集者が8歳の娘に読ませたら、『お父さん、これ、ごっつい、面白いよ!』というので、出版したら全世界で4億部売れ、J.K.ローリングはあっというまに大富豪になった。

ハリー・ポッターシリーズ全巻セットハリー・ポッターシリーズ全巻セット
著者:J. K. ローリング
静山社(2008-07-23)
販売元:Amazon.co.jp
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生活保護を受けているシングルマザーだったのに、あきらめずに5年間小説を書き続けた。その結果として、大富豪になれたのだ。


「縁つなぎ」が成功の秘訣

トップセールスマンと呼ばれる人は、親身になって「縁つなぎ(紹介)」をする。医者の紹介を頼まれれば、名医を紹介し、進学に悩んでいる人には学習塾を紹介するなど、車とは関係のないことでも世話を焼く。

「相手を自分ごとのように大切にする心」を持って、相手のために行動を起こすことで、「つながり=ご縁・絆」が生まれる。

そうやって「与え続ける」ことによって「神様預金」をため、いずれ、どこからか、誰かから、必ず返ってくる。

だから、毎回「ボーボー(意味はない強調語)『ご縁つなぎ』をやっている人」のもとに、後々大きな話がやってくるのだと。


継続こそ力

いっちゃんが学んだアニキの教えで、最も重要なことは、「アニキの教え」を継続することだ。継続することが最も難しい。

アマゾンのカスタマーレビューでは、★一つのレーティングで「これはバリ島やオンラインでの成功法則セミナーへ誘導するためのフロントエンド商品の一つです。(集客および個人情報収集が主な目的)」というようなことを書いている人がいる。

たとえそうであっても、そのセミナーでアニキの教えに従ってやる気になり、一日14時間働き、常に仕事のことを考え、相手のことを思って「縁つなぎ」すれば、成功の確率は上がると思う。

別にアニキの肩を持つわけではないが、きっかけは何でもよいのだ。だから「成功セミナーのフロントエンド商品です」と決めつける必要はないと思う。

前回紹介したノーベル賞を受賞した山中教授が恩師のUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)のグラッドストーン研究所のメーリー所長から学んだこともVW(ビジョン&ワークハード)だ。

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
著者:山中 伸弥
講談社(2012-10-11)
販売元:Amazon.co.jp
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当たり前のことしか書いていないが、当たり前のことを継続するのが難しく、それゆえ、こういう本が人気が出るのだと思う。

成功の道筋は同じなのだ。このブログで紹介した松下幸之助の言葉を元側近の江口克彦さんがまとめた「成功の法則」で、松下幸之助は次のように言っている。

「きみなあ、成功の道というものは、いろいろの行き方があるけどね。でも結局のところ、おおむね同じじゃないかと思う。多少の違いはあっても、成功の道すじ、軌道というのは、だいたいにおいて決まっている。いわば共通性があるということや」

成功の法則―松下幸之助はなぜ成功したのか (PHP文庫)成功の法則―松下幸之助はなぜ成功したのか (PHP文庫)
著者:江口 克彦
PHP研究所(2000-12)
販売元:Amazon.co.jp
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異論がある人もいるかもしれないが、人生を変える何かのきっかけが欲しい人には良い本だと思う。


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2012年09月27日

再掲 生き方 稲盛和夫さんの70万部を超えるベストセラー

2012年9月27日再掲:

このブログの管理者機能では、人気記事ランキングを表示する機能がある。現在のトップはヴィクトール・フランクルの「夜と霧」で、2位は稲盛和夫さんの「生き方」だ。

夜と霧 新版夜と霧 新版
著者:ヴィクトール・E・フランクル
みすず書房(2002-11-06)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

このブログのPV(ページ・ヴュー)が9月で21,000PV、「夜と霧」が227PV、「生き方」が150PVだから、毎日10人弱の人が「生き方」のあらすじを読んでいることになる。

2012年9月19日の日本航空再上場につながる日本航空再建の立役者として注目を集めているからだと思う。

このブログでは稲盛さんの本は5冊紹介している。その中でもやはりベストセラーとなっている「生き方」が最も参考になると思うので、そのあらすじを再掲する。


2010年6月1日初掲:

生き方―人間として一番大切なこと生き方―人間として一番大切なこと
著者:稲盛 和夫
販売元:サンマーク出版
発売日:2004-07
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

京セラ最高顧問、稲盛和夫さんの本。

日航の会長に就任されたので、一躍注目を浴びている。この本の売れ行きも70万部を突破したとのことだ。

読み始めて、既に読んだ本であることがわかったが、このブログにはあらすじを収録していない。おかしいと思ったら、ブログを始めた2005年1月以前に読んだ本だった。

この本の発行はもともと2004年8月で、出たばかりの頃に読んだ。強い印象を受け、稲盛さんの本はその後何冊かブログに紹介している

稲盛さんの本をどれか一冊ということになると、やはりこの本だろう。


この本の構成

この本では稲盛さんの考え方を次の5章にわけ、それぞれ15前後のサブタイトルで紹介している。アマゾンのなか見、検索に対応しているので、是非目次をチェックして欲しい。

1.思いを実現させる

2.原理原則から考える

3.心を磨き、高める

4.利他の心で生きる

5.宇宙の流れと調和する


ひとつひとつに稲盛さんの考えが現れており、どこから読んでも良い本だ。

初めて読んだときに強烈な印象を受けた。筆者がいまだに覚えているものを箇条書きで紹介する。

★心に描いたものが実現するという宇宙の法則

★松下幸之助さんの「ダム式経営」発言に衝撃を受ける
聴衆から「どうやったらダム式経営ができるかやり方を教えてくれ」というQuick-fix質問に対し、松下さんはポツリと「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」と語ったという。

聴衆は失笑を漏らしたが、この言葉に稲盛さんは大きな衝撃を受けたという。松下さんのつぶやきに、稲盛さんは「まず思うこと」の大切さを学んだという。寝ても覚めても強烈に思い続けることが大切だ。

そして有名な言葉が続く。

★現実になる姿が(夢が)カラーで見えているか?
思い続けると、成功への道筋が見えてくる。それもカラーで夢が見えるという。

「手の切れるようなものをつくれ」が稲盛さんの教えだ。

★本田宗一郎さんのエピソード
あるとき稲盛さんは本田宗一郎さんの話が聴きたくて、高価なセミナーに参加した。本田さんは遅れてきた上に、到着一番「みなさんは、いったいここへ何しにきたのか。経営の勉強をしにきたらしいが、そんなことをするひまがあるなら、一刻も早く会社へ帰って仕事をしなさい。」と一喝されたという。

稲盛さんは本田さんの人柄に、よりいっそう魅せられたという。

★好きであればこそ「燃える」人間になれる
人には3つのタイプがあるという。1.可燃性、2.不燃性、3.自然性の人だ。仕事を好きになれば自然性の人間になれる。

★アンドリュー・カーネギー博愛賞を受賞
2003年に稲盛さんは、カーネギー協会から日本人ではじめてアンドリュー・カーネギー博愛賞を受賞したという。過去テッド・ターナー(CNN創始者)、ビル・ゲイツ、ジョージ・ソロスなどが受賞している賞だ。

「個人の富は社会のためにつかわれるべきだ」というカーネギーの言葉に強い共感を覚えると語る。

★人間の細胞1個には30億もの遺伝子情報が詰まっている
遺伝子学の権威の村上和雄筑波大学名誉教授が、「サムシング・グレート」と呼ぶ偉大な力、森羅万象を絶え間なく成長させる宇宙の流れ、そんなものを感じて、65歳で仏門に入ったのだと。

一度は仏門に入った稲盛さんだけに、以前紹介した「1メートルのはしで釜ゆでうどんを食べる話」や、旅人の話などの仏教講話も面白い。

「旅人の話」は、旅人が虎に追いかけられ松の木に登ると、上からは龍が、下からは虎が迫ってくる。そんな絶体絶命の立場にありながら、ふと松の木の上から流れてくるハチミツに旅人は心を奪われるという話。人間の弱さ・欲深さを象徴しているという。


200ページ余りの本だが、活字が大きく、簡単に読める。稲盛さんの本をどれか一冊読むなら、間違いなくこの本だ。

松下さんの講話と比べて、稲盛さんの講話はややクセがあるが、松下さんの450万部を超えるベストセラー「道をひらく」と同じように、座右の書にしても良い本である。

道をひらく道をひらく
著者:松下 幸之助
販売元:PHP研究所
発売日:1968-05
おすすめ度:5.0
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2012年04月29日

ニーチェの言葉 いまなぜニーチェ?

超訳 ニーチェの言葉超訳 ニーチェの言葉
ディスカヴァー・トゥエンティワン(2010-01-12)
販売元:Amazon.co.jp
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ベストセラーになっているフリードリヒ・ニーチェの言葉を集めた作品。「超訳」となっているので、かなり読みやすいように言い換えられているのだと思う。

ニーチェの作品は、学生時代にいくつか読んだが、読んだという記憶だけで、内容は全く覚えていない。難解だという印象だけは残っている。

ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)
著者:ニーチェ
岩波書店(1967-04-16)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

その難解なニーチェの作品から、次のようなグループに言葉をまとめている。

I  己について
II  喜について
III 生について
IV  心について
V  友について
VI  世について
VII 人について
VIII 愛について
IX  知について
X  美について

なか見!検索に対応しているのでここをクリックして目次をチェックしてほしい。


ばらばらの言葉で哲学を語れるのか?

哲学書の部分部分をコピー・ペーストとして一冊の本に仕立て上げるというのは、新しい発想だと思うが、ばらばらの言葉をまとめてもニーチェの哲学を語るものにはならないと思う。

人生訓のような本となっており、実存主義哲学の先駆者のニーチェ哲学の特徴や価値が全くわからない。

人生訓といえば代表作は論語だが、論語はもともと孔子のその時々の言葉を特に意図なくまとめたもので、系統だった本ではない。

論語 増補版 (講談社学術文庫)論語 増補版 (講談社学術文庫)
著者:加地 伸行
講談社(2009-09-10)
販売元:Amazon.co.jp
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これに対してニーチェの著作は、それぞれに基本となる主張があり、それに沿って論理を展開している。だからばらばらにして人生訓の本をつくるのは無理があると思う。

ニーチェが言ったということで特筆すべき言葉でもないと思うが、ともあれ、いくつか印象に残った言葉を紹介しておく。


043 脱皮して生きていく
脱皮しない蛇は破滅する。人間もまったく同じだ。(中略)常に新しく生きていくために、わたしたちは考えを新陳代謝させていかなくてはならないのだ。


061 勝利に偶然はない
勝利した者はもれなく、偶然などというものを信じていない。たとえ彼が、謙遜の気持ちから偶然性を口にするにしてもだ。

この言葉は「負けに不思議の負けなし」という野村前監督の勝負観と好対照をなす。筆者としては野村監督の言っている方が実態にあっているような気がする。

負けに不思議の負けなし〈完全版〉 上 (朝日文庫)負けに不思議の負けなし〈完全版〉 上 (朝日文庫)
著者:野村 克也
朝日新聞出版(2009-03-06)
販売元:Amazon.co.jp
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065 反対する人の心理
提示されたある案に対して反対するとき、よく考え抜いたうえで確固とした根拠があって反対する人はごく少ない。多くの人は、その案や意見が述べられたときの調子とか言い方、言った人の性格や雰囲気に対して反発の気分があるから、反対するのだ。

このことがわかれば、多くの人を味方にできる方法が何かがおのずと知れてくる。(後略)


118 カリスマ性の技術
自分をカリスマ性を持った深みのある人間であるように見せたいなら一種の暗さ、見えにくさを身につけるようにすればよい。自分をすべてさらけださないように、底が見えないようにするのだ。

多くの人は、底が見えないことに一種の神秘性と深さを感じるからだ。自然にある池や沼にしても、濁って底が見えない人は深いと思って恐れてしまう。カリスマ的人物と呼ばれる人への恐れとは、その程度のものなのだ。


119 体験だけでは足りない
確かに体験は重要だ。体験によって人は成長することができる。しかし、さまざまな体験を多くしたからといって、他の人よりもすぐれていると言うことはできない。
体験しても、あとでよく考察しなかったら、何にもならないのだ。(後略)



140 怠惰(たいだ)から生まれる信念
(前略)信念がある人というのはなんとなく偉いように思われているが、その人は、自分のかつての意見をずっと持っているだけであり、その時点から精神が止まってしまっている人なのだ。つまり、精神の怠惰が信念をつくっているというわけだ。

どんなに正しそうに見える意見も主張も、絶えず新陳代謝をくり返し、時代の変化の中で考え直され、つくり直されていかなければならない。

ニーチェは自分の主張自体も「新陳代謝」、つまり常に見直すべきだと語っている。ニーチェのような大哲学者で、そのようなことを言う人は少ない。その意味からも尊敬すべき姿勢であり、筆者も自らの反省をこめてここに紹介する。

最後に本と読書についての部分を紹介しておく。

Nietzsche1













Nietzsche















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2012年04月17日

君に成功を贈る 中村天風の若者向け講演

君に成功を贈る君に成功を贈る
著者:中村 天風
日本経営合理化協会出版局(2001-12)
販売元:Amazon.co.jp
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このブログで「成功の実現」という1万円もする本を紹介した中村天風の講演を集めた本。こちらは1,800円という手頃な値段がついているが、内容は充実している。

成功の実現成功の実現
著者:中村 天風
日本経営合理化協会出版局(1988-09)
販売元:Amazon.co.jp
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この本の最後に中村天風について、次の様に紹介されている。

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出典:本書272ページ


この本で中村天風は、まず「有意義な幸福な人生に生きるには、なにをおいても一番先に必要なことは何か」と聴衆に質問する。

答は「他人に好かれる人間にならなければいけない」だと。

どんなときにも「真心(まごころ)の親切」で接しなければならない。キーワードは、フランスの哲学者ベルグソンの言葉・「イフ・アイ・ワー・ヒム"If I were him"」だという。カーネギーの「相手の立場になって考える」と同じ事だが、「イフ・アイ・ワー・ヒム"If I were him"」の方が覚えやすいかもしれない。

最初の「幸福な人生に生きる」という章の項目とのタイトルは次の通りだ。上記のような説法が続く。

・他人に好かれる人になりなさい

・出世成功する人は、誰からも好かれる人である

・あまり好き嫌いのないようにしてごらん

・嫌いな相手には、つとめて親切にしてごらん

・自分のことをするときと同じ気持で、他人のことをしてあげてごらん

・何をする場合でも、現在恵まれていることに感謝しなさい

・つつましやかに感謝の念をもって生きるようになったら、どれだけ人生のスケールが大きくなるかわからない

・自分自身を自分自身が磨かない限り、自分というものは本当にえらくならない


この本の目次は、日本経営合理化協会出版局のホームページで紹介されているので、参照して欲しい。

ひと言で言うと、スティーブン・コヴィーが言う"PMA=Positive Mental Attitude"のすすめだ。ひょっとすると中村さんの方が元祖かもしれない。

いくつか印象に残った話を紹介しておく。

中村さんは軍事探偵として送り出された時に、当時の上官の川村中将に、「おめでとう。男、生まれて男一代。男らしく生きて男らしく死ぬ。うらやましいな。次は靖国神社で会おう」と言われたという。

死ぬことを恐ろしいと思わないから、ロシア兵に捕まって銃殺されそうになっても強い気持ちで生き抜けたという。

「こうなりたい」という状態を心の中に情熱の炎でもって、ありありと描く。そうすると「観念のダブルページ」というものがおこり、力が増すのだという。稲盛さんもこのブログで紹介した「生き方」で「思い続けると、成功への道筋が見えてくる。それもカラーで夢が見える」と語っている。元は中村さんの「観念のダブルページ」のようだ。

生き方―人間として一番大切なこと生き方―人間として一番大切なこと
著者:稲盛 和夫
サンマーク出版(2004-07)
販売元:Amazon.co.jp
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ひょっとして、稲盛さんのうどんをゆでる釜の話も、出所は中村天風かもしれない。地獄も極楽も長い箸でうどんを食べることは同じ。天国では長い箸を使って、向こうの人にたべさせてあげる。向こうの人も自分に食べさせてくれる。ところが、地獄では長い箸を使って、自分で食べようとするので、いさかいが絶えないという話だ。


クンバハカ法

心の乱れが起こると、神経系統はうまく働かなくなる。だから「感情なり感覚なりの衝動や刺激を受けた時には、第一番に腹に力を入れ、そのときにアットワンスに肛門の穴をしめて肩を落とす」のだと。

これで波の荒い日に船に乗っていても大丈夫だという。

これがクンバハカ法だ。


ひとつだけ残したいもの

面白い挿話が紹介されている。

ある町に悪魔が現れて「今日からお前たちのものをすべて俺が奪い取ることにする。しかし、悪魔にも情けはある。たったひとつだけ、残したいものだけは見逃してやる。明日までに残しておいて欲しいものを一つだけ書き出せ。それ以外のものは一切、俺が奪いさるからな」と言ったという。

「私はお金だ」、「私は食い物」、「私は家だ」、「私は名誉だ」とみんなてんでんに書き出した。

あなたならどうするか?

そして翌日になったらその町にはたった一人の人間しかいなくなっていた。

なぜか?

答えは続きを読むに書いておいたので、興味ある人は見て欲しい。


「日常の心得」が参考になる

最後に「日常の心得」として、中村さんの教えが4ページにまとめられているので、”なんちゃってなか見!検索”で紹介しておく。

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出典:本書268〜271ページ


中村天風の本を図書館で借りるなら「成功の実現」、買うならこの「君に成功を贈る」だろう。

日本経営合理化協会出版局のホームページでもこの「君に成功を贈る」が月間ランキング1位、「成功の実現」が2位となっている。

字も大きく、1日で読める。

うさんくささを忘れて、人生の導師の言葉と思って読むと、頭にスッと入ると思う。図書館でもいまだに人気がある本だが、まずは図書館で借りて読むことをお勧めする。


参考になれば、投票ボタンをクリック願いたい。






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2011年12月21日

仕事で成長したい5%の日本人へ ゴーンさんを呼び捨てにできる日本人・今北さん

2011年12月15日追記:

今北さんの講演を聞いた。今北さんの本には次のような今北さんの写真入りの帯がついている。

今北













カルロス・ゴーンを思わせるような「濃い」顔立ちが印象的な人だ。

本に書いてあることも、書いてないこともあったが、本に書いてないことで最も印象に残ったのは、今北さんがバッテル研究所時代に、日本の自動車部品メーカーの社長と一緒に、技術供与交渉をしていたイタリアの自動車部品メーカーに行った時の話だ。

先方の社長とアポイントがあったが、予定時刻を30分過ぎても社長は現れない、今北さんはイライラしながら社長を待っていた。

やっと現れたと思ったら、せいぜい30歳台後半の三代目の社長は、今北さんの通訳に頼る日本メーカーの社長に対して「英語も出来ないでグローバルビジネスができるのか」と言った。

これに対して日本のメーカーの社長は唯二知っている英語を使って"I'm sorry."と言ったという(もう一つ知っている英語は"Thank you."だった)。そしておもむろに日本語で話し始めた。

「私は母を尊敬しています。」

今北さんは社長が逆上して、頭がおかしくなったのではないかと思ったという。

「母は私に、1.他人にはまごころを持って接すること、2.ウソはついてはいけないことを教えてくれました。あなたもそのイスにすわっているからには、あなたも祖先をさぞかし尊敬しているのでしょう。」

これに対してイタリア人の若社長は自分の非礼を謝り、"I'm sorry."と言った。それからはビジネスもスムーズに運んだという。(筆者の記憶で上記発言を再現しているので、正確な表現でないかもしれない)

今北さんが強調するのは人間力、英語で言うとコンピテンシーだ。

いくら英語力があってもそれはスキルであり、必要条件でしかない。このやりとりの様な知的ボクシング=「対決」=英語で言うとCreative confrontationで勝つためには、実践を通して「知的腕力」をつけなければならない。

知的ボクシングに勝つためには、「教養」が絶対に必要だ。「教養」は英語ではRefinementということばが最もあてはまる。単に知識だけではない。

同じ国際ビジネスマンとして、今北さんも筆者と同じ様な経験をしていると思った。

今北さんは国際セミナーで英語で質問ができなかったという。それである時思い立って、講演者の本を読み、十分研究して講演に臨み、先頭を切って質問のために手を挙げた。

ところが立ち上がってマイクが来たときに、頭の中が真っ白になって、あれだけ用意した質問を忘れてしまった。

しかし周りは今北さんがそんな状態になっていても、誰も気にしていなかった。

この経験で、今北さんは自分が思うほど、他人は自分のことを気にしていないことを学んだ。それからは、国際会議でもアガることなく、質問できるようになったという。

筆者もアルゼンチンでの研修生から帰って、1980年に欧州に出張したときに、オーストリアの国営会社の副社長に説明している途中でロジックがおかしくなり、英語での説明途中でつっかえて、頭の中が真っ白になった経験がある。

話を変えてなんとか繕ったが、この失敗を忘れず、それ以来英語のロジカルな表現力をつけるために「タイム・インテンシブ・コース」という「タイム」誌を毎週読んで、二週間に一度記事のあらすじを英文にまとめて添削してもらうという通信教育を6年間続けた。

最初の駐在でピッツバーグに赴任してからは、自分の書いた英文をコミュニケーションを専攻したアメリカ人スタッフに毎回添削してもらっていた。

「タイム」誌は20年以上毎週読んでいた。読むだけではなく、気にいった記事はわからない単語を辞書で調べ上げて読んでいた。「タイム」誌の英語は、その意味を正確にあらわす最も適当な単語を使っているので、何年たっても「タイム」誌の1ページに、10以上もわからない単語があったものだ。

あの頭の中が真っ白になるという屈辱を経験したから、TOEIC940点にまで英語力は向上し、ネイティブ並みの英文レターが書けるようになった。

Time Asia October 17, 2011 (単号)Time Asia October 17, 2011 (単号)
DIP(2011-10-13)
販売元:Amazon.co.jp
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今北さんがスイスのバッテル研究所に入社したときに、国際会議はフランス語でやっていたので、英語で会議を開くように依頼して断られたという。その時のくやしさが、今北さんがフランス語をマスターするための原動力となった。

それから今北さんは必死でフランス語を勉強して、ついにはフランスのルノー公団からスカウトされるほどになった。

筆者もアルゼンチンに赴任したときは、スペイン語は全然わからなかった。だから二年間賄い付きの下宿に住んでアルゼンチン人と一緒に過ごし、事務所での勤務時間外に語学学校や個人教授を受けた。そして二年間の研修の後、帰国したらスペイン語社内検定一級まで上達した。

このような頭が真っ白、言葉が通じない屈辱感、それが語学上達のバネとなり、コミュニケーション能力をつけるきっかけとなるのだ。

もうひとつはセールスコールだ。

今北さんはバッテルに入った当初は自分で仕事を見つけることができず、他の研究員のアシスタントで、電話調査をやらされた。毎日電話を掛けては、ガチャンと切られることの連続で、電話恐怖症、ノイローゼに近くなったという。

しかしあるとき、「こんなことで命までは取られない」と頭を切り替えて、電話調査を再開すると、中には親切な人もいて、いろいろ教えてもらい。今度はその情報を使って、別の人から聞き取り調査するという好循環が生まれ、調査がうまくいったという。

筆者もアルゼンチン駐在の時やピッツバーグ駐在の時は、必要があれば業界名簿やイエローページを頼りに、電話して売り込んだものだ。アルゼンチンの時は、そうやって香港製の天井扇風機を1コンテナー分売った。

何事もあきらめないで続けることが大事なのだ。


2011年12月14日初掲:

仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)
著者:今北 純一
新潮社(2010-05)
販売元:Amazon.co.jp
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フランス企業での職務経験が長く、現在もパリ在住で日本とフランスの間を毎月行き来しているコンサルタント会社CVA(Corporate Value Associates)のパートナー・東京オフィス代表・今北純一さんの本。

近々今北さんの講演を聞く機会があり、事前に本が配られたので読んでみた。

今北さんは昭和21年生まれ。東大応用物理学科から化学工学の修士課程を卒業後、旭硝子に入社。ニューヨーク州立大学留学、オックスフォード大学の招聘教官を経て、1977年にスイスのバッテル研究所にスカウトされる。それから1981年ルノー公団、1985年から14年間のエアー・リキード社勤務を経て、1999年から現在まで元同僚が設立したCVA社のパートナーを務める。

今北さんが講演に行くと、国籍や性別にかかわらず大体5%の人が熱いまなざしを寄せてくるという。新しいことにチャレンジしたいという能動的な意識で講演を聴く人たちだ。この本はその5%の人に向けた本だという。この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックして目次も是非見てほしい。よくできた目次なので、大体の筋がわかると思う。


成長にはMVPが必要

今北さんは人間が成長する上でMVPが必要だという。M=Mission、V=Vision、P=Passionだ。このうちPassionを持った人が最も強い。

筆者もPassionが最重要という話には同感だ。

実は、筆者は数年前に社内誌に「読書生産性アップのために」というような題で寄稿したことがある。年間300冊、一日ほぼ1冊本を読み、歩いているときや混んでいて本が読めない電車の中ではオーディオブックを聞く。そしてきにいった本はあらすじをブログに書いて「備忘録」として活用するという筆者の読書法を紹介したものだ。

自分の読書法にはそれなりに自信を持っていたが、結果としてその自信が悪い方に出て、「上から目線」のような文を書いてしまった。

1/4ページの原稿で、同じ見開きには他の人が、糸井重里の「ブイヨンの気持ち。」とか、このブログでも紹介した「マイクロソフトでは出会えなかった天職」の途上国に本を送る"Room to Read"運動など、一生懸命に自分の話を伝えようと書いている。そういった一生懸命さが伝わり、つい引き込まれる話ばかりだった。

ブイヨンの気持ち。 (ほぼ日ブックス)ブイヨンの気持ち。 (ほぼ日ブックス)
著者:糸井重里
東京糸井重里事務所(2009-04-13)
販売元:Amazon.co.jp
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マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になったマイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった
著者:ジョン ウッド
武田ランダムハウスジャパン(2007-09-21)
販売元:Amazon.co.jp
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それに対して、筆者が書いた文は整理されていてわかりやすかったかもしれないが、読者にどうしても伝えたいというパッションが感じられず、気持ちがこもっていない。反省するところ大だった。

それからはブログにしろ、社内誌にしろ、何かを書くときは必ず読者に是非とも伝えたいという筆者の思いが伝わるように、心を込めて書いている。あらすじを書くにもPassionが大事なのだ。

閑話休題。

この本で今北さんは「人は仕事で成長する」と語る。まさにこのブログで紹介した元伊藤忠商事会長・丹羽さんの「人は仕事で磨かれる」と同じだ。

人は仕事で磨かれる (文春文庫)人は仕事で磨かれる (文春文庫)
著者:丹羽 宇一郎
文藝春秋(2008-02-08)
販売元:Amazon.co.jp
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自分の仕事上の経験から学んだことや、ラグビーの平尾誠二さん、指揮者の佐渡裕さん、柔道の山下泰裕さん、将棋の羽生善治さんなどの「自分の世界を持っている人たち」との付き合いから学んだことを数多く紹介しており大変参考になる。

いくつか印象に残った話を紹介しておく。


面接で「いくら欲しいのか?」と聞かれたら、どう答える?

今北さんは30歳の時、イギリスの会社との面接で「いくら欲しいのか?」と言われて絶句したという。

たしかに、そう言われると、筆者もどう答えたらよいかとっさには答えが思いつかない。高ければ高いほど良いわけでもない。たとえば「1億円」と言っても、その根拠を聞かれて説明に窮すると逆効果だろう。

この質問で、今北さんは自分の能力を判断するのは他人であるということ、それでも交渉の余地はあるという2つのことを思い知らされた。これが今北さんの「次なる飛躍への瞬間」となったという。

この他にも今北さんのヨーロッパ人との付き合いで得られた貴重な経験を紹介している。ユーモアを大事にして、知的対決を愛するヨーロッパ人の絶妙な切り返しには感心する。


"You must succeed"の意味

たとえば、エアー・リキード社で日本での「モノシラン」という半導体用ガス販売を命じられたときに、会長から英訳すると"You must succeed"と言われたことがあるという。(「モノ知らん」とは偶然とはいえ変な名前のガスもあったものだ。ちなみにエアー・リキード社は液化工業ガスの最大手の一社だ)

これは「あなたは成功するに違いない」という意味にもとれるし、「あなたは成功しなければならない(義務がある)」という意味にもとれる。

今北さんが前任者の無謀な計画のもとに立ち上げられた日本での合弁事業を、ライバルにも大量供給するという逆転満塁ホームランで成功させて帰国し、会長にあのときの言葉はどちらの意味か?と聞くと、「あなたの思っている方ですよ」と答えたという。

なかなかそういう受け答えはできるものではない。こういうのが欧米社会でしばしば行われている「知的対決」なのだと。

ところで、最初の「いくら欲しいのか?」という質問の模範解答も紹介されている。なるほどと思う。ネタをばらすと面白くないので、これは続きを読むに書いておく


サラリーマン生活の不条理が転職のきっかけ

今北さんは新卒で入社した旭硝子の研究所で、寮と研究所を往復するサラリーマン生活に不条理を感じたという。

大学の修士論文のテーマである「ポントリヤーギンの最大原理」を使って化学工場の自動制御の最適化を研究するというのは同じでも、大学にいると授業料(たぶん当時は月1,000円だと思うが)を払わなければならないのに、会社に入るとたとえ寮でマージャンしていても給料がもらえる。

そして同じ年の高専卒の研究者は、今北さんの修士論文をあっというまに理解して、今北さんができないコンピュータープログラムを自分で書きあげる実力を持っているのに、給料は大学院卒の今北さんよりはるかに少ない。

周りの友人が「高専卒だから当たり前」というのが理解できなかったという。


カルロス・ゴーンさんに日本の話をする

今北さんは日産・ルノーのCEOカルロス・ゴーンさんとの付き合いもある。

ゴーンさんが日産のCOOとして日本に赴任する前に、元ルノー唯一の日本人社員ということで、つてをたどって今北さんに話を聞きに来たことがあった。その時に今北さんは、日本には2種類の沈黙があると忠告したという。

最初の沈黙はノーアイデアの沈黙、2つめの沈黙は「ボスは聞く耳を持たない」と判断された時の沈黙だという。2つめの沈黙には注意しろと今北さんはゴーンさんにアドバイスしたという。

日本に赴任したゴーンさんと再度会ったら、ゴーンさんは「日本の労働組合は英語をしゃべる」と驚いていたというエピソードを紹介している。


その他にも同僚の知見を適宜反映させたレポートでクライアントを獲得したら、同僚から50:50のプロフィットシェアリングを申し入れられたケースとか、オックスフォード大学での招聘教官として赴任した時に、担当する学生に逆にテストされた話、あとでわかったことだが部下がジスカールデスタン元大統領の甥で、欧州の人脈の強さに驚いた話など、今北さんの貴重な国際ビジネス経験を紹介していて、大変興味深く読める。

平尾誠二さんの「トンガの選手を一人入れたら、おどろくほどチーム全体の力がアップしました」という話も面白い。「天性のエンターテイナー」の指揮者の佐渡裕さん、「柔道を介して日本を理解してもらう」ことが現在のミッションと語る柔道の山下泰裕さん、「本番で試すということをやらない限り、成長はない」と語る将棋の羽生善治さんなどの話も参考になる。

いろいろ参考になる話が多いが、この辺でやめておく。

今北さんの他の本も読みたくなった。自分自身に置き換えてシミュレーションができ、頭の体操もできる知的刺激に富んだ本である。


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2011年05月03日

一番になる人 つんく♂自身のl言葉で語る成功哲学

一番になる人一番になる人
著者:つんく♂
サンマーク出版(2008-08-05)
販売元:Amazon.co.jp
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シャ乱Qのボーカリストで、モーニング娘。などのプロデューサーとしても有名なつんく♂の本。

多読人中島考隆志さんの本で紹介されていたので読んでみた。

有名人の本は有名人からの取材をベースにライターが書く場合が多いと思うが、この本はたぶんつんく♂自身が書いているのだと思う。手作り感と読者に対する愛情にあふれている。

この本ではつんく♂がどんな本を読んでいるのかは書いていないが、多くの成功哲学の本にある成功の秘訣ををつんく♂自身の言葉で書いている。


トイレの格言

この本はつんく♂の会社(TNX株式会社)のトイレの壁に貼りだしてある手書きの「トイレの格言」をまとめたものだという。

たまたまオフィスに打合せのために来ていた編集者の発案で、このような本を出すことになった。

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出典:本書191ページ

アマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして目次を見て欲しいが、つぎのような構成となっている。

第1章 妄想力の強い人になれ!

第2章 好きなことに没頭するひとになれ!

第3章 売れる理由を考え抜く人になれ!

第4章 損して徳とる人になれ!

第5章 勝負パンツを毎日はく人になれ!

第6章 川の流れに沿って生きる人になれ!

エピローグ

どの章題もユニークであり、読んでいて面白い。


中学生の時に一番になる方法を考えた

つんく♂は中学生の時に「一番になる人」と自分の違いを研究し、自分が一番になる方法を考えたという。

それから10年たちシャ乱Qでプロデビューして2年後、CDは全く売れず、引退の危機にさらされていた時にも、一番になる方法を考え、ワンルームのアパートの部屋を見回して、ある詞が浮かんだ。

それが「シングルベット」だ。それまでプロの作詞家に並びたいという意識が強すぎて、メルヘンチックのカッコいい詞ばかり書いていたが、あるとき「俺がいま居る狭い部屋、これを書こう」と気づいて書いた詞だった。




才能がないから地道な営業努力をする

「有線放送で一番になる」、そんな妄想を抱いて、全国の有線放送会社にシャ乱Qのメンバーがレコード会社の社員役とバンド役、二人一組で電話を掛けまくった。

「オレオレ詐欺」と手口は似ている。ヒマだったから時間はたくさんあったので、朝11時頃から毎日7時間ぶっ続けで営業マンのように電話を掛けまくったという。

だんだん有線放送でながれるようになり、結果的には100万枚以上のCDが売れていた。

それから何度も「一番になる」ことができたが、才能があったからではなく、才能がなかったからこそ、「一番になる」ことが出来たのだと。

才能がなかったから、有線放送会社に電話営業する労を惜しむことがなかった。凡人だからこそ、売れるための方法を研究することに力を注げた。

このつんく♂の言葉には普遍的な真実が含まれている。ミュージシャンの場合、ある程度の音楽の才能がある人はそれこそゴマンといるわけで、売れないミュージシャンはそれこそ掃いて捨てるほどいる。

その売れないミュージシャンの集団から抜け出すには、「ある日突然向こうから声がかかってくる」奇跡を待つのではなく、売れるための地道な努力が必要なのだ。


一番になるためのパスワード集

つんく♂は誰もが一番になれると語る。この本にそのための「パスワード」を盛り込んだのだと。つんく♂の語るパスワードをいくつか紹介する。


妄想は未来を切り開くパスワード

つんく♂の家は塩干・乾物屋だったので、店を手伝う話が随所に出てくる。子どものころに家のたまの休みに白浜にお父さんが連れて行ってくれるという話があり、つんくは釣りの場面をシミュレーションして楽しんでいたという。

彼女と話すシーンや、バンドをつくってライブで歌うシーン、失敗したシーンなど、さまざまなシーンのシミュレーションも思い浮かべていたという。

「妄想」は恋愛にも似ているという、相手の事を思い、相手の気持ちを想像し、相手がどう反応するかを考えることで、いい印象を持ってもらいたいと願うことに似ている。

つまりカーネギーのいう「相手の立場になって考える」のと同じことだ。

「妄想」のやり方ひとつで、人生はいかようにも変化させることができる。

「妄想」あるいは事前シミュレーションが成功の第1のパスワードなのだ。


何通りかの受け答えを想定して全部覚える

つんく♂は「仕事で人前に立つときには、必ず自分がしゃべるセリフを全部メモに書いておけ」とアドバイスするという。

プロである以上、トークで人を楽しませなければならない。そのためにテレビ番組に出る時にも相手の質問を予測してシミュレーションをしておくのだ。

タモリの番組をビデオで研究してみると、タモリは「最近売れてるねえ」、「忙しいんじゃないの」、「いろんなところで顔見るよね」という具合に、具体的な質問はしないことに気が付いた。

相手が答えやすいような質問をして、相手に好きなことをしゃべらせているのだと。

逆にタモリが、「売れたね」、「雰囲気変えた?」、「親戚増えたでしょ」、「出身はどこなの」という具合に流れる時は、ゲストが何も用意していないので、タモリが相当気を遣っている様子がわかる、

短い時間に自分のいいたいことを言うためには、十分にシミュレーションして臨むのだ。モーニング娘。にも、こんな質問が来たら、こんなことを答えるようにとメンバー1人1人にアドバイスしていたという。

たとえばディズニーランドに行って、「どうでしたか」と言われて、「おもしろかったです」とか「たのしかったです」と数人のメンバーから同じ答だったら、視聴者はつまらなく思うはず。

だから彼女たちには「ミッキーがつまづいたんですよ」とかいった話をするように指導してきたという。

アドリブで常に勝負するのは大変で、おもしろいネタが適切なタイミングで出てくるとは限らない。だから事前に何度も練っておくのだ。


とことん考え抜く

シャ乱Qがヒットを飛ばすまで手取り6万円の「地獄の2年」だったという。しかし、このときに学んだものは大きかった。お金はなかったが、時間はたっぷりあったので、とことん考えたという。

まず自分たちには才能がないことに気がついた。その上で「売れる凡人」になるにはどうしたらよいか考え抜いた。

つんく♂のおばあさんは、「いま売れてないもんでも、頭使えば売れるんや」と言っていたという。


売れるまでやめない

つんく♂は、天才と呼ばれる人、「売れる音楽」を徹底的に研究した。凡人は、天才のノウハウを研究してコツコツやっていくしか道はない。何かがヒットする、そこには必ず「売れる理由」があるのだ。

天才は3回でできることを、凡才は100回も200回も練習する。天才には追いつけないが、練習していくうちに「コツ」がつかめるようになる。

「好きなこと」で、一位になるまで準備し続けるのだ。人生というものは、たくさんの人が一本の鉄棒にぶら下がっているようなものだと。あと10秒、あと10秒と最後まで我慢してぶら下がるのだ。


歌詞は一枚のスナップ写真

つんく♂は「歌詞は一枚のスナップ写真であるべきだ」と語る。「津軽海峡冬景色」などのヒット曲は一枚の写真から出来ているという。



素人が作詞をすると、だんだんに時間や場所がずれてしまう。

歌い方にもリズムがある。誰も教えてくれなかったが、歌には基本的に一定の速度でリズムが流れている。たいてい120〜140BPM(一分当たりの脈拍数)のリズムで流れていると。

ビートルズの曲は英語の曲なのになぜ耳に残るのだろう。サザンの曲は歌詞としては聞きにくいのに、なぜ耳に心地よいのだろう。逆に声はいいのに、なぜか心に訴えかけてこない歌手がいるのはなぜなのだろう。



こんなことを考え、歌い方のリズムが違うということに思い立ったという。

たとえば小林克也の英語はネイティブに近いと言われるが、その要素の一つは英語のリズムでしゃべるからだという。



これに気づいて、「シングルベッド」のサビは、「シイインンングウウルベエエエッドで」と細かく16ビートを感じるように割ってリズムを取っているのだ。

モーニング娘。も素人だった女の子達をこのリズム感で鍛えた。あのはじけるリズム感は訓練で身につけたものなのだと。




つんく♂はエネルギー業者

つんく♂は、言葉を組み合わせて詞をつくり、音楽に乗せて一つ一つの語句の持つエネルギーを何百倍、何千倍もの爆発的なパワーに変えていく。

だから音楽というエネルギーを取り扱う業者なのだと。人はみんなエネルギー業者といえるので、自分もどうやれば世の中にプラスのエネルギーを供給できるかと考えているという。


人生で大事なことはすべてわが家で学んだ

最近は似たようなタイトルの本がいくつも出ているが、人生で大事なことの基本は、すべてわが家の手伝いを通じて学んだのではないかとつんく♂は語る。

それは「サービス精神」だ。「損して徳とる」、「得」ではなく「徳」をとる、つまり、相手の期待を常に上回るサービスを提供する。それをじいちゃんとばあちゃんからたたき込まれたという。

「人が遊んでいるうちに働けよ」
「『なにくそ!』と思う性根」が大事や。
「頭下げるのはタダや」
「丁稚というのは3年はやってみんと意味がない」
「3年を一日でも超えたら立派やけど、2年と364日では意味がない」

みんなじいちゃん、ばあちゃんの言葉だ。

「一番になる人」は自然と頭を下げ、いつでも笑顔をこころがけているのではないだろうか。

実家の乾物屋で手伝いして、3−4人の客を同時に相手にして間違いのないように接客するということをこなしていたという。だからモーニング娘。はじめいくつものグループを立ち上げたときも、あのころの忙しさに比べるとまだ余裕があるのだ。


アメーバのように生きる(面倒な仕事も進んで受ける)

つんく♂は、たとえ自分より知識や経験がない人でも、人の意見には必ず耳を傾けるという。相手と自分の考えをシェイクして、吸収し、自分のものにする。アメーバのように何かを吸収することによって、どんどんかたちを変えていくのだ。

自分が成功したパターンに固執しすぎると、次のステージに進んで成長出来なくなるのだ。タレントで言うとSMAPはお笑いでも何でもやろうとする心意気がある。彼らが長く人気を保っている理由の一つはそれではないか。

「面倒くさい仕事にこそ、大きな宝物が隠されている。人が面倒くさがる仕事がいちばんやりがいがあって、楽しく、報酬もでかい。得られる信用も絶大である。」と社員には言っていると語る。

モーニング娘。も元々は乗り気ではない仕事だったが、「はいわかりました」と受け、全身全霊で打ち込んだ。

「ああ、俺って、教えるの、こんなに好きやったんや」と気づかされたという。無我夢中で取り組んだモーニング娘。はシャ乱Qの成功を遙かに上回る成功を収めた。


とにかくかたちにする人

つんく♂は、「今日は曲を書く日」と決めたら絶対にその日に書くということを鉄則にしているという。

もう一日、もう一日と締め切りを延ばす人がいるが、こだわればこだわるほど良い作品ができるわけではない。

僕たち凡人が最初からミラクルを夢見て納期を守らずに仕事をするのは、あまりにもリスクが高いと語る。

自己満足は自分一人の世界でやるべきことで、少なくともビジネスの場でやるべきではない。自分の満足は大衆の満足ではない。そこを勘違いしたために、どれだけ多くの優秀な人たちが自滅していったことだろう。

ヒマな人間ほど締め切りを守れないのではないかと思えるという。

自分が満足できるフレーズが浮かばなくとも、とにかく曲に仕上げる。とにかくかたちにする。それがエネルギー業者としての流儀だと。

つんく♂は最近大震災被災者への応援歌"Love is here"を作っている。



つんく♂はたぶん芸能界でも最も忙しいプロデューサーの一人だと思うが、そのつんく♂でも締め切りはちゃんと守っている。

このつんく♂の言葉に筆者は反省するところしきりである。筆者も最終的に間に合えばよいだろうと自分勝手に考えて、締め切りを守れないことがしばしばある。

筆者も悔い改めて、つんく♂の様にやる日を決めたら必ずその日に仕上げることを心がける。

ちなみにモーニング娘。の「LOVEマシーン」は、1999年9月9日にCDを売り出すと決めていたという。



締め切りをギリギリセーフという形だったが、逆に締め切りを守ったからこそ、あれほどのヒット作品が生まれたのだと。締め切りは人間の能力を最大限に引き出す装置


つんく♂のファミリー

最後につんく♂はプライベートなことを書いている。つんく♂は奥さんと36歳の時に見合いで知り合って、結婚をきめ、西本願寺で仏前結婚式を挙げた。奥さんは先祖が導いてくれた「運命の人」だと。

結婚して、家庭を営み、子どもを授かり、育てていく。
「ああ、なんてぜいたくなことなんだ」。


最後に男の子と女の子の双子が生まれ、父親になったことを報告している。「こんなに小さな命が、僕という人間を必要としている」そう思えるだけで、とても満たされた気持ちになれたという。

つんくには3月18日に第3子の女の子が誕生している。


実にほのぼのとした読後感のある本である。しかも成功哲学の基本(成功するまでやる)をきっちり抑えている。芸能界の売れっ子プロデューサーというチャラチャラしたイメージとは異なる、しっかり自分の考えを持って生きている人がそこにいる。


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2011年04月26日

えこひいきされる技術 絶滅危惧種?の伝説の編集者・島地勝彦さんの本

えこひいきされる技術 (講談社プラスアルファ新書)えこひいきされる技術 (講談社プラスアルファ新書)
著者:島地 勝彦
講談社(2009-11-20)
販売元:Amazon.co.jp
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伝説の編集者で、集英社の「週刊プレイボーイ」、{PLAYBOY」「Bart」などの編集長を歴任した島地勝彦さんの本。

以前紹介した中島孝志さんの「本は絶対、一人で読むな!」に紹介されていたので、読んでみた。


柴田錬三郎・今東光

島地さんは編集者になりたての時に「眠狂四郎」を生み出した柴田錬三郎さんの担当になった。

眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)
著者:柴田 錬三郎
新潮社(1960-08)
販売元:Amazon.co.jp
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われら九人の戦鬼(上) (集英社文庫)われら九人の戦鬼(上) (集英社文庫)
著者:柴田 錬三郎
集英社(2005-07-20)
販売元:Amazon.co.jp
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柴田蓮三郎さんに”えこひいき”され、集英社でも小説を書いて貰った。それから今東光さんに”えこひいき”されて「週刊プレイボーイ」で「極道辻説法」というコラムを書いてもらった。

極道辻説法 (集英社文庫)
著者:今 東光
集英社(1983-06)
販売元:Amazon.co.jp
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毒舌 身の上相談 (集英社文庫)毒舌 身の上相談 (集英社文庫)
著者:今 東光
集英社(1994-05-20)
販売元:Amazon.co.jp
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開高健

後でまるで双子といわれた開高健さんに「週刊プレイボーイ」の人生相談コーナーを頼んだ時は、「こんなに好きなんです」と叫び、開高健さんを押し倒し、馬乗りになって接吻した。

口に舌を入れてのど仏をなめ、「おおーちょっと、シ、シマジ君、強姦はいかん。強姦はー」ということで「人生相談」のコーナーを書いて貰ったという。

プレイボーイの人生相談 1966-2006プレイボーイの人生相談 1966-2006
集英社(2006-10-16)
販売元:Amazon.co.jp
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開高健さんとは「水の上を歩く」という共著まで出した。

水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負 (集英社文庫)
著者:開高 健
集英社(1993-01-20)
販売元:Amazon.co.jp
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柴田錬三郎さんは、開高健さんの「ロマネ・コンティ・一九三五年」を読んで、「あいつは文章がうまいねえ」と評していたという。

ロマネ・コンティ・一九三五年―六つの短篇小説 (文春文庫)ロマネ・コンティ・一九三五年―六つの短篇小説 (文春文庫)
著者:開高 健
文藝春秋(2009-12-04)
販売元:Amazon.co.jp
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開高健さんには、島地さんが「週刊プレイボーイ」の編集長に昇格したときに、「編集者マグナカルタ」という文を貰ったという。その内容は次の通りだ。


編集者マグナカルタ9章

読め。
耳をたてろ。
眼をひらいたままで眠れ。
右足で一歩一歩歩きつつ
左足で飛べ。
トラブルを歓迎しろ。
遊べ。
飲め。
抱け、抱かれろ。
森羅万象に多情多恨たれ。

補遺一つ。異性に泣かされろ。

右の諸原則を毎食前食後、
欠かさず暗誦なさるべし。

御名御璽
開高健


島地さんはこの三人の人生相談をまとめた本も出している。

乗り移り人生相談 −柴田錬三郎・今東光・開高健、降臨!!乗り移り人生相談 −柴田錬三郎・今東光・開高健、降臨!!
著者:島地 勝彦
講談社(2010-04-02)
販売元:Amazon.co.jp
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塩野七生

ローマ在住の塩野七生さんには、心のこもったみやげもの攻勢で、塩野さんに”えこひいき”され、新潮社の牙城だった塩野文学の入門書ともいえる「痛快!ローマ学」を書いて貰った。

痛快!ローマ学 (痛快!シリーズ)痛快!ローマ学 (痛快!シリーズ)
著者:塩野 七生
集英社インターナショナル(2002-12-05)
販売元:Amazon.co.jp
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資生堂名誉会長の福原義春さん

読書家で知られる資生堂名誉会長福原義春さんにも”えこひいき”され、いろいろな本を教えて貰ったという。福原さんは「だから人は本を読む」という本を書いている。

だから人は本を読むだから人は本を読む
著者:福原 義春
東洋経済新報社(2009-09-11)
販売元:Amazon.co.jp
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福原さんの推薦する本に「世界の測量」という傑作があったという。

世界の測量 ガウスとフンボルトの物語世界の測量 ガウスとフンボルトの物語
著者:ダニエル・ケールマン
三修社(2008-05-23)
販売元:Amazon.co.jp
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科学書のようなタイトルだが、植木屋のせがれの大数学者・ガウスと貴族出身の博物学者・フンボルトの交流を描いた物語だ。図書館で借りたので、今度あらすじを紹介する。


交渉は第一声のぶちかましが必要だ

「交渉は第一声のぶちかましが必要だ」という章では、ジャック・ダニエルのタイアップ広告のときに一緒になったコマーシャルカメラマンの大御所・操上和美さんのことを書いている。

島地さんが、テネシー州ナッシュビルに近いリンチバーグの蒸留所に操上さんと一緒に行ったとき、先方の広報担当に何が見たいか聞かれて、操上さんは「ジャック・ダニエルの墓が見たい」と言ったという。

ジャック・ダニエルは女にモテモテで一生独身で過ごした。死んだ後女達が墓場でかち合ってもケンカしないようにイスを二つ置くように遺言したそうだ。

その場所でコマーシャル写真を撮影したら、ちょうど雪が降ってきて最高の場面を撮れたという。ジャック・ダニエルのコマーシャルは覚えている。



リンチバーグのジャック・ダニエル醸造所には、筆者も行ったことがある。

リンチバーグはドライカウンティのため酒は売れないので、醸造所ではレモネードしか出なかったのが印象に残る。

女にモテモテという話はマユツバだと思う。というのはジャック・ダニエルは風采のあがらない小男だったからだ。

筆者もジャック・ダニエルが好きだが、島地さんはジャック・ダニエルを毎晩愛飲していたという。

「ジャック・ダニエルはよく飲んでいるか?」と広報の人に聞かれ、「朝、シャワーを浴びたあと、脇の下にジャック・ダニエルを付けるんだ。ヒゲを剃ったあとにもジャック・ダニエルを付ける。誕生日にはバスの中にジャック・ダニエルを数滴垂らすんだ」と言ったという。

広報の人はびっくりして、帰りに社長室にあったジャック・ダニエルの古い大きなボトルと、千坪の樫の木林まで貰ったという。


田中角栄元秘書の早坂茂三

田中角栄元秘書の早坂茂三さんの話も面白い。

田中角栄が亡くなった時に、田中真紀子は早坂茂三さんを葬儀場に入れなかったという。その早坂茂三さんに頼んで書いたもらった追悼文が紹介されているので、引用して紹介しておく。

「田中角栄が昭和9年3月15日、たった一人で東京にやってきた。15歳。吃音で対人赤面恐怖症の少年が越後から13時間かけて上野駅に着いた。

少年が上京するとき、母親ははなむけの十円札を少年の胴巻のなかにしのばせて送り出した。

そのころ角栄の姉さんの一人は、戦前の日本の女としてはもっとも辛い商売をやっていた。この姉さんが毎月おふくろにハトロン紙の封筒でお金を送ってきた。よれよれの一円札に糊を付けててこで真っ直ぐに伸ばして、丁寧に二つ折りにして半紙に包んで封筒のなかにいれた。

田中は54歳の若さで総理大臣になった人だけど、ある日総理官邸の天井の低い執務室で、その話をぼくにしてくれた。『あのときに姉がおふくろに送ってきた一円札を封筒から抜いて舐めてみたら、姉の涙で札が塩辛かっただろう』ーそういって、しばらくじっと窓の外を見つめていた。

田中角栄も無名の若者だった。角栄が若い人に色紙を書くとき、好んで書いた言葉がある。”末ついに海になるべき山水も、しばし木の葉の下をくぐるなり”」



絶滅危惧種の編集者

ノウハウ本のようなタイトルだが、内容はノウハウ本ではない。伝説の編集者・島地さんと作家とのディープなつきあい方がわかって面白い。

しかし、作家とこのようなつきあい方をする編集者は、もういないと思う。その意味では絶滅危惧種の編集者の本と言うべきなのかもしれない。


幻冬舎見城さんとの違い

蛇足ながら、筆者の感想を一言だけ付け加えると、編集者と作家の編集上のやりとりが紹介されていれば、もっと良かったと思う。

以前紹介した幻冬舎の見城社長の本にあった編集者のやりとりのあらすじを紹介しておく。

編集者という病い (集英社文庫)編集者という病い (集英社文庫)
著者:見城 徹
集英社(2009-03-19)
販売元:Amazon.co.jp
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「編集者は作者とギリギリの勝負を挑むが、創作しているのは作者である。

見城さんは日本一の偽物になろうと決めたという。

何百人という本物の表現者を相手に、偽物としての栄光を手にしようと誓ったのだと。編集者は自分が感動できて、それを世にしらしめたいと思うからやっていける。

見城さんが編集した作品は朱がやたらと入っていたという。

「こういうせりふを言う人は、こういうセックスはしません」とか、「赤く染めたカーリーヘアーの女が一服するときに吸うたばこはセブンスターじゃなくて、ハイライトじゃないでしょうか」とかいった具合だ。」


あるいは見城さんは、別の絶滅危惧種編集者なのかもしれない。

今回のあらすじは本の紹介ばかりで、まるでアフィリエイトサイトの様になって申し訳ない。いずれにせよ楽しく読める本である。


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2011年02月23日

あなたはこうして成功する マーフィーの成功法則

あなたはこうして成功する 新装版―マーフィーの成功法則あなたはこうして成功する 新装版―マーフィーの成功法則
著者:マーフィー
産能大出版部(1984-01-11)
販売元:Amazon.co.jp
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ドハデな火山学者として知られる鎌田浩毅京大教授の「知的生産な生き方」にすべての成功哲学のネタ本としてカーネギーの「人を動かす」と一緒にマーフィーの成功哲学も取り上げられていたので読んでみた。

京大・鎌田流 知的生産な生き方―ロールモデルを求めて京大・鎌田流 知的生産な生き方―ロールモデルを求めて
著者:鎌田 浩毅
東洋経済新報社(2009-10-30)
販売元:Amazon.co.jp
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人を動かす 新装版人を動かす 新装版
著者:デール カーネギー
創元社(1999-10-31)
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もっとも鎌田教授がそれこそ100回以上も読んだと言っているのは、「マーフィー 100の成功法則」の方だが、たまたまこちらは筆者の利用している3つの図書館には置いていなかったので、とりあえずこの本を読んでみた。

マーフィー100の成功法則 (知的生きかた文庫)マーフィー100の成功法則 (知的生きかた文庫)
著者:大島 淳一
三笠書房(2001-04)
販売元:Amazon.co.jp
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マーフィーにはもう一つ「眠りながら成功する」というベストセラーがある。

眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用
著者:ジョセフ・マーフィー
産能大出版部(1989-11-01)
販売元:Amazon.co.jp
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この本の訳者の「大島淳一」という人は、渡部昇一さんだ。上記の「マーフィー100の成功法則」は筆者の使っている図書館には置いていなかったので、書店で買ったら渡部昇一さんが「大島淳一」と名乗った事情を明らかにしている。

マーフィーの一連の成功法則に感動した渡部昇一さんが、1950年代に日本に紹介しようとしたが、人生哲学のような本を若い渡部さんが出しても信ぴょう性に欠けるので「大島淳一」というペンネームを使ったのだという。

この「あなたはこうして成功する」を読んで、たしかに鎌田教授が言っている「タネ本」という意味がわかった。

たとえばこのブログで紹介した京セラの稲盛和夫名誉会長の「生き方」にも、「心に描いたものが実現するという宇宙の法則」というように紹介されているが、これはまさにマーフィーの成功法則のことである。

生き方―人間として一番大切なこと生き方―人間として一番大切なこと
著者:稲盛 和夫
サンマーク出版(2004-07)
販売元:Amazon.co.jp
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「あなたはこうして成功する」の一番最初に「あなたの願いは必ず実現します」という一文が載せられているが、これも稲盛さんの書いた「君の思いは必ず実現する」という本のタイトルそのままだ。

君の思いは必ず実現する―二十一世紀の子供たちへ君の思いは必ず実現する―二十一世紀の子供たちへ
著者:稲盛 和夫
財界研究所(2004-04)
販売元:Amazon.co.jp
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別にタネ本があるからといって、稲盛さんの著作の価値が下がる訳ではないが、鎌田教授に指摘されなければ、マーフィーの成功哲学というカーネギーとも並び称されるという一連のシリーズ物に気が付かなかった。

この「あなたはこうして成功する」は、マーフィーと大島淳一の対談という形式をとっている。

マーフィーの成功法則は非常にシンプルだ。

それは次のステップである。

1.願望をいくらでも頭に思い浮かぶまま「現在進行形で」紙に書き留める。

2.自分がその願望を実現しているところを頭に描いて実感し、自分の潜在意識に送り込む。

3.静かにしているときに心に浮かんでくるアイデアを実行に移す。

この場合重要なのは、「潜在意識は冗談がわからない」という言葉で表現されることだ。つまり潜在意識は自分の本音しか受け付けない。潜在意識は神と同じで、本当に信じ込まないとダメなのだ。

マーフィーは、ブリストルの「信念の魔術」のような自己暗示は危険だと語る。潜在意識は本音をキャッチするからだと。

信念の魔術 新装版信念の魔術 新装版
著者:大原 武夫
ダイヤモンド社(1982-02)
販売元:Amazon.co.jp
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潜在意識は諸刃の剣となるので、願望はすべて「現在進行形」として、逆暗示を避けるべきだと語る。これがマーフィー理論の基礎をなすものだ。

そして何度も繰り返すことを勧める。潜在意識に効果的に刻印するには、繰り返すことがきわめて重要なのだと。

シンプルであるが、実用性が高い成功法則だと思う。鎌田教授が紹介する「マーフィー100の成功法則」も買ったので、今度あらすじを紹介する。


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2010年08月27日

ハイ・フライヤー リーダーは生まれつきではない 育成できる

ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法
著者:モーガン マッコール
販売元:プレジデント社
発売日:2002-01
おすすめ度:4.0
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南カリフォルニア大学大学院のモーガン・マッコール教授のリーダーシップ論。

このブログで紹介している海老原嗣生さんの本にもたびたび引用されていたので、読んでみた。

課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣
著者:海老原 嗣生
販売元:朝日新聞出版
発売日:2010-05-20
おすすめ度:3.5
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この本ではリーダーに必要な素質として「ライト・スタッフ=何かいいもの」を挙げ、米国初めての宇宙飛行士となった米軍パイロット7人の映画「ライト・スタッフ」を取り上げている。

ライトスタッフ [DVD]ライトスタッフ [DVD]
出演:サム・シェパード
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2009-09-09
おすすめ度:5.0
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空軍ジェット機のテストパイロットや海兵隊、海軍のエースパイロットが集められ、試験を受けて7人が宇宙飛行士として選抜され、それぞれがロケット飛行をする。

一方空軍の最高のテストパイロットと言われた伝説の人物は、宇宙飛行士にはならず、テストパイロットとしてのキャリアを続けるというストーリーだ。


マトリョーシカモデルの崩壊

この本では海老原さんが「マトリョーシカモデルの崩壊」と呼ぶ問題点が指摘されている。

マトリョーシカはサイズの異なる人形が何層にも重ねられている人形で、元から才能を持った人が段々に才能を発揮するパターンだ。

マトリョーシカモデルは、たとえばピアニストが若くして才能を発揮するというパターンには当てはまるが、政治家や経営者などのリーダーには当てはまらない。

リーダーは素質が開花するのではなく、経験から学習する能力のある人間が、経験を積み重ねてリーダーとなるのである。


経験から学習する能力

ところで「経験から学習する能力」はみんなが持っているものではない。

成功したスポーツ選手を見るとよくわかるが、たとえば松井秀喜は打ったホームランをすべて記憶しているという。ホームランを記憶しているくらいだから、もちろん討ち取られたパターンや球種なども当然すべて記憶しているのだろう。

筆者はゴルフが全然上達しないので、ゴルフから引退しているが、これもゴルフから学ぶ能力がないからだと思う。上手いゴルファーはたとえアマチュアでも、ゴルフ場のコースを良く覚えていて、自分がどう打ったかも記憶している。

野球の3割打者でも、7割はアウトだし、ゴルフも失敗の連続だ。その失敗から学べる能力がある人が成功するのだ。


ビジネスリーダーと良いトラック・レコード

そしてビジネスリーダーは良い「トラック・レコード」(実績)があるから、昇進やヘッドハンティングで上のポジションをつかみ取る。

しかし、並はずれた強みを持っていても、それが逆に弱みになったり、見えなかった問題点が出てきたり、成功によって傲慢になったりして、脱線(Derailment)してしまうケースがある。

「強みが弱みになる」とは、わかりにくい表現かもしれないので、例を示しておく。

次はこの本に紹介されているあるグローパル企業が実際につくったコンピテンシーリストだ。

「強み」を裏返すと「弱み」にもなるという関係がわかると思う。

強みが弱みに





出典:本書69ページ

アメリカ型のキャリアでは、社外からヘッドハンティングなどで経営幹部として登用された人は、社内で実務を行う上で役立つ人間関係を時間を掛けてつくることをしないと、やはり脱線することが多い。


結論としては、キャリア開発は次のようなフロー図で説明している。

リーダーシップ開発モデル





出典:本書261ページ



才能ある人物 → 育成するメカニズム → 経験 → 事業戦略を教える研修等 → 触媒(経験を学習に転換するフィードバックなど) → ライト・スタッフ(リーダー)

という図式だ。


リーダーは育成できる。元から素質が違うという「適者生存」の考え方から、「適者開発」という概念に移行することがリーダーシップ開発に重要だという。


日本もアメリカもリーダー育成という面では、共通点が多いことがわかった。参考になる本である。


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2010年08月10日

リーダーシップ・チャレンジ リーダーシップの教科書

リーダーシップ・チャレンジリーダーシップ・チャレンジ
著者:ジェームズ・M・クーゼス
販売元:海と月社
発売日:2010-02-19
おすすめ度:3.5
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2010年2月に出たばかりのリーダーシップ論ということで、東洋経済だったろうか、書評で紹介されていたので読んでみた。

筆者のジェームズ・M・クーゼス教授とバリー・Z・ポズナー教授は、いずれもサンタクララ大学リービーMBAスクールの先生だ。本の帯には「世界各国で刊行。180万部突破!最も信頼され、最も読まれているリーダーシップ実践テキストの最高峰、待望の邦訳。トム・ピーターズ激賞」と書いてある。

トム・ピーターズは名著エクセレント・カンパニーの著者として有名だ。彼の推薦文は「本書が20年以上読まれているのには理由がある。膨大なデータ研究に基づいている、極めて実用的である、そしてなにより読む者の魂をゆさぶるからだ」となっている。

エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)エクセレント・カンパニー (Eijipress business classics)
著者:トム・ピーターズ
販売元:英治出版
発売日:2003-07-26
おすすめ度:4.5
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監訳は神戸大学の金井壽宏教授で、金井教授は次に紹介する「ハイ・フライヤー」の監訳も務めている。

最初に「リーダーシップ育成に最適の指南書」と題する金井教授の推薦文がある。

「もしも、英語が分かる人で10年以上リーダーシップの研究や研修に携わっていながらこの本を知らない人がいたら、その人は『もぐり』だ。」と金井教授は語る。

この本を知らなかった筆者はまさに「もぐり」にあたるが、かくいう金井教授も2004ー5年頃にこの本(1987年発刊)のオーディオブックで知ったようなので、ここまで言い切るのが不思議に思え、正直、半信半疑で読んでみた。


内容はまさに「教科書」

ともあれ、内容はまさに「教科書」である。大学とかのリーダーシップ論で使うテキストとして最適だと思う。本の構成も活字が大きく、スペースを空けているので、読みやすい。

翻訳を読んで、気に入ったので、オーディブルで原著を購入してダウンロードした。具体例が多く、実戦的なのでオーディオブックでもわかりやすいと思う。また著者自身が交代で吹き込んでいるので、講義の「臨場感」が楽しめる。

Leadership Challenge: The Most Trusted Source on Becoming a Better Leader (J-B Leadership Challenge: Kouzes/Posner)Leadership Challenge: The Most Trusted Source on Becoming a Better Leader (J-B Leadership Challenge: Kouzes/Posner)
著者:James M. Kouzes
販売元:Your Coach Digital
発売日:2007-09-04
クチコミを見る



リーダーには信頼が不可欠

メンバーが求めるリーダー像として、75,000人以上からのアンケート結果から、次の4つの特質を挙げている。

1.正直である=honest

2.先見の明がある=forward-looking

3.わくわくさせてくれる=inspiring

4.有能である=competent

この本の初めの部分で「リーダーシップは関係である」と語っており、リーダーシップの第1法則、第2法則を次の通り紹介している。

第1法則:自分が信頼されていなければ、自分が伝えるメッセージも信頼されない。

第2法則:やるといったことは、必ずやり遂げる

すべての基礎は「信頼にあり」、信頼がなければ始まらない、「言行が一致しているリーダーは信頼される」。まさにその通りだと思う。


リーダーの5つの実践指針

この本は模範的リーダーの「5つの実践指針=Practice」として次を挙げている。コミュニケーションに関するものが多いことに気づくと思う。

1.模範となる=model the way

2.共通のビジョンで鼓舞する=inspire a shared vision

3.現状を改革する=challenge the process

4.行動できる環境をつくる=enable others to act

5.心から励ます=encourage the heart


リーダーシップ資質体系表

上記5つの実践指針にそれぞれ2つ、合計10のコミットメントを結びつけ、さらにそれぞれのコミットメント(実践)に2つずつ、合計20のエッセンシャル(具体的行動)を結びつけ、リーダーシップを体系づけている。

それをまとめたものが本書巻末にある一覧表だ。

リーダシップ・チャレンジ











出典:本書425ページ

この表だけ見ても、内容は分からないと思うが、400ページあまりの本書のなかで、これらの5,10,20のポイントを米国企業での具体例を多く挙げて説明しており、わかりやすい。


「コミットメント>具体的行動+実践のためのステップ」という構造

10のコミットメントには「実践のためのステップ」というセクションがついており、具体的な行動を示唆して、まさに実践的な教科書だ。

例として、2つの章から成る第3部の「共通のビジョンで鼓舞する」の目次構成を紹介しておく。

「5.未来を思い描く」がコミットメント、「(5)可能性を探る」が具体的行動、★が具体的行動のアクション例、そして最後に「実践のためのステップ」が付くという構造だ。


5.未来を思い描く(まずはゴールを想像します。何を達成しようとしているのかを明確にしてから、実現の方法を考えるのです。)

(5)可能性を探る
 ★ 過去を振り返る
 ★ 現在に注意を払う
 ★ 未来を予想する
 ★ 自分の中の情熱を感じる

(6)共通の目的を見つける
 ★ 話をじっくりと聞く
 ★ 仕事の意義に注目する
 ★ 大義を与える
 ★ 先見の明を持つ

<実践のためのステップ>
 ★ 自分のしたいことを明確にする
 ★ 常に先を考えて行動する
 ★ メンバーが求めているものをたずねる

6.メンバーの協力を得る
(7)共通の理想に訴える
 ★ メンバーの共感を得る
 ★ ”ちがい”に誇りを持つ
 ★ 夢はひとつに
   ここではマーチン・ルーサー・キングの"I have a dream"演説が紹介されている。 



(8)ビジョンをいきいきと描く
 ★ イメージがわく表現を心がける
 ★ 未来のイメージは具体的に語る
 ★ 前向きな言葉で話す
 ★ 感情を込める
 ★ 本心から話す

<実践のためのステップ>
 ★ 共通のビジョンを書く
 ★ ビジョンに命を吹き込む
 ★ コミュニケーション能力と表現力を磨く
   名演説を集めたDVDを参考にするのも一案だと。

デール・カーネギーやスティーブン・コヴィーが説くポイントも織り込んで構成していることがわかると思う。


万人のためのリーダーシップ

最後の「万人のためのリーダーシップ」で「誰でもすぐれたリーダーになれる」として、心構えをまとめている。

 ★ 組織でもっとも重要なリーダーはあなたである
 ★ リーダーシップは誰でも習得できる
 ★ 実践すれば必ず実を結ぶ
 ★ 自分のリーダーになることから始める
 ★ メンバーを高みにみちびくリーダーであれ
 ★ 常に謙虚であれ

エクゼクティブサーチ会社のエゴンゼンダー・インターナショナルの名誉会長エゴン・ゼンダーのアドバイスを紹介している。

「仲間の言葉に耳を傾けましょう。彼らはあなたよりも多くを知っています。一方下がって、自分を正す謙虚さを持つのです」

一流のリーダーは「ひとりでは何もできない」ことを理解している。それに対して、つかの間の成功に浮かれているリーダーは見栄っ張りでプライドが高い。

 ★ チャンスは「今この瞬間」にある
 ★ リーダーシップと人生の成功の秘訣は同じである

そして最終結論は次の言葉だ。

「リーダーの歩む道は決して平坦ではないが、どんなときも変わらず、最後までリーダーを支えてくれるものは愛だ。愛がなければ情熱は生まれない。もし情熱がなければ、どうして来る日も来る日も身を粉にして働くことができるだろう?

すぐれたリーダーになるための最大の秘訣。それは「愛」だ。リーダーであることを愛し、ともに仕事をしてくれる仲間を愛し、組織が提供している製品やサービスを愛し、それを使うことで組織に敬意を表してくれる顧客を愛し続ける

リーダーシップとは、頭ではなく、心で行われるものなのだ」


筆者もまさに同感である。


カーネギーやコヴィーの本に比べて、平板な印象があるが、ポイントを網羅した「教科書」なのでやむをえないところかもしれない。

監訳者の金井神戸大学教授が言うように、読んだことがなくとも「もぐり」とは思わないが、一度読んでみる価値はあると思う。


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2010年08月03日

課長になったらクビにはならない 30代からは「一所懸命」が原則

+++今回のあらすじは長いです+++

課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣課長になったらクビにはならない 日本型雇用におけるキャリア成功の秘訣
著者:海老原 嗣生
販売元:朝日新聞出版
発売日:2010-05-20
おすすめ度:3.5
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リクルートエージェントの転職誌「HRmics」編集長で、HRコンサル会社ニッチモ社長の海老原嗣生(つぐお)さんの最新作。

海老原さんは、マンガ「エンゼルバンク」のカリスマ転職代理人海老沢康生のモデルだ。

エンゼルバンク ドラゴン桜外伝(1) (モーニングKC)エンゼルバンク ドラゴン桜外伝(1) (モーニングKC)
著者:三田 紀房
販売元:講談社
発売日:2008-01-23
おすすめ度:3.5
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以前紹介した海老原さんの前作「学歴の耐えられない軽さ」が良かったので、最新作を読んでみた。

「学歴の耐えられない軽さ」は”売らんかな”のタイトルが内容を表していない欠点はあるが、統計資料を駆使して大学進学率が50%を超えた事による大学のレベルの低下と、新卒/第二新卒の就職状況についてのわかりやすい説明は大変参考になった。

学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識
著者:海老原 嗣生
販売元:朝日新聞出版
発売日:2009-12-18
おすすめ度:4.0
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課長の壁

「学歴の耐えられない軽さ」が10代ー20代向けだったのに対して、この本は30代以降向けにどうするかを書いたという。結論としては、「目の前の仕事を頑張るだけで良いんじゃないですか」というものだ。つまり「一所懸命」のススメだ。

世の中には「課長の壁」というものがあり、日本でも35歳が転職の限界年齢だ。OECDの年代別転職率の統計を使って、熟年期に転職収束は世界共通の現象であることを説明している。

35歳以降に転職する人は、スペシャリストとして転職を繰り返し、一つの企業には定着しない傾向にある。会社としてもスペシャリストとして採用した人材は転用が効かず使いづらいのだ。

この結果、よく言うと特定分野のスペシャリスト、悪く言うとジョブホッパーになってしまうのだ。


IBM本社の人材開発部長の話

海老原さんがIBM本社の人材開発担当部長に聞いた話を紹介している。IBMでは30代のSE(システムエンジニア)に、技術やコンサルティング能力をつけさせるために社員教育に力を注いでいる。

それでは人材流出に繋がるのではないかと海老原さんが質問すると、IBMの最高の機材、設備を使い、IBM流に教育することが、最大の転職防止策になっているのだとIBMの部長は答えたという。

IBM流にローカラーズされた環境で学んだスキルや仕事のやり方が身に付くと、マッキンゼーやHPが好条件で迎えてくれるといっても、違った環境にあわすのがおっくうになるのだと。

つまりポータブルなスキルではなく、「企業内特殊熟練」の結果だ。これは自由闊達なリクルートグループでも当てはまると海老原さんは言う。

しかし天才はそれでもIBMを出て行くが、そういった天才は出て行ってIBM流を他でも広め、やがては業界標準になるので、むしろ好ましいのだという。


課長になったらクビにはならない

この本のタイトルの「課長になったらクビにはならない」というのは、「課長になったらリストラはされない。だから今の会社に居続ければ良い」という意味だ。ただし、つぶれそうな会社でないことと、最低査定でないことが必要条件だ。

世間一般で言われているリストラは、実は主に非正規雇用者をまず対象にしている。

正社員を対象にしている場合でも、本社から子会社への出向が含まれており、正社員をリストラする場合には、早期退職制度で手厚い退職金を支払う。

指名解雇によるリストラのようなことを正社員に実施するわけではなく、かえって優秀な社員が早期退職優遇制度で辞めていってしまうケースが多く出てくるという。


リストラは組織再生が目的

優秀な社員が辞めてしまうリスクがあっても、企業がリストラを行う最大の理由は、組織再生だ。

社員1万人を超す大手企業では、転職ゼロの社員の割合が8割ちかくいる。結果として能力を発揮できていない「しがみつきタイプのロー・パフォーマー」、「ぶら下がり社員」を多く抱えているという。

これが日本型雇用の最大の問題点であり、組織再生のために1割程度のローパフォーマーを主対象にリストラを実施するのだと。


人肌あわせ採用の減少

日本の採用は。かつてはOB訪問、リクルーターとの面談を経て、会社説明会からの採用ステップが始まる「人肌あわせ」型採用だった。

しかし、ネットによる大量エントリー時代になると「人肌あわせ」がなくなり、就職上位200社総なめ応募といった「モンスターアプリカント」が出現しているという。

昔は指定校制度というのがあった。一流企業ではMARCHあたりが多かったと思う。一万人も志望者がいて、指定校制度がなければ、はじめは機械的に落とすしかないだろう。


アメリカ型キャリアが良いですか?

海老原さんはアメリカ型キャリア礼賛を切って捨てている。アメリカ型だと次の質問のようになる。

★あなたは、能力アップが給与に反映しない国がいいですか?
★あなたは、一つの仕事が肌にあわないと、辞めるしかない国がいいですか?
★あなたは、社内の4人に一人が、退職準備をしている国がいいですか?
★あなたは、社長や役員を外から採用する国でいいですか?
★あなたは、名門校のMBAがないと社内でのし上がれない国がいいですか?

アメリカ礼賛という「箱モノ」=職務主義と、今の日本の社員キャリアディベロプメント制度をよく比較して欲しいという。

最初の質問の「あなたは、能力アップが給与に反映しない国がいいですか?」にまつわる話は、筆者にも経験がある。

最初にアメリカに駐在した時に、会社がパフォーマンスレビュー制度を導入することになった。そのときの部下面接のマニュアルで、経理部の部下が「MBA取ったのでマネージャーにして欲しい」と言ってきた時にどう対処するかという模擬設問もあった。

そのときの答えは、たしか「やっている仕事が同じならば、待遇は変わらない」と拒絶する。

ただ「今やっている仕事でMBA資格を生かして、能力を発揮すれば評価は上がり、昇進の道も開けるよ」とフォローするという様なものだったと思う。

統計を使ったアメリカの大学生の就職活動についての話も参考になる。アメリカも日本も大学生の就職についてはあまり変わらないのだと。


福島社民党党首の話

「アンチ箱モノ行政の社民党福島党首が箱モノ雇用論に終始する矛盾」というのも面白い。

海老原さんは14年ほど前に弁護士時代の福島さんにインタビューした経験があるが、男女別姓議論のなかで「お墓はどうするのか」といった現実論を聞いたら、「ディテールを今考えるのはおかしい」と言われて失望したという。

その福島さんが社民党党首として次をスローガンで掲げている。

★年収200万円以下のワーキングプアーが1022万人もいる!
★全国一律自給1000円以上に最低賃金法を改正すべき!
★同一価値労働同一賃金を徹底し、派遣労働者にも正社員並待遇を!

海老原さんは、このような耳障りだけ良いが、中身は空虚なものを「箱モノ雇用」と呼んでいるという。その理由は次の通りだ。

ワーキングプアーの正体は働く主婦(と高校生・大学生のバイト、年金をもらいながら働いている老齢者、個人事業者の家族専従者)だという。

ワーキングプアは641万人という厚生労働省発表があったので、紹介しておく。

最低賃金法改正は弱者切り捨てだ。最低賃金も払えない企業は、廃業するしか他に道がなくなるからだ。

同一価値労働同一賃金も、司法判断で正社員は監督責任があることと、転勤を拒否できないので、2割程度の差は容認されている。実際には企業は正社員と非正規雇用者とは仕事の内容を分けて、こういった議論が起きないようにしているという。


「手に職をつける」は誤解

「手に職をつけるための自己啓発が有効」という一般常識にも警鐘を鳴らす。むしろ「資格や語学を身につけても、キャリアにとってはそれほどプラスになることはない。逆にマイナスになることも少なくない」と語る。

たとえばSE(システムエンジニア)やウェブデザイナーだ。20代後半以降であれば、企業はたとえ学校に行って資格を取ってきても、未経験者は採用しない。SEやウェブデザイナー不足の現在でもこれは変わらない。

SEやウェブデザイナーは重労働で忍耐力が必要で、嫌な仕事も引き受け、クライアントの罵声にも耐え、同僚が脱落してもその穴を埋めるチームワーク良く働けることが必要だからだ。

資格や専門知識より経験が生きるのだ。

資格専門知識VS実務能力







出典:本書124ページ

IT企業の現場を経験した筆者には、この話はなるほどと納得できる。筆者はシステム関係の責任者だったことがあり、この時会社生活で初めて完徹(完全徹夜)をしたことがある。

ちょうど新システムスタート直前で、人手が足らずに、初級シスアド資格がある筆者も、商品データをひたすらインプットする作業を手伝ったのだ。

新システムスタート日は決まっており、まさに時間との闘いで、システムとマーケティング関係者の多くが完徹し、「人柱」状態だったが、このようなことがシステム開発ではありうるのだ。

SEやウェブデザイナーの資格を取ったら、面接では今までの仕事で、完徹のようながんばりを見せたことを強調すると面接で良い結果が出ると思う。これは筆者の私見だ。


英語で食っていくとしたらTOECI900点以上が必要

英語力も、外資系アドミはTOEIC900点以上、通関士は定型業務なので派遣で採用することが多いという。ちょっとぐらい英語ができるだけではダメなのだ。

英語で、丁々発止、外国人と交渉できるくらいの英語力がないと英語が出来るとはいえない。


成果主義の本当の意義

成果主義という箱モノの最大の効果は、給与は上がるものというそれまでの考えを、給与は上がったり下がったりするものと変えたことだという。これが人事制度変更の本当の意味だ。

これも正しい指摘だと思う。たしかに昔はボーナスは別として、給料は上がることしか考えられなかったが、今は業績次第で上がり下がりがあるという考え方が定着している。


キャリアは才能なんかじゃ決まらない

最後の「キャリアは才能なんかじゃ決まらない」も面白い。

人材育成の専門家の立場から、リーダーシップ論の変遷を論じている。

1950年代まで : 個性、能力、人格、知能などの個人の持って生まれたものを研究対象としていた。

1950年代 : 「グレートマンズ・セオリーの破綻」=持って生まれたものでなく、行動や価値観、マネージメントスタイルに注目し、特に「達成動機の高い人」を選抜すればグレートマンが多く誕生するという考えが広まる。

「達成動機の高い人」の見分け方の一例が、ロールシャッハテストだという。あのわけのわからないテストの目的が、「達成動機」だったとは初めて知った。

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出典:Wikipedia(以下同じ)

しかし「達成動機の高い人」を大量に採用しても、多くは脱落していったという。

そして、2000年前後に登場した説が、リーダーに種はない、特性が共通しているのではなく、経験が共通しているのだというマッコールが「ハイ・フライヤー」で主張した説だ。

ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法ハイ・フライヤー―次世代リーダーの育成法
著者:モーガン マッコール
販売元:プレジデント社
発売日:2002-01
おすすめ度:4.0
クチコミを見る


「ハイ・フライヤー」も読んだので、今度あらすじを紹介する。


江副さんの名言

海老原さんはリクルートの江副さんの言葉として次を紹介している。

「10代、20代で名を残す名アーティスト、名選手は多い。しかし、10代、20代で名を馳せた経営者はいない」

当たり前のことではあるが、この言葉の意味は深い。

マッコールは「マトリョーシカモデルの崩壊」と呼んでいる。つまりマトリョーシカの様に、リーダーは初めからリーダーとしての素質を持っているのではなく、リーダーは経験を通して育つものなのだ。だから誰でもリーダーになれる。

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海老原さんが直接取材した時に、マッコールはリーダーシップを獲得する条件として次を説明していたという。

1.経験に飛び込んでいく勇気がある人は、成長が早い。
2.経験から物事を学ぶ姿勢が出来ている人は、成長が早い。

それだけでは、当たり前ではないかと海老原さんが食い下がると、マッコールは次を個人的信条として付け加えたという。

3.失敗や間違いを認められる謙虚な姿勢が必要。


ビジネスパーソン勝利の法則

たとえば営業に配属され、内向的な性格のせいで最初のうちは同期に差を付けられても、やがてはその内向性を生かした分析力を生かした提案型営業として成功する可能性がある。

だから弱気、人見知り、くよくよ気にするという性格でも、反省・熟慮・進歩を経て、情報収集・分析・企画力を生かして実績をつくれば、提案型営業ができる。

内向きな性格を、経験と工夫でカバーして、営業のエースになれるのだ。

コンピテンシーと適性の違い






出典:本書153ページ

昔のイチローのニッサンのコマーシャルではないが、「変わらなきゃ」が出来る人は、どんどん自分を変えていけるのだ。


課長になればリストラされない

中間管理職は転職はできないが、課長になればリストラされることは多分ない。

海老原さんの結論は、「30歳を過ぎているあなたは、目の前の階段をゆっくり上っていくだけで、いいんです。むやみに横道にそれるのは、百害あって一利なしです。とりわけ、日本はその傾向が強いですよ。」ということだ。

そして年代別に次の能力を身につけていくのだ。

キャリアを考える上で大切なこと





出典:本書160ページ

最後に筆者も好きなアップルのスティーブ・ジョッブスのスタンフォードでの卒業式スピーチを引用して、夢を求め続けること、そして目の前のことを真剣に毎日やることを勧めている。



ジョッブスのスピーチの日本語訳と日本語字幕のビデオが載っているブログを見つけたので、日本語版は参照してほしい。

結論は「目の前の仕事を真剣に取り組め」、つまり「一所懸命」という当たり前なことだ。

たとえば三木谷さんも「成功のコンセプト」で同じ事を言っている。

成功のコンセプト (幻冬舎文庫)成功のコンセプト (幻冬舎文庫)
著者:三木谷 浩史
販売元:幻冬舎
発売日:2009-12
おすすめ度:4.5
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三木谷さんは、興銀(現みずほコーポレート銀行)に入社し、最初は外国為替部というルーティンワークの典型のような職場に配属された。しかしクサらず、一所懸命仕事をこなし、効率を上げる努力をしたことが評価され、MBA留学生に選ばれ、ハーバードで学んだ。


奇抜なタイトルだし、書きっぷりも軽妙だが、内容は濃い。

なぜ今の仕事に真剣に取り組むことが社内での昇進に繋がるのか、なぜ社内調整役割が日本の会社でのキャリアーディベロプメントで重要なのかよくわかる。

30代といわず、20代の社員にも自分の会社でのキャリアディベロプメントの道筋を客観的に見るという意味で、お薦めしたい本だ。


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2010年01月20日

変な人が書いた成功法則 斉藤一人さんの成功するマインドセット

変な人が書いた成功法則 (講談社プラスアルファ文庫)変な人が書いた成功法則 (講談社プラスアルファ文庫)
著者:斎藤 一人
販売元:講談社
発売日:2003-04
おすすめ度:4.5
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ブログのアフィリエイト売り上げの中に入っていたので、興味を惹かれて読んでみた。


斉藤一人さんは連続高額納税者

斉藤一人(ひとり)さんは1993年以来全国高額納税者番付のトップ10に入っている唯一の人物で、2006年に高額納税者番付が廃止されるまで、トップ10入りを維持した伝説の人だ。1997年と2003年は納税額全国No.1となっている。

斉藤さんは1948年生まれ。中学卒業後、様々な職業を経験し、漢方薬をベースにした化粧品や健康食品の銀座日本漢方研究所(現・銀座まるかん)という化粧品、ダイエット食品の会社を経営しており、高額所得番付に載った所得は、不動産所得などの一時的利益はなく、すべて事業所得だという。

「スリムドカン」というダイエットサプリメントが主力商品の一つだ。



テレビ等のマスコミには一切顔を出さないようなので、得体が知れない。上記のCMも、そもそも「スリムドカン」というベタなネーミングもかなり変わっており、たしかにこの本のタイトルのように「変な人」だ。

正直、この本にはほとんど期待していなかったが、思いの外参考になった。

この記事のタイトルで書いたように、成功するマインドセット、つまり心の持ち方のことをこの本では書いている。

斉藤さんは「困ったことは起こらない」、「私は本当は困っていない」と思うのだと。人間はそのままで完璧なのだと斉藤さんは語る。


あなたの妻、夫は、あなたの魂の修行のために現れた人間

一番参考になったのは、「あなたの妻、夫は、あなたの魂の修行のために現れた人間なのです。」という言葉だ。

夫婦は世の中で一番相性の悪い者がくっつく。それは魂の修行なのだと。たとえ相手がどんなに嫌なことをしても、相手を変えようとしないこと。相手に期待しないことだと。

男の浮気、女の買い物は一緒だと。男は浮気をやめられないし、女は買い物をやめられないと斉藤さんは語る。

男の浮気はともかく、女の買い物については、たとえば勝手にバッグなどを買っていたら、「また余計なものを買ってきて…。タンスの肥やしにするつもりなのか」などと言ってはいけないという。

「来年は、バッグが2つ買えるように頑張るからね」というのだと。この一言が言えれば、絶対女にモテる男になれるという。

筆者には到底そんな事は言えないが、そういった心の持ち方もあるのかと、なるほどとは思う。


型破りではあるが考えさせられる

神様は映画監督のようなものだ。「おまえは、百姓の通行人をやれ」と言ったら、その仕事=役割を一生懸命やるのだ。「神様が全部指示を出している」と思うのだと。

さらに斉藤さんは、人生は200年と考えて生きるのだと説く。

本気で200歳まで生きると信じているという。昔の常識は通用しない。昔は「人生50年」と言っていたのが、今は「人生100年」になっている。

今後も発明や医学の進歩で寿命100歳が、200歳にならないとは限らない。だからたとえば50歳の人は、あと30年しか残りがない、とあせるよりも、あと150年も残っていると考えるのだ。

たしかにそう考えると、生き方が全然違う。


体ではなく心が主役

体ではなく、心が主役なのだ。

心の中に神様がいる。
宇宙にも神様がいる。
その神様の声に従って事を成した者が成功を勝ちとる。

これが斉藤さんの論理なのだと。

この本の随所に、次のようなひとことが書いてある。

斉藤一人






出展:斉藤一人オフィシャルページ

たしかに思ってもみなかった考え方、マインドセットが述べられており、変な人の本ではあるが、このくらい変わっているとかえって新鮮に思える。

謙虚に読むべき本だと思う。


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2009年11月18日

続ける力 司法試験の伊藤塾 伊藤塾長の本

続ける力―仕事・勉強で成功する王道 (幻冬舎新書)続ける力―仕事・勉強で成功する王道 (幻冬舎新書)
著者:伊藤 真
販売元:幻冬舎
発売日:2008-03
おすすめ度:4.0
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司法試験など資格試験の伊藤塾の伊藤塾長の勉強法の本。

以前紹介した「超凡思考」の共著者が伊藤さんだったので、読んでみた。

超凡思考超凡思考
著者:岩瀬 大輔
販売元:幻冬舎
発売日:2009-02-10
おすすめ度:3.0
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アマゾンのなか見検索に対応していないので、章立てを紹介しておく。この本の内容が或る程度推測できると思う。

第1章 「続ける」ことはなぜ難しい

第2章 「やる気:を続ける技術

第3章 一流になる人の学び続ける技術

第4章 勉強・仕事をやりとげる計画術

第5章 とっておきの記憶術

第6章 ピンチを切り抜け、事業を続ける

第7章 「やりたいこと」をやり続ける人生

第8章 「続ける」ことから「力」が生まれる


勝利するコツ

筆者も学生時代は3年、4年の時に挑戦したことがあるが、司法試験という何年も挑戦し続けないと合格できない特殊且つ難しい試験の予備校を経営しているだけあって、まずはあきらめないことを強く訴える。

もう少しで合格できるレベルのところに来ているのだから、あきらめずに続けよう、「もうダメだと思うときこそ、ゴールが近い」、「スランプになるのは、がんばっている証拠」なのだと。

何年も受験勉強を続ける必要があるので、まさに「やる気」を続けるコツを伝授している。それは変わったことではない。


コツコツカツコツ

基本は、筆者が尊敬するビジネスコンサルタント新将命さんの言葉をお借りすると「コツコツカツコツ」つまり「コツコツ=勝つコツ」だ。

伊藤さんは、ゴールからの発想、ゆっくり急げ、一流になる人ほど「基本」を大事にする、やること・やったことを「見える化」する、勉強も仕事もコツは「皿回し」などとこの本で説明しているが、基本は少しづつ毎日積み上げることだ。


毎日の積み上げはブログも同じ

筆者は読んで参考になった本の内容を備忘録として書き留めておくために、このブログを5年前に書き始めた。

今回が499本めで、次が500回めのエントリーとなるが、ブログを書く前と今とでは本の理解度が全然違う。

筆者は図書館を3ヶ所利用し、毎週5〜7冊の本を読み、大体1〜2冊のオーディオブックを聞いている。そして気に入った本だけを買っている。

ブログを書く前も週に3〜5冊程度の本を読んでいたので、本を読むスピードはあまり変わりがないが、本の理解度は全然違う。

伊藤さんの本でも、「覚えたことを人に話してみる」をとっておきの記憶術の一つとして紹介している。筆者も伊藤さんと同じ記憶術をこのブログで実践している。ブログにあらすじを書いてある本は、人にスラスラ説明出来るのだ。

これに対してブログを書く前に読んだ本の内容の記憶はふたしかなままだ。

たとえば最近の良い例が中谷巌さんの「プロになるならこれをやれ!」だ。

中谷巌の「プロになるならこれをやれ!」 (日経ビジネス人文庫)中谷巌の「プロになるならこれをやれ!」 (日経ビジネス人文庫)
著者:中谷 巌
販売元:日本経済新聞社
発売日:2006-09
おすすめ度:4.5
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現在はこの本は文庫になっているが、2003年10月に日経新聞社から出版された時に、図書館でリクエストしてすぐに読んだ。

読みやすく大変参考になったので、メモも取り、目次はコピーして保存していた。この本を中谷さんの「資本主義はなぜ自壊したのか」を読んだ時に、再度読み返してみた。

ところが、ブログにあらすじを書いていないので、ところどころ覚えてはいるが、とても本の内容を人に説明できるほど理解・記憶していないのだ。

ブログに書いて覚えることの効果をあたらめて認識した次第である。

5年間で500回のブログエントリーということは、ほぼ1週間で2回のエントリーということになる。「知識の宝庫」である本の知識を、自分の血になり肉にするためにも、これからも「コツコツ」あらすじを書いて公開していくつもりだ。


伊藤塾の大ピンチ

伊藤さんは創立10周年のタイミングで、伊藤塾を試験予備校から法科大学院にすべく賛同する大学も巻き込んで準備をしていたが、結局文部科学省の認可が得られなかった。

司法試験も公務員試験も受験者は毎年減っており、ダブルパンチだったが、逆に打開策として「原点回帰」を思いしらされたという。

伊藤さんは21世紀が終わる時に、21世紀に活躍した有能な人材を輩出した伊藤塾というところがあったと、みんなに言われるような伊藤塾にすることが目標であると。

たぶん伊藤さんの目標に現在一番近いのが、与野党の政治家、地方自治体の首長を排出している松下政経塾だろうと思う。


この本に書いてあることは、筆者自身は既に実践していることが多く、あまり参考にならなかったが、基礎の大切さ、あきらめずに続けることの大切さを思い出させてくれた。

手軽に読めるので、是非一度本屋で手にとってパラパラめくってみて欲しい。


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2008年12月08日

夢をかなえるゾウ 新しい形の自己啓発本

夢をかなえるゾウ夢をかなえるゾウ
著者:水野敬也
販売元:飛鳥新社
発売日:2007-08-11
おすすめ度:4.5
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以前このブログで、「ウケる技術」を紹介した水野敬也さんの近著。

2007年8月の発売だが、筆者が手にした本は2008年11月5日付の39刷だ。

表紙のインドの神ガネーシャのイラストが面白く、ガネーシャがどぎつい大阪弁でしゃべりまくるという荒唐無稽な筋書きながら、自己啓発のために役に立つ内容を含んでいるので良く売れている様だ。

ガネーシャはヒンドゥー教のゾウの姿をした手が4本ある神で、障害を取り除き、富をもたらすと言われている。

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この本では、突然現れたガネーシャが、「僕」のアパートの押入に住みついて、1日1善ならぬ、1日1回「ガネーシャの課題」として教えをたれるというストーリーだ。

教えは全部で29あり、毎日実践するものだが、主なものを紹介すると次のようなものだ。

*靴をみがく

*コンビニでお釣りを募金する

*トイレ掃除をする

*その日頑張れた自分をホメる

*1日何かをやめてみる

*毎朝、全身鏡を見て身なりを整える

*自分が一番得意なことを人に聞く

*自分の苦手なことを人に聞く

*運が良いと口に出して言う

*身近にいる一番大事な人を喜ばせる

*誰か一人のいいところを見つけてホメる

*人の長所を盗む

*人気店に入り、人気の理由を観察する

*やらずに後悔していることを今日から始める

*毎日、感謝する


このように書くとベタに見えるが、ニュートン、ロックフェラー、松下幸之助、本田宗一郎など、多くの偉人の言葉をガネーシャの教えということで、関西弁で語らせており、わかりやすい。

前作「ウケる技術」同様、筆者には今ひとつ波長が合わない感じだが、この様なくだけたプレゼンテーションもアリかもしれない。

それがよく売れている理由なのだろう。

簡単に読め、そこそこ参考になる。

まずは立ち読みをおすすめする。


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2008年03月27日

バビロンの大富豪ととなりの億万長者

バビロンの大富豪―「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか


レバレッジシリーズの本田直之さんだったろうか、誰かが「本200%活用ブック」で推薦していたので読んでみた。

仕事に活かす!本200%活用ブック


日本語版は2000年3月の出版だが絶版となっており、アマゾンのマーケットプレースでは定価1,500円の本がなんと8,000円前後の値段がついている。

単純だが役に立つ成功の法則をバビロンの大富豪という寓話の形で紹介しており、筆者も大変気に入ったので、読んでから英語のオーディオブックを購入した。

バビロンにちなんで、昔のヒット曲のBoney Mの"Rivers of Babylon"を久しぶりにYouTubeで検索して聞いてみた。



ちなみにこのミュージックビデオの舞台はバビロンではなく、おそらくジャマイカのオチョ・リオス(Ocho Rios)だと思う。

英語の原著は2007年に改訂版が出ているので、翻訳が絶版になっているのは、あるいは現在改訂版を翻訳中なせいかもしれない。

英語を現代風に直した改訂版でも出ているので、ペーパーバックあるいは、オーディオブックもお薦めする。

Richest Man in Babylon


英語に抵抗がある人は、是非日本語版を図書館で借りて読んで頂きたい。


1926年出版の本が今でも米国アマゾンの人気ランキングトップクラス

この本は米国の出版社社長のジョージ・クレイソンという人が、1926年にパンフレットとして蓄財について書いた古代バビロンの寓話が保険会社や銀行などで配られるようになり、一躍有名になったので本として出版したものだ。

クレイソンは米国ではじめてロードマップを出版した地図出版社も経営していたが、皮肉なもので彼の地図出版社は大恐慌を生き延びることができなかったという。

英語の"The Richest Man in Babylon"は、英語のWikipediaにも説明があり、いままで2百万部が売れたベストセラーだと紹介されている。

たしかに米国アマゾンの売上ランキングでは全体で425位、Business & Investing > Personal Finance > Money & Valuesでは2位となっている。 ちなみに筆者のおすすめのカーネギーの"How to win friends and influence people"(「人を動かす」の原著)は全体で115位、Business & Investing > Skills > Communications分野で1位だ。

この本の推薦人の一人は、デール・カーネギー研究所の副所長で、「本書は、現代ビジネスの極意を分かりやすく解き明かした名著であり、あらゆる人にとって重要な一冊である。」としている。


バビロンの寓話というストーリーで記憶に残る

この本はバビロンの戦車職人のバンシアが、働いても働いても暮らしが楽にならないので、バビロンで最も裕福なアルカドに話を聞きに行くというストーリーから始まる。

アルカドは昔は市庁舎で粘土板に文字を刻みつける書記だったが、金貸しのアルガミシュに金持ちになる方法として「稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておくことだ」と教えられた。

教えはたったそれだけだったので、アルカドは教えを実行して、1年間お金を貯めて、煉瓦造りの友人に頼んでフェニキア人の宝石買い付けに投資したところ、すべて金をすってしまった。

アルガミシュは1年後来て、煉瓦造りの職人が宝石の鑑識眼などないと指摘した。

アルガミシュはまた翌年来た。今度はアルカドは青銅を買う資金として楯作りの友人に貸してあり、利息を4ヶ月ごとに受け取っていると答えた。

しかしその利息でアルカドは、ごちそうや晴れ着を買っていると答えると、アルガミシュは、「お金の子供が生まれたら、その子供がまた子供を生んで、それがまたお前のために働くようにするのだ。”お金の奴隷”の大群を確保するのだ。」と教えた。

今度は2年間アルガミシュは来なかったが、次に来たときはアルカドは「お金はさらにお金を稼いでいて、その儲けがさらにまた稼いでくれています。」と答えた。

アルガミシュは、アルカドが”金の稼ぎ方”、”稼いだ金の守り方”、”稼いだ金の使い方”をマスターしたとして、アルカドを新しい土地開発の共同経営者に起用した。

友人たちがアルカドのことを運が良いというと、アルカドは運が良かったのではない、「成功したい」という強い欲求を抱いていたからだと答えた。


富をもたらす「黄金の7つの知恵」

アルカドはバビロニア王の求めに応じ、次の「黄金の7つの知恵」を住民に教える。

1.サイフを太らせることから始めよう 10枚のコインがあれば使うのは9枚までにする

2.自分の欲求と必要経費とを混同すべからず 「必要経費」は必ず収入と等しくなるまで大きくなるものだ

3.貯めた資金は寝かさずに増やすべし

4.損失という災難から貴重な財産を死守すべし

5.自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ

6.将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし 

7.明確な目的に向かって、自己の能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし

  さらに自尊心のある人間であれば、次のことを守らなければならないとアルカドは教える。

(1)借金は能力の及ぶ限り、なるべく早く返すこと
(2)支払い能力を超える買い物はしないこと
(3)家族の面倒を見て、家族から慕われ、尊敬されるように努めること
(4)遺言書をきちんと作っておくこと
(5)親しい人には思いやりのある態度で接すること


アルカドはさらに「幸運の女神は行動する人間にしか微笑まない」と語り、優柔不断な人間には幸運はやってこないと語った。受講者は自分の経験を語り、ギャンブルで儲け続けた人はいないこと、自分たちも優柔不断から大きく儲けるチャンスを失ったことが多々あることを口々に報告した…。

このような具合に、古代都市バビロンでの寓話という形で単純で記憶に残るストーリーが展開されている。

整理すると、

(1)収入の一部を投資に回し
(2)金利や配当なども消費せずに再投資に回す
(3)そしてそれを強い意志で継続する
(4)消費は押さえ
(5)身の程を超えた借金は背負わない

と言うことになる。

筆者も家を買うまでは、この教え通り行動していたが、結婚して家を買ったことから借金を抱えてしまったので、忸怩たるものがあるが、今からでもやれることはやろうと思う。


「となりの億万長者」の教え

同じような分野で、やはり本田さんだったか、誰かが「本200%活用ブック」で推薦していた本に「となりの億万長者」がある。

となりの億万長者―成功を生む7つの法則


こちらの本は現代版だが、アメリカの億万長者を調べてみたら次のような7つの法則が見つかったというものだ。

1.彼らは、収入よりはるかに低い支出で生活する(金持ちであることが目立たない)

2.彼らは、資産形成のために、時間、エネルギー、金を効率よく配分している

3.彼らは、お金の心配をしないですむことのほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切だと考える

4.彼らは、社会人となった後、親からの経済的な援助を受けていない

5.彼らの子供たちは、経済的に自立している

6.彼らは、ビジネス・チャンスをつかむのが上手だ

7,彼らは、ぴったりの職業を選んでいる


バビロンの大富豪もとなりの億万長者も、どちらの教えもかなり共通する部分が多い。

以前紹介したブライアン・トレーシーが「フォーカルポイント」で説明していたとおり、億万長者になるのは、想像以上に簡単だ。

毎月100ドル(1万円)を年率10%くらいの投資信託に投資し、リターンを再投資して、これを20歳から65歳まで45年続けると100万ドル以上になる。

優柔不断では幸運のチャンスをつかめない。筆者も肝に銘じてファイナンシャリースマートになるべく、バビロンの大富豪の教えを活用していくつもりだ。

単純な教えで、スッと頭にはいる。是非"Rivers of Babylon"を聞きながら一読をおすすめする。


参考になれば次クリックお願いします。


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2008年02月28日

フォーカルポイント ブライアン・トレーシーの一点集中のすすめ

フォーカル・ポイント―仕事の「その一点」に気づく人、気づかない人


成功哲学のブライアン・トレーシーの一点フォーカスのすすめ。

最初に原子力発電所のシステムトラブルの例が挙げられている。呼ばれてやってきたコンサルタントは、2日間くまなく歩き回り、何百もの計器、スイッチをチェックして計算をし、最後に一つの計器に「×」と書いた。

「この計器が壊れているので、これを交換すれば問題は解決する」と。その通り計器を交換すると発電所はフル稼働を始めた。

その後1万ドルのコンサルタント料の請求書が届いた。

あんな単純な×を付けただけの作業に1万ドルとは高すぎるとして、コンサルタント会社に問い合わせすると、計器に「×」を付ける料金 1ドル + 「×」を付けるべき計器を探す料金 9,999ドルという明細が届いたという。

人生のどの局面にあっても、どこに「×」を付けるべきか知ることは、なにかを成し遂げるため重要だ。

この「×」がフォーカルポイントである。

太陽光線を虫眼鏡で焦点を合わせると紙を燃やす熱が出る様に、またレーザー光線の凝縮されたエネルギーが鋼を切り裂く様に、重要な活動だけに集中すれば、あなたの知性や能力が高まり、普通の人よりも早く高い目標に到達できる。

フォーカルポイントの中心となる考え方は、「自らの明確化」である。自分が何者で、本当は何がしたいのかを明確に認識する方法だ。このために、次の4つのことを実行することをブライアンはすすめる。

1.重要なことには、現在より多くの力を注ぐ。
2.重要でないことはやらない。有益でないなら、その活動は減らすかやめてしまう。
3.今までしたことのない何か新しいことを始める。
4.ある特定のことから完全に手を引く。

この本では前半の部分では様々なフォーカルポイントプロセスと、それを実行するためのいくつかのヒントが述べられている。

後半の部分で1.億万長者、2.健康、3.ひとかどの人物、4.他人と違うことをする、5.精神的に満ち足りた生活の5つの観点にしぼって具体的アドバイスが書かれている。

フォーカルポイントプロセスを実行し、80:20の法則で仕事を効率化して、収入を3倍にした。それで時間ができたのでマメに運動して10キロ減量し、家族との時間、旅行もできるようになったセールスマンのことが紹介されているが、それはほんの一例にしかすぎないという。

フォーカルポイントプロセスとは、収入は倍、労働時間は半分になる方法だ。


GEホーソーン工場での実験

面白い例が紹介されている。GEのホーソーン工場で、照明の明るさや、騒音、室温、作業員の配置など、様々な条件を変えて最も生産性が高く、最もミスの少なくなる最高の労働条件を探す実験を行った。

結果は労働条件をどんなふうに変えても生産性は上がったという。

理由を調査したところ、従業員(彼女)たちは、実験の対象に選ばれたことに誇りを持ち、自分たちが重要な存在に思えたので、さらに一生懸命に働いたのだという。

このホーソーン工場の発見がその後のマネジメント革命の引き金となった。生産性向上に関わる心理的な要素の重要性だ。


SLAMが鍵

フォーカルポイントの要素は次の4つ、SLAMだという。先に紹介した本田直之さんのレバレッジ人脈術も似たような考え方だ。

1.合理化(Simplification)
  効率の悪い仕事、つきあい、習慣などをリストラする。

2.てこの力(Leverage)
  他人の力、他人のエネルギー、他人の資金、他人の成功のマネ、他人のアイデア、他人の失敗、人脈を利用する

3.加速性(Acceleration)
  誰よりも早く物事を処理する方法を探し出す。

4.多様化(Multiplication)
  自分にない技能や能力を持った人たちを集めて一緒に働くと、自分の能力や可能性を多様化できる。

優秀な人材が集まったチームをつくり、彼らに重要な業務を完了させる管理能力を身につければ、長期にわたる成功が保証される。まず第一はやるべきことを決定することだ。重要性と緊急性のクワドラントでやるべき仕事と優先度を決める。


様々なルール

詳しくは説明しないが、とても覚えきれない次のような様々なルールが述べられている。

☆生産性を高める3つのルール

☆生産性を高める7つの鍵

☆簡素化のための7R

☆生活をシンプルにする6つの方法

☆精神力を鍛える7つのプログラム

☆戦略的人生設計についての7つの質問

☆仕事で成功するための4つの鍵

☆お金を貯めるために毎日する4つのこと

☆いつまでも健康でいるための7つの秘密

☆1000%方式の7つの方法

☆21世紀を生きるあなたへの7つの教訓

やはりこの手の本はオーディオブックで繰り返し聞いて、頭にたたき込んだ方が良く理解できると思う。

"Forcal Point"ではオーディオブックは出ていない。

Focal Point: A Proven System To Simplify Your Life, Double Your Productivity, And Achieve All Your Goals


ただし、同じブライアン・トレーシーの"The Power of Clarity"のオーディオブックがほぼ同じ内容で出ているので、筆者はこれを購入しようと思う。

Focal Point: A Proven System To Simplify Your Life, Double Your Productivity, And Achieve All Your Goals
The Power of Clarity


最後に印象に残った部分を3点紹介しておこう。


1.億万長者を目指そう!

100万ドルを稼ぐことなど、想像以上に簡単だとブライアン・トレーシーは語る。

20歳から65歳まで毎月100ドルを運用益の良い投資信託に投資すれば、普通なら平均年率10.8%のリターンが得られる。その利率だと月に100ドルの投資が退職するときには120万ドルを超えている。

にわかには信じられないかもしれないが、エクセルで次のように入力してみて欲しい。

=PMT(10.8%/12, 45*12,0,1200000)

=PMTは毎月の支払い金額を求める関数だ。これを逆に使って、金利が10.8%で、元手ゼロ、45年後の受取額120万ドルの値を求めると、上記の答えは86ドルとなる。

10.8%の平均利回りなら、45年後に120万ドルの資産をつくるには、86ドルで済む。毎月100ドルも必要ないのだ。

人がそれをやらない理由は次の3つだとブライアン・トレーシーは言う。

1.そんなことに気づかない
2.行動を起こすのに必要な決断ができない
3.実行をぐずぐず先送りにするから

まさに目から鱗で、しかも筆者にぴったり当てはまるので耳が痛い。


(余談)35年満期の生命保険

余談ながら、筆者は10年以上前のアメリカ駐在の時に、死亡時の受け取り保険金50万ドルで35年満期の掛け捨て生命保険を買って、今も毎月100ドル払い続けている。

100ドル X 12ヶ月 X 35年 = 42,000ドル

支払額は35年間の合計で4万2千ドルにしかならないのに、万が一の死亡時には50万ドル支払われるので、非常に有利な掛け捨て生命保険だと今まで思っていたが、上記の話を知り、試しに計算してみた。

=PMT(11%/12, 35*12,0,500000)

この答えは101ドルだ。

何のことはない、筆者から受け取る100ドルを保険会社が年間11%以上で複利運用できれば、筆者が満期までに死亡しない場合、保険会社は50万ドル儲かる。

万が一筆者が期間中に死亡したとしても、35年間での被保険者の死亡率が一定率を超えない限り保険会社は儲かる。

筆者の保険の満期年齢は73歳だが、米国の平均余命は75歳を超えているので、契約時に38歳の人が73歳までに死ぬ確率は、筆者の推測では、たぶん10ー20%程度ではないかと思う。

亡くなる人が期間中どのように分布するかによって計算は変わってくるが、80−90%の人が生き延びれば、生存者の保険金運用で一人当たり50万ドルの資産となっているので、10−20%の人が期中に亡くなっても保険会社としてはペイする。

米国でもこのような超長期の生命保険はなくなり、今は最長10年間になっていると思うので、筆者はえらく安い生命保険を買ったと今まで思っていたのだが、リスクはあるものの、保険会社として大損する取引ではないのだ。

ちなみに筆者は非喫煙者だが、喫煙者の保険料は倍だ。アメリカの保険会社の保険料はすべて確率をベースに計算されているので、いかに喫煙の健康リスクが高いかがよくわかる。


成功者は長期目標を立てる

どの社会でも、経済的に成功した人は10年、20年、時には40年先を考えて計画を立て、長期目標に従って日々のスケジュールを立てる。

これが経済自立の本来の姿だとブライアン・トレーシーは語る。

アーノルド・シュワルツェネッガーの例を挙げている。

シュワルツェネッガーはオーストリアのグラーツ市で育ったやせっぽちの少年だったが、自分の筋肉を鍛えたいという一念があったので、ボディビルのチャンピオンになり、さらには俳優、カリフォルニア知事にまでなったのだ。

筆者も昔ボディビルをやっていたので、シュワルツェネッガーの10代の時の写真を見たことがある。たしかにやせっぽちだった。

長期目標を立てることで、人は変われるのだ。


1000パーセント方式

「1ヤード進むのは大変だが、1インチずつなら難しいものはない」という法則だ。毎日0.1%、週5日間生産性を上げると、週に0.5%、月に2%、1年間では26%生産性が上がる。

楽天の三木谷さんも同じ事を言っている。三木谷さんの言葉では「常に改善、常に前進」だ。


社会貢献の目標を決めよう

ブライアン・トレーシーは人生の目標の一つとして、社会貢献の目標を決めることをすすめる。

ジョンD.ロックフェラーは初めは週給3.75ドルの事務員だった。しかし薄給にもかかわらず、彼は毎週教会に給料の半分を寄付していたという。やがて52歳の時に世界一の富豪となっていたロックフェラーは余命1年と宣告される。

彼は残りの人生で自分のお金を使い切ってしまおうと慈善団体への寄付を始めると、寄付をするほどに精神的に満たされ、病状が良くなり、やがて病気がすっかり完治して、91歳まで生きたという。

鉄鋼王アンドリュー・カーネギーは「富は墓には持ち込めない」、「金持ちのまま死ぬのは恥だ」と言って、自分の資産を社会貢献に使い全米に3,000を超える図書館をつくり、各地にカーネギーホールや博物館などをつくった。

マイクロソフトのビル・ゲイツも、世界の病気・貧困撲滅のためビル&メリンダ・ゲイツ財団を組織した。今年半ばにはビル・ゲイツはマイクロソフトから引退し、慈善事業に専念する予定だ。

ウォレン・バフェットが賛同して300億ドルを提供したので、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は世界最大の慈善基金団体となっている。

いかにもアメリカ人らしい博愛主義の行動だ。いずれは筆者も慈善活動に奉仕したいと思う。


目から鱗の発見もあり、おすすめの本だが、内容を自分のものにするには、何回も読まなければならない。

「なんとかの7つのルール」とかを覚えようとせず、サッと流して読んでも、それなりに得るところはあると思う。



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2008年02月12日

成功の実現 中村天風の講演録

成功の実現


以前あらすじを紹介した田中森一さんの「反転」で、田中さんが拘置所に居たときに差し入れしてもらって感動したという本。

心身統一法を提唱する天風会創始者の中村天風氏の講演を集めたもの。

天風会会員相手のくだけた口調での講演なので、わかりやすい。大半が1964年から1967年に行われた晩年の講演をまとめたものだ。

松下幸之助稲盛和夫さんなども、天風会の会員だったという。

中村天風さんは1876年東京生まれ。福岡の修猷館中学に学ぶが、ケンカが原因で刺殺事件を起こし退学、その後玄洋社頭山満に師事し、軍事探偵となり、中国で活躍して日露戦争後に帰国。

結核となるがアメリカに渡り、コロンビア大学で学び、ヨーロッパ経由の帰国の途にカイロでヨガの聖人カリアッパ師と会い、そのままインドで弟子入りして数年間ヨガを学ぶ。

帰国してからは東京実業貯蔵銀行の頭取となるが、1919年に突如決心し、「統一協会」(後の「統一哲医学会」)を創設し、大道説法を始める。東郷平八郎元帥や原敬浅野総一郎後藤新平など政財界の有力者が続々入会し、皇族にも進講するようになる。

1925年にNHK大阪放送局がラジオ放送を開始して八日後に、ラジオで「病と病気」という講演を放送したほど有名だ。

1940年に「統一哲医学会」を「天風会」と改称する。戦後も1947年にアイケルバーガー中将の依頼によりGHQ幹部を相手に講演を行い、たまたま来日していたロックフェラー三世に感動を与えたという。

1968年に92歳で死去するが、天風会は拡大を続け、1988年には累計会員数が百万人を超えたという。


このような経歴の人だが、ひと言で言ってよく分からない人だ。

この本を読んでいても、満州でオオカミに襲われて馬が殺され、木に登って三日間辛抱して生き延びた話とか、馬賊と戦った話、東郷平八郎元帥が感心した「クンバハカ式呼吸法」とかのエピソードが出てくる。

結核になったり、のどのガンになって医者には治らないと言われても、そのままにして35年以上も生き延びたという。まさに心身統一の権化の様な人だ。


気と体と心

結核で闘病しながらのインドでのヨガの修行中の、カリアッパ師との問答も面白い。

「それが(=自分の体)がお前だと考えている限りは、お前はほんとうのお前を知らないことになるなあ」

中略(この間、自分は自分の体でもなく、自分の心でもないとカリアッパ師に言われる)

「わかりました」

「そのわかったものがお前だ」

「俺は今まで肉体だと思ったがそうじゃなかった。俺は今まで心だと思ったが、そうじゃなかったんだ。見えないひとつの気、いわゆる霊魂、これが俺なんだと思った。」

「見えないひとつの気が、現象世界にその生命を表現しようとする場合に必要な道具として与えられたのが肉体と心なんです。」

「自分自身を常にもう一人の自分で守らせていくような考え方で生きていきなさい」という。

いわゆるメタ認知と呼ばれるものに近い。


強く願う力

中村天風師の説法の基本は、この本の挿絵の中村天風の書にもあるように「積極一貫」、積極精神にある。何事も気持ち次第だということだ。

ナポレオン・ヒルの言う"PMA=Positive Mental Attitude"だ。

病気でも仕事でも気持ちが萎えると体調回復、仕事成就はおぼつかない。

自分の念願が叶う叶わないは、自分のなかの心の思う力、考える力にあるのだという。

「思考は現実化する」とは、ナポレオン・ヒルの有名な"Think and Grow Rich"の翻訳本のタイトルだが、まさに天風師の説法も同じである。

思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき


想像力を働かせて、望み求めているものを実際の姿として完全に、ありありと目に見えるように心の中で描くこと。すると強固な信念が結集して、心に描いた映像が現実化してくる。

稲盛和夫さんも同様のことを言っている

生き方―人間として一番大切なこと


ナポレオン・ヒルなど他の人も同様の事を言っているが、中村天風の方が東洋風だ。一万円もする本なので、まずは図書館で借りて読んでみることをおすすめする。


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2008年01月30日

お金持ちになる人、ならない人の仕事術 ブライアン・トレーシーのやる気を起こさせる本

お金持ちになる人、ならない人の仕事術


アメリカの成功哲学の代表的作家、ブライアン・トレーシーのやる気を起こさせる本。

原題は"Change your thinking, change your life"だ。

筆者は気に入った翻訳本は、原著のオーディオブックで何度も何度も聞くことにしている。

ブライアン・トレーシーの本は、「カエルを食べてしまえ」を読んで気に入ったので、"Eat that frog"の英語のオーディオブックを持っているが、このシリーズも英語のオーディオブックを購入するつもりだ。

本だとなかなかもう一度読み直そうという気にならないが、オーディオブックなら繰り返し聞くのに適しているので、本当に頭にたたき込みたい内容なら、オーディオブックが最適だ。

ちなみに「カエルを食べてしまえ」は、高校生の長男に渡したら、非常に気に入り、長男もよく聞いている。

カエルを食べてしまえ!


Eat That Frog!: 21 Great Ways to Stop Procrastinating And Get More Done in Less Time


150ページほどの本に、金持ちになる方法というよりも成功する方法のヒントが10章にわたり60挙げられている。さらに各章には、実践テクニックとして、いわゆるnutshell(ナットシェル)のまとめがついている。

各章は、かなりエキセントリックなタイトルがついている。

1.お金持ちになる人は運を味方にする! ー は大まちがい

2.屈辱をバネにして相手を見返せ! ー は大まちがい

3.強い信念を持っている人が成功する! ー は大まちがい

4.裕福な人ほど心は貧しい! ー は大まちがい

5.まずは業界トップをめざせ! ー は大まちがい

6.仲間はいつまでも大切にしろ! ー は大まちがい

7.ブレのない人が信頼を集める! ー は大まちがい

8.トラブルは未然に防げ! ー は大まちがい

9.ビジネスに熱い感情はいらない! ー は大まちがい

10.貯蓄よりまずは自分へ投資しろ! ー は大まちがい



アドバイスが60もあるが、印象に残ったポイントを10だけ紹介する。

この種の本は一度読むだけでなく、自分の行動パターンが変わるように、何度も何度も読み返して頭にたたき込む必要がある。


02.現代のお金持ちの多くは、一代で財を築いている
全米に約500万人いるお金持ちの多くは、親の遺産によってではなく、一代で財産を築いた人たちだ。彼らは貧乏から身を起こして一生懸命に働いて巨万の富を築いた。

自力で財を成す秘訣をひと言で表現すると、考え方を変えて潜在能力をぞんぶんに発揮するということだ。

多くのお金持ちは貧乏から身を起こし、潜在能力を存分に発揮して巨万の富を築いた。あなたも目標を掲げて、すぐに行動を起こそう。


03.お金儲けに必要なのは才能ではなく技術
私はこの約40年間、富裕層の研究をしてきた。一代で財産を築いた人たちを調べていくうちに、出身や学歴、年齢などに関係なく、一つの共通点があることに気づいた。

彼らはみな、想像を絶するくらい大きな困難を乗り越えて成功しているのだ。

研究を始めた頃、私は安アパートにひとりで住んでいた。職がないうえに多額の借金を抱え、中古車のローンすら払えないありさまだった。

第一の発見は、成功者は凡人とは違う方法で物事に取り組んでいることだった。

私も彼らと同じやり方に切り替えた。5年で借金を完済し、次の5年で純資産が100万ドルを突破した。

振り返ってみると、それは奇跡でも何でもなかった。私がしたのは、成功者たちがしたことを学び、それと同じことを粘り強く実行して同じ結果を得ただけなのだ。

無一文から出発した多くの成功者を見習おう。彼らの成功の秘訣を実践すれば、あなたも成功する。


11.成功者は人のサクセスストーリーが大好き
貧しさから身を起こして一代で財産を築いた多くの成功者の人生を調べた結果、彼らのほとんどが若いころから伝記と自叙伝を熱心に読んでいたことがわかった。

自分が尊敬し、目標となる人をひとり選ぼう。その人の考え方や感じ方を学び、自分の人生観の中に取り入れよう。


25.大事なのは上位10%をめざすこと
自分についての考え方を変える最も有効な方法のひとつは、卓越性にこだわることだ。自分の分野で上位10%に入るという決意を今すぐにしよう。

トップである必要はない。ただし、競争社会で勝ち残るためには、上位10%に入る必要がある。


26.成功者は人より3%すぐれているだけ
幸い上位10%に入ることは、あなたが思っているほど難しくない。大多数の人たちはめったに卓越性にこだわらないからだ。

しかし、もしあなたが成功者になりたいなら、そんな人たちのマネをしてはいけない。卓越した業績をあげるために、よりいっそう努力すべきだ。

肝心なところでほんの少しすぐれていることが、やがて積もり積もって大きな結果の差につながる。

まず、平均的な人より3%すぐれていればいい。あとは学習と努力を継続すれば、いつのまにか上位10%に入ることができる。



29.成功者はなぜ早起きなのか?
成功者はよい習慣を身につけるために自分を律している。

よい習慣を身につければ人生は快適になる。毎朝午前6時か6時半には起きて、紙の上で一日の計画を立てよう。これは多くの成功者に共通するよい習慣だ。


37.成功者の決定の7割は本来まちがっている
あなたを妨げる要因は二つある。一つは硬直した精神だ。固定観念である。もう一つは、一貫性を維持しようとすることだ。

エマーソンはこう言っている。「愚かなまでに一貫性を維持しようとするのは小人物の特徴だ」

あなたは自分が仕事と人生で下す決定の7割は、長い目で見るとまちがっている可能性があることを理解すべきだ。

自分の決定がまちがっていることがわかれば、素直に自分の非を認めよう。優秀な人ほど余裕と柔軟性がある。


42.成功者は失敗しない方法を最初に考えない
成功者はうまくいかないときでも、すぐに立ち直って前進し続ける。それに対し失敗者は、すぐにあきらめて引き返すことが多い。

失敗にどう対処するかが、成否の分かれ道だ。「どんな問題に直面しても、落胆せずに前進し続ける」と自分に言い聞かせよう。


47.お金を稼ぐアイデアを生み出すテクニック
マインドストーミングと呼ばれるテクニックだ。まず紙に自分の目標や問題を質問形式で書いてみよう。つぎに少なくとも20個の答えを思いつく訓練をしよう。

20個のアイデアを思い浮かべて紙に書く習慣を身につけよう。脳を活性化すれば、お金を稼ぐ方法が見えてくる。


60.お金持ちになるために本当に必要な条件
リーダーシップに関する3,000以上の研究を調査したところ、ひとつの共通点が見つかった。それは勇気である。

実際、高い目標を掲げる人はいくらでもいる。だが、それを実行に移す勇気を持っていない人がほとんどだ。

勇気のある人とは、夢を持ち、目標を設定し、とにかく第一歩を踏み出す人のことだ。

失敗してもいいから、恐怖を感じていることを実行する勇気を持とう。そうすれば、もはや恐怖を感じることはない。


ブログは情報発信と自分の記憶にたたき込むという2つの目的がある。

実はこのブログを書いて、筆者も自分で必死に覚えようとしているのだ。ブライアン・トレーシーの言っている内容は、60にも上るが、一つが見開き2ページにまとまっていて、読みやすく、頭にスッと入る。

キーワードは、勇気、目標、努力、継続だ。

誰でも成功者になれる。その他大勢より3%すぐれるように努力すれば。

ここでは紹介できないが、その他にも有用なアドバイスが満載だ。自分の習慣を変えることができれば、この本の定価1,000円の元はすぐ取れる。

是非手にとって見て欲しい本であり、頭にたたき込んで欲しい本だ。


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2006年11月30日

使える弁証法 ソフィアバンク代表田坂広志さんの近著

使える 弁証法


シンクタンクのソフィア・バンク代表で、多摩大学大学院教授の田坂広志さんの近著。

田坂さんは著書が多いことで知られているが、どれも読みやすい本ばかりで、いままで7−8冊程度は読んだ。

筆者は現在の会社に来る前に、1999年から3年ほど米国と日本で企業向けインターネット逆オークション事業を立ち上げようとしていたので、当時田坂さんの講演を聞いたことがある。

たしか「これから日本市場で何が起こるのか」という本が出たころで、ニューミドルマンが活躍する場が多く出てくるという様な内容だったと思う。


ネット革命 これから日本市場で何が起こるのか―ニューミドルマンが資本主義市場を進化させる


まず驚いたのは会場に入ると、講演に出てくるキーワードをびっしり書いたA4一枚のトーキングペーパーを渡されたことだ。

トーキングペーパーがあるので、話の展開がよくわかり、記憶に残る講演内容だった。

このトーキングペーパー配布という配慮からもわかるとおり、田坂さんの読者に理解して貰おうという努力には頭が下がる。

この本も非常に読みやすく書かれている。

表紙に「ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える」と書いてあるが、筆者はヘーゲルなんて大学時代に教養として読んでからは、ほとんど縁がなかった。

『弁証法』とか『止揚(アウフヘーベン)』などという言葉だけは覚えているが、内容はどうだったのかおぼつかないところがある。

この本は次の3章で構成されている。

第1章 弁証法は、役に立つ
第2章 弁証法を、どう使うか
第3章 弁証法で、身に付く力


それぞれの印象に残った部分を紹介する。

第1章 弁証法は、役に立つ

弁証法で最も役に立つ法則

弁証法にはいくつもの法則があるが、重要なのは次の法則であると:

1.螺旋的発展
2.否定の否定による発展
3.量から質への転化による発展
4.対立物の相互浸透による発展の法則

このうち、田坂さんは弁証法で最も役立つ法則は「螺旋的発展」の法則だと説く。

螺旋的とは直線的に対する言葉で、「進歩・発展」と「復活・復古」が同時に起こるのが螺旋的発展なのだと。

例えばネット革命。

オークションと逆オークション。市場(しじょう)が「いちば」と呼ばれていた時代のビジネスが、ひとたび消えてまた新しい形で復活したのだ。

ネット・オークションは資源リサイクルのしくみとしても優れている。これから復活してくる懐かしいものとは、「御用聞き」の復活のコンシェルジェサービスなどだ。


なぜ、この時代に「螺旋的発展」が起こるのか

これまでも「螺旋的発展」はあったが、世の中の変化が遅かったから気づかなかった。

ドッグイヤー、マウスイヤーの現代だから「螺旋的発展」を見ることができるようになったのだ。

企業は3年計画を毎年見直す時代となった。先のことは予測不能なのだ。

田坂さんは「書を捨てて、街に出よ」と訴える。街で「螺旋的発展」を見つけようと語る。


第2章 弁証法を、どう使うか


復活では、必ず「価値」が付け加わる

ECショップを電子自動販売機、電子通販と考えた人は失敗した。

顧客はECショップというハイテクの場で、実は昔ながらの店のオーナーとのふれあい、ハイタッチを求めたのだ。

成功しているECショップは、オーナーの顔が見えて、心配りが感じられるショップなのだ。

だから我々は「新しいもの」を「新しい眼鏡」で見なければならないと田坂さんは語る。いかなる形で新たな価値が付加されるかを考えるのが、新しい眼鏡でみることなのだと。


現在の動きは必ず「反転」する

田坂さんは「知識社会」は「知識が価値を持つ社会」ではなく、「知識が価値を失っていく社会」だと語る。

今までは専門知識は一部の人に限られていたが、これからは「言葉で表せる知識」は相対的な価値を失っていき、「言葉で表せない知恵」が価値を持つようになる。

かつての徒弟制度の「体で覚えろ」とかが復活して、スキル、センス、ノウハウといった知恵になって価値を持ったのだ。


第3章 弁証法で、身につく力

弁証法の次の法則から、田坂さんは弁証法を知ると「対話力」と「歴史観」が身につくと語る。

1.弁螺旋的発展
2.否定の否定による発展
3.量から質への転化による発展
4.対立物の相互浸透による発展の法則

たしかに弁証法という枠組みで考え方の整理ができる。

わかりやすく、読みやすい。考え方のヒントが得られるおすすめの本である。


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2006年04月15日

成功の法則 初めて読んだ松下幸之助の純金の言葉 感動で眠れませんでした

成功の法則―松下幸之助はなぜ成功したのか


(今回のあらすじは長いです)

ブログの更新に間があいてしまったが、実は長年貯めたユナイテッドのマイレージを24万マイル使って、家族4人で春休みを利用してサンフランシスコに旅行していた。

今回の帰りのフライトの中では3冊の本が読めたが、その内の一冊が松下幸之助の言葉を集めた『成功の法則』だ。

筆者は長年ビジネス書を中心に読んできたが、松下幸之助の本は読んだ事がなかった。

この本は松下幸之助自身が書いた本ではないが、松下幸之助の晩年22年間にわたり、ほとんど毎日朝から晩まで一緒に仕事をしてきたPHP研究所社長の江口克彦さんが、松下幸之助の教えを厳選して構成し、どうすれば成功できるのかという問いに答えようとするものだ。

帰りの飛行機の中で、この本を読んでいて感動で涙がにじんでくるとともに、全く眠れなかった。

今までカーネギーやスティーブン・コビーなどアメリカのビジネス書、稲盛和夫、大前研一、堺屋太一、野口悠紀夫などの数々のビジネス書を読破してきたと思いこんでいた自分が、『モグリ』であることがわかり、恥ずかしくなった。

松下幸之助は1989年に亡くなっているので死後17年たつが、全世界で何十万人もの人を雇用する松下グループの経営のみならず、PHP研究所を通しての文化活動、私財70億円を投じて始めた松下政経塾が前原前民主党代表や自民党の逢坂、伊藤副大臣はじめ、国会議員を多く輩出し、日本をより良い国へと変える原動力となりつつある。

松下幸之助は人類のよりよき未来の為にと語っているが、その残した功績は『永遠に不滅』といえるほど偉大である。

この本が最高なのは、松下幸之助のやわらかい和歌山弁のいいまわしをそのまま使って、松下幸之助自身が読者に直接語りかけてる様に構成してあることだ。

頭にスッと入ることといい、日本を代表する名経営者の発言をかいつまんで、わかりやすく構成していることといい、本当に絶妙である。


成功への道は一つ

江口さんは、まず成功の定義から入る。

たとえ金持ちにもならず、有名にならなかったとしても、持って生まれた人間的能力を100%発揮したとすれば、その人は成功したと言えるのではないかと。

松下幸之助はよく次のように話していた。

「きみなあ、成功の道というものは、いろいろの行き方があるけどね。でも結局のところ、おおむね同じじゃないかと思う。多少の違いはあっても、成功の道すじ、軌道というのは、だいたいにおいて決まっている。いわば共通性があるということや」

「だからその軌道から離れたら、みな失敗の道になっていく。個性によって多少違いはあるけれども、成功への道は一つだという感じがするな」

その成功法則を江口さんは次の6つの構成要素に分けて説明している。

1.熱意を持てば成功する
2.感動を与えられれば成功する
3.些細(ささい)を積み重ねれば成功する
4.育てる心を持てば成功する
5.責任を自覚すれば成功する
6.人間観を正しく持てば成功する

印象に残ったストーリーを紹介しよう。


熱意を持てば成功する

最初に出てくるのが熱意だ。

松下幸之助の有名な『ダム経営』というのは、川にダムをつくり水をためる様に、企業も余裕のある経営をしようという松下幸之助の持論だ。

ある講演会で、聴衆からどうすればダムができるのかを聞かれ、松下幸之助は「やはりまず大切なのは、ダム経営をやろうと思うことですな」と答えた。

会場からはなんだそんな事かと失笑が起こったが、聴衆の一人だった京セラの稲盛和夫さんは衝撃を受けた。

「何か簡単な方法を教えてくれというような生半可な考えでは経営はできない。まず『そうありたい、自分は経営をこうしよう』という強い願望を持つことが大切なのだ。そのことを松下さんが言っておられるのだと感じたとき非常に感動した」のだと。

正しい熱意のあるところ、必ず成功の道が開けてくる。自分の仕事を心底、好きになる事も必須である。

シンプルではあるが、真実を捉え、奥深い言葉だ。

筆者は『必ずできると思わないと100%失敗する』といつも言っているが、熱意と心の持ちよう、実際に信じ込むことが成功の不可欠要素であることは間違いないと思う。

松下さんのシンプルな言葉に稲盛さん同様、深い感動を覚えた。


感動を与えられれば成功する

松下さんの晩年22年間ほとんど毎日、朝から晩まで仕えた江口さんは、松下さんの「きみの声を聞きたかったんや」という一言で、この人の為ならどんなことでもなし遂げようと思った。

人に感動を与えることができれば、人はあなたのために動いてくれる様になる。人を感動させることができれば、成功への道は限りなく近くなるのだと。

江口さんがコロリときた言葉に次がある。

「きみ、身体に十分、気いつけや。わしはな、160歳まで生きるつもりや。それまで仕事をきみに手伝ってほしいんや。そうしてもらわんと、できへんのや。きみに手伝ってもらわんとあかんのに、わしより早く逝ったらあかんで」

一日の疲れは、大変な感動とともに、この言葉でいっぺんに吹き飛んでしまったものだと。


弱さからの出発

松下幸之助は小学校4年中退である。もともと素封家(そほうか)の家に生まれたが、父親が米相場に手を出して失敗し、いっぺんに貧困に陥り、家族みんなで大阪に働きに出ねばならず、帰る故郷もなくなった。さらに松下幸之助が28歳までに、親兄弟10人全員結核で死んでしまう。

松下幸之助自身も20歳の時に、肺結核の初期症状の肺尖カタルにかかり、結核にはならなかったものの、40歳過ぎくらいまでは寝たり起きたりの状態で、ずっと体に気を付けながらの94歳の生涯だった。

「衆知を集めて経営をしたのも、わしが学校出てなかったからやな。幸いにして、学校へ行っていないから、人に尋ねる以外ないことになり、それで経営も商売も、人に尋ねながらやってきた。それがうまくいったんやな」

「そう考えると、今日の、商売におけるわしの成功は、わし自身が凡人だったからと言えるやろな」

江口さんは、成功をめざす者は自分の弱さを認識し、平凡なことを誠実に熱意を持って積み重ねることによって、本当の強さを生み出していこうとすべきであるとまとめている。


部下の話を聞く

「ところで、きみ、部下の話に耳を傾けるということは大切やで。部下の話をきくと、えらい得をするよ」

部下に尋ねる、耳を傾けてほめる。内容よりも、来てくれた誠意をまずほめる。

「部下の話を聞くときに、心がけないといかんことは、部下の話の内容を評価して良いとか悪いとか言ったらあかん、ということやな。部下が責任者と話をする。提案を持ってきてくれる、その誠意と努力と勇気をほめんといかん」

「いい意見やな」

「きみの話は面白いな」

「そうすると部下はそれからなお勉強して、どんどん責任者のところへ話とか情報とか提案とか、そういう知恵を持ってきてくれるようになるんや。なんでもいいから部下に知恵を持ってきてもらう。それが大事やね」

江口さんは松下幸之助の言葉はメッキではなく、純金だったと。きわめて平凡なことばを使いながらも、相手の心を打つ。本当に思うことを、本当のことばで話していた。だからこそ多くの人が感動したのだろうと。

またたとえ他人から批判されても、大切な意見として聞けばその時批判は助言に変わるのだ。

「いい意見が聞けた。ありがたかったな。あの人の言うとおりや」と松下幸之助に言われると、批判していた人も「やっぱり松下さんは偉いねえ」と考えも変わってしまうのだった。


努力か運命か 反省と自責

「努力か運命か?運命が90パーセント、しかし残りの10%がその船の舵(かじ)となる」

「運命が90パーセントだから努力しなくていいということにはならんね。けれども、努力したから必ず成功すると考えてもあかんよ。しかし成功するには必ず努力が必要なんや」

「つまり、舵となる10パーセントでの人事の尽し方いかんによって、90パーセントの運命の現れ方が異なってくる」

松下幸之助は、物事がうまく運んだときは、「これは、運がよかったのだ」と考え、うまくいかなかったときは「その原因は自分にある」と考えるようにしてきたと。

「誰でもそうやけど、反省する人はきっと成功するな。ほんとうに正しく反省する。そうすると次になにをすべきか、なにをしたらいかんか、ということがきちんとわかるからな。それで成長していくわけや。人間として」。

松下幸之助は1日の終わり、寝る前の1時間をその日の反省に当てよとよく言っていたと。


些細(ささい)を積み重ねれば成功する

「きみ、電気ストーブのスイッチ、切れや」江口さんは松下幸之助から初めて注意された時に驚いたと。松下グループの総帥ともあろう人が、ストーブのスイッチを切るようなことにも一々指示を出す。

京都東山山麓の私邸『真々庵』でのもてなし前の細かい気配り、『人間を考える』という本を作ったときの100回を超える校正。細かい気配りは枚挙にいとまがない。

松下幸之助が最もよく受ける質問は、成功の秘訣についてというものだった。

理想を掲げることと、一歩一歩些細を積み重ねていくことが松下幸之助の成功の秘訣の車輪の両輪であった。

「正直なところ、私はそう遠い計画性を持ってやっておらなかったと思います。まあ、その日その日を大事に仕事をしてきたということが、私をして今日を成さしめたように思うのであります。」

と講演でも松下幸之助は語っていた。

一歩一歩を積み上げてというのは、あまりにも平凡ではあるが、その平凡なことを何十年も続け、些細を積み重ねるならば非凡な結果に変わるということだ。

私たちはついこの当たり前のことを忘れがちになるが、些細の積み重ねにこそ、成功の近道があるのだと江口さんは語る。


成功の秘訣は天地自然の理による

成功の秘訣は、「天地自然の理によるんですわ」、「雨が降れば、傘をさす、ということですわ」とも松下幸之助は答えていたと。

「経営はもともと成功するようになっておる。それが成功しないのは、経営者が自然の理法に則って仕事を進めておらんからや。やるべきことをやる。なすべからざることはやらない。そうしたことをキチッとやっておれば、経営は一面簡単なものや」

松下幸之助は素直な心になることであるという。

江口さんの体験に基づいた話がある。

有名な仏師の松久宗琳師は、テレビの取材に対して「自分は仏を彫っていない」と語ったと。

怪訝そうなインタビューアーに対して松久師は次に様に語ったと。

「木の中に、仏さまが見えるのです。だから私は、もともと木の中にいらっしゃる仏さまの、その周りの埃(ほこり)を取り払っているだけで、彫っているのではないのです」

松下幸之助の言う『素直な心』も同じ境地だ。

稲盛和夫さんは「私心なかりしや」と自問していたと表現していたが、同じことだろう。だから反省が大事なのだ。


経営の第一ボタン

「人間は偉大な存在である。いわばこの宇宙においては王者だ。ええか、きみ、経営をしておっても、どの人も王者だ、という考え方を根底に持っておらんとあかん。そこが大事やで」

「社員の誰に対しても、ああ、この人はすばらしい存在なんや、偉大な力を持った人なんやと考えないといかんね」

「それを、これはたいした人間ではないとか、何も知らない新入社員やとか、力のないつまらない人やとか、そんな考えで、社員と話をしたらだめやな。むしろ、部下が偉く見える、という気分にならんとな」

「経営者にとっていちばん大事なのは、この人間観やな。この人間観は経営における第一ボタンやな。早い話、掛け違えるときちんと服がきれんと同じやがな」

経営の第一ボタン』という表現も秀逸で、まさに金言である。経営者のみならず、社会で生きるものは決して忘れてはいけない松下幸之助の遺言だと思う。


部下を育てられない上司は失格

「昔話で桃太郎というのがあるやろ。猿とキジと犬。みんな違うわね。違うから、それぞれの役割が生まれ、違うから鬼退治ができたわけやね」

個性豊かな社員をどう活用していくか、これが経営者の腕のみせどころである。

部下を育てられない人に責任者たる資格はない。

部下を育てるポイントは、”下にものをたずねる、∧針を明確に示す、8限を委譲する、ご尭阿気擦襪裡瓦弔任△襪函

特に重要なのは、方針を明確に示すことだ。


方針を明確に示す

方針を松下幸之助は3つにわけていた。基本理念、具体的目標、理想だ。

「わしはいままで長いあいだ経営というものに携わってきたけれど、方針というものをいつも明確にしてきたな。こういう考え方で経営をやるんだ、こういう具体的な目標を持って経営を進めるんだ、こういう夢をもっていこうやないか、と常に従業員たちに話し続けてきたんや」

松下幸之助は方針の土台となる基本理念から外れることを決して許さなかった。

江口さんが、方針に沿って成功したときは、大変ほめられた。

「きみは、わし以上の経営者や」

家に帰るとまた電話が掛かってきて。

「ようやった。大成功やったな」

方針に沿って失敗したときには慰めてくれた。

「きみ、心配せんでいいで」「あとはわしが引き受ける」

方針に沿わずして要領よく成功したときは、全くの無視。

方針に沿わずして失敗したときは、最悪。立たされたまま3時間を超える叱責だったと。

方針がはっきりせず、ただ細かい注意だけをする人が上司であれば、部下はやる気を失い、その部門が停滞してしまうことは必定であろうと江口さんは語る。

方針がはっきりしていればこそ、部下は力強く自由な活動ができるのである。まさに金言、筆者も肝に銘じます。


使命感

「経営者の心がまえとして、要求されるものはいろいろあると思うけれども、いちばん肝心なものというならば、経営についての使命感というものやな」

「基本となる使命感を、どの程度に持てるか、どの程度に自覚するかによって、経営のいっさいに変化が生じてくるからな」

「商売をするものの使命感は貧をなくすこと、貧をなくして人々を救うことや。この世から貧をなくすことがわしらの使命なんや。そこで悟ったんやな。わしなりに」

「そしてこれがわしの経営を進める基本の考えになった。そういうことがあって、わしは自分の事業を一段と力強く進めることができるようになったんや」


人間を考える―新しい人間観の提唱・真の人間道を求めて


松下幸之助が完成したら死んでもいいと言って書いた本は『商売を考える』でもなく、『経営を考える』でもなく、『人間を考える』だった。松下幸之助が常に考えていたのは、人類の幸せだった。

この考えからつくったのが、PHP研究所であり、松下政経塾だ。

偉大な経営者であり、人道主義者でもある松下幸之助。その松下幸之助が直接語りかけてくれる教えが、この『成功の法則』だ。これが文庫なら540円で手に入る。

これほど安い自己投資はない。

是非是非一読をおすすめする。


追記:

あらすじが長くなりすぎるので、江口さんが好んで引用される「ハーマン・カーンて人知っているか」を3日続けて質問されたエピソードは続きを読むに記載した。松下幸之助の部下を育てる愛情がよくわかるので、ご興味あればご覧頂きたい。

また最後まで読んで頂いた方に、文庫版では見あたらない稲盛和夫さんの推薦の言葉を引用する。

「著者の江口克彦氏は、20数年にわたり松下幸之助さんの側近くで仕え、薫陶(くんとう)を受けてこられた。晩年の松下さんが、自分の遺志を託そうとした人物であることは、本書に収められたエピソードの行間から、自然と感じ取れる」

「私も生前、松下さんとは何回もお目にかかり、さまざまな教えを受けてきたが、その深い思索を実用的にまとめた本書は、成功への手引き書であるとともに、人生の手引き書としても、読者の参考になるだろう」

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Posted by yaori at 12:46Comments(2)TrackBack(0)

2006年01月30日

どんな仕事も2割増しでやりなさい あなたの『期待役割』と『成功の定義』は?

1月30日追記:

今、高学歴ノーリターンという本を読んでいる。非常に面白い本なので、近々あらすじをご紹介するが、巻末に2004年度の高額納税者番付が載っている。

その番付の45位に、この本の著者岩崎哲夫さんが載っている。納税額4億7千5百万円だ。ちなみに宇多田ヒカルは75位で3億7千万円だ。

納税者番付に載っていることなど、この本のどこにも書いていない。

すごい人だ。

ゴールドマンサックスやリーマンブラザースの日本社長なども名を連ねているが、岩崎さんはそれだけ市場価値がある経営者であるということだ。

追記して再掲する。

是非一読をおすすめする。



どんな仕事も2割増しでやりなさい―リーダーを目指すなら「最良の部下」になる


半導体・液晶製造装置メーカーのアプライド・マテリアルス・ジャパンの元社長で、韓国のサムスン電子社外取締役の岩崎哲夫さんのキャリアアップの心得。

最近のキャリアディベロプメントの考え方では、上司・部下ともに納得する個人評価の尺度として『期待役割』と『成功の定義』が重視されてきているが、それを簡潔にわかりやすく説明している。


特に第1章の「最良の部下が務まれば、社長業なんて訳がない」が値千金である。

1.教えがいのある部下になる

「リーダーになって、もう少し大きな仕事を任せてもらいたい」
あなたがそう考えているとしたら、意識すべきことがある。

それはまずあなた自身が上司にとって『最良の部下』になることだ。

『最良の部下』とはイエスマンではなく、こいつは将来性があるなと思わせることだ。

教えがいのある部下になれと。

いわれたこと、アドバイスを受けたことを、すぐそのまま実行する。そしてその結果や途中経過を報告する。

ゴルフもそうだと。

ものすごく上達する人は、プロやシングルの人のアドバイスを素直に実行し、なんどもその形を練習する。

ところがなかなかうまくなれない人は、話を聞いても最初は少し実行するけれど、すぐ我流に戻ってしまう。これでは人の話を聞いていないのと同じ事だと。

いわれたことを実行しない人、しかもすぐにやらない人、報告もしない人は、学びべたで期待されにくい。

目から鱗の指摘である。筆者も猛省しています。


2.上を目指すなら最良の部下になれ

「自分は人に使われるのには向かないが、リーダーの立場に立てばよい仕事ができる」と思っている人がいる。少し仕事ができる人にそう思うタイプが多い。

実際に、特化したある部分では、すでに上司より実力がある場合もある。彼らは自信家で、早く上へあがりたいと思うのは当然かもしれない。

しかし、そういう人が優れたリーダーになるのは難しいだろうと。

良き部下でなかった人は、なかなか良き上司にはなれないものだ。

リーダーに求められる条件の一つは、人間関係の機微がわかることだ。
部下をまとめながら一定の成果を上げるには、人間関係を調整する能力が必要なのだ。

その能力を磨く最初のトレーニングが様々なタイプの上司との人間関係維持なのだ。

最良の部下になるために、ときどき上司に次のことを確認することを勧めると。

「わたしに何を期待されていますか?」  これが『期待役割』だ。

「何をもって成功とされますか?」   これが『成功の定義』だ。

「なかなか認められない」という人がいるが、最良の部下は、上司の期待値を少なくとも2割以上は上回る必要があると。

なるほどと思う。


最近読んだサイバーエージェントグループ、CAキャピタル社長の西條晋一さんのブログの一節を思い出した。

1冊の手帳シリーズで有名なGMOグループの熊谷さんからの質問だ。成功(幸せ)の定義はなんですか?と。

西條さんも答えにつまってしまったそうだが、筆者もにわかには答えられなかった。

自分にも部下に対しても、この質問の答えは常に考えておく必要があることを痛感した次第である。


以下この第1章の見出しだけ紹介する。内容が推測できると思う。

3.「自分ならこうする」と考えておく

4.寝食を忘れるほど仕事に没頭する

5.リーダーとして、合格点をもらえる五つの条件
  説明能力、経営者視点能力、提案能力、企画・創造能力、部下育成能力の5つだ

6.価値観が違ってもアタマにこない秘訣

7.計画どおりいかないから『計画』がいる

8.『上司に恵まれない』は禁句  「それをいっちゃあ、おしまいよ」。

9.モノマネから入ってみるのもいい

10.どんな仕事も2割増しでやる


新将命さんの著書を思い出す

読んでいて『人材』を『人財』と呼ぶことなど、同じくジョンソンアンドジョンソンなどのいくつかの外資系企業の社長を歴任した新将命(あたらし まさみ)さんの本を思い出した。


成功する5つの習慣



成功する5つの習慣


この『成功する5つの習慣』はカーネギー、スティーブン・コビーなどの生き方教育の泰斗(たいと)のエッセンスを自らの体験に基づき、集大成したものだ。

読みやすく非常に感銘を受けたが、残念ながら絶版の様で、筆者はアマゾンのマーケットプレースで新古本を入手した。


さて岩崎哲夫さんのこの本の第1章以外の章もタイトルだけ紹介しておこう。

第2章 チャンスを必ずものにするために

第3章 夢をかなえられる人の共通点

第4章 転機の上手な生かし方

第5章 プラス思考とマイナス思考

第6章 必ず結果を出す考え方


詳しくは紹介しないが、転職や外資系企業での働き方も含めて、キャリアアップのヒントが満載である。

スラっと読めるので、まずは書店で手にとって、第1章の1、2だけでも目に通して頂きたい。なるほどと感じると思う。

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2005年08月09日

やっぱり変だよ 日本の営業 トップセールスになりたい人は読んではいけない組織的営業力強化の本


やっぱり変だよ日本の営業―競争力回復への提案

ソフトブレーン社長の宋文州さんのベストセラー。

はじめにガツーンとやられる:

「営業とはセールスではありません。企業の営業とは、営業マンの営業とは全く異なります。企業の営業とは売ることではなく、事業を営むことです。」

「我々はもっと売らないことの重要性を認識すべきです。
我々はもっと撤退することの重要性を認識すべきです。
我々はもっと売上から利益にシフトすべきです。」

「我々が常識と思ってきた営業の非常識を解剖してみせます。」

この考えはABC分析(Activity Based Costing)などにも共通する考えであるが、マンネリ化した営業のやりかたを見直す気づきを与えてくれる好著である。


宋さんは、中国から北海道大学大学院への国費留学生だったが、天安門事件が発生して、中国に戻るのをやめ日本で就職した。


大地の子
宋さんの家族は文化大革命で追放され、辺境の地を転々とし、兄・姉は物乞いまでしたという過去を持つ。『大地の子』を思い出させるストーリーの現実版である。

辺境では漢民族からは迫害されても、異民族からはいじめられなかったという経験から、日本でも全く不安や不満を感じなかったのだと。

最初に就職した会社は入社2ヶ月後に倒産したので、大学院で研究用に開発した災害被害シミュレーション・ソフトをパッケージにして13億円も売った。

この資金を元にソフトブレーン社を設立してSFA(セールス・フォース・オートメーション)、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)のソフトウェア販売を始めた。

日本の製品は安くて高品質だから売れたのであって、営業力があったから売れたのではないと。

日本の営業の変な点として指摘されているタイトルをまとめると:

*同じ会社の営業マンが入れ替わり立ち替わり脈絡なく来る
*失礼な『無料』営業マン
*「パパ今日は早く帰ってきてね」
*営業が営業していない
*『人参教』信者の思いこみ(インセンティブが効かない)
*トップセールスマンの美談(トップセールスマンのハウツー本を読んで成功する人は少ない
*ウチはとっくに営業情報を共有しているよ
*なぜ撤退しないのか(チーズはどこへ行った?)
*なぜ携帯電話に気づかないのか(世界一の情報端末普及度)
*営業拠点はなぜあるのか
*営業会議はなぜあるのか
*担当者がなぜいるのか
*なぜ8人で訪問するのか
*日報はなぜ必要なのか
*営業課長はなぜ必要なのか
*営業マンはなぜ必要なのか
*顧客は神様ではない
*営業は足で稼げない(データが勝負だ)
*鳥瞰図のない経営
*営業マンは25歳までに転職する人材
*派遣社員のほうが売れる
*営業常識は非常識
*インセンティブ論の誤解
*人間力論は正論だが、常識にしてはいけない
*センス論 (どうやってセンスの有無を見抜くのだ?)

これの様な日本の営業の実態に対して宋さんは、自社のeセールスマネージャーというSFAのシステムをすすめる。これにより:

*日報をなくし、文字入力をなくしたアンケート方式で入力させる
*営業の最適化 マーケティングの考え方と分業を導入
*見える営業 勝ちパターン、負けパターンによるナレッジマネージメント
*神様に近づく方法(リアルタイムで仮説を修正することを繰り返す)

プロのアメフット選手の話は参考になった。プロもアマも一日の練習時間は変わらない。違うのはプロは常にアメフットについて考えていることにある。

プロはアメフットのグラウンドを1ヤード四方の升目に切って考えている。だからクオーターバックはレシーバーに、たとえば「縦41ヤード、横12ヤードの地点に七秒後に行け」と指示を出す。早くても遅くてもダメなのだ。

たしかにITとデータ分析の考えを取り入れることによって、日本の営業効率は飛躍的に向上する可能性があると思う。

日本で最も普及しているサイボウズでも一部SFAの機能はあるが、あまり使い込まれていない。

取引先社員の個人情報保護という点でも一考を要するので、このツールを導入するかどうかは別として、組織的な営業力を強化するうえで参考になる考え方である。

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