2013年02月24日

伝説の教授に学べ! 安倍首相の指南役・浜田宏一教授の講義

伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本伝説の教授に学べ! 本当の経済学がわかる本
著者:浜田 宏一
東洋経済新報社(2010-06-25)
販売元:Amazon.co.jp

今や安倍首相の指南役として、安倍政権の政策のアドバイザー的な地位にある内閣官房参与・エール大学名誉教授の浜田宏一教授と、早稲田大学の若田部教授、それとカツマーこと勝間和代さんの鼎談(ていだん。3者会談)。

勝間さんは、経済学者ではないがインフレターゲット論をいくつかの著書で展開している。

日本経済復活 一番かんたんな方法 (光文社新書 443)日本経済復活 一番かんたんな方法 (光文社新書 443)
著者:勝間 和代
光文社(2010-02-17)
販売元:Amazon.co.jp

実際にデフレで苦しんでいる人たちの観点から経済をみることこそ、経済学の原点だと勝間さんの著書に教えられたと浜田教授は語っている。勝間さんの著書が、この鼎談のきっかけとなった。

浜田教授の安倍政権の政策に対する影響力については、最近の「ダイヤモンド」誌のインタビューが参考になる。

アマゾンのなか見!検索に対応しているので、ここをクリックして。目次の前に載っている浜田教授から日銀の白川方明総裁にあてた2010年6月の公開書簡を見てほしい。

この公開書簡は、浜田教授が昔の教え子の一人の白川総裁に向け、日銀を強く批判したものだ。

日銀は金融システム安定化や信用秩序維持だけを心配して、その本来の重要な任務であるマクロ経済政策という「歌」を忘れたカナリヤのようなものだと説く。

”不適切な金融政策で苦しみを味わっている国民のこと、産業界のことを考え、あえてお手紙する決心を致しました。”

”白川君、忘れた「歌」を思い出してください。お願いです。”という言葉で締めくくっている。

この本を読むまでは、日銀の「不作為による作為」により、デフレ解消が長引き、円高のために日本の産業界が大きなダメージを受け、日本経済の成長が止まっているとは筆者は考えていなかった。

しかし、次のようなグラフを見せられるとなるほどと思う。

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出典:本書35−37ページ

これらのグラフは、この本が完成する直前に亡くなった浜田さんの元同僚・内閣府経済社会総合研究所の岡田靖さんだという。他の主要国のドラスティックな金融政策に比較して、日銀はなにもしなかったといえるほど動きがないことがよくわかる。

白川総裁は、「日銀のバランスシートはもともと大きい」と言っているが、その発言が、官僚の責任逃れとしか思えないようなグラフだ。

浜田教授は、リーマン・ショックの震源地ではない日本が、震源地以上の被害を受けたのは、日銀が金融政策を怠っていたという理由以外には考えられないと語る。

日銀は、自分たちの政策が、人びとの経済状態に影響を与えるという認識が不足していると手厳しい。

たしかに2009年当時、サブプライム・ローン問題には最も縁遠い日本が、急激な経済の落ち込みを経験した。

筆者は、当時は、統計に表れる輸出以外にも、日本国内の取引でも(たとえばトヨタの系列部品会社からトヨタへの販売取引など)最終的に輸出に向けられるものが多いので、日本経済が大きな影響を被ったと思っていた。

この本の浜田教授による日銀批判を読んで、ひょっとすると日銀がデフレを野放しにしていたことが、日本経済の低迷に大きな影響があったのではないかという風に思えてきた。

現に、昨年10月頃から安倍現首相が、自民党が復権したら日銀の政策を変えさせると公言すると、一挙に流れは変わり、円安ー株高という基調に変わった。

株価が上がったことにより、国民全体の意識も変わりつつあり、青息吐息だった日本のエレクトロニクス業界なども元気が出てきている。

浜田教授の主張通りに物事が動いてきている。

浜田教授は、このブログでも著書を紹介した元・財務省の高橋洋一さんの「この金融政策が日本経済を救う」を高く評価している。

この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)この金融政策が日本経済を救う (光文社新書)
著者:高橋洋一
光文社(2008-12-16)
販売元:Amazon.co.jp

”すばらしい本で、高校生を対象にすると書いてあるだけあってとてもわかりやすく、みなさんにお勧めします”と推薦している。

今回、日銀総裁、副総裁の候補として、伊藤隆敏東大教授の名前が挙がっている。

伊藤隆敏教授は、2008年に日銀副総裁候補に挙がっていたが、当時の民主党が伊藤教授がインフレターゲット論者だという理由で、拒否した。

そのことが、いまのデフレと混迷を招いた遠因にもなっていると浜田教授は語る。伊藤教授は、論文でも議論で世界の一流経済学者と太刀打ちできる数少ない日本の国際レベルの経済学者の一人だという。

安倍政権の2%のインフレ率を目指す金融政策ならば、伊藤隆敏教授の出番もあるかもしれない。

ここをクリックして目次を見ていただきたいが、日銀批判以外には、浜田教授の経歴、早稲田大学の若田部教授による昭和恐慌と現在の比較などを紹介している。

浜田教授は、日銀はまるで「さるかに合戦」のサルだという。将来柿の木が育って、柿の実がなると国民をいいくるめて、おむすび(雇用や生産)を取り上げてしまっているのだと。

こうまで言われて日銀もアタマに来ているのだと思うが、いまや物事は、浜田教授の方に流れている。

日銀批判本はやはり副総裁候補として名前が挙がっている学習院大学教授の岩田規久男さんの本などもある。

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)
著者:岩田 規久男
講談社(2009-08-19)
販売元:Amazon.co.jp

日本銀行 デフレの番人 (日経プレミアシリーズ)日本銀行 デフレの番人 (日経プレミアシリーズ)
著者:岩田 規久男
日本経済新聞出版社(2012-06-09)
販売元:Amazon.co.jp

この本は、浜田教授と若田部教授が、経済学者ではない勝間さんに講義するという内容なので、平易でわかりやすい。

日銀を擁護する人を入れると、議論の幅がさらに増したのではないかという気もする。なぜ日銀の白川総裁がこうまで批判されているのかが、よくわかり、参考になる本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。



  
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2009年08月10日

断る力 久しぶりに読んだ勝間本

断る力 (文春新書)断る力 (文春新書)
著者:勝間 和代
販売元:文藝春秋
発売日:2009-02-19
おすすめ度:3.5
クチコミを見る

彗星のように現れた勝間さんに興味を持ち、「お金は銀行に預けるな」以外にも「効率が10倍アップする新・知的生産術」、「年収10倍アップ時間投資法」のあらすじを2008年3月から5月にかけて、このブログで紹介している。

しかし「お金は銀行に預けるな」のあらすじの最後に書いたように、いわば世間を甘く見ているような姿勢が感じられたので、あらすじの最後に松下幸之助の言葉を引用し、その後1年半ほど勝間さんの本は一切読んでいなかった。

この「断る力」は表紙の写真も興味をそそるものだし、勝間本は相変わらず売れていて、今月はNHK教育テレビで特集もされているので、最近はどうなのか読んでみた。

NHK勝間






林文子さんの「不思議なほど仕事がうまくいく「もう一言」の極意」のあらすじでも書いたが、本の目次を見ると大体著者のレベルがわかると筆者は思っている。

良くできた目次は著者の頭の中が整理されており、目次に本の内容がサマライズされていて、それこそ頭にスッと入る。

反対にやっつけ仕事で書いたような本は、目次が練れておらず、トピックを並べただけ、自分の言いたいことを書いただけで、読者のことを全く考えていない。このような目次の本は読んでも失望したり、疲れることが多い。

アマゾンのなか見!検索に対応しているので、まずはこの本の目次を見て欲しい。

次が最初の部分の目次だ。

断る力







出典:本書目次ページ


どう思われるだろうか?

筆者には、この目次を読んだだけでは本の内容が推測できない。雑誌などのコラムを編集した本で、時々この様な雑多な目次に出会うことがあるが、この本は書き下ろしだ。良い編集者が担当していないか、著者の頭の中が整理されていないことが一目で見て取れる目次だ。

たぶん上記の目次の88ページの「断らなくても嫌われることはゼロにできない」以下の項目は勝間さんが自分のことを書いているのだろう。


この本の要点をまとめると、次の通りだ。

「断る力」をつけて自立しないと、多くの人が「子供サッカー」をしていることに気が付かないまま定年を迎えてしまう。それでは使い捨てのコモディティ人生である。

(ちなみに筆者は高校時代にサッカー部に所属していたが、サッカーをやっている人は通常”子供サッカー”とは言わず、”百姓一揆”と言う。)

弱いチームや子供のサッカーはボールのところにみんな集まり、ボール展開ができていない。そんな”百姓一揆”サッカーのように、上司の言葉に右往左往して仕事をやったような気になっていると、それで一生終わってしまう。

だから勇気を持って、何でも引き受ける「優等生」から抜け出し、"Not to do list"をつくって、やらないことを決め、自己研鑽を積み、厳選した仕事のアウトプットを上げることに集中して、余人を持って代え難い唯一無二の人材になるのだ。


勝間さんが断る力をつけることができたのは、34歳ではじめての離婚をしたときだという。

筆者も以前ある会社の取締役をやっていたので、この「断る力」の重要性を身をもって体験した。"No"は"No"としないと経営を誤ることがある。"No"を妥協で"Yes"にしてはならないことを痛感した。

勝間さんも言っているように、「実力があるから断れる」という状態になるのは、卵と鶏の関係だ。「生兵法は大けがのもと」だし、勝間さんがやって成功したことと同じ事をやっても他の人では成功できない。目次を見ても分かるように、あまり万人向けでない例が並んでいる。

しかし、相手と機会をわきまえて断ることを考えれば、自分のキャリアアップにも繋がるだろう。


勝間さんの活躍に反感を感じる人には、突っ込めるスキだらけの様な本なので、アマゾンの”最も参考になったカスタマーレビュー”も☆一つが並んでいる。これは反感を持っている人たちが、意図的に☆一つのレビューを「このレビューが参考になった」と投票しているからだろう。

勝間さんは相変わらず「本を書く5倍以上の努力を本を売ることに費やしている」と思うので、その方向で書かれた本だと考えれば良いと思う。

万人向きとは思わないが、この本がぴったりくる境遇の人もいるだろう。

あまり先入観を持たずに読んでみることをおすすめする。


参考になれば次クリック投票お願いします。




  
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2008年05月06日

お金は銀行に預けるな 「実践」してはいけないベストセラー本

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)


「10倍アップ」シリーズなどベストセラーを連発して一躍売れっ子になった公認会計士の勝間和代さんの資産運用入門。

自分のお金を銀行などに預金として預けておけば安全と思っていると、人生設計上のリスクになると勝間さんは語る。

お金に働いて貰うことを知らずに、本来なら得られるべき収入を放棄することを意味するからだ。お金に働いて貰うことについては、「バビロンの大富豪」のあらすじを参照して欲しい。

この本ではまず金融リテラシーの必要性について語り、次に金融商品の説明、実践、そして最後に金融を通じた社会的責任にまで言及する。

日本人が金融リテラシーが欠けているのは、学校教育で金融について学んでいないことと、社会人になっても忙しすぎて金融リテラシーを磨く時間がなかったことだと。

筆者もアメリカの高校で資産運用講座の教室を見学したことがあるが、アメリカではNCEEという経済教育協議会があり、小学校からの経済に関する教育について監督している。

高校では個人資産運用Personal Financeについての詳しい教科書が出されている。



アメリカの高校生が読んでいる経済の教科書


アメリカの年金は、1978年に自分の年金資産を自分で運用できる確定拠出型年金401−Kが導入され、自分の年金を自分のライフスタイルやリスク許容度に応じて運用するのが当たり前になっているので、アメリカ人は金融に対する意識が高い。

筆者も米国駐在時に、アメリカ人の同僚と話していて、各種の投資信託について良く知っていることに驚いた経験がある。

日本でも2012年には適格退職年金制度が廃止され、確定拠出型の年金が増えてくると予想されている。自分たちで年金の運用方法を決めなければならなくなるので、よりいっそう金融リテラシーをつける必要が出てくるのだ。


この本のとおり「実践」してはいけない

この本は勝間さんがターゲットにしている若者や主婦、OLなどを対象にしているやさしい資産運用の本だ。

アマゾンでも売り上げ順位300位前後にランキングされているベストセラーだが、出版された昨年後半に、この本の通り「実践」したら間違いなく大きなやけどを被っている。

投資した時期にもよるが、たぶん損失は20%前後だろう。

勝間さんも本を書くことは大変な責任を負うことになることを、この本で実感しているのではないかと思う。

「お金は銀行に預けるな」という主張自体は、大前研一氏も「大前流心理経済学」で述べている様に、正しい提言だと思う。

しかし踏み込んで「実践編」でインデックスファンドでの資産の運用までファイナンシャルプラナーの様に提案しているので、市場の変化により結果が大きくマイナスになってしまっているのだ。


分散投資シミュレーションツール

新生銀行のサイトに勝間さんがこの本ですすめる国内株式、外国株式、国内債券、外国債券の4つのインデックスファンドへの投資リターンの推移が簡単に割り出せる分散投資シミュレーションチャートがあるので紹介しておく。

分散投資シミュレーション1






このシミュレーションの使い方は次の通りだ:

1.まずは投資金額を決定する。デフォルトは元金300万円で、毎月いくらか決めて投資するなら、毎月の金額をインプットする。

2.次に投資先の選択だ。国内株式、外国株式、国内債券、外国債券と、それぞれ1/4ずつのバランス型投資信託がデフォルトだ。自分で比率を調整できるし、不要な投資先は消すことができる。

3.次に期間の設定だ。下の3.のメーターをスライドすることによって、期間が決定できる。デフォルトは1969年から2007年の38年間だ。

たとえばこの本が出版された2007年10月末から12月末までの2ヶ月のリターンは次のグラフの通り、すべての投資運用がマイナスになっている。国内株式が最悪でマイナス12%。4分割投資でもマイナス8%となっている。

分散投資シミュレーション2ヶ月






筆者がこの本を「実践してはならないベストセラー本」と呼ぶゆえんだ。


この本ほど考えさせられた本はない

この本ほど考えさせられた本は最近ない。

第一に、本に書いた内容が陳腐化することのリスクだ。

この本では勝間さんはノーロード(信託手数料ゼロ)の国内株式、外国株式、国内債券、外国債券のインデックスファンドへの分散投資を手始めにすすめている。

この本は2007年11月の出版で、勝間さんが書いたのはたぶん2007年の半ばだろう。

次がここ5年間の日経平均株価の推移だ。

5年間の日経平均推移






2007年半ば当時は日本株はバブル後の最高値を付けており、サブプライム問題がきっかけで世界同時株安が進むとは誰も予想していなかった。

株式相場が順調に伸びる時はインデックスファンドはリターンが上がるが、相場が今回のように急落すると国内株式のインデックスファンドの1年間の運用益は、惨憺たる結果になる。

外国株式のインデックスファンドも国内株式ほどではないが10%前後下落している。

日経VS外国株





債券の投資信託も下落というように、昨年後半にインデックスファンドを買っていれば、すべてが原価割れしているはずだ。

日経VS債券





つまり勝間さんの言っている通り実践した場合、短期間で20%前後財産を失うことになったはずだ。

いまだにこの本は売れているが、株式相場が下がった今ならこれ以上下落するリスクは少なくなってきている。

またドルコスト平均法といって毎月一定金額を投資して、相場変動リスクを逓減する方法をすすめているので、勝間さんとしてはちゃんと説明したつもりなのかもしれない。

しかし、昨年末にこの本を鵜呑みにしてインデックスファインドを買った人は大やけどを負っているはずだ。


第二に、個人が短期収益をねらって投資する場合のリスクの大きさだ

筆者は資産運用の基本的な考え方として、近い将来のことは予測できないが、10年先のことなら誰でも大体予測が可能だと考えている。

ゴールドマンサックスの2050年までの各国のGDP予測は、その実現時期はともかく、誰もが認めるところだろう。

GS見通し






日本の人口動態の推移は、この国が残念ながら活力を失う様を冷徹にあらわしている。

人口動態調査







その国の経済の相対的競争力が強ければ、おのずと為替も強くなる。

経済が発展し、高い成長率が維持できれば、為替と高成長でダブルで国のGDPは上がり、それにつられて株式市況もあがる。

日本経済は向こう15年以内に中国に抜かれ、25年以内にインドにも抜かれる。日本人なら信じたくないシナリオだが、この人口動態を見たら国としての活力が失われているのは明らかだろう。

長期的な予測なら、素人も玄人も変わりはない。

世界1の大富豪のバフェットも、アラビアのバフェット、アルワリード王子も、株が安い時に買って、ひたすら持ち続けるバリュー投資家だ。

筆者のすすめるファイナンシャルインテリジェンスはバッフェト流、アルワリード流の長期投資だ。

たとえば過去1年の日経平均とアジアオセアニア株の投資信託の値動きを比較してみよう。

日経VSアジアオセアニア株





下がってはいるが、決して一本調子で下がっているわけではない。

さらに日経平均と中南米株の投資信託の値動きを見てみよう。

日経VS中南米株






こちらは同じ期間で、値上がりしていることがわかる。

筆者も勝間さんの言うように、素人は投資信託を重視することは賛成だ。

しかし株式の売買単位が下がってきているので、数十万円で株を買うこともできるし、株なら運用手数料は不要で、今の株価水準なら多くの企業の配当利回りは預金金利より高い2%前後である。

株式投資ではプロは素人をカモにするというのは正しいと思うが、プロがいつも勝つわけではない。いつも勝つなら、プロは全員大富豪でなくてはならないが、そんなことはない。

勝間さんの言うように「退職金が入って、自分で株で資産運用しようとする人も多いが、プロにボコボコにKOされるのがオチ。株式は、プロが得して個人が損する世界で、個人が次のGoogleをめざして成長株を買うことはギャンブルと同じ」だとは思わない。

短期売買にこだわらず、前述のバッフェトやアルワリードのように、これから高成長を遂げることがほぼ確実な国や企業に投資をして、長期投資と考えて"Buy and Forget"すれば良いと思う。


第三に、このあらすじブログに載せるべき本のセレクションについて考えさせられた

このあらすじブログには毎日200名前後の方が訪問されている。

人気ブログバナー多くの皆さんに文末の「ブログランキング」をクリックして頂いているので、ランキングも日本でトップ30−50位に入ることが多い(5月2日現在では38位だ)。

多くの訪問者がこのブログに期待されていることは、たぶん(1)わかりやすく正確なあらすじ(クオリティ)、(2)読みたい本のあらすじが掲載されているかどうか(品揃え)、(3)良書の紹介(リコメンデーション)だと思う。

筆者は一人の作者の本を読み出すと、その人の書いた他の本や、その人がリコメンドする本を集中的に読む。

このブログでも紹介している「本を読む本」で紹介されていた「シントピカル読書」だ。

作者を多面的に理解し、書いている内容を頭にたたき込むのと、その内容の確かさを評価するためだ。

勝間さんに限らず、最近の仕事効率を上げるシリーズ物もそれぞれ数冊読んでいるが、どれも似たような内容なので、はたして時間を掛けて、いちいちあらすじを書いていて良いのかという疑問がわいてきた。

人生は短く、一生に読める本の数は限りがある。筆者はまだまだ勉強が足りない。もっと良い本を読まなければならない。

たとえば町田図書館で「著者=松下幸之助」で検索すると81冊もの本があるが、筆者は松下幸之助の本はまだ4冊しか読んでいない。

カーネギーの本は4冊、ドラッカーの本に至っては結局1冊も完読できていないのに、例に出して悪いが、ぽっと出の勝間さんの本を5冊も読んでいるのはどうなんだ?と思ってしまう。

当たり前のことだが、time-testedな良書は1年間に何冊も書ける訳がない。

人気に乗じて売れるだけ売れという姿勢で、異なった出版社から短期間に何冊も本を出している作者には、一般論として気を付けた方が良いだろう。


勝間さんへのエール

あらすじブログが今回は書評ブログになってしまい、この内容をブログに載せるかどうか正直迷った。

筆者はポリシーとして本の批判はしないことに決めている。本の批判をネットに載せて鬱憤を晴らすよりは、そんな本は無視してブログに載せない方がよほど精神的にも良いし、大人の対応だ。

それでもあえてこのような書評ブログになってしまったのは、上記の筆者自身の自己批判も含めて、大いに考えさせられる本だったからだ。

この本には読者への気配りも、仕事(著作)への愛情も感じられない。

勝間さんの愛読書リストには松下幸之助の本が一冊も載っていないが、最後に筆者の「座右の書」であり、発刊以来40年間ベストセラーを続けているTime-testedな名著の代表の松下幸之助の「道をひらく」の一節を紹介して、勝間さんへの応援のエールとしたい。

2008年5月5日現在、勝間さんのこの本はアマゾンのランキングでは280位で、なんと松下幸之助の「道をひらく」はそれよりも上の229位だ。

道をひらく


世間というもの ― 松下幸之助「道をひらく」より

世間というものは、きびしくもあるし、また暖かくもある。そのことを、昔の人は「目明き千人めくら千人」ということばであらわした。いい得て妙である。世間にはめくらの面もたくさんある。だから、いいかげんな仕事をやって、いいかげんにすごすことも、時には見のがされてすぎてしまうこともある。つまりひろい世間には、それだけ包容力があるというわけだが、しかしこれになれて世間をあまく見、馬鹿にしたならば、やがては目明きの面にゆき当たって、身のしまるようなきびしい思いをしなければならなくなる。

また、いい考えを持ち、真剣な努力を重ねても、なかなかにこれが世間に認められないときがある。そんなときには、ともすると世間が冷たく感じられ、自分は孤独だと考え、希望を失いがちとなる。だが悲観することはない。めくらが千人いれば、目明きもまた千人いるのである。そこに、世間の思わぬ暖かさがひそんでいる。

いずれにしても、世間はきびしくもあり、暖かくもある。だから、世間にたいしては、いつも謙虚さを忘れず、また希望を失わず、着実に力強く自分の道を歩むよう心がけたいものである。



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2008年05月05日

効率が10倍アップする新・知的生産術 勝間和代さんの10倍シリーズ本

効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法
効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法


昨年から”10倍アップ”シリーズでベストセラーを連発している公認会計士で経済評論家の勝間和代さんの知的生産効率アップ術。

次回あらすじを紹介する勝間さんのベストセラー「お金は銀行に預けるな」に書いてあったが、勝間さんのライフワークは、(1)現代の日本に生きる多くの人がワークライフバランスをもっと上手に整えられるよう、労働時間短縮に向けたしくみ作りを手伝うことと、(2)金融・経済・会計の知識を社会に還元するために、わかりやすく伝えていくことの2つだそうだ。

この本は他の”10倍アップ”シリーズ同様(1)の路線だ。

すべての本の帯に自分の写真を載せ、この手の本に比較的縁遠かった主婦やOLなどの女性読者もターゲットにしていることがうかがえる。

この本にも書いてある通り「本を出すと人生のステージが変わる」ので、勝間さん自身を世の中に売り込みことも目的とした”10倍アップ”シリーズである。

現代は「情報はお金より大事」であり、この本では情報処理での「トヨタ生産方式」を目指して生産性を上げる様々なやり方(グーグル化)を紹介していくと語っている。


情報収集

基礎となる情報収集では、ツールとしてブラウザのFirefox, RSS,有料の日経テレコン21,GMail(メールを常にGMailに転送)、Google Desktop, Google Calenderなど様々な機能を使った効率的な情報収集策を紹介している。


情報処理

こうして集めた膨大な情報の中から、本当に価値のある1%の情報を見極める方法として、勝間さんは次の6つの技術を紹介している。

(1)フレームワーク力をつける

フレームワーク力というのはマッキンゼーに入社したときに仕込まれたもので、必要な情報と不必要な情報の区別、情報の因数分解などの整理のために、或るフレームワーク(思考の引き出し)に割り当てるという思考方法だ。

マッキンゼーには200くらいの基本パターンをまとめたフレームワークのマニュアルがあり、勝間さんはマッキンゼーに入社して毎日そのマニュアルを見続けたという。数学でいうと「解法」というところか。

(2)ディープスマート力をつける
ディープスマート力とは、聞き慣れない言葉だが、経験を重ねると長年の勘で情報の価値がわかるようになる。その熟練した洞察力をディープスマート力と呼んでいる。辞書にも見あたらないので、決して一般的な言葉ではないが、この言葉を使った本を紹介している。

「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)
「経験知」を伝える技術 ディープスマートの本質 (Harvard business school press)



(3)失敗力をつける
失敗力とは、失敗から学ぶことだ。

(4)ベスト・プラクティスの共有で学びを分けてもらう

(5)自分の価値を見いだせないところはバッサリ切り捨てる

(6)本代をケチらず良書を読む
ここで勝間さんの本領が発揮される。勝間さんは月100冊、月間10〜15万円を読書に使っているという。

本は多くの企画から厳選された良質なコンテンツであり、筆者が採算度外視で自己実現のために書いている場合が多いので安価で、一覧性に優れており、携帯性もあるという様々なメリットがある。

たった2時間の労働(読書)だけで、筆者が何年も、何十年もかけて培った情報と交換させてくれるので、本ほど効率的で安価なものはないと勝間さんは語る。

勝間さんの場合、本当の良書に巡り会う確率は数冊から10冊に1冊くらいだという。だからすき間時間を中心にどんどん読んで、不要な本は売るなり捨てるなりするのだと。

筆者は「積ん読」の傾向があり、買った本は買うだけで満足してしまい、読まないことが多いので、本は読んでから気に入った本だけ買うことをポリシーにしている。

勝間さんはとりあえず買っておいて読み、頭の中にしまって、保管は10分の1にしておくと言っている。アプローチは違うが、同じ結果だと思う。

筆者のおすすめのモーティマー・アドラーの「本を読む本」や本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」も推薦書として紹介されている。

この本の文末に推薦図書やオーディオブックのリストがあり、116冊の本と33のオーディオブックが推薦されている。参考にはなるが、必読書としてカーネギーや松下幸之助の本が入っていないことが気になる。

年収10倍アップにも紹介されていたが、オーディオブックのダウンロードサイトとして、次が紹介されている。

FeBe(日本語)

audible(英語)


勝間流インプット力を高める6つの技術

次にインプット力を高める技術が6つ紹介されている。

(1)ノートパソコンを自分の補助脳として使い倒す

(2)フォトリーディング、親指シフト、マインドマップなど 
勝間さんは米国での4日間のフォトリーディングのセミナーに参加したという。親指シフトなども、もはや名人の域に達していると。

(3)アナログ入力とデジタル入力をバランスよく使い分ける

(4)マスメディア情報を減らし、実体験、他社体験、良書を3大情報源とする

(5)目以外の感覚器、特に耳をもっと活用する

(6)睡眠は投資、よく運動して、よく寝る


勝間流アウトプット力を高める6つの技術は、次の6つだ。

(1)自分独自のアウトプットをつくって、インプット情報を確かめてみる
たとえばインターネットビジネスを評価するなら、自分でサイトを立ち上げてみるとかだ。

(2)自分の学びを言葉で表現してみる

(3)自分の学びを数字に置き換えるクセをつける

(4)自分の学びから情報を絞り込み、軸を発見する

(5)自分の学びをブログに表現してみる

(6)自分の学びを本として出版する


集中力=体力なので、体力をつけるトレーニングとか食生活など、5つの生活習慣の技術を紹介している。集中力=体力というのは筆者も全く同感である。試験などもまさに体力勝負である。

人脈作りは、Giveの5乗でGive & Give & Give & Give & Giveなりと。決してGive & Takeではないところがミソだ。

最後に今日の行動から明日が変わるとして、成果は「知識」 x 「実行割合」 x 「定着率」で決まるので、実行を促している。

様々な方法が紹介されて、ごった煮状態なので、多くを試すよりは、まず自分がやれる1−2のことから行動に移すのが良いだろう。

簡単に読めるので、まずは書店でパラパラっと立ち読みすることをおすすめする。


参考になれば次クリックと右のアンケートお願いします。


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2008年03月16日

年収10倍アップ時間投資法 勝間和代さんの時間投資術

無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法


昨年から”年収10倍アップ”シリーズでベストセラーを連発している公認会計士で経済評論家の勝間和代さんの時間投資術。

勝間さんのバイオグラフィーはウィキペディアに詳しく紹介されている。19歳で公認会計士試験に史上最年少で合格、21歳で長女を出産、3人の娘を持つシングルマザーで、ウォールストリートジャーナルで2005年の世界で最も注目すべき女性50人に選ばれたこともある。

大学在学中に就職した新日本会計法人を振り出しにアーサーアンダーセン、ケミカルバンク、マッキンゼー、JPモーガン・チェースを経て、2007年に経済評論家として独立した。

勝間さんは、朝日新聞の土曜日の"Be"で「メンターに聞け」というなんでも相談コーナーを藤巻健史さんと一緒に担当しており、先日紹介した「本200%活用ブック」に他のベストセラービジネス作家と一緒に紹介されていたので、この本を読んでみた。

仕事に活かす!本200%活用ブック


時間は誰にも平等に与えられている資源で、人生で最も貴重な資源だ。だから時間を有効に使うことで、最大の効果をあげようと勝間さんは呼びかける。

特に子供がいるワーキングマザーには時間が本当に貴重だ。

この本の「実践編」に勝間さんの1週間のスケジュールが載っているが、平日は毎日子供の弁当作り、夕食は極力子供と一緒にとり、土日は子供と一緒にキックボードで移動とか、成長期の子供とのスキンシップを大切にしようという気持ちがよくわかる。勝間さんは時間をつくるために時間を投資するのだと。

勝間さん自身が実践するいろいろな手法が紹介されている。

筆者なりに整理するとエッセンスは次の5通りだ。印象に残った手法もいくつか紹介しておく。

1.やらないことを決め、やることを減らす
 .院璽織ぁ▲押璽燹▲謄譽咫▲織丱魁⊆髻▲ぅ鵐拭璽優奪箸覆匹了間泥棒をやめる
 △笋蠅燭て、得意で、もうかることを優先する
 自分しかできないことを効率化する
 つ校間通勤をやめる 移動時間を有意義な時間に変換する
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2.効果を定量化して効果測定する
 \果をクアドラントで計る(投資、消費、浪費、空費の4象限)

3.目標を決めてギャップを埋める
 ー蠶△鮖間管理の起点として活用する
 ◆嵬槁検廚鮗蠶△暴颪い董嵳縦蝓廚砲靴討靴泙
 スポーツクラブに入り、できればトレーナーについて強制的にスケジュールを立てる

4.プロに頼んだ方が効率的なものはプロに頼む
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5.新製品、新しいソフトウェア、新しい手法は必ず試す
 ヽ阿妊優奪叛楝海里任るパソコンを持ち歩く
 ▲泪縫▲奪なくらいITを活用する
 8率化のための知識に興味を持つ

勝間さんは、1日一つはなにか新しいことができないか考えていると語る。10試して1つあたれば良いという考えだと。

勝間さんがすすめる道具は自転車だ。携帯型ナビを持ち歩き、都内なら大体どこでも30分以内にいけ、自分でタクシーを持ち歩いているようなものだという。

自転車に乗りながらオーディオブックを聞き、時間を無駄にしないのだという。


女性の読者向けソリューションを満載

女性の読者を意識して、家事や保育園の送迎にはファミリーサービスやシルバー人材センター(時給は800−900円程度とのこと)を活用してアウトソーシングを検討してみようとか、おいしっくすなどの食材デリバリーサービス、レーザー脱毛、まつ毛パーマなどをすすめている。

家事の効率化も大事で、勝間さんと一緒にムギ畑というサイトを運営しているももせいづみさんの本やももせさんのサイトを紹介している。

ネオ家事入門―これが生活の新常識70 (PHP文庫)


バナナはGI値も低く、消化される時間が違う多種類の糖が含まれるので長時間の運動に最適なことは、「人はなぜ太るのか」で紹介したが、勝間さんもバナナをおいしっくすで定期購入しており、バナナスタンドでつるして保存しているという。

これがバナナを長持ちさせる保存法バナナスタンドこれがバナナを長持ちさせる保存法バナナスタンド


筆者も早速バナナスタンドを買ってみようと思う。


「人間はみんなずるく、利己的である」ということを認識する必要があり、「頼まれごとを無制限に引き受けない」とか、「いい人はしょせん雑用係」とか、若干気になる部分があるが、これはシングルマザーとして3人の娘さんを育ててながら人一倍仕事をしている勝間さん自身の時間管理上必要な人生観だろう。

ウィキペディアに勝間さんの「私は本については、書く努力の5倍、売る努力をするということを決めています。」という発言が引用されているが、読むとそれがわかるので、酷評しているエコノミストの池田信夫さんなどの人もいる。

筆者も雑誌には何度か寄稿したことがあり、本を書くことがどれだけ大変なことか分かっている。かつ勝間さんのようなシングルマザーで懸命に生きている人が書いた本なら、池田信夫さんの様な酷評はすべきでないとコメントしておく。

勝間さんの時間投資法の説明とともに、新しもの好きの勝間さんが見つけた本やサイトが紹介されており、楽しく読め実用的な本である。



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Posted by yaori at 02:40Comments(0)TrackBack(0)