佐藤可士和のクリエイティブシンキング
著者:佐藤 可士和
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2010-06-26
おすすめ度:
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以前紹介した「佐藤可士和の超整理術」の続編。
佐藤可士和の超整理術
著者:佐藤 可士和
日本経済新聞出版社(2007-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
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超整理術も大変参考になり、佐藤さんの作品が楽しめる本だったが、この本も読んでいて楽しい。
あいかわらず佐藤さんのサイトがスゴイ。是非佐藤さんのサイトも見て欲しい。
この本で取り上げられているキリンビールの親子対話CM,ユニクロ、グローブライド(ダイワ精工が社名変更)、ふじようちえん、リサージュ(化粧品)などの広告が掲載されている。
佐藤さんのサイトのふじようちえんのページにはスライドショーがあるので、これは一見の価値があると思う。こんな幼稚園なら是非子どもを通わせたいと思うだろう。
この本ではところどころに佐藤さんの手書きの図が入っていてわかりやすく、楽しめる。
コミュニケーションのキャッチボール
上記の図は人間同士はたやすくは分かり合えないので、誠意を込めて相手のことを理解しようと、大胆かつ丁寧にコミュニケーションのキャッチボールを続けていくことが大事という図だ。
お客様視線とお茶の間視線
次はこの本で一番参考になった佐藤さんの視点だ。
ビジネスで一般的に考えられているのは「お客様目線」であり、これは自社製品を購入してくれそうな顧客の目線だ。しかし佐藤さんは、「お客様目線」よりも、一般の生活者としての客観的な視点、いわば世間の目ともいうべき「お茶の間目線」が重要だと語る。
つまり買う人以外の一般の消費者の目線を目標にアピールして、買う人、顧客を獲得するという考え方だ。
「そもそも論」の重要性
佐藤さんは博報堂出身のクリエイティブディレクターで、インテリアデザイン、ウェブクリエイター、広告制作者など様々な人が関わるプロジェクトで、プロジェクトのコンセプトがブレないようにすることの重要性を学んだという。
現実の仕事が進むにつれ、メンバーの方向性がズレることがある。その時に対症療法的に修正せず、本質に立ち返り「そもそもこれは、こういうことだったよね」と、方向を正してくれるリーダーが重要だったという。
目の前の仕事の細かい部分よりも「そもそも、社会の中での広告の役割とは?」というふうに、広告のあるべき姿やクリエイティブの哲学といった根幹の部分を上司に語って貰うとスムーズに納得することができたという。
筆者も博報堂との合弁会社で仕事をした経験があるので、この感覚はわかる。
博報堂のクリエイティブのトップの宮崎さんはカンヌ国際広告祭で何度も金、銀、銅獅子賞を受賞した日本を代表するクリエイターだが、講演をお願いした時に、定期は買ったことがなく、帰宅ルートは毎日思いつくままで、町や人を見ていると言われていたことを思い出す。
宮崎さんの広告は、たとえば次の"Hungry?"というカップヌードルCMなど有名なものが多くある。
最近のJamiroquaiのカップヌードルのCMも宮崎さんの作品かもしれない。
それから雑誌Numberは、正確に言うと毎号「Number XXX」と題名が変わるが、当時文部科学省?から雑誌の題名が毎回変わることにクレイムがついたという話をされていたことを思い出す。
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2010年 10/28号 [雑誌]
文藝春秋(2010-10-14)
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前作の「超整理術」の様に、佐藤さんの作品が多く紹介されていて読んでいて楽しい。
頭が煮詰まって、アイデアが浮かばない時などには最適なリフレッシング本である。
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