2010年11月03日

佐藤可士和のクリエイティブシンキング 楽しいリフレッシュ本

佐藤可士和のクリエイティブシンキング佐藤可士和のクリエイティブシンキング
著者:佐藤 可士和
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2010-06-26
おすすめ度:4.5
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以前紹介した「佐藤可士和の超整理術」の続編。


佐藤可士和の超整理術佐藤可士和の超整理術
著者:佐藤 可士和
日本経済新聞出版社(2007-09-15)
販売元:Amazon.co.jp
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超整理術も大変参考になり、佐藤さんの作品が楽しめる本だったが、この本も読んでいて楽しい。

あいかわらず佐藤さんのサイトがスゴイ。是非佐藤さんのサイトも見て欲しい。

佐藤可士和HP





この本で取り上げられているキリンビールの親子対話CM,ユニクログローブライド(ダイワ精工が社名変更)ふじようちえんリサージュ(化粧品)などの広告が掲載されている。

佐藤さんのサイトのふじようちえんのページにはスライドショーがあるので、これは一見の価値があると思う。こんな幼稚園なら是非子どもを通わせたいと思うだろう。

fuji kindergarten







この本ではところどころに佐藤さんの手書きの図が入っていてわかりやすく、楽しめる。


コミュニケーションのキャッチボール

佐藤可士和図2













上記の図は人間同士はたやすくは分かり合えないので、誠意を込めて相手のことを理解しようと、大胆かつ丁寧にコミュニケーションのキャッチボールを続けていくことが大事という図だ。


お客様視線とお茶の間視線

次はこの本で一番参考になった佐藤さんの視点だ。

ビジネスで一般的に考えられているのは「お客様目線」であり、これは自社製品を購入してくれそうな顧客の目線だ。しかし佐藤さんは、「お客様目線」よりも、一般の生活者としての客観的な視点、いわば世間の目ともいうべき「お茶の間目線」が重要だと語る。

satou






つまり買う人以外の一般の消費者の目線を目標にアピールして、買う人、顧客を獲得するという考え方だ。


「そもそも論」の重要性

佐藤さんは博報堂出身のクリエイティブディレクターで、インテリアデザイン、ウェブクリエイター、広告制作者など様々な人が関わるプロジェクトで、プロジェクトのコンセプトがブレないようにすることの重要性を学んだという。

現実の仕事が進むにつれ、メンバーの方向性がズレることがある。その時に対症療法的に修正せず、本質に立ち返り「そもそもこれは、こういうことだったよね」と、方向を正してくれるリーダーが重要だったという。

目の前の仕事の細かい部分よりも「そもそも、社会の中での広告の役割とは?」というふうに、広告のあるべき姿やクリエイティブの哲学といった根幹の部分を上司に語って貰うとスムーズに納得することができたという。

筆者も博報堂との合弁会社で仕事をした経験があるので、この感覚はわかる。

博報堂のクリエイティブのトップの宮崎さんはカンヌ国際広告祭で何度も金、銀、銅獅子賞を受賞した日本を代表するクリエイターだが、講演をお願いした時に、定期は買ったことがなく、帰宅ルートは毎日思いつくままで、町や人を見ていると言われていたことを思い出す。

宮崎さんの広告は、たとえば次の"Hungry?"というカップヌードルCMなど有名なものが多くある。



最近のJamiroquaiのカップヌードルのCMも宮崎さんの作品かもしれない。



それから雑誌Numberは、正確に言うと毎号「Number XXX」と題名が変わるが、当時文部科学省?から雑誌の題名が毎回変わることにクレイムがついたという話をされていたことを思い出す。

Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2010年 10/28号 [雑誌]Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2010年 10/28号 [雑誌]
文藝春秋(2010-10-14)
販売元:Amazon.co.jp
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前作の「超整理術」の様に、佐藤さんの作品が多く紹介されていて読んでいて楽しい。

頭が煮詰まって、アイデアが浮かばない時などには最適なリフレッシング本である。


参考になれば投票ボタンをクリック願う。


  
Posted by yaori at 02:01Comments(0)TrackBack(0)

2008年11月03日

佐藤可士和の超整理術 整理すれば仕事もはかどる

佐藤可士和の超整理術佐藤可士和の超整理術
著者:佐藤 可士和
販売元:日本経済新聞出版社
発売日:2007-09-15
おすすめ度:3.5
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カリスマアートディレクターの佐藤可士和氏の初めての著書。

佐藤さんは1965年生まれ。博報堂を経て2000年にサムライを設立して独立した。

佐藤さんのサイトがすごい。佐藤さんの作品のほとんどを収録してフラッシュで見られるようにしている。

kashiwa sato






整理の効用

この本では、私生活でも仕事でも「整理」することによって、環境が快適になり、効率もあがると力説する。

佐藤さんはアート・ディレクターだが、まるで医者の様にクライアントの問診が重要だと語る。クライアントと綿密にコミュニケーションすることによって答えが見つかる。それを的確に表現するのだと。

アート・ディレクションは自分の作品を作るのではなく、相手の問題を解決するソリューションビジネスなのだと。

だから相手の思いを整理することが大切だ。それにより本質がつかめる。

佐藤さんの出発点は広告は思いのほか注目されないものだと気がついたことだ。

それゆえ商品の本質を捉えて効果的に表現してこそ人の心に残るものができる。大切なのはクリエイターの自己表現ではなく、どう人々に伝えるかだと。

メッセージを人に伝えるのが難しいのは、伝えたいことを整理するのが大変だからだという。なぜアート・ディレクターが整理術を語るのか。整理は価値観を変えるほどの力を秘めているのだと。


整理手順

佐藤さんの整理手順は次の通りだ。

1.状況把握 対象(クライアント)を問診して、現状に関する情報を得る。

2.視点導入 情報に、ある視点を持ち込んで並び替え、問題の本質を突き止める。

3.課題設定 問題解決のために、クリアすべき課題を設定する。

佐藤さんのアート・ディレクション作品が紹介されている。

一つがキリン極ナマだ。

gokunama






このすっきりしたデザインには斬新感があり、生ビールの新鮮さを連想させる。


整理術には次の3つのレベルがあるという。

1.空間の整理術
プライオリティをつける。佐藤さんのオフィスはシンプルで、ほとんどモノがないので、訪問者に驚かれるという。

たしかに広告代理店の人のデスクというと、雑然といろいろなものが散らばり、そこらじゅうの壁にはポスターだらけというイメージがあるが、佐藤さんのオフィスは白木を基調にして、デスクもチェアーも非常にシンプルだ。

かばんの中身でも、デスクの机の引き出しでも、取り出して並べてみてプライオリティをつけ、いらないものは捨てるのだと。

整理の敵は「とりあえず取っておこう」だという。「とりあえず」取っておいたものは、実はほとんんど二度と見ないものばかりだ。

基本は捨てる。作品なら最終版だけ取っておき、どうしても捨てられないもの用に2−3日から1週間程度置いておく箱を用意しているのだという。

そして取っておいたものでも、見直し(アップデート)が重要だという、

  
2.情報の整理術
情報、アイデアを整理するには、まず視点を決め、次にあるべき姿=ビジョンを決める。

明治学院大学のロゴを作ったときに、「以前からこのマークだったような気がします」と言われた時はうれしかったという。

meigaku







六本木にある国立新美術館のロゴデザインも手がけた。斬新で現代的なロゴである。

shinbijutukan






3.思考の整理術 
一番難しいのは思考の整理だという。仮説をぶつけて、フロイトの精神分析の様に、「無意識の意識化」を達成するのだと。

例としてドコモのN702が取り上げられている。「潔い」ケータイをつくりたかったのだと。

N703






ユニクロの柳井さんとも親しく、ユニクロの仕事も佐藤さんが多く手がけている。特に印象深いのは、ユニクロのTシャツ専門店、原宿のUTだ。


UT






「Tシャツをペットボトルに入れて販売する」がコンセプトの店だ。実に斬新である。


答えは必ず目の前にあるので、あるべき姿を見つけるひとつの方法が整理なのだと。

さすがベストセラーになるだけのことはある。シンプルな考えだが、実用的だ。簡単に読めるので、是非手にとって見て欲しい本だ。


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Posted by yaori at 21:39Comments(0)TrackBack(0)