2014年02月13日

知らないと恥をかく世界の大問題 4 池上彰さんのわかりやすい解説



わかりやすい解説で定評がある池上彰さんの世界情勢解説の最新版。

このブログでも紹介した1は2009年に発刊され、今回紹介する4は2013年5月の発刊だ。

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)
池上 彰
角川SSコミュニケーションズ
2009-11


このシリーズはすべて読んでいる。毎回参考になることが満載で、大変役に立つ。まずは、ここをクリックしてアマゾンのなか見!検索で目次と最初のページを見てほしい。最初のページに載っている世界地図とその地域で起こっている問題の一覧もよくまとまっていて大変参考になる。

ちょうど前回ブログで紹介した「中国はもう終わっている」を読んだ後なので、中国関係の情報も参考になった。

中国の汚職はケタが違う。逮捕された薄煕来の蓄財は5,000億円近いと言われ、清廉といわれていた温家宝もニューヨークタイムズが、親族に2,150億円もの蓄財があると報じているという。

もちろん薄煕来も習近平も子供を米国に留学させている。ほかの多くの共産党の幹部も同様だ。

中国では腐敗した官僚のことを、「裸官」というそうだ。不正な口利きで蓄財し、子供を海外に留学させ、得たお金はマネーロンダリングで、留学先の国に送金する。万一に備えて家族や資産を海外に送り出し、自分だけが中国にハダカでとどまっているので、「裸官」というのだと。

これでは国のトップがこれでは、中国国民が不満を持つのは当たり前であると池上さんは語る。

中国では経済成長に陰りがみられ、「保八」が「破八」になっている。中国では地方政府の役人が、勝手に土地利用権を売って利益を上げている。これが汚職とバブルを引き起こしており、以前から不動産バブルが崩壊すると言われている。

この本ではゴーストタウンとなっている新築高層マンション群の写真を紹介している。

尖閣海域で中国の監視船の領海侵犯が昨年から頻発している。中国の実効支配のやり方は次のパターンなのだと。

1.領有権を主張する
2.漁民を送り込む
3.漁船団・監視船を送り込む
4.漁民保護の名目で海軍を投入する
5.上陸し、施設を建設する

これが南沙諸島、スカボロー礁等を中国が実効支配したやり方だ。

ベトナム軍が実効支配していたスプラトリー群島を1988年に中国軍海兵隊が攻撃したビデオがYouTubeに公開されている。ベトナム軍の輸送船を中国軍の駆逐艦が攻撃するシーンが紹介されている。



日米安保条約があるから中国は手を出せないだけで、米軍の後ろ盾がなかったら、間違いなく中国は尖閣諸島に上記のステップでアプローチするだろう。

もっとも日本側でも尖閣については領土問題は存在しないと公式発言しているが、実態として棚上げとしてきた。その証拠に、日本人の尖閣上陸は許されていない。また尖閣周辺の天然ガス開発でも、日本企業の採掘申し入れを日本政府は認めてきていない。

歴代首相は、「棚上げと向こうが言ったのだから、相手を刺激するようなことはやめよう」とやってきたのだと。

韓国の現代自動車の燃費虚偽表示問題。米国で人気の韓国車「エラントラ」は日本車より燃費がいい(40マイル/ガロン)という触れ込みだったが、アメリカの消費者団体が調査したところ、実際には25マイル/ガロンだった。

燃費虚偽表示問題は2013年末に和解が成立したが、韓国車のブランドイメージ毀損は免れない

韓国はアベノミクスを批判しているが、円安・ウォン高で韓国製品の競争力が落ちていることのあせりがあったのかもしれない。

2012年12月の総選挙で自民党は大勝したものと思っていたが、実は3年前に自民党が負けた時よりも得票数は少なかったのだと。2009年が1,881万票で、2012年が1,662万票。実に219万票も減っている。

国民は決して自民党を勝たせたわけではないのだと。民主党に愛想をつかせ、「支持する政党がない」として棄権してしまった人も多かった。

アベノミクスはマスコミの造語で、レーガン大統領の「リーガノミクス」に由来するという。

レーガン大統領の経済政策は、当時の大統領予備選の対立候補だったブッシュ父から「ブードゥーエコノミー」と呼ばれたほど、経済学的には支持が少ない大胆な政策だった。

安倍首相の経済政策もどうなんだろうと、マスコミが疑問を持って名付けたのが「アベノミクス」なのだと。

その他の話題も大変参考になった。簡単に読めるので、一読をおすすめする。


参考になったら、投票ボタンをクリック願いたい。


  
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2012年07月11日

池上彰のやさしい経済学1 わかりやすくためになる経済学の基礎

池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる池上彰のやさしい経済学―1 しくみがわかる
著者:池上 彰
日本経済新聞出版社(2012-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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池上さんの「やさしい〜」シリーズは何冊も読んだ。この本の姉妹編の「やさしい経済学2」も読んだが、1の方が経済学の勉強という意味で役に立つ。

この本では、そもそも経済って何だろうか?という質問から始まって、最初の2章は、経済学の基礎知識の説明や、銀行ってどんな仕事をしているんだろう?というような、まさに「週刊子どもニュース」のノリだ。

たとえば、お金に関する漢字の多くが貝偏なのは、中国では子安貝をお金に使ったから。サラリーと呼ぶのは、古代ローマでは塩(サラリウム)が兵士の給料として支給されていから、というような面白くてためになる情報が多い。

しかし、この本の真価は、その次の偉大な経済学者の理論のわかりやすい紹介にある。池上さんは、この本でアダム・スミス、カール・マルクス、(デヴィド・リカード)、ケインズ、ミルトン・フリードマンの4人についてわかりやすく解説している。

現在日経新聞で連載している関連記事も同様の内容だ。

池上











出典:日経新聞

実は、4人の中で筆者が読んだのは、アダム・スミスの本だけということで、不勉強を反省するとともに、筆者の経済学の知識が乏しいことにあらためて気づかされた。

筆者は大学2年の時に内田忠夫先生の「経済学」を学んだが、ほとんど覚えていない上に、その後読んだ本も限られている。

内田先生の授業を受けて、推薦書のサミュエルソンの「経済学」を英語で読もうと思って、本を買うまではよかったのだが、大学生の英語力では限界があり、数式などもあって、結局挫折してしまった。

EconomicsEconomics
著者:Paul Anthony Samuelson
McGraw-Hill(2010-04)
販売元:Amazon.co.jp
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それが後を引いて、経済学は難しいという固定観念ができてしまった。マルクスの「資本論」も読んだというか、字面だけ眺めたようなものだ。難解な上に、時代も違うので、全然理解できなかった。

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)
著者:マルクス
岩波書店(1969-01-16)
販売元:Amazon.co.jp
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最近「まんがで読破」シリーズの「資本論」を読んだが、これがはたして理解に役立つのかわからない。

資本論 (まんがで読破)資本論 (まんがで読破)
著者:マルクス
イースト・プレス(2008-12-01)
販売元:Amazon.co.jp
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続・資本論 (まんがで読破)続・資本論 (まんがで読破)
著者:マルクス
イースト・プレス(2009-04-28)
販売元:Amazon.co.jp
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アダム・スミスの「国富論」は数年前に、日経新聞版が出た時に読んだ。これはまさに古典であり、それまで聞いてきたことを自分で確かめたという感じだ。「国富論」は”見えざる手”で有名だが、”見えざる手”という表現は一か所に、それも目立たず出てくるだけだ。

その後のアダム・スミスの評価がこの一言で決まったといってもよい言葉だが、本の中ではさらりと扱われているのが印象に残る。

国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
著者:アダム・スミス
日本経済新聞社出版局(2007-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究 (下)
著者:アダム・スミス
日本経済新聞社出版局(2007-03-24)
販売元:Amazon.co.jp
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この本は京都造形芸術大学での講義を元にしたもので、前記のように日経新聞でも毎週?連載されている。経済学部ではない大学生に対する講義なので、非常にわかりやすい。

まず、アダム・スミスについては、「見えざる手」=市場の自動調節機能を中心に、「国富論」で出てくるピンを自分で作る場合と、分業して作る場合などの有名な例を紹介しながら説明している。

マルクスについては、資産家の友人のエンゲルスの援助を受けられたからこそ、労働が価値を生み出し(労働価値説)、資本家は労働者を搾取しているとして、いずれは労働者が革命を起こすと説きつづけられたことを説明している。

しかし、その後生まれた社会主義国は効率が悪いので、ことごとく失敗して、ソ連など大半の国は資本主義に戻ったことなどを、旧東ドイツ製のトラバントというおもちゃのような自動車を例に出しながら説明している。

800px-Trabant_601_Mulhouse_FRA_001





出典:Wikipedia

ケインズについては、1929年の世界恐慌のあと、恐慌から脱出する政策として、政府が赤字国債を発行して資金を調達し、それを使って公共事業を拡大して、雇用を維持し、経済を回復させるという処方箋を書いて、米国を大恐慌から回復させた(もっとも米国が経済回復したのは、第2次世界大戦で大量の武器を生産したからという説もある)ことを紹介している。

またロシアのバレリーナと大恋愛して、それでお金が必要だったことも付け加えている。

デヴィッド・リカードについては、「比較優位」の考え方で、国際貿易は双方の国にとってメリットがあると主張して、国際貿易の飛躍的拡大をもたらしたことを紹介している。

最後にシカゴ学派のボス、新自由主義の旗手・ミルトン・フリードマンの経済理論をわかりやすく紹介している。

筆者はミルトン・フリードマンやシカゴ学派の理論については、ほとんど理解していなかったことが、この本を読んでわかったので、現在「資本主義と自由」を読んでいる。

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
著者:ミルトン・フリードマン
日経BP社(2008-04-10)
販売元:Amazon.co.jp
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小泉・竹中改革は、シカゴ学派の新自由主義を日本に導入しようとするものだ。「もしドラ」の二番煎じのような「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」も、この点を書いているのではないかと思うので、今度読んでみる。

もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだらもし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら
日経BP社(2011-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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フリードマンの学説は、シカゴ学派、マネタリストと呼ばれ、絶対自由主義の立場は、このブログで紹介したマイケル・サンデルの「これからの正義の話をしよう」で有名になった「リバタリアン」と呼ばれており、小さな政府を提唱し、米国の「ティーパーティ」政治運動にも影響を与えている。

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
著者:マイケル サンデル
早川書房(2011-11-25)
販売元:Amazon.co.jp
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フリードマンの理論を、池上さんは、次の「こんなものいらない」リストで紹介しており、こんな考え方もあるんだと、頭の体操をすることを勧めている。

1.農産物の買い取り保証価格制度
2.輸入関税または輸出制限
3.家賃統制、物価・賃金統制
4.最低賃金主義や価格上限統制
5.現行の社会保障制度
6.事業や職業に関する免許制度
7.営利目的の郵便事業の禁止(これが小泉郵政民営化の基本だ)
8.公営の有料道路
9.商品やサービスの参入規制
10.産業や銀行に対する詳細な規制
11.通信や放送に関する規制
12.公営住宅及び住宅建設の補助金
13.平時の徴兵制
14.国立公園
15.企業のメセナ活動
16.累進課税(ユニタリータックス提唱)

フリードマンは、学校選択制も提唱している。

日本でも新自由主義的な政策は、橋本政権から「金融ビッグバン」ということで始めており、小泉改革では派遣労働の自由化を推し進めたことで、格差拡大をもたらしたと非難されている。

エキセントリックな議論が多く、賛否両論があるフリードマンだが、上記のような本を何冊か読んでみる。


まさに「やさしい経済学」というタイトル通りだ。経済にはあまり詳しくない人に絶対おすすめの本である。


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2011年03月21日

池上彰の知らないと恥をかく世界の大問題37 待ち時間の読書に最適

池上彰の知らないと恥をかく世界の大問題37 イラスト図解版池上彰の知らないと恥をかく世界の大問題37 イラスト図解版
著者:池上 彰
角川SSコミュニケーションズ(2010-06-24)
販売元:Amazon.co.jp
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わかりやすい池上解説のムック本。

この本はアマゾンのなか見!検索に対応していないので、目次と主なサブタイトルを紹介しておく。

イントロダクション 今、世界はどうなっているのか
  1 ”世界のお金”は西から東へと動いている
  2 世界の国々の新しい”縄張り争い”が始まった

第1章 ギリシャより大変!?問題山積みの日本はどうなる?
  4 日本の借金は実は大変なことになっているの?
  5 少子高齢化というけど、私たちの老後は大丈夫?
  6 「子ども手当」の代わりに「配偶者控除」がなくなる?
  7 結局、郵政民営化はやめて、元に戻ってしまうの?
  8 地方のトップがいま熱い。国に対して何を怒っているの
  9 ガソリン代って、結局安くなるの。ならないの?
 10 高速料金が値上げに?「無料化」じゃなかったの?
 13 地域ごとに連休をずらすと、面倒なことにならないの?
 14 誰もが希望すれば「農家」になれるわけじゃないの?
 18 なぜ沖縄だけにアメリカ軍の基地が集中しているの?
 
第2章 アメリカはオバマ大統領になって、よみがえったの?
 20 どうしてGMみたいな大会社がつぶれちゃったの?
 21 オバマで”チェンジ”?ブッシュは何が悪かったの?

第3章 次の世界の”親分”はどこになる?
 23 石油が出る中東の国は、オイルマネーで潤っている?
 24 かつてのソ連、ロシアってやっぱり超大国?
 25 中国が急成長!日本は追い抜かれるの?
 26 ゼロの概念を発見した国、インドはなぜITが盛ん?

第4章 世界には人類共通の問題がいっぱいある?
 30 地球が温まると、どうしてよくないの?
 32 本当に怖いのは鳥インフルエンザ

第5章 今も世界のどこかで”紛争”が起こっている?
 35 イスラム世界の大国、サウジアラビアはどんな国?
 36 注目株のアフリカを日本も中国も狙っている?
 37 世界から核をなくすことはできるの?


待ち時間に読むのに最適

5時起きでガソリンスタンドに並び、3時間半ほど待った時に車の中で読んだ。ムック本なので字も大きく、イラストや図が一杯なのでちょうど良かった。

東北関東大震災の影響でガソリンなどの物流が東北向けに集中しており、関東地方ではガソリンが不足している。筆者の住む東京都町田市も売り切れで休業しているガソリンスタンドが多く、ドライバーは皆ガソリンの手当てに苦労している。

品川区に住む先輩が5時から並んで給油したという話を聞いていたので、家族からのプレッシャーもあり、筆者も今日は5時起きでガソリンスタンドに行き、順番としては10番ぐらいで給油を待った。

実は前日深夜に自宅周辺のガソリンスタンドを30分くらいかけてチェックして、適当なスタンドの目星を付けていたのだ。

筆者の行ったスタンドは、「19日は休業・20日は営業」と張り紙がしてあった。前日夜にタンクローリーが横付けになっていたのを見ていたので、給油を受けられるのは間違いないと判断して朝から並んだ。

他のスタンドは「売り切れ」とか張り紙してあり、これだと今日給油できるのかどうか不明だ。

ここまで事前準備しているのにもかかわらず、並んでいたらパトカーが2台来て、「給油待ちの列が長くなって交通に影響が出ている。このスタンドの営業再開は未定なので、解散するように」とスピーカーでアナウンスしだした。

「20日は営業」と張り紙してあるにもかかわらず、警察がああまでいうなら、あるいは経営者と連絡を取っているのかと一瞬思ったが、誰も列を崩す人はいない。

警官は先頭の数台のドライバーに話しかけていたようだが、結局誰も列を離れようとしないので、20分ほどであきらめて立ち去り、その後15分くらいしてまた1回アナウンスしたが、列に動きはない。

そうこうしているうちに8時40分過ぎにスタンドが開店し、どんどん給油を始めたので、筆者も制限の20リッター給油した。

結局あの警官達は、給油待ちの列が長くなりすぎて交通の邪魔となってきたため、でまかせで「このスタンドの営業再開は未定だ」などとアナウンスしていたのだ。

全くいい加減な警官達だ。朝早く起きて3時間以上もじっと待っていたドライバー達をだます行為であり、公務員として許し難い。

列が長くなって交通に影響が出ていたら、自分たちで交通整理に当たるか、経営者に連絡を取って早く開店させるかすべきであり、「このスタンドの営業再開は未定だ」などというウソをつくことは、あのスタンドの営業妨害にもなる。

ちなみに同じスタンドを午後通ったら、列が短くなっていたので、もう一度列に並んで20リッター給油した。2度目は10分くらいの待ち時間で給油できた。どうやら多摩地区のガソリン事情は好転しているようだ。

閑話休題。

この本は、見開き2ページで一つのサブタイトルを説明している。詳しい解説ではないが、それぞれに「これも気になる」というコラムもあり、自分の基礎知識を確認するのに役立つ。

特に参考になったものを紹介しておく。


7 結局、郵政民営化はやめて、元に戻ってしまうの?
亀井静香国民新党代表が郵政民営化の逆コース推進に積極的で、郵貯の限度額を2,000万円に引き上げる案を打ち出している。池上さんは、郵貯預入額倍増案を国民新党の特定郵便局長の政治力を味方に付けるためと、今でも最悪の国の借金をさらに拡大するために、郵貯資金で国債引き受けを拡大するためと見ている。

13 地域ごとに連休をずらすと、面倒なことにならないの?
そもそも地域ごとに連休をずらすという案があることを知らなかった。また現在のハッピィーマンデー(成人の日とか体育の日とかを必ず月曜日にして、三連休とする制度)も時限立法とはしらなかった。

米国の場合は、企業ごとに毎年休日を決めており、国民の祝日というわけではない。たとえばマーチン・ルーサー・キングズ・バースデー(1月15日)は以前はほとんどの企業が休日にしていなかったが、現在は休日にしている会社が多いと思う。

ワシントンズ・バースデー(2月22日)、リンカーンズ・バースデー(2月12日)も同様だ。

14 誰もが希望すれば「農家」になれるわけじゃないの?
農家になる(農地を購入する)ためには、農業委員会の承認を得なければならない。農家はガチガチに守られているのだ。


18 なぜ沖縄だけにアメリカ軍の基地が集中しているの?
沖縄に米軍基地が集中している最大の理由は、その戦略的な位置にある。朝鮮半島、台湾にも近く、この地域で事件が起こった場合には、短期間に行動できる。

21 オバマで”チェンジ”?ブッシュは何が悪かったの?
ブッシュの2大失策は、イラク侵攻とサブプライム問題だという。特にイラク問題は、大量破壊兵器があるということでサダム・フセインを追い出すためにイラクに侵攻したが、結局大量破壊兵器はなかった。

戦争の時の大統領は負けないということで、父ブッシュが湾岸戦争に勝利を収めていながら、翌年の大統領選挙でクリントンに負けた轍を踏まないようにイラク戦争を起こしたのだといううがった見方もあるという。

24 かつてのソ連、ロシアってやっぱり超大国?
プーチンが大統領から一旦退いたが、メドベージェフを大統領として、自分は首相となって院政を敷いている。

ロシア国民はプーチンの手腕を高く評価しているが、結局ロシアはエネルギー輸出で食っている国であり、単にエネルギー価格が上がり、ロシアが裕福になっただけではないかと池上さんは手厳しい。


簡単に読めて参考になるムック本である。


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2011年01月01日

池上彰の情報力 ベストセラー「伝える力」の原型

2011年の最初のあらすじは、ニュース解説というテレビプログラムを2010年に大ブレークさせた池上彰さんの「伝える力」の原型の2004年の本だ。

池上彰の情報力池上彰の情報力
著者:池上 彰
ダイヤモンド社(2004-01-29)
販売元:Amazon.co.jp
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池上さんは2010年の流行語ベスト2に「いい質問ですねぇ~」が選ばれている。

当時は池上さんはNHKの社員で「週間こどもニュース」のお父さん役だったので、今のようにブレークする前の本だ。

この本はなか見、検索!に対応しているのでここをクリックして目次を見て欲しい。以下に章のタイトルだけ紹介しておく。大体の感じがわかると思う。

第1章 私の情報収集術

第2章 私の取材・インタビュー術

第3章 私の情報整理術

第4章 私の読書術

第5章 私の情報解釈術

第6章 私の情報発信術

池上さんの情報整理ノウハウや、わかりやすい文章の書き方を指南している。第6章の「私の情報発信術」では、わかりやすい文章の書き方についてもガイダンスしており、今度紹介するベストセラー「伝える力」の後半部分と同様の内容だ。

伝える力 (PHPビジネス新書)伝える力 (PHPビジネス新書)
著者:池上 彰
PHP研究所(2007-04-19)
販売元:Amazon.co.jp
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池上さんは同じような本がいくつもあるが、それぞれが面白く読ませる。参考になる情報が多いのはさすがだ。

この本も池上さんの意見に賛同できる点が多く、参考になる情報が満載だ。


私の読書術

特に「私の読書術」では大変参考になる点が多かった。いくつか紹介しておく。

★判断力を鍛えるためにも、いつでも本を手元に
池上さんは読書が最大の趣味ということはさておき、ニュースキャスターとして世の中の動きを知っておく必要があるから本を読むのだと。

池上さんは「タリバン」という本を9.11が起こる前に読んでいたので、参考になったという。
タリバン―イスラム原理主義の戦士たちタリバン―イスラム原理主義の戦士たち
著者:アハメド ラシッド
講談社(2000-10)
販売元:Amazon.co.jp
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「コーラン」も、「ハディース」も文庫本を読んだという。

コーラン 上 (岩波文庫 青 813-1)コーラン 上 (岩波文庫 青 813-1)
岩波書店(1957-11-25)
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ハディース〈1〉イスラーム伝承集成 (中公文庫)ハディース〈1〉イスラーム伝承集成 (中公文庫)
中央公論新社(2001-01)
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筆者は「コーラン」自体は読んだことがない。以前紹介した「コーラン入門」という本を読んだ。

図解 これだけは知っておきたいコーラン入門図解 これだけは知っておきたいコーラン入門
著者:島崎 晋
洋泉社(2007-06)
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★新聞の書評欄には、本探しのヒントや新たな発見がいっぱい
池上さんは斉藤美奈子さんの書評に絶大な信頼を置いているという。

誤読日記 (文春文庫)誤読日記 (文春文庫)
著者:斎藤 美奈子
文藝春秋(2009-09-04)
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筆者も新聞の書評欄や「日経ビジネス」、「週刊東洋経済」等のビジネス書の書評欄は参考にしている。

★通勤電車の中は理想的な図書館
まさに筆者も同感だ。

★書店で「時代」を感じ取ろう
池上さんは毎日書店をのぞくという。書店も重要な本の選択情報ソースだ。

★積ん読だけでもためになる
並んでいる本の背表紙をみても発想がわいて来るという。

★そもそも何のために情報収集するのか
池上さんは、情報収集自体楽しいが、それだけではなく、仕事の面でもプライベートの面でも正しい判断をするために情報収集するのだと語る。その通りだと思う。


私の情報発信術

★良い文章か悪い文章か。音読すればすぐにわかる
たとえば長い文章だと、読んでいて息が続かないという。筆者も意識して短い文章にしているが、常に注意が必要だ。

★原稿はワインのように、書いたら寝かせておこう
池上さんは一週間は寝かせておこうと言う。筆者も書いたそのままではなく、必ず一日以上置いて見直して正式に提出している。

池上さんは「ひとり突っ込み」と読んでいるが、原稿を書いたら、きちんと読み直さないで提出する人が結構多い。書いたらそれで仕事が終わったような気がするからだろう。

読みやすい文章にするには、池上さんの「ワインのように」というアドバイスは貴重だ。

★意識的に接続詞のない文章を書くことで、論理力を鍛える
「そして」の連発は小学生の作文並になる。

★順接の「が」は使わない
筆者も最近気を付けているが、「○○だが、△△だ。」という文章の場合、△△が○○を否定していない場合が「順接」だ。

「順接」の「が」の場合論理が繋がらない文章となる場合が多く、要注意だ。

★プリントアウトするだけで、自分の文章を読者の立場で読める
これも100%同感だ。やはり画面では細部までチェックしにくい。

★矢印が持つ意味は?安易な図解でかえってわかりにくくなることも
これも注意しなければならない。

以上、印象に残ったものだけリストアップしたが、その他にも懇切丁寧なアドバイスが満載だ。

是非なか見、検索!で目次を見て欲しい。

全体を通して、読者のためにという思いが伝わってくる。まさに「伝える力」の本である。


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2010年11月23日

ヨンピョン島砲撃発生!知らないと恥をかく世界の大問題 2009年池上解説

2010年11月23日追記:

昨日ブログに、北朝鮮と韓国の停戦ラインが海上でははっきりしていないと書いたばかりだが、本日北朝鮮が韓国のヨンピョン島を砲撃した。



まるで予期していたようなタイミングだ。

局地的な紛争で終わると思うが、挑戦半島が依然として「停戦」状態にある、つまり「終戦」ではないことを思いしらされる事件である。


2010年11月22日初掲:

知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)知らないと恥をかく世界の大問題 (角川SSC新書)
著者:池上 彰
角川SSコミュニケーションズ(2009-11)
販売元:Amazon.co.jp
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テレビの「池上解説」で大人気の池上彰さんの本。

池上さんの解説本はいくつか読んだが、大変わかりやすい。

テレビでもよく「池上解説」を見るが、最近のもので一番参考になったのは、北朝鮮による韓国警備艇の沈没事件で、北と南の停戦ラインは陸上は38度線できっちり決められているが、海上では双方の主張がかみ合わず、停戦ラインがはっきりしていないという話だ。なるほどと思う。

ハルバースタムの朝鮮戦争を扱った「ザ・コールデスト・ウィンター」のあらすじを近々紹介する。日本では朝鮮戦争はいわば忘れられた戦争だが、朝鮮半島ではいまだに朝鮮戦争の残渣(ざんさ)が残っていることを池上解説で初めて知った。

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上
著者:ディヴィッド・ハルバースタム
文藝春秋(2009-10-14)
販売元:Amazon.co.jp
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この本は2009年10月の発行で、2008年のサブプライム問題から、リーマン破綻、FRBバーナンキ議長の舵取り、「第2のフーバー」と呼ばれるブッシュ前大統領など、世界と日本の話題を多く取り上げて、わかりやすく解説している。

いくつか参考になった点を紹介しておく。

★インドでIT産業が発達したのは、新しい産業でカースト制度の縛りがないから。能力さえあれば、ITの仕事に就ける、まさに”インディアンドリーム”だと。それと英語が共通語で、アメリカと昼夜が逆なためアウトソーシングが受けやすかった。

★フランスのサルコジ大統領は、地中海沿岸諸国だけで「地中海連合」をつくろうとした。北アフリカから安い労働力を使って低コストで生産し、雇用拡大することによってEUへの移民流入を防ぎ、資源も確保するという戦略だった。しかしドイツのメルケル首相が口をはさみ、ドイツも加わった。目的の一つは地中海の海洋汚染の除去で、これにはフランスの世界的な水道会社が強みを発揮する。

★コーランに出てくる「ジハード」とはそもそも「努力する」という意味で、「ジハードで亡くなった者は、アラーのもとで暮らしている」と書いてある。イスラム世界に攻めてくる異教徒と戦うことも「ジハード」とされ、異教徒と戦って死ねば天国に行けるという発想になった。

★ウィグル族はトルコ系の民族で、イスラム教徒で、文字はアラビア文字を使う。1933年には一時「東トルキスタン・イスラム共和国」が建設されたこともあり、漢民族の中国政府がウィグル人を弾圧すると、イスラム系のテロを引き起こ可能性もある。

★イランはアメリカのイラク侵攻を見て、「イラクがアメリカから攻撃されたのは、イラクが核兵器を持っていなかったからだ。核兵器を持っていれば、アメリカも報復を恐れて攻撃できないだろう」と考えて、核兵器製造を視野に入れているのではないか。

★今のような「農作業=仕事をしなければお金をあげます」という減反政策をやめて、つくりたいものをつくり、大量に農産物を生産して価格が下がったら、国が一定の補償をするという制度にすべき。ヨーロッパはこの方法で自給率を上げた。

ちょうど民主党が政権交代を果たした直後だったので、民主党政権に対する期待が込められている解説が多い。

簡単に読めて参考になる本だった。池上さんの最新作も読んでみようという気にさせる本だ。


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Posted by yaori at 19:25Comments(0)TrackBack(1)