2016年11月09日

職業としての小説家 村上春樹の自伝的エッセイ



2015年9月に出版された村上春樹さんの「職業としての小説家」が、もう文庫化された。ノーベル賞受賞を見込んでいたと思われる、本屋の村上春樹コーナーに平積みになっているので、すぐわかると思う。

この本は、筆者が読む前に買った数少ない本だ。

単行本はスイッチ・パブリッシングという雑誌「MONKEY」を出している出版社から出したものだが、単行本は新潮文庫から出している。「MONKEY]は、翻訳家として有名な東大名誉教授の柴田元幸さんが責任編集している主にアメリカ現代小説を紹介する雑誌だ。



この本は、もともと「MONKEY」に連載したシリーズに加筆したもので、次のような構成になっている。

第1回 小説家は寛容な人種なのか
第2回 小説家になった頃
第3回 文学賞について
第4回 オリジナリティーについて
第5回 さて、何を書けばいいのか?
第6回 時間を味方につけるー長編小説を書くこと
第7回 どこまでも個人的でフィジカルな営み
第8回 学校について
第9回 どんな人物を登場させようか?
第10回 誰のために書くのか?
第11回 海外に出て行く。新しいフロンティア
第12回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出

この本を読んで驚くのは、村上さんは、筆者の持っている小説家のイメージとだいぶ違うということだ。

そもそも村上さんは、注文を受けて小説を書くということをしない。だから、いつまでに仕上げなければならないという締め切りもないし、いわゆる「ライターズ・ブロック」(小説が書けなくなるスランプの状態)とは無縁だ。小説を書きたければ書くし、書けなければ、翻訳などほかの仕事をして、小説を書きたいという気持ちが盛り上がってくるまで待つ。

そして小説を書きたいという気持ちが盛り上がってきたら、小説書きに取り掛かる。

村上さんが長編小説を書く場合、毎日朝早く起きて4〜5時間机に向かい、400字詰原稿用紙で10枚程度の原稿を書くことをルールとしており、もっと書きたくても10枚でやめておき、いまひとつ気分が乗らないという時もなんとか10枚書くという。

筆者の持つ小説家のイメージは、場合によってはホテルに缶詰めになり、夜に執筆し、興が乗ればそのまま何十枚も書き続けて朝まで徹夜するというものだったので、興が乗っても、乗らなくても毎日10枚をルールにするというのは驚きだ。

村上さんは翻訳家としても多くの仕事をしているので、毎日何枚か決めて、すこしずつ書く(あるいは翻訳する)という翻訳の様な仕事の進め方になったのではないかと思う。

それと村上さんの特徴は、何度も何度も原稿を見直して修正することだ。

いったん長編小説の原稿を書きあげると、1週間くらい休んで、第1回目の書き直しに入る。

村上さんは最初にプランを立てることなく、展開も終末もわからないまま、いきあたりばったり、思いつくままどんどん即興的に物語を進めていく。そのほうが書いていて面白いからだ。

たしかに作者にも結末がわからないまま書き続けるという手法は、うまくいけば読者を息もつかさぬ展開に引き込んで離さない魅力がある。村上アディクト(中毒)患者を量産できる可能性がある。一方のリスクは、平凡な結末に終わると、読者に飽きられることだろう。

これと対照的なのが、朝井リョウさんだ。最近のインタビューで朝井さんは、AIと一緒に仕事をしたいと語っている。というのは、朝井さんの場合、書きたいテーマが最も輝く結末を決めて、それに至る道筋を書くという手法なので、さまざまな道筋を考えるのにAIを使いたいという。

村上さんのような書き方だと、矛盾する箇所や、筋の通らない箇所、登場人物の設定が変わったり、時間の設定が前後したりするので、かなりの分量をそっくり削ったり、膨らませたりで、新しいエピソードをあちこちに付け加える。

この第1回目の書き直しに1〜2カ月かかる。それが終わるとまた、1週間ほどおいて、2回めの書き直しに入る。

今度は細かいところに目をやって、風景描写を細かく書き込んだり、会話の調子を整えたりする。一読してわかりにくい部分をわかりやすくし、話の流れをより円滑で自然なものにする。大手術ではなく、細かい手術の積み重ねだ。

それが終わると、また一服してから、3回目の書き直しに入る。今度は手術というよりは、修正に近い作業で、小説の展開のなかで、どの部分のねじを締めるのか、どの部分を少し緩ませておくのかを見定める。

長編小説は、隅々までねじを締めてしまったら、読者の息が詰まるので、ところどころで文章を緩ませることも大事なのだと。全体と細部のバランスをよくする。そういう観点から文章の細かい調整をする。

次に、半月から1カ月くらい長い休みを取り、旅行をしたり、翻訳の仕事をして作品のことを忘れる。これを村上さんは「養生」という。小説も「寝かせる」と、前とはかなり違った印象を与え、前に見えなかった欠点もくっきり見えてきて、奥行きのあるなしが見極められる。

「養生」後に、再度細かい部分の徹底的な書き直しに入る。

そして作品としてのかたちがついたところで、奥さんに原稿を読んでもらう。これは「定点観測」で、村上さんの作家としての最初の段階から一貫して続けていることだ(ちなみに、村上さん夫妻に子供はいない)。

時には村上さんも感情的になることがあるが、奥さんの批評でけちをつけられた部分は、ルールとして書き直す。そしてまた読んでもらい、まだ不満があれば書き直す。そして、批評が片が付いたら、再度また頭から見直して、全体の流れを確認し、調整する。

これを経て、できた原稿を編集者に読んでもらう。

中には合わない編集者もいるが、お互い仕事なので、うまくやりくりしていくしかないので、編集者からの指摘も、ともかく直す。編集者の指摘とは逆の方向に直すこともあるが、書き直すという行為そのものが大事なのだ。

あまり合わない編集者の一人と思われる見城徹さんが、村上さんのことを、「たった一人の熱狂」に書いているので、このブログのあらすじを参照してほしい



編集者とのゲラの見直し作業も、ゲラを真っ黒にして送り返し、新しく送られてきたゲラをまた真っ黒にするという繰り返しだ。言葉の順序を入れ替えたり、些細な表現を変更したりで、根気のいる作業だが、村上さんはそういう「とんかち作業」が好きなのだと。

机に並べた10本のHBの鉛筆がどんどん短くなっていくのを目にすることに、大きな喜びを感じる。いつまでやっていてもちっとも飽きない、面白くてしょうがないのだと。

そこまでして完成した作品については、たとえ出版後、厳しい批判を受けても、やるべきことはやったので、後は時間が証明してくれるはずだと考えることにしているのだと。

日本を離れて、海外で執筆することが多いのが、村上さんの特徴だ。

昔の小説家(文士)は、鎌倉に住み、作品を書くときは御茶ノ水の「山の上ホテル」あたりに缶詰めになって、原稿書きに取り組むというパターンがあったが、村上さんは、米国のプリンストン(ニュージャージー)やボストン、ヨーロッパでもいろいろな場所に住んで、そこで小説を書いている。
 
この本の半分ほどは、村上さんがどうして小説家となったのかを自伝的に語っている。(ウィキペディアでも結構詳しく紹介されている

簡単に紹介しておくと、村上さんは両親が教師の家庭に生まれ、阪神間で育ち、一学年が600人という県立神戸高校から早稲田大学に進学し、映画演劇科に進んだ。7年かかって卒業する前に学生結婚して、就職せずに、奥さんと一緒にお金を貯めてジャズ喫茶を国分寺に開く。

その後、店を千駄ヶ谷に移し、キッチンテーブルで書いた「風の歌を聴け」が「群像」新人文学賞を受賞し、小説家としての「入場券」を得る。

風の歌を聴け (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
2004-09-15


ヤクルトファンの村上さんが、神宮球場で、ヤクルトの試合を芝生に寝転んで応援しているとき、一番バッターのデイブ・ヒルトンの打席で、突然「小説を書こう」とひらめいた(エピファニー=顕現、ある日突然何かが現れて、様相が一変してしまうこと)という。

芥川賞の候補に2回なったが、受賞せず、芥川賞はアガリとなった。小説の賞について、村上さんの持論を展開している。村上さんは、賞の選考委員にはならない。あまりに自分本位で、個人的な人間でありすぎるからだという。

芥川賞は年に2回表彰しているが、新人作家の作品で、本当に刮目すべきものは5年に一度くらいではないかと。

村上さんは、日本の読者人口を人口の5%、約600万人と推定している。このブログで紹介した「華氏451度」のように、本を読むなと言われても、隠れて読み続ける人たちだ。



華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)
レイ・ブラッドベリ
早川書房
2014-04-24


村上さんが真剣に考えているのは、その600万人の人にどのような作品を提供できるかだ。村上さんは、読者とのつながりを非常に大切にしている。

試みとして、インターネットでサイトを短期間開設して、そこにコメントを載せた読者には、自らメールで返信したという(投稿者はまさか村上さん本人から回答があったとは思っていなかったようだが)。

いずれは、スティーブン・キングの様に、電子ブック向けに直接配信することにも挑戦するのだろうと思う。

村上さんは小説は誰でも書ける。しかし、ちょうどプロレスのリングのように、誰にでも上がれるが、リングにとどまるのは大変だと語る。

小説家になろうと思う人は、1冊でも多くの本を読むべきだと。

このあたりは、このブログで紹介した大沢在昌さんが「売れる作家の全技術」で語っているのとまったく同じだ。

小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
大沢 在昌
角川書店(角川グループパブリッシング)
2012-08-01


小説を書くためには、ある事実の興味深い細部を記憶にとどめ、頭の引き出しに突っ込んで置く。

そして、実際に書くときに、「ET方式」で、ガラクタをいっぱいつなぎ合わせて遠い星との通信設備を作り上げるように、小説をマジックでポンと作り上げてしまうのだと。マテリアルは身の回りにいくらでも転がっている。

作家は体力も必要なので、村上さんは「羊をめぐる冒険」を書いていたころから、30年間にわたって、ほぼ毎日1時間ランニングか、水泳をやっている。



ちょうどこの「羊をめぐる冒険」を書いた頃、村上さんは経営していた千駄ヶ谷のジャズ喫茶を売り払い、橋を焼いて、作家一本に集中することにした。(筆者注:この”橋を焼く”という表現は、英語の"burn the bridge"という「背水の陣」を意味する言葉の翻訳だが、日本語として定着していない。友人の指摘により筆者も気が付いた。この辺が村上さんの文章が”翻訳調”だといわれるところかもしれない)

村上さん自身は”自分本位で個人的”という言葉で表現するが、長期ビジョンを持ち、先を見据えて、作家として、また、翻訳者として創作活動していることがよくわかる。

海外進出についても、自分で気に入った翻訳者を何人か揃えて、英訳した作品を海外の辣腕エージェントを使って、売り込むという手法を身につけている。

単に外国に住むだけでなく、プリンストン大学の客員研究員など、海外での仕事もこなした村上さんだからこそできるわざだと思う。

作家であり、アントレプルナーである村上さんの考えがダイレクトにわかって、大変面白い本だ。

文庫になって買いやすくなったので、ぜひ一読をおすすめする。


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2016年02月07日

海辺のカフカ 1Q84の原型がここにある

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
2005-02-28


村上春樹作品をいくつか読んでいる。

出世作の「ノルウェイの森」の次は「海辺のカフカ」を読んだ。

「1Q84」のパラレルワールドのようなストーリー展開だ。

田村カフカという中野区に住む中学3年生の少年が主人公で、もう一つのストーリーは同じく中野区に住むナカタという猫と話せるが、知的障害のある老人が中心人物だ。

カフカはもちろん小説家フランツ・カフカの名字で、チェコ語で「カラス」の意味だという。

変身 (新潮文庫)
フランツ・カフカ
新潮社
1952-07-28


少年の別人格として「カラスと呼ばれる少年」も、内なる声としてストーリー展開に重要な役割を果たす。

ナカタ老人が少年の時に記憶力を失った事件に、UFOが絡んでおり、次の「未知との遭遇」のビデオの最後の場面を思わせるような、行方不明になった旧日本軍人が現れる展開もある(次はスペイン語吹き替えバージョン)。



この作品はまだ映画化されていないが、蜷川幸雄さんが舞台化している。



カフカ少年が家出をして、夜行バスで高松に来る。図書館の司書と親しくなって、彼の隠れ家にかくまってもらう。そのあとナカタ老人もトラックをヒッチハイクして、高松に来る。

ナカタ老人を乗せたトラック運転手が、仕事を放りだしてナカタ老人に付き合い、高松で「入口の石」探しに協力する。

パラレルワールドの入口だ。

猫殺しのジョニー・ウォーカーや、「入口の石」のありかを教えるカーネル・サンダースも出てくる。音楽は、プリンスやシューベルトのピアノソナタ第17番などが出てくる。

ファンタジックな、引き込まれるストーリーだ。

大変楽しめる作品である。


小説のあらすじはいつも通り詳しくは紹介しないので、雑駁なあらすじ紹介となったが、参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。

  
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2016年01月17日

ノルウェイの森 1千万部を超える村上春樹のベストセラー

今度あらすじを紹介する村上春樹さんの「職業としての小説家」が大変よかったので、村上春樹作品をいくつか読んでいる。

職業としての小説家 (Switch library)
村上春樹
スイッチパブリッシング
2015-09-10


まずは出世作の「ノルウェイの森」を読んだ。累計で1千万部売れたという超ベストセラーだ。






ビートルズの「ノルウェイの森」はビートルズの楽曲の一つとして、登場人物のレイコさんがギターで演奏する場面が出てくる。



インドの楽器、シタールが印象的な曲だ。ちなみに「ノルウェイの森」という曲のタイトルは誤訳とされている(ノルウェイの木材=安普請の部屋というような意味だそうだ)。

主人公は大学紛争が盛んだった1970年代の初めに入学した学生だ。大学のキャンパスはロックアウトされ、学生のロックアウトを機動隊が実力で排除していた時代だ。

筆者は1972年に大学に入った。最初の2か月は大学がロックアウトされていて授業がなかった。暴力的なものではなかったが、国立大学の授業料値上げに反対して、学生がキャンパスをロックアウトしていたのだ。

ちなみに当時の国立大学の授業料は月千円で、これを3倍の3千円にすることに学生が反対していたのだ。幼稚園より大学の方が授業料が安いといわれたものだ。

筆者の入学年度の学生は、変則的に最初の半年は月千円、残りの3年半は月3千円となっていた。筆者より1年上の年次までは、卒業まで月千円が維持された。当時の授業料は入学年度ごとに決まっていたのだ。

村上さんは筆者よりすこし年上だから、大学紛争が激しかったころを経験しているはずだ。

閑話休題。小説のあらすじは、いつも通り詳しく紹介しない。

大学で演劇を学び、いろいろな大学の学生が住む学生寮に暮らす主人公と、高校の同級生で、恋人が排ガス自殺してしまった女子学生の直子、それと主人公と同じ大学で演劇学を学ぶ実家の本屋が閉店してしまった同級生の緑が織りなす物語だ。

同じ学生寮に暮らす東大法学部の外交官志望の永沢さんや、直子が大学をやめて暮らす精神病療養所の同室の元ピアノ教師レイコさんなどがストリーにひねりを加える。

大学紛争の末期に大学に入った筆者は、同世代の話として、つい引き込まれてしまうストーリー展開で、大変楽しめた。

この小説は松山ケンイチ主演で映画化もされている。



どうでもいいことだが、映画では、永沢さんを演じるマッサンの玉山鉄二は、なめくじを食うシーンはあるのだろうか?たぶんゼリーで作ったなめくじを食べて演技するのだろうけど…。

これといった結論じみたものはないが、なめくじシーンに限らず、強烈な印象を残す小説である。


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2014年10月12日

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 やっとタイトルの意味がわかった



全世界で作品が売れており、毎年ノーベル文学賞受賞者発表の時期になると話題に上る村上春樹さんの2013年の作品。今年(2014年)も最有力候補に挙がりながら、結局受賞を逸した。

村上さんの作品は、一時大ベストセラーになり、書店でも売り切れていた1Q84を、このブログで紹介している。




タイトルから、色盲の人が巡礼に出る話かと思ったら全然違った。

色彩を持たないというのは、主人公の多崎つくるが属していた高校時代の仲良し5人組のうち、多崎つくるだけが名前に色がついていなかったからだ。

他の4人(男女二人ずつ)はそれぞれ、アカ、アオ(以上男性)、シロ、クロ(以上女性)という風に、色を表す漢字が名前についていた。

また、巡礼に出るわけでもない。

「巡礼の年」は、楽曲の名前だ。1Q84はヤナーチェックの「シンフォニエッタ」が、作品の構成に重要な役割を果たしていた。



この作品では、リストの「巡礼の年」の中の「ル・マル・デュ・ペイ」が作品に重要な意味づけを与えている。



作品に登場するラザール・ベルマンのレコード(LP)は、今はCD3枚組で売られている。これの第1年「スイス」の8曲目が、「ル・マル・デュ・ペイ」(Le Mal du Pays)だ。

リスト:巡礼の年(全曲)
ユニバーサルクラシック
2013-05-15



小説のあらすじはいつも通り詳しく紹介しない。名古屋出身で、東京の工科大学を卒業して新宿に本社のある私鉄会社の駅舎を設計管理する部署に勤める36歳の独身の多崎つくるが主人公だ。

多崎つくるは名古屋の高校時代、名前に色の文字がつく男女2名ずつと5人で仲良しグループをつくっていたが、つくるだけ東京に出てきて2年目の20歳の夏に、名古屋に住む他のメンバーから突然理由もわからず絶交を言い渡される。

理由は「自分に聞いてみろよ」と。

それからつくるは自殺も考えたが、結局理由がわからないままに会社に就職し、親の買ってくれたマンションに住んで36歳まで独身で過ごす。

ある時たまたま深い仲となった2歳年上の女性から、つくるの心の傷となっている20歳の時の出来事の真相を明かすべきだと言われ、真相究明に乗り出すと、驚いたことに旧友4人は……。

というような感じだ。

途中で「小説のトゲ」と大沢在昌が言う、気になる部分がいくつもちりばめられている。6本指の奇形の話とか、「ラウンド・ミッドナイト」を弾くジャズピアニストの話等々。



引き込まれるストーリーで、筆者は一日で読んでしまった。

しかし、この人はノーベル文学賞は取れないのではないかという気がする。作風は全然違うが、昔、アルゼンチンに住んでいた時に、毎年ホルヘ・ボルヘスが候補に挙げられながら、結局ノーベル文学賞は取れなかったことを思いだす。

伝奇集 (岩波文庫)
J.L. ボルヘス
岩波書店
1993-11-16



筆者の見込み違いであればよいのだが…。


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2010年07月17日

1Q84 Book3 やっと完結か? 

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:2010-04-16
おすすめ度:4.0
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昨年は1Q84ブームが起こり、本屋で売り切れが続出したベストセラーの第3巻。
1,2巻のあらすじは昨年紹介した。

1Q84 1-3巻セット1Q84 1-3巻セット
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:2010-05-29
おすすめ度:3.0
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筆者のポリシーとして小説の詳しいあらすじは紹介しない。小学校の同級生で、心で慕いながらも20年間別々に生きてきた小説家をめざす予備校の数学教師と、マーシャルアーツの女性トレーナーが別々の事件に巻き込まれるところまでが2巻までのストーリーだ。

この第3巻では、それぞれの2人の事件がつながっていたことが明かされるが、そのつながり方が尋常ではない。これがこの小説の肝だ。

前作では尻切れトンボ感があったが、この第3巻で一応の結末を迎えたような感じだ。どんな結末を迎えるかは書かないが、楽しめる小説である。

1,2巻を読んだ人は、第3巻も絶対に読むべきだと思う。

600ページもの大作だが、一気に読んでしまった。


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2009年09月07日

1Q84 恋あり、オカルトあり、サスペンスありの長編小説

1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 1
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:4.0
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1Q84 BOOK 21Q84 BOOK 2
著者:村上 春樹
販売元:新潮社
発売日:2009-05-29
おすすめ度:4.0
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家内が図書館で借りた話題の小説「1Q84」を、家内が読み終わった後に読んでみた。

図書館で「1Q84」を借りてもう読んだというと、驚く人もいるかもしれないが、たぶん家内は本が発売された直後に図書館に予約を入れたのだと思う。

だから発売から3ヶ月以内に借りられたのだ。

図書館の予約制度をうまく利用すれば、新刊の人気小説でも3ヶ月程度で読める。

このブログでは「図書館に行こう!」シリーズで様々な図書館の利用法を紹介しているので、参考にして欲しい。

「1Q84」は、1,2巻合計1,000ページもの大作だ。

普通こんな大作は、早く読み終えて征服感にも似た読後感を味わいたいものだが、この本に限っては第2巻の終わりが近づいてきたら、むしろ「終わらないでくれ!」という感じさえ持った。

奇想天外で大変面白い。

小説のあらすじは詳しく紹介しないのが、筆者のポリシーなので、ひとことで紹介すると、小説家をめざす予備校の数学教師とマーシャルアーツのインストラクターをつとめる女性トレーナーが小学校の同級生で、心の中で慕いあいながらも20年間別々に生きてきた二人が別々に巻き込まれる事件が、実は一つに繋がっているというストーリーだ。

ウィキペディアで”1Q84”を検索すると、小説の登場人物が詳しく書かれているが、読む前にストーリーを知ってしまっては興ざめなので、おすすめしない。

1Q84とは1984年のことだ。もちろんジョージ・オーウェルの1984年に引っかけたタイトルだ。

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)
著者:ジョージ・オーウェル
販売元:早川書房
発売日:1972-02
おすすめ度:4.5
クチコミを見る


恋あり、オカルトあり、サスペンスありで、一気に読めてしまう。

全編を通して出てくるのが、ヤナーチェックの「シンフォニエッタ」だ。



ところどころでジャズや、平家物語原文の朗読なども出てくる。

以前紹介したように、筆者は通勤の途中で時々平家物語の原文朗読を聞いているので、我が意を得たりという感じだ。

ヘッケラー&コッホの拳銃も登場する。

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出典: Wikipedia

著者の村上春樹氏は拳銃には相当詳しい様だ。


人物設定からいって感情移入はできないが、それでも手に汗握るという感じだ。

200万部以上売れるだけの理由はある。

露骨な表現もあり、若干好き嫌いがあるかもしれないが、面白い小説なので是非おすすめする。

参考になれば投票ボタンをクリックして頂きたい。



  
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