2015年08月28日

ペテロの葬列 宮部みゆきの「人物リサイクル小説」

ペテロの葬列
宮部 みゆき
集英社
2013-12-20


夏休みの旅行中に宮部みゆきのベストセラー小説を読んだ。

この小説は、TBSで2014年に小泉孝太郎主演でドラマ化されている



ドラマでは、ピストルを持ったバスジャックの犯人を長塚京三が演じている。

長塚京三は今年70歳ということで、年は原作の人物と同じだが、原作ではひ弱そうな70歳の老人となっているので、やや違和感がある。

作品のストーリーはいつも通り詳しく紹介しない。今多コンツェルンの社内誌「あおぞら」の編集部に勤務する杉村三郎は、今多コンツェルンの今多会長の娘と結婚し、桃子という娘がいる。

あるとき杉村は、編集長と一緒に元今多コンツェルンの財務トップで今は千葉県で引退している森の自伝を編纂すべく、森をインタビューした帰りに、ピストルを持った老人によるバスジャックに会う。バスジャックは短時間に解決するが、その後、犯人が予言した通り、不可解なことが起こる。

バスジャックで一緒に人質になった人たちが協力して、謎を解いていくという展開だ。

いわば「人物リサイクル小説」で、登場人物一人ひとりが過去や、事件後に異なる役割を果たしている。

バスジャック犯自身は、豊田商事グループ詐欺事件のような、詐欺犯を育成するトレーナーだったという設定だ。豊田商事事件については、知らない人も多いと思うので、Youtubeに載っている事件のビデオを紹介しておく。

豊田商事の32歳の社長が、マスコミが集まっている前でナイフで殺されるという驚くべき事件が起こっている。



「人物リサイクル小説」なので、”この人にこんなことやらせなくとも…”と思うような展開もあるが、新しい登場人物がいないので、その意味では登場人物を覚えやすい。

単行本で700ページもの作品だが、思いがけない展開で、ひきつけられる。

宮部みゆきさんの芸風の広さには感心する。このブログでは、「ソロモンの偽証」「荒神」を紹介しているが、それ以外にも「蒲生邸事件」とかも大変面白い。




荒神
宮部みゆき
朝日新聞出版
2014-08-20



蒲生邸事件 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋
2000-10



筆者は3日で読んでしまった。夏休みなどの時間がある時に、没頭できる小説としてお勧めする。


参考になれば投票ボタンをクリック願いたい。

  
Posted by yaori at 00:24Comments(0)TrackBack(0)

2014年11月10日

荒神 宮部みゆきさんの時代小説

荒神
宮部みゆき
朝日新聞出版
2014-08-20


2013年から2014年にかけて宮部みゆきさんが、朝日新聞に連載していた小説を単行本として出版したもの。

筆者は自宅で朝日新聞を取っているが、連載小説は読んでいなかった。この本を読むまで宮部さんが連載小説を書いていたことを知らなかった。

新聞の連載小説を毎日楽しみに読むというのは、渡辺淳一さんが日経新聞に連載していた「化身」以来ない。だから、連載小説を読むという習慣がついていないためだろう。

化身〈上巻〉 (集英社文庫)
渡辺 淳一
集英社
2009-09-18


この小説は、時代小説ではあるが、「ファンタジー小説」というべきなのかもしれない。

東北の隣り合わせの小藩、永津野藩と香山藩。香山藩はもともと永津野藩から関ヶ原の合戦後に別れ出た藩だが、隣同士仲が悪い。

その藩境に近い香山藩の寒村で、村人がいなくなるという事件が起こった。11歳の少年・蓑吉(みのきち)が生き残り、永津野藩の村で傷の手当を受ける。体はボロボロ、皮膚は裂け、記憶も失っている。

村は怪物に襲われたのだ。

その怪物は永津野藩の砦も襲う。刀もやりも鉄砲も歯が立たない。どんどん倒され、喰われる武士たち。

どうやって退治するのか?

そのカギは、「御筆頭様」と呼ばれる永津野藩藩主の側近・曽谷弾正と、その双子の妹・朱音(あかね)の出自の秘密にあった…。

旅の絵師の力を借りて、思いもよらない方法で怪物に立ち向かう人びと…。

というようなストーリーだ。

怪物の倒し方が奇想天外だ。

「インディ・ジョーンズレイダーズ失われたアーク」の最後の方のシーンを思わせる場面もある。

インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク《聖櫃》 [DVD]
ハリソン・フォード
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2008-06-06



あとは読んでのお楽しみとしておこう。

このブログでは、宮部みゆきさんの「ソロモンの偽証」を紹介している。



同じく歴史ファンタジー路線では、「蒲生邸事件」も面白い。

蒲生邸事件 (文春文庫)
宮部 みゆき
文藝春秋
2000-10

蒲生邸事件」

宮部さんの作風の広さには感心する。


参考になったら、投票ボタンをクリック願いたい。

  
Posted by yaori at 22:13Comments(0)TrackBack(0)

2014年04月03日

ソロモンの偽証 2,200ページを読み切るのはエネルギーが要る

ソロモンの偽証 第I部 事件
宮部 みゆき

新潮社
2012-08-23


ソロモンの偽証 第II部 決意
宮部 みゆき
新潮社
2012-09-20


ソロモンの偽証 第III部 法廷
宮部 みゆき
新潮社
2012-10-11


タイトルに惹かれて、宮部みゆき著「ソロモンの偽証」3部作、全2,200ページを10日ほどで読み終えた。

筆者は本は図書館で借りて、よっぽど気に行ったものだけ読んだ後買う様にしている。図書館から借りれば、2週間以内に返却する必要があり、必ず読むからだ。

この本も図書館から借りて読んで正解だった。自分で買ったら、途中で読み疲れて止めてしまっただろうと思う。

小説のあらすじはいつもどおり詳しくは紹介しない。東京都内の中学校で、雪が降ったクリスマスイブに、不登校だった2年生の男子生徒が校舎の屋上から落ちて亡くなっているのが発見された。遺書はなかったが、その前の行動から両親は生徒が自殺したと思い、警察も自殺と断定した。

みんなが自殺だと思っていたところ、3カ月経って、中学校の不良グループの3人組が、その中学生を屋上から突き落として殺害した現場を目撃したという告発状が届く。

この告発がきっかけとなって、自殺した生徒の同級生が中心となって、夏休みに校内模擬裁判を陪審制で開催する。

はたして模擬裁判で真相は判明するのか?

意外な関係者とは?

…といった感じだ。

中学生が模擬裁判、それも陪審裁判をやるというプロットだけに、正直あり得ないストーリーだと思ったが、作者の宮部みゆきさんは、この作品のホームページにある「インタビュー」の中で次の様に語っている。

「一九九〇年に神戸の高校で、遅刻しそうになって走って登校してきた女子生徒を、登校指導していた先生が門扉を閉めたことで挟んでしまい、その生徒が亡くなるという事件がありました。その後、この事件をどう受け止めるかというテーマで、校内で模擬裁判をやった学校があった。それがすごく印象に残っていたんです。」

また、小説家になる前に、宮部さんは法律事務所に勤めていたという。法廷のことに詳しいはずだ。

「ソロモンの偽証」の紹介サイトを新潮社が開設している。

ソロモンの偽証1



















ホームページには、登場人物の関係図も載っている。

ソロモンの偽証2



















宮部みゆきさんの著者メッセージの肉声も聞けるようになっており、面白い。

ソロモンの偽証3



















既に2015年正月公開の映画化が決定され、出演者の中学生全員をオーディションで選出するとして話題になった。

ソロモンの偽証4



















ソロモンの偽証5




















本を全部読み切るのはかなりエネルギーが要るが、興味をそそるタイトルでもあり、まずは読み始めることをお勧めする。


参考になったら、投票ボタンをクリック願いたい。

  
Posted by yaori at 13:10Comments(0)TrackBack(0)