2015年09月07日

銀翼のイカロス 半沢直樹シリーズ最新作

銀翼のイカロス
池井戸 潤
ダイヤモンド社
2014-08-01


堺雅人主演のテレビドラマで、大ヒットを記録した「半沢直樹」シリーズの最新作。

むちゃくちゃ面白い。そのままテレビドラマになりそうだ。図書館で1年近く待った価値が十分ある。

テレビドラマで、金融庁のオネエ調査官、黒崎を演じた愛之助や、中野渡頭取を演じた北大路欣也のイメージが残っているせいもあるが、出てくる場面がビビッドにイメージできる。



今回は帝国航空というJALを思わせるようなナショナルフラッグ・キャリア救済の話だ。

いつかあったような設定だ。

選挙で地滑り的な勝利をおさめ、進政党が憲民党に代わって政権政党となった。

進政党内閣の目玉として、国交省大臣に元アナウンサー出身の白井亜希子が就任し、就任会見で、帝国航空の危機を救うため私的諮問機関としてタスクフォースを結成する旨発表する。

そのタスクフォースのトップは、いままで企業再建を手掛けて実績のある、チェーンスモーカーの乃原(のはら)弁護士という設定だ。

その乃原弁護士は、小学校の同級生で銀行の支店長の息子だった紀本(現在は東京中央銀行の常務で債権管理担当)に、実家の町工場が倒産したことをクラス中にバラさられて、恨みを抱いている。

そして今は乃原が紀本が東京第一銀行時代にかかわった過去の不適正融資を知り、紀本を脅す立場にある。

東京中央銀行は、東京第一銀行と、産業中央銀行が合併してできた銀行だ。いまだに旧T(東京第一系)、旧S(産業中央系)と呼んで、派閥争いが続いている。

旧産業中央出身の中野渡頭取は、行内融和に腐心しているが、旧東京第一出身の紀本は、旧東京第一出身者の部下に命じて、過去の不適正融資関連の書類を秘密の書庫に保管させ、過去の不祥事の隠蔽を図っている。

タスクフォースの乃原は、すぐに結果を出すために、銀行団に対して、巨額の債権放棄を迫る。

大物政治家が動き、女性大臣が圧力をかけるなかで、過去の巨額の不適正融資が明るみにだされそうになり、東京中央銀行のなかでも、債権放棄を受諾しようという動きが出てくる。

それに敢然と立ち向かうのが、中野渡頭取より帝国航空担当者として指名された営業第二部次長の半沢直樹だ。

今回は「倍返し」は1回しか出てこないが、それでも「半沢直樹」節が全開だ。

是非ドラマ化して欲しい作品だ。


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2014年04月27日

ルーズヴェルト・ゲーム 池井戸潤さんの企業スポーツ小説

2014年4月27日再掲:

TBS系で「ルーズヴェルト・ゲーム」の放送が始まった

ルーズベルトゲーム















昨年「半沢直樹」シリーズで、大ヒットを飛ばしたTBSが再度池井戸潤作品をてがけている、

詳しいあらすじを紹介すると興ざめなので、「ステルスモード」で簡単なあらすじを紹介した記事を再掲する。


2013年5月14日初掲:
ルーズヴェルト・ゲームルーズヴェルト・ゲーム
著者:池井戸 潤
講談社(2012-02-22)
販売元:Amazon.co.jp

このブログで紹介した「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」など、中小企業を題材にした小説の第一人者・池井戸潤さんの直木賞受賞第1作。

下町ロケット下町ロケット
著者:池井戸 潤
小学館(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)
著者:池井戸 潤
講談社(2009-09-15)
販売元:Amazon.co.jp

タイトルの「ルーズベルト・ゲーム」とは、「野球の試合は8:7が一番面白い」という、野球好きのルーズベルトの言葉から取っている。

ストーリーは次のような展開だ。

創業者・青島毅(たけし)が一代で築き上げたイメージセンサーなどのカメラ部品や電子部品をつくる青島製作所は、売上高500億円の中堅電子部品メーカーだ。

野球好きの創業者がつくった青島製作所野球部は、かつては都市対抗野球などの常連で名門チームだったが、不況の影響もあり、最近は成績が低迷している。

そんななかでリーマンショックの影響で、青島製作所の主力顧客向けの売り上げが激減した。

需要が落ちている上に、半導体部品メーカーのミツワ電器がイメージセンサー市場に参入すべく、100億円以上の設備投資をして、安値で営業攻勢をかけているからだ。

野球でもミツワ電器は、青島製作所の監督を引き抜いた。監督はエースと四番バッターを引き連れてミツワ電器に移籍し、青島製作所野球部の戦力は一気にダウンする。

赤字の青島製作所に主力銀行が追加融資に難色を示す。最重要顧客のカメラメーカーが要求する高性能センサーは、いつ開発が終えるかわからず、先が見えない状態だった。青島製作所は、やむなく人員整理をふくむリストラに踏み切った。

青島製作所が緊急事態にある時に、重要顧客の社長の斡旋で、ミツワ電器社長から合併の話が青島製作所社長に持ち込まれる。

創業者の青島は会長としてなかば引退し、日常の業務はコンサル出身の中途入社の細川社長に任せている。

青島会長も細川社長も、「合併で規模を拡大して生き残るしか青島製作所が生きる道はないのでは」と思いはじめる。

人員整理で6億円のコスト削減を実現しようと努力するなかで、年間3億円も維持費がかかる野球部は銀行の圧力で廃部が決まる。

一方、ミツワ電器が仕掛けた合併の話は、ライバルつぶしと青島製作所のセンサー技術狙いとわかり、青島製作所の経営陣は合併提案を拒否する。

しかし、懲りないミツワ電器は、青島製作所が未上場で、少数の大株主が株式の過半数を握っていることに目をつけ、ミツワと合併すれば株式上場の道が開け、持ち株の利益実現が可能となると大株主に持ちかける。

欲に目のくらんだ株主は、緊急株主総会開催を要求し、株主総会で合併提案を拒否した経営陣を糾弾する…。

どんでん返しの連続で大変面白い。

青島製作所野球部も、廃部は決まったが、信じられない頑張りを見せて連勝を重ねる。実は、青島製作所の契約社員のなかに、高校時代に暴力事件で野球をやめたピッチャーの逸材が埋もれていたのだ。

彼の活躍と、以前は控え選手だった若手選手の頑張りで、青島製作所の選手たちは最後のミツワ電器との試合に、「ルースベルト・ゲーム」を…。


というようなストーリー展開だ。

前回紹介した「売れる作家の全技術」で、大沢在昌が、”小説のとげ”と呼んでいた謎や伏線が縦横無尽に張り巡らされ、ストーリー展開が心地よいテンポで進む。

まさにエンターテイメントだ。400ページ余りの小説だが、面白くて一気に読める。

別の池井戸作品が読みたくなる本である。


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2013年11月03日

7つの会議 半沢直樹と同時にドラマ化されたもう一つの池井戸作品

七つの会議
池井戸 潤
日本経済新聞出版社
2012-11-02


大ヒットした「半沢直樹」シリーズと同じタイミングでNHKでドラマ化された池井戸潤さんの作品。

このブログでは池井戸さんの作品は「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」などの「半沢直樹」シリーズや、「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」「鉄の骨」「ルーズベルト・ゲーム」など中小企業を舞台とした企業小説を紹介している。

この7つの会議は、他のどの池井戸作品とも異なる。主人公がいないのだ。「半沢直樹」が大ヒットして、NHKのこのドラマが陰に隠れたのは、そのせいだろう。

7つの会議








出典:NHK番組紹介ページ

大手電機メーカー・ソニックの子会社の東京建電は、住宅向け設備や家電製品、飛行機や電車のイスなどを製造している。会社の最重要営業部門である営業第1部の坂戸課長が、同じ課の万年係長・八角からパワハラで訴えられ、人事部付となる。

代わって営業第1部の課長になった原島は、板戸の処分には何か裏があることに気づく。飛行機や電車などに使われるイスで使われる重要部品のネジのサプライヤーが、数年前に入れ替わっていた。元は営業のエースだった八角も、自分が板戸おろしに使われた本当の理由を知るために乗り出す。

実はネジのサプライヤー交換は重大な意味を持っていたのだ。

主要な登場人物が出てくるたびごとに、その人の生い立ちとか家庭環境、経験とかを紹介するために、その人が主人公となったショートストーリーが出てくる。これの連続なので、主人公は誰かわからなくなってしまう。

アマゾンのカスタマー・レビューで、☆一つを付けた人が言っているように、ビジネスの現場を知っている人には、ありえない設定や展開だ。

なぜありえないか、一つヒントを書いておく。

サーバとPC、どちらもハードディスクが使われるが、サーバが高価で、PCが安いのはなぜだろう?

その違いは不良率と耐久性にある。もちろん材質も違うし、テストも厳しい。ネジは見かけは同じでも、材料となる棒鋼の規格は全く異なる。民生用と特注品と同じものが使われることなど、ビジネスではありえないのだ。

池井戸さんは元銀行マンなので、あまり実業は知らないなという印象を受けるが、小説は楽しめればいいので、「ありえないなぁ」と思いながらも、引き込まれてしまう本である。


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2013年09月29日

【再掲】ロスジェネの逆襲 次の半沢直樹はこのストーリー

2013年9月29日再掲:

TBSドラマの「半沢直樹」が好評裏に9月22日に終了した。最終回の視聴率は関東地区で42%、関西地区では45%を記録したらしい。

大変面白いテレビドラマで毎週日曜日夜9時に見ていたので、今週からはなにか張り合いがなくなったような気持ちだ。

是非次作を期待したい。

「半沢直樹」シリーズの次作は、このブログで紹介した「ロスジェネの逆襲」になるだろう。再度紹介しておく。

2013年6月10日初掲:

ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲
著者:池井戸 潤
ダイヤモンド社(2012-06-29)
販売元:Amazon.co.jp

「下町ロケット」で直木賞を受賞した池井戸潤さんの半沢直樹シリーズ第3弾。

7月7日からTBSの東芝日曜劇場で、「半沢直樹」としてドラマが放送され、次の2冊がドラマの原作となった。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)オレたちバブル入行組 (文春文庫)
著者:池井戸 潤
文藝春秋(2007-12-06)
販売元:Amazon.co.jp

オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫)
著者:池井戸 潤
文藝春秋(2010-12-03)
販売元:Amazon.co.jp


池井戸さんによると、日本のビジネスマンには次の3つの特徴的な世代があるという。

団塊世代   : 1947〜1949年に生まれた第一次ベビーブーマー世代。バブル生みの親?

バブル世代  : 1980年代後半〜1990年代はじめに大量採用された人々。お荷物世代、穀つぶし世代ともいわれる。

ロスジェネ世代: バブル崩壊後、1994〜2004年の就職氷河期に社会に出た人たち。バブル世代の管理職にこき使われている。

この本ではバブル世代に銀行に入社した半沢直樹が、合併・統合を経てメガバンクとなった東京中央銀行の子会社の東京セントラル証券に、部長として出向し、IT業界の買収劇に巻き込まれるというストーリーだ。

ロスジェネとは、買収劇に巻き込まれた東京スパイラルの瀬名社長と、半沢の部下の東京セントラル証券のプロパー社員・森山のことだ。

瀬名と森山は私立の中高一貫校で一緒だったが、バブルがはじけて株価暴落のために瀬名の父親が破産して自殺したため、瀬名は私立高校を辞め、高卒でIT関連企業に就職した。

就職先が倒産した後、瀬名は自分のプログラム技術を生かして友人をさそって起業し、今やIT企業の社長として注目される人物となっていた。

対する森山は、就職氷河期にぶちあたり、なんとか東京セントラル証券に就職できたが、親会社の銀行からの出向者の上司にこき使われ、理不尽を感じている毎日だった。

瀬名の東京スパイラルは、経営陣の内紛から、敵対的企業買収が仕掛けられる。

半沢の東京セントラル証券は、当初その買収計画のアドバイザー契約を獲得する予定だったが、思わぬ展開でカヤの外に追いやられる。

そんな時に、森山は、旧友の瀬名に突然電話を掛ける…。

「やられたら倍返し」という半沢直樹のモットー通りの展開が心地よい。

楽しめる企業小説である。


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2013年07月08日

オレたちバブル入行組 池井戸潤さんのドラマ「半沢直樹」シリーズ原作 

オレたちバブル入行組 (文春文庫)オレたちバブル入行組 (文春文庫)
著者:池井戸 潤
文藝春秋(2007-12-06)
販売元:Amazon.co.jp

池井戸潤さんの半沢直樹シリーズ第一弾。

原作は2004年12月に発刊されている。

今日からテレビドラマの「半沢直樹」が始まった。

半沢直樹











ちょうどテレビを見終えたところだ。

最初の回と2回目が「オレたちバブル入行組」のドラマ化だ。ちょうどいいところで、「次はまた次回」となってしまうが、小説のエッセンスは出ていると思う。

一部脚色はあるが、原作にかなり忠実なストーリーとなっている。

支店長の圧力で、半沢が5億円の融資を決めた西日本スティールは、融資実行直後に倒産した。粉飾決算だったのだ。社長の東田は雲隠れ、会社は清算、社員はちりじりになった。

社内の査問委員会にかけられる半沢。その席で必ず5億円を取り戻すと宣言するが…。

いつも通り、小説のあらすじは詳しく紹介しない。原作はどんでん返しの連続で、いかにもドラマ原作としてふさわしいストーリーだ。池井戸さんの作品はマンガみたいなありえない展開が多いが、この作品はありそうな展開で、安心して?見ていられる。

池井戸潤さんは、元銀行員なので、ところどころに銀行の裏を知ったインサイダーじゃないと絶対に書けない部分もあり、楽しめる。

完結篇の第2話が楽しみだ。

どうでもいいことだが、小説の中では、延々と続く大阪北港のコークス置き場を行ったところに、西日本スチール倒産の影響で、連鎖倒産した竹下金属(赤井秀和が竹下社長役になっている)があることになっている。

しかし、ドラマでは工場街にある設定となっている。どうやら昔、北港にあった大阪ガス?向けのコークスヤードは、今はないのか、あるいはすべて倉庫屋内に置かれているようだ。

筆者は鶴瓶は、竹下金属の社長役で出てくると予想していたが、半沢直樹(堺正人)の父親役だった。



全然似ていないだろ!

金融庁検査官が国税庁に出向しているという設定で、オネエの国税検査官(片岡愛之助)が、はやくも第1話から登場している。

このブログで紹介した「オレたち花のバブル組」や、「ロスジェネの逆襲」もいずれ登場するのだと思う。

オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫)
著者:池井戸 潤
文藝春秋(2010-12-03)
販売元:Amazon.co.jp

ロスジェネの逆襲ロスジェネの逆襲
著者:池井戸 潤
ダイヤモンド社(2012-06-29)
販売元:Amazon.co.jp

ドラマの展開が楽しみだ。


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2013年06月25日

鉄の骨 池井戸潤さんのゼネコン小説

鉄の骨 (講談社文庫)鉄の骨 (講談社文庫) [文庫]
著者:池井戸 潤
出版:講談社
(2011-11-15)

池井戸潤さんの作品を最近いくつか読んでいる。

前回紹介した朝井リョウの作品は、高校生や就活生が主人公なので、筆者のようなおっさんには感情移入が難しいが、池井戸さんの作品は企業小説が多いので、無理なく感情移入できる。

以前紹介した「バブル組」シリーズのように、ほとんどマンガだ。

オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫) [文庫]
著者:池井戸 潤
出版:文藝春秋
(2010-12-03)

巨大土木プロジェクトをめぐる熾烈な入札競争と、政財官を巻き込んだ談合を題材とした作品だ。

日本の建設業の関係者は540万人で、就業者の12人に一人が建築業界の関係者だ。

そのほとんどが中小零細企業で、体力のない土建業に従事して、細々と食っている。なんとか食えるのは、談合があるからだと。

昔ながらの代議士をバックにしたフィクサーが登場する。
このフィクサーが「小説のトゲ」だ。

しかし、ひと昔前なら談合はありえたかもしれないが、今は内部告発の恐れもあり、コンプライアンス上、談合などやっている会社は到底存続できないと思う。

その意味では、いかにもありそうなストーリーだが、筆者はマンガではないかと思った。

ともあれ、小説はエンターテインメントなので、現実味はともかく、楽しめればよい。

最後のどんでん返しには「これは、ちょっと、あんまりなんじゃないか?」と、驚くとだけ言っておこう。

単行本では500ページ強の作品だが、中だるみもなく一気に読める作品である。


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2013年06月15日

オレたち花のバブル組 池井戸潤さんの半沢直樹シリーズ第2弾

オレたち花のバブル組 (文春文庫)オレたち花のバブル組 (文春文庫) [文庫]
著者:池井戸 潤
出版:文藝春秋
(2010-12-03)

このブログで「ロスジェネの逆襲」や「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」を紹介した直木賞作家・池井戸潤さんの「半沢直樹」シリーズ。

下町ロケット下町ロケット [ハードカバー]
著者:池井戸 潤
出版:小学館
(2010-11-24)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫) [文庫]
著者:池井戸 潤
出版:講談社
(2009-09-15)

「オレたちバブル入行組」が第1弾で、この作品が第2弾、前回紹介した「ロスジェネの逆襲」が半沢直樹シリーズの第3弾だ。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)オレたちバブル入行組 (文春文庫) [文庫]
著者:池井戸 潤
出版:文藝春秋
(2007-12-06)

小説のあらすじはいつも通り詳しく紹介しない。この本はまるでマンガだ。「ありえない展開」ばかりで、あきれると同時に面白い。

銀行員が、反対派の取締役や常務を相手に、こんな具合に立ちまわる。

「大和田常務に伝えていただけませんか。常務ともあろう方が派閥意識にとらわれてどうするんです…」

「もしあんたがまともなバンカーなら、おそらく自分のしたことを後悔しているはずだ。この報告書の内容を素直に認めるつもりがあるのかないのか、それを確かめにきた。認めるのなら、取締役会で証言してもらいたい…」

金融庁の検査官は「オネエ」という設定だ。

「もう結構。この前と変わらないじゃないの。いやよねえ。こういうの出してくるなんて。失礼しちゃうわ…」

オネエの検査官にもきっぱり対抗する。

「…正常債権として扱ってなんら問題はありません。…ナルセンの破綻など、もはや全く問題になりませんのでご安心ください。さて、他に何か質問がありますか、黒崎さん…」

「オレは、基本は性善説だ。だが、やられたら、倍返し」という半沢のポリシー通りの展開だ。

7月7日からTBSの東芝日曜劇場での「半沢直樹」シリーズのドラマ放映が始まる。

大変楽しめるエンターテイメント作品である。


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2012年11月28日

空飛ぶタイヤ 池井戸潤さんの代表作 あの事故を思い出す

空飛ぶタイヤ空飛ぶタイヤ
著者:池井戸 潤
実業之日本社(2006-09-15)
販売元:Amazon.co.jp

以前紹介した「下町ロケット」が面白かったので、池井戸さんの他の作品も読んでみた。

下町ロケット下町ロケット
著者:池井戸 潤
小学館(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp

初めは「空飛ぶダイヤ」ということで、国際輸送か密輸の話かと思ったら、「タイヤ」だった。

多くの人が記憶していると思うが、2000年前後に起こった三菱自動車の一連のリコール隠しのなかでも最も重大な事故が、三菱ふそうトラックのタイヤ脱輪事故だ。

2002年1月に横浜市瀬谷区で、三菱ふそう大型トレーラーの車輪が付け根のハブごと脱輪し、140キロのタイヤが通りがかった母子を直撃し、運悪く母親(29)が死亡し、長男(4)とベビーカーに乗っていた次男(1)も手や足に怪我を負った。

それが「空飛ぶタイヤ」というタイトルのゆえんだ。

池井戸さんの作風なのだろうか。「下町ロケット」と同様に、大企業相手に戦う中小企業の社長が主人公だ。

池井戸さんは「下町ロケット」で直木賞を受賞したが、その前に「空飛ぶタイヤ」でも直木賞候補になっている。さすが直木賞候補になる作品だけに、大変楽しめる。

いつも通り小説のあらすじは詳しくは紹介しない。アマゾンの「なか見!検索」で、小説のエッセンスがすべて詰まっている出だし部分が読めるので、是非こちらをクリックして「なか見!検索」を見てほしい。

三菱ふそうトラック脱輪事件を題材にしているが、ストーリーはフィクションで、大変面白い展開のエンターテインメント作品である。単行本で500ページ弱だが、一気に読める。


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2012年11月16日

下町ロケット やっぱりベストセラー小説はバツグンに面白い!

下町ロケット下町ロケット
著者:池井戸 潤
小学館(2010-11-24)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

なにかの本に紹介されていたので読んでみた。

いままで池井戸さんの小説は読んだことがなかったが、他の池井戸作品も読んでみようと思わせる出来の作品だ。抜群に面白い。

2010年出版の本だが、いまだに人気があるようだ。町田図書館では41冊蔵書があるにもかかわらず、20人が予約待ちの状態だ。

いつも通り小説のあらすじは詳しく紹介しない。

東京都大田区の町工場街にある、佃製作所の社長の佃航平は、元・宇宙航空科学開発機構(JAXA)のロケット開発主任だったが、宇宙ロケット打ち上げ失敗の責任を取って、実家の町工場を継ぐ。

実家の町工場では小型エンジン用のバルブを製造していたが、大口客先との取引を失って赤字転落した上に、大手メーカーから特許侵害による巨額の損害賠償訴訟を起こされ、先行き不安になっていたところ、運よく特許訴訟のエクスパートの弁護士が見つかる。

弁護士のアドバイスで、今まで取得していた特許の周辺特許まですべて抑えるという特許戦略に転換すると、思わぬ大魚が釣れる。

日本の宇宙開発を代表する「帝国重工」の宇宙ロケット開発部隊だった。帝国重工は自社開発のバルブの特許を申請したところ、佃製作所の特許があるために特許が認められなかったのだ。

ロケットはバルブを多数使用する。佃製作所の特許がないと帝国重工は世界の宇宙ロケット開発競争で優位に立てないことがわかった。

帝国重工の財前宇宙航空部宇宙開発グループ部長は赤字経営の佃製作所に乗り込み、バルブの特許を20億円で買いたいと持ちかけるが…。

「佃品質、佃プライド」を合言葉に、自社部品を供給してロケットを飛ばすという夢を実現したい佃と、ライセンス料を払ってキーコンポーネントは内製したい帝国重工のせめぎ合い。

佃の製品にケチをつけて、あわよくば不合格にしたい帝国重工の監査チームに、佃の元銀行員の財務責任者が通告する。

「なにか勘違いされていませんか、田村さん」、「そんな契約などなくても、我々は一向に困ることはありません。どうぞ、お引き取りください」…

町工場の職人が手作業でつくる部品は、大手メーカーの機械でつくる製品よりはるかに品質が勝っていた。ところが、思わぬことが起こる…。

この小説はWOWWOWでドラマ化されている。映画化に適した作品だ。

池井戸さんが自ら語っているビデオがYouTubeで公開されている。自分は登場人物全員になりかわって、感情移入して書いているのだと。主な登場人物のプロフィールなども紹介されている。



大変楽しめる是非おすすめしたい本である。


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