2013年08月29日

三匹のおっさん ふたたび 還暦探偵団が帰ってきた

三匹のおっさん ふたたび
有川 浩
文藝春秋
2012-03-28


以前紹介した有川浩の「三匹のおっさん」の続編。

三匹のおっさん (文春文庫)
有川 浩
文藝春秋
2012-03-09



登場する三匹はキヨ、シゲ、ノリの還暦三人組だ。

キヨは建設会社を定年退職して、系列のゲームセンター(アミューズメントパーク)の経理担当となっている。キヨは剣道の達人で、親から引きついだ剣道教室の師範をやっていたが、剣道教室は生徒不足で休業中だ。

キヨの孫の祐希(ゆうき)は高校3年生。アミューズメントパークでアルバイトをしていたが、今は受験勉強のためにアルバイトは辞めている。

シゲは居酒屋を息子に引き継ぎ、今は息子夫婦を手伝う柔道の猛者。いつもジャージを着ているガニマタのおやじだ。昔は国体で、現在の地元警察署長を投げ飛ばしたことがあるほどの腕前だ。

ノリは町工場の経営者で改造スタンガンや改造モデルガンなど、やたらアブナイ道具をコートの下に持ち歩く。ノリは男やもめで、娘の早苗と暮らしている。

早苗はキヨの孫の祐希とつきあっており、同じ大学を受験する予定だが、ノリに良い縁談が持ち上がり、そのせいで早苗の成績が下がってしまう…。

小説のあらすじはいつも通り詳しくは紹介しない。

60歳の還暦3人組という筆者の年齢に近いおっさん3人が、それぞれの特技を生かして犯罪を解決するという中高年探偵団のストリーだ。

今回はキヨの息子の嫁で、お嬢さん育ちの貴子が商店街でバイトする話、アミューズメントパークの駐車場で粗大ごみを持ち込む住人や、ゴミを持ち込んだり、タバコを喫っている中学生の不良予備軍、10年以上ぶりに神社のお祭りを復活させる話、隣町で自警団を始めたニセ三匹などといった話が展開する。

商店街の書店の万引き犯を懲らしめる話は、筆者の有川さんが思い入れを込めて書いている。

一冊の本を売って書店がどれだけ利益が上がるか(大体2割程度)、どれだけ経費が掛って、実質の儲けはどのくらいかなどを登場人物に語らせて、もし万引きで損失が出ると、そんな儲けはふっとんでしまうことを、万引き犯の中学生に教えるというストーリーだ。

有川さんは、ベストセラーが売れるおかげで、出版社はいろいろな本を出せるのだと語る。有川さんも、新人の頃は、同じ出版社の売れている作家の売り上げで本を出させてもらったのだと。

一冊の本にはいろいろな経費が載っており、その中には未来への投資も含まれる。だから、本を買うことで「未来の本に、未来の作家に投資したのだ」と誇ってほしいと訴える。

読者が本を買い支えてくれるおかげで、出版業界の私たちは本を出せているのだと。

三匹とは全く関係ない、「植物図鑑」とのクロスオーバー作品(いわばコラボ)のボーナストラック(おまけの話)、「好きだよと言えずに初恋は、」も面白い。

植物図鑑 (幻冬舎文庫)
有川 浩
幻冬舎
2013-01-11



様々な登場人物がいるので、どんな年代の読者でも気軽に感情移入出来ると思う。

文句なく楽しめる本である。


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Posted by yaori at 22:57Comments(1)TrackBack(1)

2013年03月03日

フリーター、家を買う。 なぜ、こっちの方が感情移入できるんだ?

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
著者:有川 浩
幻冬舎(2012-08-02)
販売元:Amazon.co.jp

以前紹介した「三匹のおっさん」の作者・有川浩(ありかわ・ひろ、女性)の他の作品を読んでみた。

三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん (文春文庫)
著者:有川 浩
文藝春秋(2012-03-09)
販売元:Amazon.co.jp

「三匹のおっさん」では、同じ年代のおっさんの話なのに、だいたい予想したとおりのストーリーだったので、感情移入できなかった。意外にも、こちらの作品の方がストーリーに引き込まれ、一気に読めた。

小説のあらすじはいつも通り詳しく紹介しない。そこそこの私立大学を卒業した主人公・武誠治は、新卒入社した会社の新人研修で違和感を感じ、会社になじめず3か月で辞める。

それからはコンビニのアルバイトなど、1年以上アルバイトを点々とした後、最終的に夜間工事のガテン系アルバイトに、いわば安住の地を見出し、就職活動をしながら工事のアルバイトを半年ほど続けた。

作業員仲間と打ち解け、きつい現場になれてきたら、作業長=工事会社の社長から採用の話を持ち出され、その土木工事会社に業務部主任として採用となる。

やっと就職できた会社で、誠治の評価はうなぎのぼりに上がる。

入社してすぐ手書き・ワープロの書類をすべてパソコン処理に変え、給与計算で外注していたコンサル費用もカットし、さらに費用を見直して、在庫費用の大幅削減策を打ち出す。

社長の指示で、元バンドマンのフリーターと、東工大土木科出身の現場監督志望の女性という、両極端の2人の第2新卒を採用し、彼らが会社の戦力となることで、さらに誠治の評価が上がる。

一方、隣近所から20年あまり、いじめられ続けてきたという過去を持つ母親が、誠治がフリーターをしていた間に、うつ病になってしまい、通院・薬漬け生活を余儀なくされる。

その家に住んでいると、母親のうつ病が治らないと考え、中堅商社マンで「経理の鬼」と呼ばれる頑固な父親を説得して、自分のためた貯金も頭金として提供し、新しい家を買う。というようなストーリーだ。

後半は、2人の後輩が加わることでストーリー展開にひねりを加えていて面白い。

この本のなかでわからない部分があった。

それは、事務所の前に置かれていた捨て猫の対処の場面で、誠治の思いやりに後輩女性が気づき、誠治が「ごめん、ノーカン」と言う。

しばらくやり取りが続き、後輩女性が「困らせたくないので今はノーカンにします。でも、諦めてない武さんは間に合ってます。絶対にお母さんのこと、間に合ってます。」と言う場面だ。

「ノーカン」は、「ノーカウント」のことで、たぶん「忘れてよ」という意味だと思うが、いま一つ使い方がよくわからない。まあ、どうでもよいことだが…。

ともあれ、感情移入できる大変面白い小説だった。


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Posted by yaori at 00:32Comments(0)TrackBack(0)

2013年01月29日

三匹のおっさん 還暦オヤジ世代が主人公の小説 挿絵もユーモラス

三匹のおっさん (文春文庫)三匹のおっさん (文春文庫)
著者:有川 浩
文藝春秋(2012-03-09)
販売元:Amazon.co.jp

還暦になったおさななじみ3人のおっさんが、故郷の町の自警団となり、それぞれの特徴を生かして、悪を退治していく痛快アクションシリーズ。

著者の有川浩(ありかわ ひろ)さんは、「塩の街」などの自衛隊シリーズや「図書館戦争」シリーズでもヒットを飛ばしている。

塩の街 (角川文庫)塩の街 (角川文庫)
著者:有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)(2010-01-23)
販売元:Amazon.co.jp

図書館戦争  図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1) (角川文庫)
著者:有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)(2011-04-23)
販売元:Amazon.co.jp

表紙の絵のとおり、ユーモラスな挿絵が特徴を出している。

主人公は次の三人だ。

建設会社を定年退職して、系列のゲームセンター(アミューズメントパーク)の経理担当となったキヨ。キヨは剣道の達人で、会社に副業を認めてもらって、親から引きついだ剣道教室の師範をやっている。

居酒屋を息子に引き継ぎ、今は息子夫婦を手伝う柔道の猛者・シゲ。シゲはいつもジャージを着ているガニマタのおやじだ。昔は国体で、現在の地元警察署長を投げ飛ばしたことがあるほどの腕前だ。

町工場の経営者で改造スタンガンや改造モデルガンなど、やたらアブナイ道具をコートの下に持ち歩く、小男の知性派・ノリ。盗聴器逆探知機など、思いがけない武器も隠し持っている。

剣道、柔道、そして効果的な武器と、三者三様の特徴を生かして事件を解決していく。

キヨの息子夫婦や孫の祐希(ゆうき)、ノリの愛娘・早苗などがからんで、ストーリーを面白くしている。

三匹が事件を解決するという結末は大体予想がつくが、ゲームセンターで高校生をカツアゲしたり、売り上げを横取りする小悪党を捕まえたら、実はゲームセンター関係者とつながりがあったり、町に頻繁に出没する痴漢が早苗を襲うところを、間一髪、捕まえたら、アッと驚く人物だったりして、ひねりを加えていて面白い。

学校のイキモノ係が世話するカルガモを夜中に傷つける犯人は、筆者の予想外の人物だった。

小説のあらすじはいつも通り詳しくは紹介しない。

60歳の還暦3人組という筆者の年齢に近いおっさん3人がそれぞれの特技を生かして犯罪を解決するという、少年探偵団ならぬ、中高年探偵団のストリーだ。あり得ない話ではあるが、そんなことを気にせず、気軽に楽しめるファンタジックな小説である。

有川さんには、他に「フリーター、家を買う」とか「阪急電車」などの作品もある。

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)
著者:有川 浩
幻冬舎(2012-08-02)
販売元:Amazon.co.jp

阪急電車 (幻冬舎文庫)阪急電車 (幻冬舎文庫)
著者:有川 浩
幻冬舎(2010-08-05)
販売元:Amazon.co.jp

有川さんのほかの作品も読んでみようという気になる。楽しめる小説である。


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Posted by yaori at 00:30Comments(0)TrackBack(0)