2016年11月04日

天才は努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある



東大法学部を首席で卒業、財務省勤務を経て、現在は弁護士として活躍するという山口真由さんの本。

山口さんは「東大首席弁護士」ということで、この本を出版した後、同じような本を違う出版社から数カ月おきに何冊も出している。










以前、「ビジネス書の9割はゴーストライター」という本のあらすじで紹介した通り、出版不況の折、ちょっとでも売れる著者がいれば、様々な出版社がゴーストライターを用意して群がってくる。それの典型のような出版ぶりに思える。



東大法学部出身で、成績抜群というと、現在はライフネット生命保険の社長となっている岩瀬大輔さんを思いおこさせる。

入社1年目の教科書
岩瀬 大輔
ダイヤモンド社
2011-05-20


このブログでも岩瀬さんの「入社一年目の教科書」「超凡思考」を紹介しているので、参照願いたいが、岩瀬さんは在学中に司法試験に合格したところは山口さんと同じだが、首席卒業とは言っていない。

どちらも秀才であることは間違いないが、山口さんは平成17年に法学部における成績優秀者として「東大総長賞」を受賞している

しかし、当たり前のことだが、よしんば東大法学部での成績が全優であっても、それが社会での成功を約束するものではない。

山口さんは財務省に入省後、2年間で財務省を辞めて、弁護士になっている。

最近読んだ「東大VS京大」という橘木俊詔(たちばなき・としあき)京都大学名誉教授の本では、次のように弁護士と学歴について次のように語っている。

「弁護士を自営業稼業と理解すると、学歴(特に学校名)の果たす役割はかなり小さくなることは明らかである。

どれだけ顧客をとるかとか、裁判で勝者になるといったことは、その弁護士のコミュニケーション能力や人柄などにかなり依存するからである。

もとより法律や過去の判例の知識、あるいは論理的な思考力や洞察力も無視はできないので優秀な大学を出た人が多少は有利だろうが、その弁護士の個性と仕事ぶりが決め手になる世界である。

学歴がほとんど無用な世界が弁護士であるといっても誇張ではない。」(「東大VS京大」P194)



最近は東大法学部出身者がほとんどを占めるということはなくなってきたが、官僚、特に財務省こそ東大法学部卒というブランドが、いまだに生きている職場ではないかと思う。

それを2年で辞めて、裁判官になるというなら、まだわかるが、上記の橘木さんのいうような学歴無用の弁護士になるとは、正直何を考えているのだろうというのが筆者の印象だ。

山口さんは現在は、勤めていた弁護士事務所を辞めて、ハーバードのロースクールに留学中ということで、今度は米国のどこかの州の弁護士資格を取って、いずれは国際弁護士として活躍すべく勉強しているようだ。

しかし、コミュニケーション能力が問われる弁護士の世界では、ハーバードビジネススクールを出たとしても、弁論で勝てなければクライアントもついてこないだろう。

テレビタレントとしては、これだけハクがある弁護士は他にいないので、強みとなるだろうが、当意即妙、その場にあった受け答えができることが、タレントとしての価値であり、それには学歴や留学歴は関係ないだろう。

ともあれ、山口さんが努力の人で、大変な勉強家であることは間違いない。試験前は睡眠時間も3時間にしたり、眠らないように足を水に漬けたりしたという。

この本で紹介されている方法論をいくつか紹介しておく。

まずは素通しで7回読むというのが紹介されている。

7回も繰り返し読むよりは、もっと効率的な読書法があるのではないかと思うが、単にページをめくるだけだったら、苦痛ではないので、読むことへの負担を軽くするのだと。

7回も読めば、見慣れた記述にどんどん親近感が涌いてきて、読書が楽なものになっていくという。

スケジュールは外圧で管理するという方法が紹介されている。

何かの資格を取るための勉強をする際には、手帳でこまめにスケジュールを決めて勉強するよりは、勉強する前に受けられる模試をすべて申し込む。

模試を受けて、結果を見て、欠点を補強、再度また模試を受けて、欠点を補強という具合に外圧の模試でスケジュールを管理するのだと。

努力をする際にもっともやってはいけないことは、「自分との戦い」にもっていくことだ。

普通の人は、「自分との戦い」に持っていくと、たいていはうまくいかない。孤独な戦いに挑むよりも、ライバルと一緒に頑張るほうが続けることができる。

ダイエットでも、ランニングでもライバルを見つけ「まわりの人より頑張ろう」で続くのだと。

山口さんは、大変頭の良い人であることは間違いない。

しかし、取れる資格はいくつでも取ってハクをつけても、ビジネスではコミュニケーション能力が重要で、それは資格を取ったり、本を読んでも身につくものではない。

思うようにいかないから転職を繰り返しているのか、それともある目指す姿に向かってキャリアを積み上げているのかよくわからないが、タレントとしてではなく、本業でぜひ成功してほしいものである。


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2016年10月30日

なぜ国際教養大学はすごいのか 大学の国際化とは?



就職率100%を誇り、すべての授業を英語で行い、新入生全員に1年間の寮生活、すべての学生に1年間の海外留学を義務付けるリベラルアーツ大学、国際教養大学学長の鈴木典比古さんの本。

日本語の大学名は国際教養大学だが、英語ではAkita International Universityと秋田の名前が入っている。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応していないので、「なんちゃってなか見!検索」で目次を紹介しておく。その章の目次のあとに、内容を簡単に紹介する。

第1章 世界の大学で何が起きているのか

・教育鎖国をやめて世界基準を導入するしかない
・優秀な学生を集めるべく世界中で青田刈りする海外の大学
・ブランチキャンパスという名の直接投資を行う海外の大学
・「教育財」の輸出入があればこそグローバル化は成り立つ
・真のグローバル教育ができないと世界では通用しない
・世界最先端の講義をどこにいても無料で受けられる時代
・自宅で基礎知識を身につけ大学で応用問題に取り組む「反転授業」
・日本の組織は「閉鎖型」から「浸透膜型」に構造をシフトせよ
・学生は勉強しない、教員は密度の濃い教育をしない…
・「大学レポート」で外国人に向けても情報公開

この章では、世界の大学の動きを紹介している。

世界の有名大学は海外で優秀な高校生を青田刈りしている。

たとえば、シンガポール国立大学は日本人も積極的にスカウトしていて、学費も家賃も無料、引っ越し代や渡航費も出し、さらに毎月10万円支給します、というような条件でスカウトしているという。

有名大学のブランチキャンパスは、現在は中国が27校、UAEが24校、シンガポールが13校、カタール11校、マレーシア9校という具合だ。

日本には地方自治体が積極的に勧誘して、一時は37校も海外の大学の分校があった。しかし、当時の文部省が大学として認めなかったので、どんどん減っていった。

現在は筆者のシンガポール人の友人の娘さんが行っているテンプル大学レイクランド大学、ボストン大学国際ビジネスマン養成プログラムの3校のみだ。

国際教養大学の場所も、もともとはミネソタ州立大学機構秋田校の跡地だったという。

インターネットによる大学教育も盛んで、Courseraというスタンフォード大学、イェール大学、プリンストン大学などが参加する米国発のプラットフォームの学習者は1,579万人、参加大学・機関数133、1,467コースがあるという。

講義内容は、教師がビデオに向かってしゃべる講義形式だけでなく、1回につき10分くらいの講義の動画を見た後、小テストが提示され、それに回答して1セットとなり、一つの講座につき週5〜10セットの学習をした後で、課題が出され、期限内に回答するという形式で、これを繰り返して、最後に総合課題を提出して、それが合格レベルであれば、修了証書をもらえるという形だ。

日本もJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)というのをつくって、gaccoなどのオンライン教育をスタートさせている。

学習意欲があれば、世界どこでも年齢に関係なく世界最先端の講座が受講できる時代なのだ。

日本の大学は入学するのは難しく、卒業するのは簡単な傾向があり、日本の大学生が米国の大学生に比べて勉強時間が短いことが統計で紹介されている。

サンプル44、905人の東大大学経営・政策研究センターが2007年に行った調査では、日本の大学生1年生は、1週間に全く勉強しない人が9.7%、1〜5時間勉強する人が57.1%で、一週間に5時間以下しか勉強しない学生が7割という結果が出ている。

それに対して米国では、全く勉強しないのは0.3%、ほとんどなく、最も多かったのが11時間以上勉強する58.4%だった。約6割の学生が授業の予習や復習で週11時間以上勉強している。

これは米国ではGPA(Grade Point Average)という全科目の成績の平均点が一定水準以上でないと、進級や卒業を認めないという制度だからだろうと。どの教科も手を抜けないのだ。

日本は不可にさえならなければ、出席数やテストの点数がギリギリでも卒業はできる。

第2章 リベラルアーツと日本のエリート

・東大も世界から見れば「ワンオブゼム」の大学にすぎない
・将来のエリートを目指す学生たちはリベラルアーツを学ぶ
・いまの日本のエリートに欠けているのは「全人力」
・「人工植林型」から「雑木林型」へ日本の人材育成は転換を
・「個」と「個性」との違いは何か
・「竹のようなしなやかさ」がリーダーに求められる時代

この章では、インダルトリアル(大量生産)の時代と、ポストインダルトリアル(大量生産以降)の時代に求められる能力が異なることを説明している。

インダストリアル時代は、ピラミッド構造の組織で、トップが計画を立案し設計するトップダウンとなっていたが、ポストインダルトリアル時代は組織はフラットとなり、現場がクライアントの意見を聞いて計画を立案し、設計するようになってきた。

これに伴い、インダルトリアルの時代では、仕事が分割されて一人の人間が同じ仕事をずっとやるという形だったのが、ポストインダルトリアル時代には、トータルソリューションが求められ、コミュニケーション能力、チームワーク、問題解決力、リスクテイキングといった能力が求められてきた。

それらの素養を身につけるにはリベラルアーツ教育しかないとの東京工業大学の木村孟(つとむ)学長の言葉を紹介している。

国際教養大学は、著者の鈴木さんが以前勤務していたICUのようなリベラルアーツ専門大学のように、少人数制の授業を重視し、教員と学生が対話をしながら授業を行っているという。


第3章 ”秋田発”グローバルスタンダード大学

・入試によっては偏差値は東大並み、就職率は100%
・新入生はすべて1年間の寮生活を体験
・ルームメイトとのトラブルや議論が語学上達の近道
・「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」ことが狙い
・世界的ヴァイオリニストが演奏しながら授業を行うことも
・少人数制の授業で、教員と学生双方の「逃げ場」をなくす
・24時間、365日、いつでも使える図書館
・すべての学生に1年間の海外留学を義務化
・「ギャップイヤー」制度で、入学前に自分探しや目標探し
・なぜ新渡戸稲造の「武士道」を読むべきなのか
・世界トップクラスのリベラルアーツカレッジになるために
・「生活寮」に「教育寮」も兼ね備えたテーマ別ハウス群
・「英語で英語を学ぶ」教育法を広めたい

この章で、鈴木さんは、国際教養大学の特徴を次のように整理している。

1.国際教養教育を学ぶ、リベラルアーツカレッジ
2.授業はすべて英語で行う
3.新入生は、学生寮で留学生と共同生活
4.在学中、1年間の留学が義務
5.24時間365日、勉強に集中できる学習環境
6.春と秋に入学できる

学生はこのような大学生活を通して、世界で活躍できるグローバル人材として成長していく。その結果が就職率100%だと。

開学してここまでの実績を築けたのは、故・中嶋嶺雄前学長や教員が企業に売り込んだ成果だと。

その教育内容を上記のような項目で紹介している。

卒業生の声

・現状に満足せずに探求心を持ち、新しいことにチャレンジする
・リベラルアーツ教育とは何か、思い悩み続けてほしい
・幅広い視野と好奇心があれば、人生は大きく変わります
・専門性は追及しなくても、「学び続ける」姿勢を身につけてほしい

この章では、卒業生の経験談を紹介している。そのうちの一人は、国際教養大学で初代主将として野球部を発足させた人で、筆者が駐在していたピッツバーグ郊外のWashington & Jefferson Collegeに1年間留学して、米国でもトライアウトを経て野球部に入部し、60人ほどの部員の中でプレイしていたという。

ペンシルベニア州ワシントンは、筆者が住んでいたピッツバーグ南部のアッパーセントクレアという町から車で15分くらいの市だ。こんなところの大学に日本人が留学していたとは知らなかった。

第4章 いま、日本の教育革命が始まる

・強制的に勉強せざるを得ない環境をつくるしかない
・学生たちが能動的に学ぶ環境は、教員がつくりあげるもの
・教え方を知らない教員に教わる学生たちは不幸
・教員の真剣さが伝われば、学生も真剣に学ぶ気になる
・教育者と研究者を二分することはできない
・大学のグローバル化を促す「世界標準カリキュラム」
・意義ある留学を実現するための「コースナンバリング制度」
・大学間の密な連携で、EU諸国では学生たちが複数の大学に在籍
・「文系学部の廃止」がもたらすもの
・受験の段階で専攻を決める必要はない

この章では、大学間の単位取得の世界標準システムを紹介している。コースナンバリングとは、国際標準の科目ごとの番号であり、次のように割り振られている。

100番台:初年次教育、一般教育
200番台:専門基礎教育
300番台:専門(上級)教育
400番台:卒業研究、卒業論文

EUでは大学間の連携が密になっていて、学生がEU諸国の大学を移動して、「学生渡り鳥」となり、複数の大学に在籍し、それぞれの大学で得た単位を蓄積している。

日本でも私立大学団体連合会が、「学生渡り鳥」制度を提言しているが、実践には結びついていない。日本では、依然として、どこの大学を出たかを重視するからだ。

しかし、教育のグローバル化を目指すなら、世界標準カリキュラムに統一し、学生渡り鳥が自由に行き来できる環境を整えるしかないと鈴木さんは語る。


第5章 世界標準の人材をつくるために

・優秀な人材が海外に流出しても、日本の価値は変わらない
・日本でも進む「ウィンブルドナイゼーション」
・年間4〜5万人、グローバル人材を育てたい
・「どこにいるか」ではなく「何をするか」が問われる時代
・これからの時代は、机上の知識だけでは決して乗り切れない
・日本語と英語に加え、もう一つの外国語を学べ
・日本は将来的に、モノづくりの国から知識で勝負する国へ
・本当のキャリアデザインは、一生を賭けてつくりあげていくもの

どこの大学の何学部を卒業したかを重視する日本の慣行はそう簡単には変わらないと思うが、たしかに日本への留学生が増えてくれば、世界標準カリキュラム化は必須となり、それが日本人の学生の海外留学が増えることにもつながると思う。

現在は海外留学すると、日本の単位が足りなくなるために、1年留年するパターンが多いが、こういったことはなくなるだろう。

大学は旧態依然として変わらない部分もあるが、ICUや国際教養大学のようなリベラルーツを重視して、世界標準カリキュラムを導入する大学が増えれば、だんだんに変わっていくだろう。

東大の濱田純一前総長が提唱した9月入学制度は、結局多くの大学の賛同が得られずに、実現しなかったが、これからも国際化にともない、大学の自己変革が進んでいくことだろう。

大学の国際化の動きがわかって参考になる本である。


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2016年09月24日

神の雫作者のノムリエ日記 さすがプロ?のワイン通



ワインマンガ「神の雫」の原作者・亜樹直(あぎ・ただし)さん(実は姉弟の二人)が、asahi.comに2007年4月から毎週連載していたワイン日記の2008年4月までのものを集めたもの。ワイン日記自体は、それ以降も続き、2010年後半からは間隔が開いて1カ月ごととなった。2011年3月11日の東日本大震災後の4月5日付の「いまこそ飲もう! 東北&北関東のワイン」という回で終了している。

「神の雫作者のノムリエ日記」は今でもバックナンバーを閲覧できるので、興味のある人はクリックしてみてほしい。

神の雫はテレビドラマにもなっている。

神の雫 DVD-BOX
亀梨和也
VAP,INC(VAP)(D)
2009-06-24



マンガの方は全44巻で完結している。



世界的なワイン評論家神咲豊多香(かんざきゆたか)が亡くなり、時価20億円のワインコレクションが残された。彼の遺言は、このコレクションの頂点に立つ1本=神の雫と、12本のワイン=12人の使徒の銘柄と生産年を1年以内に言い当てた者が、遺産を手に入れることができるというものだった。

豊多香の息子で仲たがいしていた神咲雫(かんざきしずく)と、豊多香死の直前に養子縁組をした天才ワイン評論家の遠峰一青(とおみねいっせい、実は豊多香の私生児)が、遺言の謎解きをめぐって争う。

という、いかにもマンガらしい荒唐無稽なストーリーだ。

テレビドラマでは、亀梨和也が神咲雫を演じた。このマンガは、韓国でも大ヒットし、遠峰一青のモデルといわれるペ・ヨンジュンが韓国でのドラマの版権を買い取って、テレビドラマ化を目指していたが、韓国ではドラマの中で特定の商品を宣伝するプロダクトプレイスメントを禁止しており、実現できなかったという。

神の雫は、ワインを紹介するというストーリー展開なので、この漫画で取り上げられたワインは一躍有名になった。

その一例が、シャトー・モン・ペラだ。

シャトー・モン・ペラ ルージュ 2012年 フランス ボルドー 赤ワイン フルボディ 750ml 【YDKG-t】【12本単位のご購入で送料無料/ギフト・プレゼント対応可】【ギフト ワイン】【ソムリエ】【楽ギフ_のし】【あす楽_土曜営業】【あす楽_日曜営業】
シャトー・モン・ペラ ルージュ 2012年 フランス ボルドー 赤ワイン フルボディ 750ml

シャトー・モン・ペラは、人気になっても価格は安いままなのはすばらしい。作者の亜樹直さんも、ノムリエ日記で生産者のティボー氏の良心的な姿勢をほめている。

亜樹直さんが、ワインにのめりこむようになったきっかけは、DRCエシェゾーの1985年物を飲んだからだという。

[1985] エシェゾー 【ラベル汚れ】 Echezeaux ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC
[1985] エシェゾー 【ラベル汚れ】 Echezeaux ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC

今は到底高くて買えないが、10年ほど前までは、3万円程度ではなかったかと思う。当時はロマネコンティが、20万円弱だった。今はロマネコンティは、200万円以上する。

[1995] ロマネコンティ 【ラベル不良】Romanee Contiドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC[自社輸入]
[1995] ロマネコンティ 【ラベル不良】Romanee Contiドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC[自社輸入]

中国と東南アジアの経済成長により、成金が増えて、金に糸目をつけずにワインを買いあさっているから、高級ワインの値段は10年ほど前の10倍となっていると言われている。

ちなみに、「神の雫」で第一の使徒とされたのは、シャンボール・ミュジニーのレ・ザムルーズ(2001年)だ。 

ジョルジュ・ルーミエシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・ザムルーズ[2001] 赤 [750ml]
ジョルジュ・ルーミエシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・ザムルーズ[2001] 赤 [750ml]

ちなみにシャンボール・ミュジニー村は人口わずか300人余りの小さな村だ。

普通の年の同じワインが2〜3万円程度なのに、この2001年だけは10倍の24万円もする。「神の雫」効果がいまだにあるのか、わからないところだ。

シャンボール・ミュジニー[2013]ジョルジュ・ルーミエ(赤ワイン)[Y][A][P][S]
シャンボール・ミュジニー[2013]ジョルジュ・ルーミエ(赤ワイン)[Y][A][P][S]

まずは、ネットでバックナンバーを見て、興味のあるタイトルを読むことをお勧めする。

筆者も見た「モンドヴィーノ」のジョナサン・ノシター監督との対談も面白い。

「モンドヴィーノ」では、ロバート・パーカーの100点満点評価と、空飛ぶワインメーカーと呼ばれ世界中で同じタイプのワインをつくるワインコンサルタント・ミッシェル・ロランが暗に批判されている。

ノシター監督は1時間半遅れて、雪駄姿で現れたという。

モンドヴィーノ [DVD]
ドキュメンタリー映画
東北新社
2006-04-21



どのワイン日記も本にすると4ページ程度で、簡単に読める。気軽に読めるワイン読本である。


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2016年08月30日

iPS細胞が医療をここまで変える iPS細胞研究の最新情報

iPS細胞が医療をここまで変える (PHP新書)
京都大学iPS細胞研究所
PHP研究所
2016-07-16


2006年に発表されたiPS細胞の発見から10年経って、現在のiPS細胞研究の現状をまとめた本。

京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が監修している。

iPS細胞の基本的なことについては、以前山中教授と益川教授の対談「『大発見』の思考法」のあらすじで紹介しているので、こちらを参照願いたい。

「大発見」の思考法 (文春新書)
山中 伸弥
文藝春秋
2011-01-19


iPS細胞は、細胞に3〜4の遺伝子を加えると、体のどんな細胞にも変化できる幹細胞となるというものだ。

iPS細胞はほぼ無限に増やせ、ほぼすべての細胞になることができる。

用途としては、本人の細胞から網膜や臓器など、いろいろな部位を拒否反応なしでつくる再生医療と、マウスなどの動物を使用せず、直接ヒトの細胞をつかって薬のテストや病気になるメカニズムを解明する病気や薬の研究だ。

これらの研究には従来ES細胞という受精卵を用いた細胞が使われてきたが、受精卵という将来人間に成長する可能性のある細胞を研究に使うことに倫理的な問題があり、米国のブッシュ政権はES細胞の研究に公的研究費の支給を禁止した。

iPS細胞は、ES細胞と同様の初期化された細胞でありながら、倫理問題がなく、しかも本人の細胞を使えるということで、画期的な発明である。

さて、最初のiPS細胞発見の発表から10年経って、この本では日本や世界の次のような研究機関でのiPS細胞研究や支援の現状をリポートしている。

日本
・京都大学CiRA(iPS細胞研究所、サイラ)
CiRA、理化学研究所、大阪大学、神戸市立医療センターの共同による加齢黄斑変性の患者に対する他人のiPS細胞からつくった網膜の細胞移植成功

米国:
UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ分校)の山中教授が兼任しているグラッドストーン研究所
・スタンフォード大学
・カリフォルニア再生医療機構
・ニューヨーク幹細胞財団
・ハーバード幹細胞研究所

ヨーロッパ・アジア:
・カロリンスカ研究所(スウェーデン)
・ユーロ・ステム・セル
・ケンブリッジ大学
・シンガポール科学技術研究庁(A*STAR)
韓国・CHAヘルスシステムズ

残念ながらここで特筆するような研究成果はなく、発見から10年たっても、基礎研究の段階のところが多い。

ただ、再生医療の分野では、数万あるといわれている細胞のHLA型のなかで、父からも母からも同じHLA型を受け継いだHLAホモ接合体の人の細胞を使ってiPS細胞をつくると、拒絶反応が少なく移植できるという話はグッドニュースだ。

再生医療では、次が5年以内に臨床応用が見込まれている。

・ドーパミン算生神経細胞(パーキンソン病治療)
・角膜
・血小板
・心筋
・軟骨
・神経幹細胞

筆者の亡くなった母もパーキンソン病を患っていた。

この本では、娘と息子が先天性糖尿病なので、糖尿病の治療法を研究している米国の学者など、医学の発展のために日夜努力している研究者が多く紹介されている。

時間はかかるだろうが、少しずつは進歩している。ぜひ早急に実用化につなげてほしいものである。


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2016年08月07日

影響力の武器 カーネギーとは比較にならないと思うけど

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
誠信書房
2014-07-10


現在アマゾンの本の売り上げランキングで205位につけているベストセラーだ。

京大客員准教授の瀧本哲史さんの「読書は格闘技」に、カーネギーの「人を動かす」と対比して紹介されていたので読んでみた。



瀧本さんによるとカーネギーの「人を動かす」は、「他者を味方につける」分野のチャンピオンだが、致命的な弱点があるという。

それは読みやすさを作り出しているエピソード中心の構成は、科学的な実証性に欠け、全部で30も原則があるというのは、体系性がないし、抽象度のレベルもそろっておらず、重なりもある。

チャレンジャーの「影響力の武器」はその弱点を正確についてきたという。著者は米国を代表する社会心理学者ロバート・B・チャルディーニで、この本で紹介されている人を動かすテクニックは、社会心理学上の実験によって証明されているものばかりで、実験には学術論文の出典が示されている。

とはいえ、筆者には「人を動かす」と「影響力の武器」は全く別物に思える。

「人を動かす」は科学的な実証性に欠けると瀧本さんは言うが、実証性があろうとなかろうと筆者には関係ない。自分で試してみて、それが役に立てば、それで良いのである。

多くの人が、カーネギーの本を推薦書に挙げるのは、その人に役に立ったからだろう。

第一、「人を動かす」は読んでいて、新たに感動を覚えることが毎回あるが、「影響力の武器」は、学術書であるからかもしれないが、感動が全くない。

ともあれ、「影響力の武器」は何かを他人に売ろうとするときには役立つ社会心理学の法則を集めた本なので、参考になる点も多い。法則のいくつかを紹介しておく。

1.カチッ・サー
この本で「カチッ・サー」という訳で紹介されている英語の"automaticity"とは、テープレコーダーに行動パターンが録音されているように、一定の条件で、スイッチが入って、同じ行動が現れることをいう。

実験として紹介されているのは、図書館のコピー機で、「すみません。5枚だけなんですが、先にコピー取らせてもらえませんか?」という実験だ。理由を言って頼む場合と、何も理由を言わずに頼む場合では、成功率が倍違ったという。

セールスに役立つ例としては、宝石店ですべての商品の値段を間違って倍にしたら、陳列ケースの商品がすべて売り切れたという。

「高価なもの=良いもの」というステレオタイプが、お客の心理にぴったり、はまったのだ。

2.コントラストの原理
洋品店では、客に高い商品を先に買わせるよう店員を指導しているという。(ちょっと半端な数字だが)275ドルのスーツを買った人には、75ドルのセーターは安く感じる。スーツと一緒に小物を買わせるのも同じだ。

車のディーラーも同じだ。数百万円の車を買った後は、数万円のアクセサリーやオプションは取りに足らないものに見えるが、最終価格はオプションで跳ね上がってしまうことがしばしば起こる。

不動産のセールスマンは、最初に魅力のない物件を紹介するという。「セットアップ」物件と呼んで、これらは客に売るためではなく、ただ他の住宅を魅力的に見せるために入れられる。

3.返報性
ちょっとしたギフトやおまけを受け取ることで、客は買うつもりがなかったものも喜んで買うようになる。スーパーマーケットの無料試供品や試食品がいい例だ。

アムウェイ社は、家具用クリーナー、洗剤、防臭スプレー、殺虫剤、窓ふきクリーナーなどを無料試供品としてひとまとめにして、2〜3日置いていくという。数日後に取りにきて、気に入ったものだけを買うシステムだ。客は少しでも使ったものは、注文しなければ悪いという気持ちになってしまう。

この本にはアメリカ退役身障者軍人協会の住所ラベルシート付の寄付要請のことが書いてある。米国に住んでいた時に、よく受け取ったものだ。

単に寄付を要請すると、成功率は18%だが、自分の名前と住所を印刷したラベルシートを同封して寄付を要請すると、成功率は倍の35%に跳ね上がったという。

4.ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
最初に大きな要求を出して、それが拒否されたら小さい要求を出す。ボーイスカウトの大会チケットが例として挙げられている。まず、5ドルのチケットを買ってくれと頼み、それがダメなら1ドルのチョコバーを買ってくれと頼む。

5.コミットメントと一貫性
クリスマスシーズンには、決まってその時の人気ギフトが登場する。この本では、キャベッジバッチキッズ、ビニーベービーズなどが紹介されている。筆者が覚えているのは「たまごっち」、今だったらポケモンとかだろう。







クリスマス前に人気が沸騰して、手に入らなくなり、なんとか手に入れることができたのはクリスマスが終わってからというよくあるパターンだ。おもちゃメーカーは、クリスマスが過ぎても販売を持続することができる。

5.フット・イン・ゼ・ドア・テクニック
まず小さい要求で承諾をもらい、次に大きな要求を出す。この本の例は、最初に「安全運転」シールを貼ることをOKもらい、次に「安全運転をしよう」という大きな看板を設置することにOKをもらうというやりかただ。

看板を置くことを最初に要求された人は17%しか、看板設置にOKしなかったが、最初に「安全運転」シールを貼ることをOKしたグループは、実に74%が看板設置をOKした。シールを貼ることで、コミットメントが生まれ、看板設置までもOKしてしまうのだ。

筆者も最近この事例を経験した。

筆者の会社は普通の売り込みは一切シャットアウトだが、某生命会社のセールスレディはエレベーターホールまで行けるのだ。先日保険のセールスレディから、エレベーターホールでティッシュをもらったら、名前を聞かれたので、保険は間に合っていると言いながらも、名前を教えてしまった。

そうすると、次は生年月日を教えてくれという。これは拒否して、切り抜けたが、まさにフット・イン・ゼ・ドア・テクニックそのものだ。

6.ローボール・テクニック
最初にある条件で承諾を得て、あとからその条件をひっくり返して、もっと店に有利な条件で契約するやりかただ。

たとえば新車を500ドル安い値段を示して、客から買う約束を取り付けた後、ローン申し込み書などにサインしていると、計算上のミスとかが発見されたり、価格が安すぎてマネージャーのOKが取れないとかいった理由で、当初より高い値段で買わせる手口だ。

チャルディーニさんは、地元のシボレー販売店で、セール訓練生のふりをして紛れ込んでいた時に、この策略に接したという。

会員制リゾートで、アンケートと称して、旅好きだという証拠を挙げさせておいて一貫性に付け込んで、会員権を売り込むやり方は、一貫性を保ちたいという人の弱点を突いたやり方だ。

7.自殺報道は類似した人々の自殺を促してしまう
自殺報道は類似した人々の自殺を促してしまうという統計が示されている。

8.類似性を操作することによって、好意と承諾を得る
車のセールスマンは、類似点の手がかりを探すように訓練されている。旅行、ゴルフ、出身地、出身校など。

保険会社のセールス記録を調べたある研究者は、年齢、宗教、喫煙の習慣がセールスマンと似ている客は、保険契約をしやすいことがわかったという。

ギネスブックに載っている世界一の車のセールスマンは、毎月13,000人ものお客さんにメッセージを印刷したカードを送っていたという。あからさまな好意の表現が効果があったのだ。

9.希少性
不動産のセールスマンは、なかなか決断できない客に、別の買い手が現れたという話をでっちあげることがある。好んで用いられるのは、「税金対策として物件を物色している州外の投資家」や、「この町に移り住むことになった医者夫婦」だという。

チャルディーニさんの弟のリチャードの学生時代の金儲けの話が紹介されている。リチャードは週末に中古車を数台買っておいて、次の週の日曜版で広告を出す。広告を見て電話してきた見込み客にはすべて、車を下見する時間として、同じ時間を指定する。そうすると鉢合わせした客同士でライバル心から言い値で車が売れるのだという。

このような実際的なテクニックを紹介しているので、車や不動産、保険などを買おうとしている人は、セールスマンの手口に引っかからない様に読んでおくことをお勧めする。

もちろん自分がセールスを担当している人にも役に立つだろう。

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2016年06月12日

読書は「アウトプット」が99% 週末起業の藤井孝一さんの読書活用術



リスクをミニマイズした「週末起業」で有名になった起業コンサルタント藤井孝一さんの読書活用術。

週末起業 (ちくま新書)
藤井 孝一
筑摩書房
2003-08-06



この本の要旨を簡単に紹介すると次の通りだ。筆者も、すべての論点に賛成である。

藤井さんのいう「アウトプット」とは「話す」、「書く」、「行動する」の3つだ。

「アウトプット」することによって、本がもっと役立ち、付加価値のあるものに変わる。つまり、「人に伝える」ことで、知識が知恵に変わるのだ。

できる人は例外なく「要約力」を備えている。

本を読んで、アウトプットすることで、要約力のトレーニングにもなる。筆者は大学一年の時のゼミで、自分の要約力の無さに気が付き、それ以来、要約力をつけるトレーニングをしてきた。このブログもその現れだ、

本で身につく「全体を俯瞰する力」。

筆者はネット企業の代表取締役副社長として会社を経営していたことがある。いまから思えば、ネット広告業界で生き抜くためには何が欠けているのか、会社の弱みをはっきり認識せず経営していた。全く汗顔の至りだ。

藤井さんは、「全体像を俯瞰する力は読書で養える」と語っている。その通りだと思う。

筆者がこのブログを書いているのは、ブログを「外部記憶媒体」として使っているからだ。藤井さんのいう「アウトプット」の一例だ。

筆者は大体週に3〜5冊程度本を読む。次から次へと新しい本を読むので、読んだという記憶があるが、内容が思い出せないことがよくある。その場合、ブログを「外部記録媒体」として使って、キーワードなどで検索して、あらすじを読み返すのだ。

この本で藤井さんが勧めている本のなかでは、次の本のあらすじをこのブログで紹介している。

「バビロンの大富豪」




「日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル」人気ビジネス作家橘玲(たちばな・あきら)さんの本は、この本以外も10冊ほどあらすじを紹介している。




この本では「もしドラ」が、ドラッカー関連書として取り上げられている。

「もし高校野球のマネージャーがドラッカーを読んだら」ちなみに「もしドラ」は昨年文庫本となっている。




このブログでは、ユニクロの柳井さんの「わがドラッカー流経営論」のあらすじも紹介している。




「年収1500万円以上の人の愛読書」の中では、次のあらすじを紹介している。

「コトラーの戦略的マーケティング」




「イノベーションのジレンマ」




以前あらすじを紹介した本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」と同じ路線だ。




簡単に読めるし、推薦図書のリストも参考になる。書店で見かけたら、一度手に取ってみることをお勧めする。


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2016年05月08日

本読む幸せ 資生堂名誉会長の福原義春さんが勧める103冊

本よむ幸せ
福原 義春
求龍堂
2013-02


資生堂の創業者一族の出身で、名誉会長の福原義春さんが勧める本103冊。

本の帯に福原さんの言葉が紹介されている。

私は本で育ちました。
毎日ご飯を食べるのと同じです。
暇はなくとも本は読みます。
雨でも晴れでも読みますし、明日は明日の本を読むのです。


福原さんは財界きっての読書家として知られ、様々な文化・メセナ活動を支援している。2010年に福原さんが六本木のアカデミーヒルズで講演した時の福原さんの紹介を引用すると次のようになる。ちょっと古い経歴だが、福原さんの幅広い活動がわかると思う。

1931年東京生まれ。1953年慶応義塾大学経済学部卒業と同時に株式会社資生堂入社。1987年代表取締役社長、1997年代表取締役会長を歴任。2001年、名誉会長に就任。

東京都写真美術館長、(財)かながわ国際交流財団理事長、(社)企業メセナ協議会会長、東京芸術文化評議会会長、文字・活字文化推進機構会長、経営倫理実践研究センター理事長、全日本蘭協会名誉会長、日仏経済人クラブ日本側議長、パリ日本文化会館支援協会会長、経済人同人誌「ほほづゑ」代表世話人(故・鈴木治雄さん、故・住吉弘人さんらと一緒に同人誌を出したもの)、ほか公職多数。

主な著書に「部下がついてくる人・体験で語るリーダーシップ」(日本経済新聞社)、「会社人間、社会に生きる」(中央公論新社)、「文化資本の経営」(ダイヤモンド社)、「100の蘭」「101の蘭」(文化出版局)、「猫と小石とディアギレフ」(集英社)「『自分らしい仕事』があなたを変える!」(青春出版社)、「ぼくの複線人生」(岩波書店)、「変化の時代と人間の力 福原義春講演集」(ウェッジ文庫)、「だから人は本を読む」(東洋経済新報社)、「福原義春の言葉 私は変わった 変わるように 努力したのだ」(求龍堂)等。趣味は洋らんの栽培、写真。

平成10年、イタリア共和国・功績勲章グランデ・ウフィチアーレ章。
平成13年、北京市栄誉市民。
平成14年、フランス共和国・レジオンドヌール勲章グラン・トフィシエ章。
平成16年、旭日重光章。
平成20年、東京都中央区名誉区民
平成21年、神奈川文化賞

この本の最後に「松岡正剛 千夜千冊」を書いた松岡正剛さんによる書評が載っている。

松岡正剛千夜千冊
松岡 正剛
求龍堂
2006-10



この本は次の6部に分かれている。それぞれの章のタイトルと、紹介されている本のなかで、筆者が特に気になったものを、紹介する。筆者がこれから読む本(一部はこのブログで紹介した本)のセレクションである。

103冊は、絵本(!)から中国古典、欧米の古典、美術本まで幅広いセレクションで、到底、以下のリストで伝えられるものではないが、福原さんの読書のバラエティが感じられると思う。

ちなみに、松岡正剛さんはそのうちの第5章「負への探求」と第6章「かけがえのないもの」が格別だったと記している。

第1章 視点をすえる

1.ファーブル昆虫記 たぶん教科書にも出てきて、フンコロガシの話などは誰でも一度は読んだことがあると思う。



24.パレオマニア 大英博物館からの13の旅 大英博物館の所蔵物のオリジンをたどる




第2章 物語の醍醐味

25.剪燈新話 中国の怪談集




33.さまよえる湖 中国西域ロブノール湖を求めて 学生時代に井上靖の「楼蘭」と一緒に読んだ。

さまよえる湖 (中公文庫BIBLIO)
スヴェン ヘディン
中央公論新社
2001-10



楼蘭 (新潮文庫)
井上 靖
新潮社
1968-01-29



36.チャリングクロス街84番地 英国の書店員と米国の女性顧客のウィットのきいたやりとり 映画にもなった






37.鷲は舞い降りた 第2次世界大戦中にチャーチル暗殺をたくらむナチ空てい部隊 映画化された

鷲は舞い降りた (ハヤカワ文庫NV)
ジャック ヒギンズ
早川書房
1997-04





38.
薔薇の名前〈上〉
ウンベルト エーコ
東京創元社
1990-02

薔薇の名前 14世紀イタリアを舞台とするサスペンス小説 映画化された



39.世界の測量 福原さんのイチオシ小説 「年を取ってから読んだ本の中で、こんなにも興奮した一冊はなかった」 今読んでいる。

世界の測量 ガウスとフンボルトの物語
ダニエル・ケールマン
三修社
2008-05-23



41.生物と無生物のあいだ このブログで紹介している




第3章 英知を耕す

42.ロビンソン・クルーソー はずかしながらまだ読んだことがない。今度読んでみる。

完訳ロビンソン・クルーソー (中公文庫)
ダニエル デフォー
中央公論新社
2010-10-23



45.石橋を叩けば渡れない 昭和30年代の南極越冬隊の隊長 西堀栄三郎さんの本 今読んでいる。

石橋を叩けば渡れない
西堀 栄三郎
生産性出版
1999-04



55.ガリア戦記 大学生の時読んだが、ほとんど覚えていない。また読まなきゃ。

<新訳>ガリア戦記
ユリウス・カエサル
PHP研究所
2008-02-14



第4章 時の狭間をのぞく

61.月と6ペンス まだ読んだことがない。この章はこの本だけ。

月と六ペンス (新潮文庫)
サマセット モーム
新潮社
2014-03-28



第5章 負への探求

70.山椒魚戦争 このブログで紹介している。

山椒魚戦争 (岩波文庫)
カレル チャペック
岩波書店
2003-06-13



82.インタヴューズ これから読んでみる。マルクス、レーニン、ヒトラーなどのインタヴュー。




第6章 かけがえのないもの

95.木を植えた人 資生堂120周年記念に配った本。

木を植えた人
ジャン ジオノ
こぐま社
1989-10



97.ご冗談でしょう、ファインマンさん ブログで紹介していないがなんといっても面白い。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)
リチャード P. ファインマン
岩波書店
2000-01-14



読んだら順次あらすじを紹介していく。


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2016年05月03日

チョコレートの帝国 M&Mのマースとキスチョコのハーシーの物語

チョコレートの帝国
ジョエル・G・ブレナー
みすず書房
2012-05-23


チョコレートの近代史を、米国の巨大チョコレート会社のハーシーマースの創業者たちを中心に描いた物語。

ちなみに、この本ではMars=「マーズ」と呼んでいるが、日本法人のホームページでは「マース」と呼んでいるので、このブログでは「マース」に統一した。

チョコレートの原料となるカカオはメキシコを中心とするメソアメリカ原産で、既に紀元前1,000年頃からスパイスと混ぜた苦い飲み物・「チョコラトル」として王族や支配者階級で楽しまれていた。

コロンブスは4回目の航海でチョコラトルを知り、エルナン・コルテスはスペイン王に献上し、甘くして飲むようになると、ヨーロッパの貴族の間で広まった。

良く知られた名前も出てくる。ヴァン・ホーテンは1828年位カカオ豆をすりつぶしてココアバターを減らす製法を発明し、飲みやすいココアを作り出して大ヒットした。


バン・ホーテン ココア 400g缶
1847年に板チョコを作り出したのはイギリスのフライアンドサンズで、この会社は後にキャドベリーと合併した。

1875年にはスイスのネスレ兄弟がミルクチョコレートを発明した。水分の多いミルクと脂肪分の多いチョコレートを混ぜ合わすのは、水と油を混ぜるようなもので、なかなかうまくいかなかったが、ネスレはコンデンスミルクを使うことでミルクチョコレートの製造に成功した。

イギリスのキャドバリー、スイスのトブラローネリンツ(Lindt)、アメリカのギラデリなど今でも続くチョコレートメーカーが登場する。



現在の世界の菓子業界のランキングでは、一位がキャドバリーを傘下に収めた旧クラフト・フーズ、現モンデリーズ、2位がネスレ、3位がマース、4位フェレーロ、5位ハーシーとなっている。日本の明治は9位にランクインしているが、売り上げは一位のモンデリーズの1/10である。

ミルクチョコレートはあまりにもポピュラーなので、簡単にできそうな気がするが、この本を読んでチョコレートの味を左右する製造工程や原料のサイズ調整、ミルクとのブレンドの難しさなどが理解できた。

ハーシーでもマースでもチョコレートの配合比率や製造法は最高機密なのだという。

マースはいまだに非上場企業でマース一族が株を握っているので、秘密主義を貫いている。

そんなマース社が珍しく取材に協力したのがこの本だ。著者のブレナーさんは、1年以上かけてマース社にアプローチし、やっとOKを取って2年かけてマース社を取材した。伝説の経営者フォレスト・マース・シニアの物語が多く紹介されている。

マースは2004年にマース兄弟が経営の第一線から退き、一族外のポール・マイケルズがCEOに就任しており、2014年に一族外のCEOに席を譲った。

2008年には、ウォーレン・バフェットと一緒に世界最大のチューインガムメーカーのリグレーを共同買収した。現在は同族経営色は薄れているのかもしれない。

マース社は1911年創業。創業者のフランク・マースは当初ハーシーのムリー社長の支援を受けて、マース・チョコレートをつくった。マースチョコレートの最も有名なブランド「M&M」はマースのMとハーシー社社長だったムリーのMだという。



1930年フランク・マースはスニッカーズを考案する。ハーシーのチョコレートを仕入れて、マースが加工するという協力関係があったのだ。マースに原料チョコレートを販売することにより、ハーシーのチョコレート売上高は急増した。

マースとハーシーの蜜月関係は続いたが、フランクの息子フォレスト・マースは家を飛び出し、スイスのトブラローネの工場と、ネスレの工場に工員として働き、技術を学ぶ。

フォレストは1933年にイギリスに移り、自らの工場を立ち上げる。マースバーをつくり、次はペットフードの会社を買収した。タイムレコーダーを入れ、遅刻がないものには報奨金を出したのもこのころからだ。

1939年マースUKは第3位のメーカーになっていたが、英国政府が打ち出した外国人の特別税のために、フォレストは英国を去らなければならなかった。

1940年米国に戻ったフォレストは、ニュージャージーに工場を建設し、ハーシーから原料の供給を得て、M&Mの製造をはじめた。スニッカーズ、ミルキーウェイのチョコバーの生産も開始した。





コーティングしたM&Mは、温度が上がるとチョコレートが解けるという問題を解決し、チョコレートが軍の配給食に大量に使われることになった。次は米軍のMRE(Meal Ready to Eat)レーション(配給食)の内容物だ。M&Mがパッケージのまま入っている。

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このジャンバラヤ配給食を盛りつけた例が次の写真だ。

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出典:Wikipedia

そしてフォレストは1964年に、ついにシカゴのマースを買収し、重役用ダイニングルームを取り壊し、社用ヘリコプターを売却し、給料を30%アップさせて、タイムレコーダーを持ち込んだ。

マースでは、全社員が「同僚」と呼び合い、CEOを含む全社員がタイムカードで勤務時間を管理していると紹介している。CEOも出社時間を守ると10%のボーナスが支給されるのだ。社有車も役員用個室もない。これが資産1兆円を超える経営者とは信じがたい。

まさに惑星マース(火星)の勤務生活といえる。個人秘書はだれにもつかず、コピーは各自自分で、電話も個々人が受け、出張はエコノミークラス。ファーストクラスは使わない。しかし給料は業界一で、副社長の年俸は50万ドル以上だという。

(この邦訳は2012年発刊だが、原著は1999年発刊なので、この辺の記述はマース一族が経営していない現在では違っているかもしれない)

ベストアンドブライテストを高給で優遇し、優秀なスタッフを集めた。

フォレストがシカゴのマースを買収した時に、契約を切られたのが広告代理店のオグルヴィだった。

復讐に燃えるオグルヴィは、「ハーシー、グレート・アメリカン・チョコレート」というキャッチコピーを打ち出し、ハーシーの売り上げは急増したという。

ハーシーはミルトン・ハーシーが1894年に設立した。

ペンシルベニアの農村地帯の工場で、新鮮なミルクを用いたミルクチョコレートで有名となった。著者のブレナーさんはペンシルベニアのハーシータウンに2年間通い詰めて取材したという。

キスチョコや、板チョコが主力商品で、1914年から米軍にチョコレートの供給を開始し、1937年からは米軍のレーションDバーとして配給食として採用され、砂糖でコーティングしたマースのM&Mとともに、軍隊の配給食として大量に納入している。

チョコレートはカロリーが高く配給としては理想的なのだ。

ハーシーは、ハーシートラストが株を持つ上場企業であり、2002年にハーシートラストがハーシーフーズ売却をリグレーやネスレと交渉したが、地元の反対で売却を断念している。

ハーシーの創業者のミントン・ハーシーは全財産をハーシートラストに寄付してハーシータウンと言う理想郷をつくった。

筆者は米国ペンシルベニア州のピッツバーグに駐在していたので、同じ州のハーシータウンにも家族で行ったことがある。車で4時間くらいのところだ。

ペンシルベニアの州都・ハリスバーグの近くだ。

ハーシータウンの遊園地でも遊んだ。ディズニーランドなどと違って、子供用の遊具が中心なので、何日も滞在して乗り物をすべて制覇するというタイプの遊園地ではないが、小さい子供でも楽しめるようになっている。遊園地の街頭は当然キスチョコの形をしている。



ミントン・ハーシーは孤児のために孤児院をつくり、ハーシースクールをつくった。生徒と教師の比率は9対1。教育プログラムや施設は有名私立高に匹敵する充実ぶりだった。

ハーシーとマースでは会社のカラーが、かなり違うことがわかると思う。

この本にはハーシーの広告の成功例も紹介されている。

興味深いのは映画「ET」のETをチョコレートで誘い込むシーンだ。プロダクトプレイスメントという広告手法で、それをやったのはM&Mに対抗するハーシーのリーセスピーセスだった。マーケティング史上最高の大当たりだったという。







「ちゃんとした人はチョコレートを食べない」という1970年代の通説に挑んだのはキャンベルスープの一部門となったゴディバだった。ゴディバは全米で1,300店もの店を開いて、チョコレートブティックを成功させた。

ゴールドコレクション12粒入
ゴールドコレクション12粒入


その他にもチョコレートにまつわる話が満載だ。

なにせ400ページもの本なので、この本を読んだらチョコレートに相当詳しくなる。チョコレート好きの人にはお勧めの本である。


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2016年05月01日

ビーグル号航海記 若きダーウィンの書いた博物誌 新訳で読みやすい

新訳 ビーグル号航海記 上
チャールズ・R.ダーウィン
平凡社
2013-06-25


新訳 ビーグル号航海記 下
チャールズ・R. ダーウィン
平凡社
2013-08-14


新訳が2013年6月に出ているので読んでみた。

種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィンが22歳から27歳までの5年間、乗り込んだ英国の測量船「ビーグル号」の航海記兼博物誌。

種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
チャールズ ダーウィン
光文社
2009-09-08


ビーグル号は約5年かけて、南アメリカを中心に陸地や水路を測量した。測量船といっても、大砲を6門備えた立派な軍艦だ。

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出典:Wikipedia英語版

ビーグル号の5年間の軌跡は次の図の通りだ。

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出典:ウィキペディア「ビーグル号」

1831年12月に英国のプリマス港を出港してからは、ほぼ4年間かけて南アメリカのブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどを測量し、ガラパゴス島に1か月ほど滞在してから、ニュージーランド、オーストラリア、モーリシャス、喜望峰などを経て、世界を一周した。

帰路、ナポレオンの島流しで有名なセント・ヘレナ島、アセンション島、そしてブラジルのバイアを再訪してから帰国している。

この本では全部で21章にわけて各地の動物、昆虫、地質、住民、移住者、生活風景などを紹介している。「ビーグル号航海記」を有名にしたガラパゴスの動物に関する章は、そのうちの一つにすぎない。

筆者が2年間駐在していたアルゼンチンの部分では、1830年代のインディオとスペイン人入植者の戦いも取り上げられている。


辺境の征服

アルゼンチンでは「辺境(砂漠)の征服」(la Conquista del Desierto)と呼んで、米国の西部開拓史と同様のインディオとの闘いが展開された。

しかし、それは米国の西部劇のように銃を持ったインディアン対白人の闘いではなく、スペイン人の銃対インディオのナイフ、槍、矢の戦争だったので、インディオは大量に殺戮されていった。

Wikipedia(スペイン語版)には、当時のインディオ対白人の戦いの絵が紹介されている。

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ダーウィンは、110人ほどのインディオの部族が、大人は男女を問わず虐殺され、子供は奴隷にされたという話をスペイン人から聞いたことを記している。男は全員サーベルで突き殺され、20歳くらいの若い女も全員殺された。命だけ助けられた子供たちは、売られるか奴隷にされたという。

インディオ討伐にあたったスペイン人に、「なんてひどいことをするんだ」と声を上げたら、「だがな、他に方法があるかね?あの女たちは、どんどん子を産むんだから」と答えたことをダーウィンは書いている。

その後1870年代にさらに大規模な「辺境の征服」作戦が展開され、インディオの部族はほとんど根絶やしにされた。

筆者が駐在していた当時はアルゼンチンの人口の98%が白人だった。その背景にはこういったインディオ根絶やし作戦が繰り返し実施されたことがあるのだ。

この本では、アルゼンチンでリンゴほどもある雹(ひょう)が降って、たくさんの野生動物を打ち殺したことや、ピューマの肉は色が白くて仔牛肉のようで、美味だったこと、ガウチョ(アルゼンチンのカウボーイ)の生活など、博物誌の他の話題として書き記している。


フォークランド諸島(アルゼンチンではマルビーナス諸島と呼ぶ)

フォークランド諸島では、1993年にイギリスとアルゼンチンが領土問題で戦争している

もともとはフランス、スペイン、イギリスが次々に占領した後、無人状態で放り出されていた島をアルゼンチン政府が個人に売り、流刑者開拓地に使用した。その後イギリスが領有権を主張して、力ずくで島を奪い取ったと書いている。

1830年当時は、イギリス領のフォークランド諸島、ニュージーランド、オーストラリアなど多くの領土で、追放された犯罪者が生活していた。


フエゴ島

筆者はアルゼンチン駐在時代に南米大陸最南端のフエゴ島を旅行したことがある。フエゴ島にはビーグル号のフィッツロイ船長にちなんで、アウトドア用品メーカーのパタゴニアのロゴのもとになったフィッツロイ山がある。

「ビーグル号航海記」では、フィッツロイ船長が、最初の航海の時にフエゴ島の住民を3人自費でイギリスに連れ帰って、キリスト教に改宗させ、2番目の航海の時に、フエゴ島に戻したことが紹介されている。西洋の船乗りたちが難破した時には、フエゴ島の住民が救ってくれるようにというフィッツロイ船長の思いからだ。

フェギア・バスケット、ジェミー・ボタン、ヨーク・ミンスターと名付けられた住民たちの似顔絵が載っていて、興味深い。

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出典:本書387ページ

ダーウィンは1年半後フエゴ島を再訪した時に、毛皮一枚を腰に巻いた裸のジェミー・ボタンと再会している。ジェミーがカヌーでビーグル号に近づいてきたのだ。ジェミーは結婚し、仲間に英語を教えていたという。


チリ

チリでは、銅鉱山の様子や、人手を使った採掘風景を紹介している。チリで採掘した銅鉱石はイギリスに運び、精錬するのだという。

ダーウィンは航海中にチリで大地震と津波に遭遇している。大地震の後、陸地が2〜3フィート隆起していたことを紹介している。

チリのワイン地帯で有名なマイプ川流域には、ダーウィンが訪問した1830年代にすでにブドウ畑やリンゴ、ネクタリン、モモの果樹園があり、無数の小屋があったという。


ガラパゴス諸島

ビーグル号航海記で最も有名な部分はガラパゴス島の生物に関する部分である。特に、ガラパゴス諸島に住んでいるフィンチのくちばしが、島ごとに異なるという発見が有名だ。

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出典:本書

そのほかにガラパゴス島のリクイグアナやゾウガメなどの爬虫類や、ホウボウ、カサゴなどの魚などを紹介している。ダーウィンが持ち帰ったゾウガメは、2006年まで生きていたという。

ガラパゴス島の後は、タヒチに寄って、ニュージーランド、オーストラリアを測量し、モーリシャスに寄ってから、喜望峰をまわって大西洋に戻っている。

ダーウィンはタヒチの住民は優美だと評しているが、ニュージーランドのマオリ族は体が大きく、戦闘的で、ずるくて乱暴なイメージしか与えないと評している。居留するイギリス人も社会のくずで、ニュージーランドから離れることができて、みんな喜んだだろうとまで言っている。

ニュージーランドのラグビー代表チームのオールブラックスは、マオリ人の戦いの踊り・ハカを試合前に披露して士気を高めることは有名だ。気性の激しいマオリ族には、ラグビーは最適のスポーツなのかもしれない。



筆者の行ったことがある南米各地の場所が多く紹介されていて、大変興味深い。アルゼンチンに駐在する前に読んでいたら、もっと良かったと思う。

いまから200年近く前の本だが、博物誌なだけに、内容は陳腐化していない。紹介されている動植物や各地の様子を描いた挿絵も入っていて楽しめる。

新訳は大変読みやすい。本屋で手に取って見ることをおすすめする。


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2016年04月23日

メジャーリーグの英語 ColdじゃなくてCalledだったんだ



メジャーリーグの野球中継でよく使われる英語を投手用語、打者用語、守備用語などのカテゴリーや、トピックス、有名人、メジャーリーグ観戦術などの分野に分けて紹介した本。

あまり難しい英語はないので、簡単に読める。

この本で一番難しい英語は、たぶんアメリカ国歌だろう。

次に一番の歌詞だけ引用する。

Oh, say can you see,
by the dawn's early light
What so proudly we hailed
at the twilight's last gleaming?

Whose broad stripes and bright stars,
through the perilous fight.
O'er the ramparts we watched
were so gallantly streaming?

And the rockets' red glare,
the bombs bursting in air,
Gave proof through the night that
our flag was still there,

Oh, say does that star-spangled
banner yet wave.
O'er the land of the free
and the home of the brave!



難しい歌詞だし、難しい旋律だ。

この本の収穫は、筆者が間違って覚えていた単語があったことだ。

たとえばコールドゲーム、てっきりCold Game、つまり盛り上がりに欠ける試合という意味だと思っていた。ところが、これはCalled Game、つまり審判によってCall=宣告されたゲームで、審判が試合終了をCallしたから、Called Gameとなるのだ。

おなじように、見逃し三振もCold Strikeだと思っていたら、Called Strikeだった。これまた、審判がストライクとCallして三振という意味だった。

筆者が米国のピッツバーグに駐在していた時に、小学生の長男は町の少年野球チームに入っていた。

全米がそうなのか、たまたま筆者の住んでいた町がそうなのかわからないが、筆者の住んでいたUpper St. Clair(アッパー・セント・クレア)という町は、少年野球参加希望者13人ごとに1チームを編成して、どんなに下手でも必ず試合に出られるように編成する。

ピッチャーも毎回変えて、誰でもピッチャーとなれ、誰でも打席に立てるようにする。

下手でもなんでもいいのだ。

1チームに一人、父兄のボランティアコーチがいて、そのコーチがポジションや打順を決める。

守備は9名だが、打撃は13名全員が順番で打席に立ち、特に交代などなかったと思う。

小さい時から野球に親しむことが目的の育成方法だ。

もちろん日本の様に軟式野球ボールはないので、はじめっから硬球、金属バットだ。

コーチは、"ノー・コールドアウト"といって、バッターを送り出していた。筆者は"Cold out"つまり、手を出さない消極的な三振だとおもっていたら、これも"Called out"つまり、審判に宣告された三振=見逃し三振だったのだ。

米国では、どんどんバットを振っていって、空振り三振は"Good try"といってほめる。四球=Walkを選んだり、ボール球を見送ったりすると、"Good eyes"といって、またほめる。

子供を叱らず、ほめて育てる文化なのだ。

この本では、「Money Ball」で話題になった、SABERMETRICSの考案者、ビル・ジェームズについても「常識として知っておきたい人たち」というコーナーで紹介している。

「Money Ball」では、アスレティックスのGM,ビリー・ビーンのことが中心で、SABERMETRICSを発案したビル・ジェームズについては、簡単に紹介しているだけだ。

ビル・ジェームズは熱心な野球ファンとして、既成観念にとらわれず、データを分析して、独自の理論を打ち出した。

投手は、勝率や勝利数でなく、WHIP(Walk plus Hits per Inning Pitched、つまり四球とヒット数を投球回数で割ったもの)、打者は打点や打率でなく、OPS(On-base Plus Slugging、つまり出塁率に長打率を足したもの)で評価すべきだというのが、ビル・ジェームズの理論だ。

このブログでも「Money Ball」の映画「マネー・ボール」の本を紹介しているので、参照してほしい。






ついでに、たけしの「野球小僧の戦後史」も紹介しておく。たけしと野球のかかわりで、戦後史の一面を描いた本だ。

たけしが明治大学出身なことは知っていたが、明治大学の理工学部は神奈川県川崎市の生田にあり、たけしは足立区の東武線の梅島駅の近くに住んでいたので、片道2時間かかったという。

たけしは昭和22年生まれの団塊の世代で、昭和40年に明治大学の機械工学科に入ったが、学生運動が活発な時期で、授業にも影響がでて、結局たけしは大学に行かなくなり、5年で除籍処分となっている。




明治大学は、その後平成16年にたけしに「特別卒業認定証」を送って、卒業扱いとしている。当時は学生運動が活発な時で、たけしは学業を続ける意欲を3年でなくしたが、それまでに106単位を取得しており、そのままいけば卒業は問題なかったし、たけしの母親は5年間学費を納めていたからだと。

昭和34年の「天覧試合」では、長嶋のサヨナラホームランが有名だが、この試合で新人の王もホームランを打ち、長嶋は2本のホームランを打っていることを初めて知った。

気軽に読める本である。


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2016年04月16日

闘う純米酒 埼玉県の神亀酒造の純米酒製造



ほぼすべての日本酒が醸造用アルコールと調味料を加えて作られた三倍増醸清酒が全盛だった時代に、全国に先駆けて全量を純米酒とした埼玉県蓮田市の神亀酒造を中心とした日本酒の作り手の側からの本。

神亀酒造






















三倍増醸清酒は、もともとは戦中・戦後のコメ不足の時代に少ないコメで多くの酒を造るために開発された苦肉の策の酒つくりだった。

同じ量のコメから3倍の酒がつくれるということは3倍の税収になるため、税収を増やしたい国の政策と合致したため、戦後の混乱期から戦後を通して日本酒生産の中心だった。

昭和50年ころからの地酒ブーム、純米酒ブームで平成15年に酒税法が改正され、現在は三倍増醸清酒は、「清酒」ではなく「リキュール類」になっているが、筆者の学生時代の昭和40年代は、日本酒というと三倍増醸清酒だった。

筆者は、学生時代から日本酒は悪酔いするというイメージを持っており、それがずっと続いていた。混ぜ物ばかりの三倍増醸清酒を飲まされていたのだから、悪酔いするのは当たり前といえば当たり前だ。

今の日本酒は、筆者の学生時代に飲んでいた三倍増醸清酒とは全く異なる。

筆者が日本酒の良さに気付いたのは、東日本大震災復興支援の思いも込めて東北の日本酒を飲み始めた5年前のことだ。

この本では、三倍増醸清酒全盛時代に、税務署の指導をはねのけて日本酒本来の製法である純米酒つくりを全国に広めた埼玉県の神亀酒造と、神亀酒造に影響を受けて純米酒生産に転換した各地の蔵元の話を紹介している。

神亀酒造の主力商品「ひこ孫」は3年間冷温熟成させた純米酒で、新酒が良いというそれまでの日本酒の常識を覆した酒だ。

神亀 ひこ孫 純米吟醸酒 720ml
神亀 ひこ孫 純米吟醸酒 720ml

実は、神亀酒造が税務署とケンカしながら1タンクだけ作った純米酒は、新酒では辛くて薄いと不評で、売れ残ってしまった。

しかし、その売れ残りが数年間瓶の中で熟成して良い酒になっていたのだ。

それまで日本酒は作った醸造年度に売るというのが原則で、税務署は在庫が2年分もあるのに、なぜ製品を作るのかと何年も寝かすことは認めていなかった。この面でも税務署との争いになったという。

この本では神亀ファンと一緒に自ら田植えをしてコメつくりをしたり、日本の純米酒つくりの先駆けとして、他の蔵元に支援を惜しまない神亀酒造の姿勢を紹介している。

酒蔵で蔵人全員が半年ほど合宿して酒造りに取り組む生活や、杜氏(とうじ)がどのように判断して酒つくりを進めているのか、神亀酒造で学んだ蔵人がその後各地の酒蔵で酒つくりを始める姿なども紹介されている。

酒造りといえば、フジテレビでドラマ化された「夏子の酒」が有名だ。





夏子の酒は伝説の酒造米を復活させて酒つくりに取り組むというストーリーだ。

原料のコメも重要ではあるが、むしろ醸造工程が酒の良し悪しを決める。

もともとは「蔵付き酵母」という、その蔵に住みついている酵母を使って醸造していたので、納豆やミカンは酒蔵には禁物だったという。

現在は科学的にプロセスが改良され、工程も温度もコンピューター管理されているが、それらが導入される前は、杜氏の経験と勘にたよった製法だった。

獺祭はじめ、日本酒の輸出も増えている。しかし、税務署と戦っても純米酒を作るという神亀酒造のパイオニア精神がなければ、今の日本酒ブームはなかった。

純米酒のパイオニアの苦労がわかる一冊である。


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2015年11月03日

たった一人の熱狂 幻冬舎見城社長の755での発言集



幻冬舎見城徹社長の755(有名人とやりとりできるツイッターのようなSNSサービス)での発言に、見城社長自身の解説を加えてまとめ上げた本。

755はホリエモンの長野刑務所に服役していた時の囚人番号だ。ホリエモン出所後、親友の藤田晋サイバーエージェント社長が協力して、755という有名人とやりとりできるSNSサービスを立ち上げた。

755自体は、AKBや乃木坂46のメンバーとやりとりできるということで有名なようだが、筆者はこの本を読むまで全く知らなかった。

もっとも見城さん自身の755のアカウントは現在は閉鎖されているようだ。幻冬舎から出した百田尚樹さんの「殉愛」というやしきたかじんさんと奥さんを取り上げた”ノンフィクション”小説が、実際はフィクションだらけだったということで「炎上」し、「百田尚樹『殉愛』の真実」という本まで出されることになり、その騒ぎで閉鎖となったように思える。

殉愛
百田 尚樹
幻冬舎
2014-11-07


百田尚樹『殉愛』の真実
角岡 伸彦
宝島社
2015-02-23


この本では見城さんの次のようなツィート?を4ページで解説している。見城さんの解説自体は、ライターがインタビューして構成している。

☆小さなことこそ真心込めろ 「仕事ができない仁言の共通点は、自分に甘いこと。思い込みが強いこと。小さなこと、片隅の人を大事にしないこと。約束を守らないこと。時間に遅れること。他者への想像力が足りないこと。」

このツィートを見城さん自身の新入編集者時代の話なども加えて、展開している。

見城さんは新入編集者の時、コピー取りを頼まれると、原稿を2枚コピーして、一枚は自分が編集者になったつもりで朱を入れていた。実際に本ができあがった段階で、自分の校正した原稿と比べてみると、朱を入れるべきところで入れていない先輩編集者の手抜きがわかったりして、編集者として鍛えられたという。

つまらなく地味な雑用でも自分の心がけ一つで黄金の仕事に変わる。

小さなことを大切にするだけで、人生は大きく変わっていくはずだ。神は細部に宿る。と結んでいる。

たしか「編集者としての病」だったと思うが、見城さんは、掃除のおばさんに、あの本は面白かったと言われて、続編が出た時にプレゼントしたという話を書いていた。

360度の気配りが、見城さんを今の地位にしたということだろう。

同じ話は恋愛にもいえる。

☆恋愛が下手なやつに仕事はできない「他者への想像力がない人が、ビジネスで成功するわけがない。恋愛は他者の気持ちを想像し、理解するための絶好の機会だ。」

ビジネスで成功するためには圧倒的な努力と他者への想像力がワンセットで必要だ。異なる他者への想像力を発揮して、初めてビジネスの成功はある。恋愛は、他社の気持ちを知るための絶好の機会である。

その見城さんでも、波長の合わない作家がいる。

村上春樹は一度書いてもらったあとは、それっきりになってしまったという。見城さんはその作家の全作品を読んでいるので、売れる前に千駄ヶ谷で「ピーター・キャット」というジャズ喫茶をやっていた村上春樹に会った時に、「『風の歌を聴け』」は映画『アメリカン・グラフィティ』を下敷きにしていますよね」と言ったところ、返事もせずに黙り込んでしまったのだと。

風の歌を聴け (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
2004-09-15





この話は「正面突破を恐れるな」というところに出てくる。

見城さんの持論の「GNOは絶対死守」も出てくる。GNOとは義理、人情、恩返しだ。元々のツィートは「GNO(義理、人情、恩返し)を大切にしない人間は、何事もうまく行かない。小さなことにクヨクヨし、小さなGNOを死守するのだ。」

ここでは思いがけない人が出てくる。

「安倍総理はGNOの人だ。総理大臣になる前も総理に就任してからも、安倍さんは義理と人情と恩返しを大切にしている。人の信用と信頼を損ねることがないし、約束は必ず守る。驕らない。無私無欲に生きる。人間として超一流の総理大臣だ。お会いするたびに、リーダーとは斯くあるべきだと感嘆する。」

見城さんは、2014年に肩をこわして、ウェイトトレーニングはやめているというのが残念ではあるが、「トレーニングで心身をいじめろ」というところの「NO PAIN, NO GAIN。 痛みのないところに前進はない。」という言葉にも納得する。

「トレーニングは絶対に裏切らない。と同時に、ごまかしながら身体を鍛えているふりをしたところで、結果は一目瞭然だ。」

ラグビー日本代表がこの言葉通りのことを成し遂げてくれた。




それぞれ4ページでまとめているので、簡単に読めて参考になる。見城さんの「毒」にどっぷりと浸かるには、見城さん自身が書いている「編集者という病」をおすすめするが、「毒」の入門編としておすすめの本である。




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2015年08月13日

ライザップでなくても8キロ減量! バナナダイエット成功!

一生太らない体のつくり方
石井 直方
エクスナレッジ
2008-01-17


パワーリフティングやラグビーをやっていた昔ならともかく、60歳を超えて88キロもあるのは重すぎということで、今年4月から本気で減量に取り組んだ結果、とりあえず8キロ減に成功!久しぶりに体重が80キロを下回った。

これがダイエット食だ。

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昼は会社の食堂で、ざるそばや、時間がなければコンビニで買ったサンドイッチ。

家で食べるときは毎食バナナ+豆乳+プロテインのバナナシェイク1杯と、スモークチキン(朝1本、夜2本、ファミマで売っている)とバナナ1本。つまり毎食バナナ2本食べていた。




このマイボトルブレンダーがスグレモノだ。簡単にシェイクができ、ボトルからそのまま飲めて、洗うのもカンタン。プロテインも完璧に溶ける。




甘熟王のシェイクはうまい!シェイクにすると甘熟王の甘さがわかる。

フィリピン産 甘熟王バナナ(かんじゅくおうばなな) 6.5kg 9パック入り(4〜5房/1パック)ワンランク上 甘い バナナを毎日食べて毎日元気モリモリ♪【高地栽培バナナ】05P01Mar15
フィリピン産 甘熟王バナナ(かんじゅくおうばなな) 6.5kg 9パック入り(4〜5房/1パック)ワンランク上 甘い バナナを毎日食べて毎日元気モリモリ♪【高地栽培バナナ】05P01Mar15

バナナの甘味で、豆乳のちょっと青臭いような味も消え、調整豆乳(やはり紀文のものが一番いい)との相性も抜群。







ビタミン+ミネラルはサプリ。飲み物はBCAA 4000MGのアミノバリュー。




バナナのカロリーは低いが、栄養バランスはよく、食物繊維も含んでいる。ノンあるいはローカーボダイエットではないので、体調も良好。プロテインも十分摂っているので、トレーニングしてパワーもそこそこ維持できる(バナナ・シェイク1杯で、プロテインが30グラム摂れる)。

ライザップに行かなくても減量はできる!妻の協力も大きかった。



是非、甘熟王バナナのプロテイン・シェイク・ダイエットを試してほしい。


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2015年07月12日

卵を1日2個以上食べてもコレステロールは上がらない?

会社の診療所に行った時に、いつも「ロハス・メディカル」という月刊の院内情報小冊子を待ち時間などに目を通すが、その2015年7・8月号に「それって本当?タマゴを一日2個以上食べてもいい」という記事があった。

卵とコレステロール_ページ_1





















卵とコレステロール_ページ_2




















出典:「ロハス・メディカル」2015年7・8月号 P2〜5

なんと20世紀初めにウサギを使って、卵の白身や卵黄を食べさせたら、血管や内臓疾患が発生したという実験が、いままでタマゴを食べると血中のコレステロールが上がるという説の根拠だったという。

実はウサギは草食動物で、自分ではコレステロール生成ができない。卵黄などを食べさせたら悪影響が出るのは当然で、実験結果を雑食動物の人間に当てはめることは無理があった。

同じロハス・メディカルの2015年5月号にあるように、人間の血中のコレステロールのほとんどは体内で作られるので、食品中のコレステロールは関係ないことがわかったのだ。

本当にコレステロールを上げるのは、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸ではないかという説が現在は支配的だという。

実はこの説は比較的最近出てきたもので、米国でも今年の2月に農務省と保健福祉省が、コレステロールの一日当たりの摂取量の上限を廃止する草案を発表したばかりだ。

筆者もコレステロールが上限値に近いので、いままで卵は食べるときでも、1日1個に制限していたが、これからはどうやらあまり気にする必要はなさそうだ。

大変役立った。

病院に行ったら、この「ロハス・メディカル」を待合室に置いているところも多いので、見つけたらぜひ一度目を通すことをおすすめする。


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2015年06月07日

ハリウッドスターはなぜこの宗教にはまるのか サイエントロジーとは



有名なハリウッドスターなどが信奉する新興宗教サイエントロジーを取材した元BBCのレポーター、 ジョン・スウィニーの本。

日本ではサイエントロジーという名前はあまり聞かないが、日本語のプロモーションビデオがYouTubeにアップ
されている。まるで自己啓発プログラムのようだ。



2015年のスーパーボウルにサイエントロジーは広告を出したという。米国で最も高価な広告だ。日本語吹き替え版がYouTubeにアップされている。



日本語サイトも開設されている。

サインエントロジーの最も有名な信者がトム・クルーズで、サイエントロジー会長のデビッド・ミスキャヴィッジに最も近い信者だ。

その他にもジョン・トラボルタジュリエット・ルイスナンシー・カートライトなどの女優も有力な信者だ。

しかし、サインエントロジーから離れていく元信者も多い。トム・クルーズと結婚していたニコール・キッドマンもサイエントロジーになじめず、結局離婚につながったという。

一時トム・クルーズの恋人だったナザニン・ボニアディという女優も、サイエントロジー会長のデビッド・ミスキャヴィッジの言葉がよく聞き取れないという理由で、トムと疎遠になったといわれている。

2007年にはそれまで46年間もサイエントロジーに居て、番頭兼スポークスマンとなっていたマイク・リンダーが脱退した。マイク・リンダーは次のABCのニュース番組には教団側の代表として最後の方に登場する。

YouTubeにはサイエントロジーのうさん臭さを紹介したテレビ番組のビデオが多くアップされている。たとえば次はABCがサイエントロジーを紹介したニュース番組だ。



サイエントロジーでは、オーディターと呼ばれる人が信者のカウンセリングを担当する。その時に使われるのが、Eメーターと呼ばれるウソ発見器のようなものだ。

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出典:Wikipedia

この本では、サイエントロジーの実態を暴こうとするBBCのレポーターがサイエントロジー教団幹部とやりあう場面や、サイエントロジーを離脱した元信者の多くから聞いた話を載せている。

サイエントロジー会長のデビッド・ミスキャヴィッジは、激高するとたとえ教団のトップクラスのメンバーでも、誰彼となく、殴りつけたり、暴力をふるうという。

今一つ正体が不明な教団である。

サイエントロジーという大規模な新興宗教があることがわかって、参考になった。


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2015年05月18日

うなぎ 一億年の謎を追う 学研の小学生向けの本だが面白い



たまたま仕事で五反田の学研ビルに行く用事があった。その時に学研の受付に置いてあったので読んでみた。

うなぎの研究一筋の元東京大学海洋研究所教授の塚本勝巳さんが小学生向けに書いた本だ。

漢字に読み仮名を振ってあり、平易な表現で書いてあるが、内容は大人でも十分楽しめる。

筆者も子供のころ藤沢の引地川の河口などで、よくシラスウナギを取った。大人も網を持ってきてシラスうなぎを取っていた。

取った後、シラスうなぎどうしたのかはっきり覚えていないが、友達が集めて、漁師の人に買ってもらっていたような記憶がある。

当時はシラスうなぎ=シラス(イワシとかの雑魚の稚魚)と思っていたので、そんなに価値のあるものとは思っていなかったが、いまやシラスうなぎはうなぎ養殖用に高く売れる貴重な稚魚となっている。

シラスうなぎ漁に関して書いているサイトによると、キロ250万円らしい。1匹=35円くらいになる換算だ。

うなぎは1億年ほど前の白亜紀から生息していたようで、白亜紀には恐竜が絶滅したK-T境界(6,500万年前)が起こっている。

日本では昔から食用として愛され、ヨーロッパでも特にスペインなどは、シラスうなぎをにんにくオイルで煮たアンギラス・アル・アヒージョが有名だ(いまやヨーロッパでもシラスうなぎは貴重なので、日本の水産会社がかまぼこの材料から、シラスうなぎもどきを作って、これがレストランで出されている)。

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出典:市場魚介類図鑑

余談になるが、筆者の年代の人は、アンギラスというと、怪獣を思い浮かべるかもしれない。

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出典: Wikipedia「アンギラス」

筆者もアンギラスと聞いた時に、怪獣の名前はここからつけたんだなと思った。

閑話休題。うなぎの一生は次のようになっている。

ウナギ



















出典:本書2〜3ページ

卵で生まれる点は、他の魚と同じだが、何度か変態を繰り返して、うなぎの稚魚のシラスうなぎになる。

それからは見かけは同じような細長いヘビに似た形で、だんだん大きく成長し、10年くらい経った成魚は体長1メートルにもなるものがあるという。

うなぎはもともとは赤道付近のボルネオで誕生し、海流でヨーロッパにも運ばれ、そこで根付いた。

日本のうなぎは、この本で明らかになった通り、マリアナ海山あたりで産卵する。

ヨーロッパのうなぎは、船の墓場として有名なサルガッソ海で産卵する。

しかし、その産卵場所は、長年不明のままだった。

産卵場所を突き止めたのは、まさに塚本さんのグループだ。

1991年に、うなぎの卵からかえったばかりの幼生を見つけ、これは「NATURE」の表紙を飾った。

次に産卵に向かうオスうなぎ、メスうなぎを捕まえ、2005年に体長2ミリの生まれて2日の幼生を見つけた。

そして2009年5月にうなぎの卵を見つけた

発見場所はマリアナ海嶺だ。

img_1


























出典:ブログ セピアおじさんのランダム・ストーリー

その時のニュースがYoutubeに載っている。



また、DailymotionというサイトにNHKのニュースが収録されている

塚本さんは東大の後に、日大の教授となっているので、日大がうなぎのルーツ探求のビデオをUtubeに公開している。



つまり、うなぎはマリアナ海域の海嶺(海底山脈)で産卵し、卵はすぐ孵化して幼生となり、赤道付近の海流に乗って西に流され、次に黒潮に乗って日本まで流される間にシラスうなぎに成長する。

シラスうなぎは、川の河口付近で落ち着き、一部はそこで暮らすが、一部は川の上流に行き、そこで5〜10年暮らし、成魚となってからオスもメスも産卵のためにマリアナ海嶺まで行き、そこで一生を終えるのだ。

なんとダイナミックな生涯なんだろう。

日経が図にわかりやすくまとめて、クイズ形式で出題しているので最後に紹介しておく。クイズの答えは、日経の記事の最後に載っている。

日経問題












































出典:日経こどもニュース


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2015年04月06日

ふしぎなキリスト教 知らなかったことばかり



橋爪大三郎さんと大澤真幸さんという2人の社会学者が、対話形式でキリスト教の特徴を説明してくれる本。

会社の読書家の友人から薦められて読んでみた。

筆者は一応、幼稚園は鵠沼めぐみルーテル教会付属の鵠沼めぐみルーテル幼稚園に通っていたので、そういう意味では5歳ごろからキリスト教の講話や賛美歌などには接していた。

小学校に上がるとやめてしまったが、幼稚園の間は、食事の前には家でもお祈りしていたし、日曜学校も小学校に上がるまでは行っていた。

ルーテル幼稚園を卒業すると新約聖書を貰えるので、ずっと持っていたし、その後、オーディブックながら、新約聖書も旧約聖書も読んだ(聴いた)。それなりにキリスト教についての知識はあると思っていた。

ところが、この本を読んで、キリスト教に対する自分の無知を痛感した。

まずは「預言者」だ。恥ずかしながら、いままでずっと「予言者」だと思っていた。

預言者は英語で言うとprophetで、英語ではprophet一語で、預言者と予言者の両方の意味がある。

だから混乱するわけだ。

預言者は、予言を行うわけではなく、神の言葉を人々に伝え広める者のことだ。ノアの方舟のノア、十戒のモーゼ、旧約聖書のヨブ記のヨブ、同じく旧約聖書のヨナ記のヨナ、新約聖書に登場するヨハネなどが代表的な預言者で、イスラム教のムハンマド(マホメッド)もやはり預言者だ。

イエス・キリストは、キリスト教では神の子だが、イスラム教では預言者の一人として扱われている。

ともあれ、この本はアマゾンの”なか見!検索”に対応していないので、”なんちゃって中見!検索”で、目次と主要な章題を紹介しておく。

第1部 一神教を理解する(起源としてのユダヤ教)

1.ユダヤ教とキリスト教はどこが違うのか
 
2.一神教のGodと多神教の神様

5.なぜ、安全を保障してくれない神を信じ続けるのか

7.原罪とは何か

8.神に選ばれるということ

9.全知全能の神がつくった世界に、なぜ悪があるのか

11.なぜ偶像を崇拝してはいけないのか

12.神の姿かたちは人間に似ているか

14.預言者とは何者か

15.奇跡と科学は矛盾しない

第2部 イエス・キリストとは何か

1.「ふしぎ」の核心

2.なぜ福音書が複数あるのか

3.奇跡の真相

4.イエスは神なのか、人間なのか

5.「人の子」の意味

6.イエスは何の罪で処刑されたか

7.「神の子」というアイデアはどこから来たか

8.イエスの活動はユダヤ教の核心だった

9.キリスト教の終末論

13.イエスは自分が復活することを知っていたか

18.キリスト教をつくった男・パウロ

第3部 いかに「西洋」をつくったか

1.聖霊とは何か

2.教義は公会議で決まる

3.ローマ・カトリックと東方正教

6.イスラム教のほうがリードしていた

9.宗教改革ープロテスタントの登場

10.予定説と資本主義の奇妙なつながり

11.利子の解禁

12.自然科学の誕生

14.芸術への影響

15.近代哲学者カントに漂うキリスト教の匂い

いくつか参考になった点を紹介しておく。

1.ユダヤ教とキリスト教はどこが違うのか。
ほとんど同じ。唯一違うのはイエス・キリストがいるかどうか。一神教で、ユダヤ教の神はエホバ(ヤハウェ)。その同じ神がイエス・キリストに語りかけている。イスラム教のアッラーも同じ神だ。

イエス・キリストは「神の子」なので、預言者以上の存在だ。

メシアはヘブライ語の救世主という意味、それをギリシャ語に直すとキリストとなる。旧約聖書の「イザヤ書」の中で、メシアがやってくると預言されていた。

5.なぜ、安全を保障してくれない神を信じ続けるのか。
ユダヤ人は、バビロン捕囚で、60年間もバビロンに連れ去られていた。これはユダヤ人自身に原因がある。ヤハウェに背いたからだ。この試練を耐え忍び、これまで以上にヤハウェを信じれば、外敵は除かれるに違いない。というのが、ユダヤ人の考えだ。

11.なぜ偶像を崇拝してはいけないのか。
それは偶像を作ったのが人間だからだ。人間が自分自身を崇めているというのが、偶像崇拝の最もいけない点だ。

6.イエスは何の罪で処刑されたか。
「神を冒瀆した」罪だ。実はイエスは最高法院で死刑が宣告されたが、総督ピラトは、ちょうど過越(すぎこし)の祭り時期だったから、罪人の一人を恩赦にできた。そこで、イエスを釈放しようとしたが、民衆が「バラバを、バラバを」と叫んだので、罪人のバラバを釈放して、イエスと他の二人の罪人を十字架にかけた。

ちなみにバラバのその後が、映画となっている。



裁判でイエスを尋問したところ、神を冒瀆することを言ったので、証拠調べは打ち切りになり、即座に死刑の判決が下された。

18.キリスト教をつくった男・パウロ。
キリストの12人の弟子の能力があまりに低く、ヘブライ語しか話せなかった。パウロは、当時の国際語であるギリシャ語が話せたので、キリスト教の国際化に貢献し、新約聖書の著者の一人として、キリスト教発展の基礎をつくった。

大変参考になる本だった。


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2015年02月22日

医療詐欺 タイトルが内容を表していないが参考になる



図書館の新刊書コーナーにあったので読んでみた。

東大医学部卒で、東大系の病院を何か所か勤め、現在は東大の医科学研究所で「先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門」特任教授を勤める上(かみ)昌広さんの本。

医療詐欺というと、ろくな治療もしていないのに法外な治療費を請求する医者とか、実際には効果のない医薬品をでっちあげの実験データを使って承認を取って、高額で販売する医薬メーカーとかが思い浮かぶ。

たとえば新薬開発では、2013年に明るみに出た事件として、ノバルティスファーマの「ディオバン(バルサルタン)」という血圧を下げる降圧剤の臨床データ不正操作疑惑がある。ノバルティスファーマの社員が結果の統計解析を行ったり、臨床試験を行った5大学に11億円の奨学寄附金を払ったというものだ。

また研究費の不正請求としては、2013年7月に詐欺容疑で逮捕された電子カルテの権威・東大の秋山昌範教授の事件が有名だが、同様の事件は国立がん研究センターの牧本医師などでも起こっている。

ところが、この本でいう「医療詐欺」とは、医者の育成から、薬価決定、大学病院や国立病院を中心とする日本の高度医療機関など、日本の全体の医療システムが詐欺、つまり一般人をだましているということだ。

つぎのような「不都合な真実」が紹介されている。この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応していないので、「なんちゃってなか見!検索」で「不都合な真実」の項目を紹介しておく。

1.日本には「原子力ムラ」とよく似た「医療ムラ」が存在している。

2.医学会には薬の宣伝をする「御用学者」がいる

3.「中医協」によって日本の製薬会社の「開発力」が低下している

4.今のままでは日本の再生医療研究は欧米や韓国よりも遅れてしまう

5.名門国立病院は軽症患者ばかりを集めたがる

6.国立病院は旧日本軍の人事システムと体質を引き継いでいる

7.戊辰戦争で政府に反逆した地域は医師不足になっている

8.東北の急性白血病患者は北陸の患者と比較してリスクが二倍

9.20年後、郊外の高齢者は「通院ラッシュ」に揺られて都心の病院に通う

10.20年後の医療はテレビ局入社並みの超コネ社会になる

11.「日本医師会」とは医師の団体ではなく「開業医」の団体

12.実は「学費の安い私大医学部」をつくる方法がある

13.「医師が増えると医療費が増える」という主張は世界的には否定されている

14.国や医師会が批判する「混合医療」を導入すれば安全性が上がる

まず日本の新薬の値段の決め方が紹介されている。日本の新薬の値段は類似薬があれば、その薬の価格を基準として同じような薬価が決められる。類似薬がない場合は、コストをベースに考え、米国、英国、ドイツ、フランスの「先進四か国」の薬価とも比べられる。

普通の先進国では、評判の良い薬は需要も増え、薬価も上がる。ところが、日本の場合は、国が強い影響力を持つ「全国健康保健協会」加盟の健康保険組合に、買い手がほぼ一本化されているので、良い薬ほど価格が引き下げられなければならないという論理がまかり通っている。

だから新薬開発のインセンティブが低いため、「ドラッグラグ」(他の先進国で承認された新薬が日本では承認に時間がかかること)が生じている。

また、他の先進国であればジェネリックなら新薬の値段の2〜3割程度なのが、日本ではジェネリック医薬品は新薬の6割程度で、あまり安くないので、ジェネリック医薬品が普及しない原因の一つにもなっている。

日本の薬の売り上げは、2011年度で9.3兆円、そのうち8.7兆円が病院で処方される医療用医薬品で、薬局で売られる薬は6,500億円しかない。売り上げの最も多いのが「長期収載品」で、これは特許が切れたブランド薬で41%、次に新薬36%という比率だという。

つまり特許が切れた古い薬を日本人は高く買わされているのだと。

このようにインサイダーならではの医療行政批判を展開している。

特異な見方のようにも思えるが、上さんは、国立病院は「国の政策医療」を推進する施設なので、「臨床研究」に参加できる患者を受け入れ、重症患者でも研究に参加できないものは難癖つけて他の病院に追いやるのだという。

国立病院と旧日本軍の類似性や、賊軍地域の医師不足など、にわかには信じられないが、人口当たりの医師数では明らかに西高東低になっている。埼玉、千葉、茨城県が、日本で最も医師が少ないワースト3となっていることなど考えると、本当かもしれないという気になってくる。

「水戸市の医師数は離島以下、つくば市だけが孤軍奮闘」なのだと。

「徳川家親藩、譜代が治めていた茨城県水戸市、兵庫県姫路市、埼玉県川越市、新潟県長岡市、福島県会津市、静岡県静岡市、神奈川県小田原市には大学病院がないため、深刻な医師不足になっている」と上さんは語る。

日本の医師と看護師の絶対数の不足も参考になる。看護師や薬剤師を含む病院従事者のことを「コ・メディカル」と呼ぶが、日本ではコ・メディカルが圧倒的に少ない。上さんは、日本の病院は欧米より「超危険」なのだという。

現場の医師も、様々な統計資料を挙げて同様の警鐘を鳴らしている

日本の医師不足が解消しない理由は、「日本医師会」と「全国医学部長病院長会議」が医学部新設に反対しているからだと。「日本医師会」は開業医の団体で、同業者=商売敵が増えるのを嫌っている。

そんなわけで日本の医学部新設は1979年の琉球大学以来1件もない。安倍政権で特区で医学部を新設しようという動きに対して、またも「日本医師会」と「全国医学部長病院長会議」が反対している

医者が例に出すのは歯科医だ。今や歯科医はコンビニより多いと言われるほどで、同じような現象が起こることを開業医は懸念しているのだ。

大学病院は地方の医療界のトップに君臨する「殿様」なので、「全国医学部長病院長会議」は、「殿様」が増えることを嫌っている。

最後に「日本医師会」がパンフレットまでつくって反対し厚生労働省も反対している混合診療は「医療のビジネスクラス」で、ビジネスクラスが航空業界の活性化に役立ったように、混合診療も医療界の活性化に役立つと提言している。

にわかには信じられない主張もあるが、何が医療で問題なのかわかり、参考になる本である。


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2015年01月20日

名画で読み解くギリシャ神話 ビジュアルでよくわかる



「名画で読み解く…」シリーズのギリシャ神話版。

ギリシャ神話については、阿刀田高さんの「ギリシャ神話を知っていますか?」が有名だ。このあらすじも近々紹介する。



なんとなく敷居が高かったギリシャ神話だが、この本でおおまかな流れがわかった。ヘラクレスエロスなどは、もはや普通名詞と化しているし、惑星の名前をはじめ、ペルセウスアンドロメダカシオペアとか天体の名前も多くはギリシャ神話にちなんだものが多い。

パリスの審判」、「エディプス・コンプレックス」なども、ギリシャ神話をもとにしている。

ギリシャ神話とは、古代ギリシャで口承で伝えられていた伝説のことだ。神々の系図は次のようになる。

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出典:本書186ページ

白黒でわかりにくいかもしれないが、まずはカオス(混沌)のなかからガイアと呼ばれる大地の女神が誕生した。テレビ東京の「ガイアの夜明け」は、これにちなんだネーミングだ。

ガイアの次に、暗黒の神タルタロス、愛の神エロス、エレボス、ニュクスなどが生まれた。

そして、ガイアは男女の交わりを持たずにウラノス(天空の男神)とポントス(海の男神)を生んだ。

次にガイアはエロスの力を借りて、息子ウラノスと男女の契りを結び、それから生まれたのがティタンと呼ばれる12の神々だ。表の上の部分の12の神々がティタンだ。

ウィキペディアでもギリシャ神話の神々の系図を載せている。神の名前をクリックすると、個別のページに遷移するスグレモノなので、一度見て欲しい。

ティタンに次いで、ガイアは2組の三つ子を生む。それが表の右端のキュクロプス(単眼の巨人)と、ヘカトンケイル(50の頭と100の腕を持つ)だ。ウラノスは彼らの奇怪な姿を見て、彼らを地底深く閉じ込めてしまう。

これに怒ったガイアは、息子のクロノスに巨大な鎌を手渡し、ウラノスの男性器を切り取らせてしまう。それが次の絵だ。

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出典:Wikipedia

クロノスはローマ神話では、農業神のサトゥルヌスと同一視されており、サトゥルヌスには、ゴヤの怖い絵がある。

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出典:ヴァーチャル絵画館

クロノス率いるティタンと戦い、勝利を収めたのがゼウス率いるオリュンポスの神々だ。

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出典:Wikipedia

ゼウスは、クロノス(ゴヤの絵ではサトゥルヌス)に飲み込まれた兄妹たちを助け出した。

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出典:同上

それからゼウスは、多くの女神や人間と交わって子孫をつくっていく。ウィキペディアの神々の系図で見ると、中央右のゼウスのところから四方八方に点線が出ている。これが精力絶倫のゼウスの子孫の系図だ。

たとえばヘラクレスは、ゼウスが人間のアルクメーネに産ませた子供だ。ゼウスは既婚者であるアルクメーネに言い寄るため、アルクメーネーの夫に化けて一夜を共にして、ヘラクレスを産ませた。

ゼウスは「この次に生まれるペルセウスの子孫が、ペルセウス一族の支配者となる」と予言したが、ゼウスの浮気に怒ったへラが誕生を遅らせたため、凡庸なエウリュステウスが王となった。そして、ヘラクレスに獅子と対決したり、冥界の番犬・ケルベロスを生け捕らせたりする10(12)の難行を命じた。

2014年10月に封切られた映画「ヘラクレス」で、ヘラクレスが頭にかぶっている獅子の毛皮は、獅子と対決した時の戦利品だ。



ちなみに、ディズニーでも「ヘラクレス」は映画化されている。



ゼウスはヘラクレスに不死の力を与えるため、妻のヘラの乳を飲ませようとした。ところが、赤ん坊のヘラクレスが強く噛むものだから、ヘラは嫌がった。その時に飛び散った乳が天の川になったという。

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出典:Wikipedia

トロイ戦争のきっかけとなった「パリスの審判」の絵も紹介されている。

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出典:Wikipedia

「パリスの審判」をもじったのが、このブログでも紹介したワインにおける「パリスの審判」つまり、ブランスワインとカリフォルニアワインのブラインドテイスティングだ。




ギリシャ神話は昔から絵画の題材によく使われてるので、有名な絵も多い。

ヴァーチャル絵画館という、ギリシャ神話にちなんだ絵を展示しているサイトもあるので、興味あれば見ていただきたい。

他にも紹介しておきたい神話が多いので、次の「ギリシャ神話を知っていますか?」のあらすじで紹介する。


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2014年11月23日

名画で読み解く「聖書」 見て楽しい聖書の物語



世界文化社の「名画で読み解く」シリーズの第一弾。

旧約聖書と新約聖書にまつわる名画を多数紹介している。

ギリシャ神話編も読んでいるので、次に紹介する。



筆者が、「聖書」中で最も印象に残った名画は次のものだ。

湖上を歩くキリスト




















出典:ヴァーチャル絵画館のティントレット

ウェブで画像検索したら、ヴァーチャル絵画館という聖書の物語やギリシャ神話などのシリーズもので、絵画を紹介しているサイトを見つけた。

このサイトの「聖書の物語」のセクションで、この本で紹介されている名画が多く掲載されている。

ティントレットの「湖上を歩くキリスト」の話は筆者がルーテル教会幼稚園に通っている時に、幼稚園の先生から聞かされた話だ。

5歳程度の幼児だったが、病人を直したり、死者を復活させたりという、キリストの奇跡の話はよく覚えている。

湖を歩くという話に子供ながら驚いたものだ。

この本の前半は旧約聖書からの場面、後半は新約聖書からの場面だ。

次の絵は旧約聖書からのバベルの塔だ。

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出典:ヴァーチャル絵画館

新約聖書からは、キリストの洗礼。エルグレコの作品だ。

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出典:ヴァーチャル絵画館

そして、この本の表紙になっている最後の晩餐。

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出典:ヴァーチャル絵画館

気軽に読めて、聖書の物語が楽しく学べる本である。


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2014年10月29日

ベネッセから詫び状と500円が届いた

ベネッセから個人情報漏えいの詫び状と500円のお詫び金支払い手続き通知が届いた。

これが詫び状だ。日本全国約4,000万人の人に届いているはずなので、目新しくもないかもしれないが、受け取っていない人もいると思うので、紹介しておく。

筆者の大学2年の次男の個人情報が漏えいしたということで、届いたものだ。

すでに大学に入学しているので、身に覚えのないダイレクトメールとかは今のところ届いていない。就活を始めるころになると、リクルートスーツなどのダイレクトメールが来るのかもしれない。

ベネッセわび状1









































ベネッセわび状2








































これが500円の支払い手続き通知書だ。アマゾンのギフト券、楽天Edy,nanacoであれば、ウェブで登録コードとログインキーをインプットすれば、すぐに受け取れる。

他に共通図書カードを送ってもらうか、ベネッセのこども基金への寄付も選択が可能だ。

ベネッセお詫び1









































content








































ベネッセこども基金の趣意書は次のようなものだ。

ヤフーBBの漏えいの時は、500円の郵便為替を送付して、現金化されなかった分はヤフーBBが自主的に寄付するという形だった。

今回は漏えい被害者に寄付を求める形で、しかもそれがベネッセ自身が運営する基金だったことから、炎上したという。

この辺の事情は筆者の友人の蒲桐蔭法科大学学科長が寄稿しているヨミウリオンラインの「おとなの法律事件簿」にも取り上げられている。

ベネッセお詫び2









































一時はうやむやになっていたお詫び金500円という相場を復活させたことでも、ベネッセ事件が企業活動に与える影響は大きい。

ベネッセは9月に経産省に報告書を提出したが、再発防止策が不十分としてすぐに突っ返され、是正勧告を受け、10月24日に再改善報告をしている。

ベネッセの再改善報告書は、公表されていない。


最初の第三者委員会の報告書は、何が起こったのかをほとんど明らかにしていないという点で不十分なものだった。

今回の再改善報告書も、内容を公開できないようなクオリティのものなのかもしれない。

いずれにせよ、10代から20代のほとんどの日本国民の個人情報を、これだけ杜撰(ずさん)に管理している会社があったとは驚きである。

欧米で同じことが起こったら、ベネッセには莫大な課徴金が課せられたことだろう。

他の会社もぜひ他山の石として、自社では絶対に同じことが起きないように検証して欲しいものである。



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2014年10月15日

ピュリツァー賞受賞写真全記録 思い出すあの写真

ピュリツァー賞 受賞写真 全記録
ハル・ビュエル
日経ナショナルジオグラフィック社
2011-12-15


ピューリツァー賞に写真部門が設けられた1942年から2011年までの受賞写真を中心とした写真集。

「ああ、あの写真」と思い出すものが多い。

日本人写真家が受賞した最初の写真は社会党の浅沼稲次郎の暗殺の場面だ。

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出典:ナショナル・ジオグラフィック「ピュリツァー賞」

YouTubeに当時のNHKの映像がアップされている。



犯人は山口二矢(おとや)という17歳の学生だ。これだけ日本刀の短刀をうまく扱えるのは背後に何らかのバックがいたからではないかと思う。

ちなみに山口は逮捕後、拘留中に自殺している。いまでも日本の右翼が毎年11月2日に「山口二矢烈士墓前祭」を開催しているという。

太平洋戦争中に硫黄島で米軍海兵隊がすり鉢山に星条旗を立てている有名な写真もピューリッツアー賞を受賞している。

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出典:ナショナル・ジオグラフィック「ピュリツァー賞」

この写真に写っている6名の海兵隊員のうち、3名はその後数日で戦死したという。米軍にも大変壮絶な戦いだったのだ。

硫黄島の戦闘を題材にして、何本も映画が作られている。

古くはジョン・ウェインの「硫黄島の砂」



クリント・イーストウッドも「硫黄島からの手紙」を映画化している。



そのほかにも見た覚えがある有名な写真ばかりが収録されている。

たとえば次の写真だ。

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出典:ナショナル・ジオグラフィック「ピュリツァー賞」

ハゲワシが飢餓で死ぬ直前の子供を見ている。この写真を撮ったカメラマンは、写真を撮るよりも、なんで子供を救わなかったのかという非難に晒され、ピュリツァー賞受賞直後に自殺している。

インターネットで「ピュリツァー賞」で画像を検索すると、有名な写真がいくつも出てくる。

あらためて見直すと、時代を反映した写真ばかりが選ばれていることがわかる。

興味深い本である。


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2014年10月07日

再掲 論文捏造 STAP細胞と高温超電導捏造事件の驚くべき類似性

2014年10月7日再掲:

小保方さんの博士号が早稲田大学によって取り消された。いわば「執行猶予」のような措置で、1年以内に論文の修正など、大学が提示した条件を満たさなければ、博士号取り消しとなる。

STAP細胞を取り巻く環境は悪化する一方だ。

7月のネイチャーの発表取り下げ8月の理研での指導教官だった笹井さんの自殺、そして今回の小保方さんの博士号取り消し(仮処分というべきか)。

まさに「論文捏造」で取り上げられた超電導捏造のヤン・ヘンドリック・シェーンと同じ道をたどっている。

二つの出来事には驚くべき類似性がある。その意味も含めて「論文捏造」のあらすじを再掲する。


2014年7月1日初掲:

論文捏造 (中公新書ラクレ)
村松 秀
中央公論新社
2006-09


世界的に有名な研究所。

しかし研究所の業績はパッとせず、研究資金を確保するために、スターを待ち焦がれていた。

そこへ現れた29歳のスター研究者。

世界的に有名な指導教官が論文の共著者となる。

ハンサム・ガイ。

「サイエンス」、そして「ネイチャー」に立て続けに論文を発表。

世界が驚いた研究成果。

メディアの注目の的。

しかし、世界中の研究者が追試を行うが誰も成功せず。

論文捏造疑惑が持ち上がる。

調べてみれば大学時代の博士論文から始まる写真・データの使い回し。

本人はいたって陽気に追試に参加。

しかし、追試は不成功。

やがて論文は取り下げられる。

本人は大学時代の捏造疑惑で博士号をはく奪され、今は一般企業の会社員としてひっそり暮らす。

…。

以上は小保方晴子ユニットリーダーの話ではない。

2000年に高温超電導で次々を記録を更新。ノーベル賞に最も近いと言われた男、ドイツ人科学者・ヤン・ヘンドリック・シェーンの話である。

シェーンはハンサムガイだ。

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出典:本書17ページ


ベル研究所といえば、トランジスターを発明した世界的に有名な超一流研究所だ。

ところが、1990年頃をピークに、ベル研究所の発表する論文数は次の図のようにジリ貧となっていた。

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出典:本書184ページ

IT不況の影響で、親会社のルーセント・テクノロジー(もともとはAT&Tだったが、AT&T分割で分社化された)の株価はピークの1/10となり、研究費がどんどん削られていたのだ。

理研も特定国立研究開発法人への指定を受けて、国から多額の研究予算をつけてもらうべく申請していた

名門だが、研究費の確保に苦労しているという状況は、当時のベル研究所の状態に似ている。

「スター誕生」が渇望されていたのだ。

この本は、2004年末にNHKで放送された論文捏造事件ドキュメンタリーをつくったディレクターが書いた本だ。

シェーンを小保方さん、高温超電導をSTAP細胞と読み替えると、歴史は繰り返すという言葉通りになっていることに驚く。

ネイチャーに投稿した論文の掲載可否を決めるのは、次のプロセスだ。

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出典:本書137ページ

科学誌の記者に論文を評価する能力はない。その分野の一流研究者がレフェリーとなる。レフェリーが納得すれば、論文は「ネイチャー」に掲載されるのだ。

特許権の関係もあり、発表される論文は簡単なもので、詳細は明かされない。

たとえば1953年のワトソン・クリックのDNA論文はわずか1.5ページだ。論文は今も「ネイチャー」のサイトに公開されているので、ここをクリックして論文を見てほしい

「ネイチャー」に論文が出ると、世界中の研究者が自分たちの方法で追試を試みる。そして、自分たちの方法が発表者と違ったり、結果が発表者より良かったりすると、今度は自分たちが「ネイチャー」や「サイエンス」に発表するのだ。

当初、高温超電導は日本が世界をリードしていた。シェーンは日本の谷垣東北大学教授(論文発表時はNEC基礎研究所在籍)が1991年に高温超電導の世界記録(33K=Kは絶対零度=−273度)を打ち立てた方法とは、全く異なる次のような方法を発表した。

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出典:本書47ページ

しかし、他の誰も成功できない。同じ方法を実現するには、スパッタリングという電子ビームを金属片に当てて、とび出した金属原子でコーティングするマシンが必要だ。しかし、世界のどのスパッタリングマシンでもシェーンの方法は追試できなかった

いつしか、シェーンは出身校のドイツ・コンスタンツ大学の「マジック・マシン」を使って、高温超電導記録を塗り替えているんだという噂が広まった。

次がそのマジック・マシンの写真だ。

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出典:本書156ページ

なんのことはない、家庭用のマシンのようなもので、上に目覚まし時計がついているところがご愛嬌だ。

この写真を撮影したNHKは、世界で最初に「マジック・マシン」の写真を紹介したことで、スクープとなった。

だれもが思うように、こんなマシンで有機物に薄い酸化アルミの膜をスパッタリングできるはずがない。

衆目の監視する中で行われたシェーンの実験では、シェーンが全く実験に不慣れなことが露呈し、当然のごとく失敗に終わった。

シェーンのコンスタンツ大学時代の博士論文から捏造は始まっていたことがわかり、シェーンの捏造はもはや動かしがたい事実となった。

博士号をはく奪され、シェーンはいまはひっそりとドイツの片田舎で会社員として暮らしているという。

ES細胞では2005年に韓国の黄教授の論文捏造事件が起こっている。

捏造は繰り返されるし、繰り返されるとしたらパターンは同じなのだ。

あえて言うが、筆者は小保方さんはウソは言っていないのではないかと思っている。彼女は自分ではSTAP細胞と思ったものを造り出したことがあったのだろう。

筆者の大学の先輩が言っていたが、UFOを見たと言う人に、UFOは実在しないと証明することは不可能だ。

UFOを見たと言うなら見たんだろう。誰も否定はできない。

シェーンの場合は、頭の中で考えた方法を論文に書いて、それをいずれ実証してくれる人が現れるのを待っていたのではないかと思う。

そういう人が現れればもうけもの、自分はノーベル賞を取れるというシナリオだ。

小保方さんの場合には、そういった打算では動いていないのではないかと思う。

彼女はUFOならぬ、STAP細胞を見たのだろう。ただ、それが再現できないだけだ。


この本は2006年9月の初版だが、アマゾンの全体の売上ランキングで現在3,000位くらいになっている。全く陳腐さはない。STAP細胞事件が起こってから、売れ行きに拍車がかかっているようだ。

筆者が図書館で借りて読んでから買った数少ない本の一つだ。こんなにポストイットを貼っている。

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文章もこなれているし、専門的な内容も含んでいるが、大変わかりやすく書かれている。

いずれSTAP細胞事件そのものを取り上げた本も書かれると思うが、この本の情報量と取材力は圧倒的だ。さすがNHKと思わせる。

是非一読をおすすめする。


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2014年09月13日

深読みサッカー論 ブラジルワールドカップ前の対談

深読みサッカー論 (日経プレミアシリーズ)
山本 昌邦
日本経済新聞出版社
2014-04-09


ブラジルワールドカップ直前に出された元オリンピック代表監督の山本昌邦さんと日経新聞編集委員の武智幸徳さんの対談。

実は日経新聞の企画で、この二人がブラジルワールドカップ直後に町田で対談したので、その対談を聞いてから、この本を読んでみた。

筆者は湘南高校でサッカーをやっていたので、興味深く読めた(ボールセンスがないので、サッカーは2年であきらめ、3年生からは受験勉強に専念したが)。

日本人初のブンデスリーガーとして活躍した奥寺康彦さんは、筆者が湘南高校1年の時の相模工業大学付属高校(今の湘南工科大学付属高校)3年生で、湘南高校サッカー部は関東大会県予選決勝まで行って、奥寺さんを擁する相工大付属に3:1で負けた。

奥寺さんはその後、古河電工を経て、ドイツのIFCケルン、ヘルタベルリン、ヴェルダー・ブレーメンと合計10年間ドイツで活躍した。

山本昌邦さんは、年次で言うと筆者の4年後輩だが、同じ年代なので、対談もこの本も楽しめた。

ブラジルワールドカップではドイツが優勝した。



2014年4月に出たこの本では、決勝戦ではブラジルとアルゼンチンの南米対決を、その可能性は高いとして予想していながらも、ドイツをヨーロッパ勢の中では最も期待できると評価している。

一人一人がメンタル的にも強く、タフな環境にも強い。流れを変えられる選手が何人もいるし、何よりもチームが成熟しているから隙がないし、交代のカードがことごとくいい仕事をしていると山本さんは評している。

「ここというときの75分から90分が非常に強い。おそらく決勝トーナメントに進んで延長戦になったら、ますます力を発揮すると思います。

勝負所で強いというのは、交代のカードで入ってきた選手が、みんなものすごく仕事をするからなんですね。疲れた相手の弱いところをどんどん突くし、自分たちがちょっと苦しくなったときに、疲れた仲間をしっかりカバーできる。そういう力があります。」

まさに山本さんの予言的中だ。

参考になったのは、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督の話だ。

もともとボビー・ロブソン監督の通訳としてポルトガルのスポルティング・リスボン、ポルトで働いていたが、監督として大成し、いまはチェルシーの監督だ。

モウリーニョは試合の展開を読み切って作戦を立てるという。

ある想定練習をしていると、それに異論を唱えたプレーヤーに「いや、俺たちがリードしていると、あの選手はこの時間帯に必ずピッチに送り込まれてくる。これは、俺たちが勝っている状況での、残りの15分のシナリオなんだ」と説明するのだと。

それで翌日の試合ではモウリーニョが言った通りに、その選手が想定したとおりのポジションで出てくる。

それでモウリーニョの選手たちは、「おおっー」、「うちのボスは何でもお見通しだ!」となる。

中田英寿も、個別の局面についての視点が優れているという。

山本さんは、海外のメディアの試合前の監督インタビューでの、援護射撃について語っている。

海外メディアは、自国の選手を持ち上げて、強い印象を相手チームに植付けようと、「あの選手はヘディングが強いが、どう守るつもりだ」みたいに、監督に単刀直入に聞いて、自国チームの援護射撃をするのだと。

日本のメディアにも、チームと一緒に戦って欲しいと注文を付けている。

日本には高校サッカー、大学サッカーという学生を育てるという意味では、世界でもダントツのクオリティの育成の仕組みと組織があると、山本さんは語る。

トルシエもジーコもオシムも全国高校サッカー選手権を見て、驚いていたという。

あとがきで、武智さんは山本さんの懸念を紹介している。

「強気な山本氏が不安視する数少ない要素に「監督力」がある。山本氏の目には、日本代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督のチーム運営はどちらかというと「信頼」をベースにしたクラブの監督っぽく映るようだ。

プロ野球の日本シリーズで勝てる監督は、1、2戦までに使える選手と使えない選手の峻別をやってのけるというが、短期決戦のワールドカップも時に監督には果断が求められる。

サッケローニ監督は「勝負師」になれるかどうか。そこは私も注目したいところである。」

まさにこの不安が的中した。試合中のメンバー交代やポジションチェンジのちぐはぐな指令。だから負けたというわけではないが、結局交代のカードを切って試合の流れを変えるとか、最後の15分に集中するとかいった戦いかたができなかったことは事実だ。

予定通り後半30分だけにドログバを投入して、日本を逆転したコートジボアールの戦いかたは見事だった。(YouTubeには日本語解説のものは見つからないので、解説はロシア語か東欧系の言葉ではないかと思う。たぶん著作権の関係だろう)



ギリシャ戦では一人少ない相手に対して、攻めあぐねた。



コロンビア戦では、守りの弱さを修正できなかった。



町田での講演では、山本さんはブラジルの試合会場のコンディション(たとえばレシフェは気温30度以上で、雨が多く、湿度80%!)にもふれており、スペインなども含め、涼しいところでキャンプしていた国は大体敗退したと言っていた。

またサブ組は、ワールドカップ期間中、トレーニングマッチの準備がなく、準備不十分だったと。

コートジボアールとの試合でも、日本選手で試合中に10キロ以上走った選手は5人しかいなかった。タックル成功率も60:40で負けていた。メンタル面も含め、コンディショニングに失敗したのだ。

Jリーグで優勝したサンフレッチェ広島のように、球際に強く、シュートブロックやタックル成功率が高いチームが勝ち残った。特にアルゼンチンのマスチェラーノのタックル成功率は驚異的だったと語っていた。


悪い予感が当たったという結果となった日本のワールドカップでの戦いだった。

いまさら読もうという気にならないかもしれないが、読んでみれば楽しく読めて参考になる本である。


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2014年08月30日

重火器の科学 仮想敵国の嫌がる武器が最大の抑止力



自衛隊の武器補給処技術課研究班に勤務し、2004年に定年退官した かのよしのりさんの本。

図書館の新刊書コーナーに置いてあったので読んでみた。

大砲やロケット弾、地雷、手りゅう弾などの基礎が学べる。

かのさんは他にも「自衛隊VS中国軍」や「銃の科学」といった著書を書いているので、今度読んでみる。

自衛隊vs中国軍 (宝島社新書)
かの よしのり
宝島社
2013-03-09




最も参考になったことは、簡単で安上がりな兵器が最も防衛に適しており、周辺国はすべて普通に装備しているのに、日本はそれらを人道的見地から放棄したということだ。

たとえばクラスター弾だ。日本は2008年クラスター爆弾禁止条約に調印した。そして国土防衛用に配備していた多連装ロケット発射器から打ち出すクラスターロケット弾も廃棄した。

自衛隊は敵が上陸してきた場合、海岸に密集しているタイミングでクラスター弾で打撃を加える戦略だったが、みずからその有効な手段を放棄した。

一方、米国はじめ中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾のいずれもクラスター爆弾禁止条約には参加していない。

日本は自ら安価で有効な国土防衛の武器を放棄したのだ。

img053






















出典:本書90〜91ページ

そして対人地雷禁止条約にも調印しているので、地雷も廃棄した。こちらも米国、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、台湾はいずれも調印していない。

人道的な見地から、これらの残虐な兵器を禁止するという趣旨は理解できるが、全世界の国、特に仮想敵国となりうる国がすべて参加しない限り、相手が嫌がる武器を自ら放棄して、防衛力を弱めるだけになるだろう。

日本には恐るべき地雷があった。

img054






















出典:本書150〜151ページ

ショックを与えると本体が1メートル程度ジャンプして、空中で爆発し、250個の鉄球をばらまいて殺傷するという恐ろしい兵器だ。敵の兵士に与える恐怖感は絶大だろう。

中国の人民解放軍の兵士が持っている手りゅう弾は、直径3ミリの鉄球1,600個を飛散させる。

img055






















出典:本書184〜185ページ

最近では小銃で実弾を使って、手榴弾や擲弾を発射できる。

img056






















出典:本書188〜189ページ

もし中国軍が日本に侵攻してきたら、まずはクラスターロケット弾で自衛隊の陣地にクラスター弾を雨あられと降らせて打撃を与え、近接戦では小銃擲弾と手榴弾を使って日本の兵士を攻撃するだろう。

日本も反撃するだろうが、クラスター弾でダメージを受けた部隊は、はたして立て直すことができるのか?

ヒューマニズムの精神にはもちろん賛成だが、日本の仮想敵国である周辺国すべてがダーティな武器を持ち続ける以上、日本だけが放棄しては抑止力の低下はまぬがれない。

相手の嫌がる武器を持つことが、安価で有効な抑止力ではないのか。そんなことを考えさせられる本である。


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2014年08月02日

ビジネス書の9割はゴーストライター ありうる話だ



通信社勤務のあと、出版社で編集者として働き、38歳でフリージャーナリストとして独立し、自分の著作のほかに年間数冊のゴーストライティングを引き受ける吉田典史(のりふみ)さんの本。

吉田さんは、「震災死」などのルポもののほか、「年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術」といった自分の名前での著作のほか、有名経営者や経営コンサルタント、タレントやスポーツ選手などの多くの「著書」をゴーストライターとして書いてきたという。





アメリカではライターズギルドのような書き手の権利を守る協会があり、ライターがちゃんと本に共著者として登場する。

日本では、「構成」や「編集協力」として名前が紹介されればよい方で、まったくライターの名前が本に出てこない場合が多い。また、実際には著者が書いたのではなく、「談」とすべきところを、著者が書いたような体裁の本も多い。


ビジネス書の9割はゴーストライター作?

9割が正しいのかどうかわからないが、特に経営者の書く本など、多くのビジネス書はライターの助けを借りていることは間違いないと思う。

たぶん、いい例が、超多作の中谷彰宏さんだろう。中谷さんは920冊の本を出したという。年間百回前後の講演をこなしながら、そんな数の本を自分で書くのは不可能だ。

中谷さんは元コピーライターだから、自分でも書けるのだろうが、大まかな構成を自分で決め、最初のおきまりの「この本は次の3人のために書きました」を自分で書いて、他は生産性を上げるためにライターを使っているのだと思う。

中谷彰宏という名前で本は売れる。自分ですべて書いたら、20年間で、たぶん100冊前後が限界なのではないか。それよりは、中谷さんの監修のもとにライターに書かせる方が、より多くのテーマについて書くことができるので、読者にとっても悪くないと思う。

有名な著者は、自分でもそれなりに書けるのだろうが、しろうとの経営者とかスポーツ選手に、いきなり本をかけてと言っても無理がある。

本に書いてあることは、1回読めば意味がすんなり分かることが必要である。それを吉田さんは「商業用日本語」と呼んでいる。素人の文章は、「商業用日本語」にはなっていない。そこで出版社が使うのがゴーストライターだ。

ゴーストライティングが一般的になっていることを示すエピソードを紹介している。

吉田さんが編集者だった時、担当していた冊子の巻頭エッセーをサラリーマンもので有名な漫画家(フジ三太郎のサトウサンペイか?)に依頼した。

その漫画家は、「事務所に取材に来て、自分が語った内容を、自分が書いたような記事にして欲しい。他の出版社ではいつもそのスタイルでやっている」と言ったという。吉田さんは、自分で書かないのに、書いたような作品を載せることは、本物の作家や読者に申し訳ないように感じたという。


ゴーストライターを使う理由

出版不況の日本では、そこそこ売れるビジネス書を数多くだすことが出版社が利益を上げる道だ。それも初版でとどまらず、増刷ができる本を出さないと収益は上がらない。

小説家は当然のことながら、自分で小説を書かなければならないし、年間に書ける小説の数は限られる。しかも、売れる小説家はほんの一握りしかいないし、売れる小説家でもすべての作品が売れるわけではない。

このブログで紹介している大沢在昌さんの「売れる作家の全技術」でも、大沢さんは「新宿鮫」がヒットするまで、11年間全く本が売れず、「永久初版作家」と言われていたと語っている。

小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
大沢 在昌
角川書店(角川グループパブリッシング)
2012-08-01


しかし、ビジネス書であれば、たとえば会社社長というカテゴリーであれば、日本に会社は420万社以上あるのだから、社長は420万人はいる。会社経営者ということであれば、社長に限定する必要はないし、会社の宣伝のために、本を出したい経営者も多い。

他にコンサルタント、学者、評論家、タレント、スポーツ選手など、著者候補はいくらでもいるし、ゴーストライターをつければ、いくらでも大量生産可能だ。

著者の名前で本は売れる。出版社にとっては、「集客力のある著者」を確保することが何よりも大事なのだ。

そして、「数打てば当たる」戦法で、多くの本を出す。だから、ほとんどの本は初版でとどまり、増刷になる本は2割以下だという。

ゴーストライターを使うもう一つの理由は、出版社の編集者の書く能力が不足しているためだ。

出版社の編集者は年に15〜20本くらいの本を出すのがノルマだ。著者やゴーストライターとの調整で時間を取られ、編集者が自分で書いたり校正したりする力は落ちている。

吉田さんが知っている200人ほどの編集者のうち、朝日新聞社などで15年程度記事を書いてきた中堅記者と対抗できる編集者はほとんどいないという。

就職予備校の就職模擬試験のデータでは、朝日新聞の偏差値が80以上、読売・毎日新聞が75程度、出版社でも難易度が高い講談社や小学館の偏差値が50程度だという。それ以下の出版社は推して知るべしだ。厳然としたヒエラルキーがあるのだ。

編集者が本格的に書いたことがないから、ゴーストライターという仕事が浸透しやすいのだと吉田さんは語る。

ちなみにマスコミの採用試験の過去問は公開されている。ここをクリックして朝日新聞の2014年春の問題を参考までに見て欲しい。なるほど、これはきちんと新聞を読んでいないと難しい。


ゴーストライターのやり方

ゴーストライターは、まず著者に2時間づつ、5回、合計10時間のインタビューをする。そしてその著者のブログや書いたものを読み込んで、インタビューからストーリーをつくりあげて再構成し、1冊の本に仕立てる。200ページ程度の本で、短くて1か月、長くて半年を超えることもあるという。

しかし、なかなかインタビューに10時間とってくれる著者はおらず、ひどいときはインタビュー2時間のみで、本を書かなければならないこともあったという。


ライターもピンキリ

ライターの企画力、取材交渉力、取材力、執筆力、編集力は低い。ライター150人のうち、120〜130人は素人と大差なく、全国紙のキャリア15年くらいの中堅記者に対抗できるのはせいぜい3人くらいだろうと。

それもあって、ライターの年収は低い。吉田さんの場合、多いときは一冊200〜300万円ということもあったが、これは何度も増刷された本の場合で、大半は100万円以下だった。

初版のみで終わる場合は、50万円から70万円というところだ。50万円以下で引き受けたケースはトラブルが多かったので、避けた方が良いという。

一般のライターは年収400万円以下、200〜300万円の人が多く、コンスタントに毎年600万円を10年間にわたって稼げるライターはせいぜい数パーセントだという。到底家族を養うだけ稼げないので、主婦ライターも多いという。

ゴーストライターが読むべき本

この本はところどころにQ&Aを載せていて、その中の一つでゴーストライターについて書いている本を紹介している。1991年に宝島社から発行されたソフトカバーの「ライターの事情」と、1995年にに出版された「ライターになる ー ライター養成実践マニュアル」だ。






どちらも絶版だが、面白そうなのでアマゾンで中古品を買ってみた。後日内容を紹介する。

9割がゴーストライターによるものかどうかわからないが、半分以上はゴーストライターによるものなのだろう。ゴーストライティングを請け負う人が書いたものだけに、赤裸々に実態をあきらかにしている。


出版界の暴露本だから、編集者から協力を得られなかったようで、本の構成はイマイチだが、唯一無二の内容ではある。

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2014年07月14日

あなたの年収は1分で決まる 要領よくまとめる技術



現役フリーアナウンサーの三橋泰介さんの本。

副題は「現役アナウンサーが教える『稼ぐ人』の話し方」となっている。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックしてまずは目次を見て欲しい。目次を読めば、大体の内容がわかると思う。

次の様な構成だ。

第1章 なぜいま「話し方」が求められるのか
第2章 「稼ぐ人」の話し方 3原則
第3章 「稼ぐ人」の話の組み立て方
第4章 「稼ぐ人」の話し方習慣
第5章 「稼ぐ人」のスピーチテクニック

年収が1分で決まるとは、1分程度であなたがどういう人かを判断されてしまうということだ。

エレベータートークの様に、簡潔に自分の考えを30秒〜1分で説明できなければならない。

それができれば「年収が上がる」のだ。

三橋さんは、「稼ぐ人」の話し方には次の3原則があるという。

原則1.本質を捉え、簡潔に伝える「要約力」

原則2.わかりやすく、広く伝える「マス伝達力」

原則3.相手を納得させる「WHYのあるストーリー」


原則1.の要約力の重要性は筆者も100%同感だ。実は、筆者がこのブログを書いている理由も、要約力をつけるためである。

筆者は大学に入学して、教養学部の大森弥(わたる)先生のゼミを取った時に、自分の読解力・要約力のなさを痛感させられた。

たしか「組織のなかの人間」という翻訳もののテキストをつかった社会学のゼミで、2〜3章ごとに学生が手分けして要約を説明するというものだった。




大森教授は後期ゼミでは、社会学における幼児教育の重要性を理解するために、当時は世界的に有名だった「スポック博士の育児書」の英語版をテキストとして導入したので、筆者も読んだ記憶がある。当時読んだ本がプレミアム付きでアマゾンで売られている。



最新版 スポック博士の育児書
ベンジャミン スポック
暮しの手帖社
1997-11



話が脱線したが、「著者は何ページで何々と言っている。」という様な引用をつなぎ合わせた説明しか筆者はできず、自分の言葉で内容を要約できなかった。

ところが、北沢豪みたいな長髪で、麻布だか開成だか出身の学生は、きちっと自分の言葉で要約を説明して、本文の引用はゼロだった。

筆者は大変ショックを受けた。同じ大学1年生とは、とても思えなかった。

それ以降、要約力をつけるべく、読んだ本はあらすじを人に説明できるくらいまで理解するように心がけてきた。あの時の屈辱が、このブログを書く遠因になったともいえる。

今度紹介する中谷彰宏さんの「大学時代しなければならない50のこと」の中でも同様の話が出てくる。



中谷さんの本で、50のことの最初に出てくるのが:

1.「コイツはすごい」という人に出会う。

2.このままではヤバイ、と感じることを体験する。

の2つだ。中谷さんの場合は、早稲田大学に入って文化人類学の西江雅之先生に出会ったのが、これはヤバイと感じたことだという。

原則1.の「要約力」の説明が長くなったが、原則2.の「マス伝達力」というのは、要は誰にでもわかる言葉で話せということだ。また、「WHYのあるストーリー」は、要は論理的な説明をしろということだ。

第3章「稼ぐ人」の話の組み立て方では、「稼ぐ人」の話の組み立て方として、次の9例を紹介している。
1.プレパ法 
2.ホールパート法
3.そもそも法
4.帰納法
5.問題解決法
6.B−ファベ法
7.ギャップストーリー法
8.電気製品法
9.タイムマシン法

プレパ法というのは、一般的にはPREP法と呼ばれ、P=Point(結論), R=Reason(理由), E=Example(具体例), P=Point(結論)という、結論をまず最初に言うやり方だ。三橋さんはこれにA=After that(その後どうなる)を付けて、PREPA法と言っている。

ホールパート法は、まず全体に触れ、それから部分的な説明をするやり方だ。3がキーワードで、最初に「3つのポイントがあります。」とか切りだすやり方だ。

上記9例をすべて知っておく必要はなく、最初のプレパ法とホールパート法さえ覚えておけば足りると思う。

第4章の「稼ぐ人」の話し方習慣、では7例を紹介している。

たとえば、「グチュグチュ法」(このネーミングはなんとかならないのかと感じるが…)として、具体的な事例と抽象概念を組み合わせて説明することで、話の奥行き、説得力が生まれると説明している。

第5章の「稼ぐ人」のスピーチテクニックでは、「一番左後ろの人」を意識しようとか、「Zの視線」と「短い言葉」、アガらないこつなど、アナウンサーとしての経験を基にしたスピーチテクニックを紹介している。

「稼ぐ人」というコンセプトだと、第2章と第3章が役に立つと思う。簡単に読めるので、一度手に取ってパラパラめくってみることをおすすめする。

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2014年07月06日

あなたの知らない兵庫県の歴史 各県版が出ていて参考になる



神奈川県から始まり、いまでは全国いろいろな県の歴史が紹介されている「あなたの知らない…」シリーズの兵庫県版。

古代から現代まで、それぞれの時代のトピックを紹介していて、その県の出身者や在住者でなくても、楽しく読める。

兵庫県は、NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」で、脚光を浴びている。姫路城とか神戸市など、様々な観光地があり、瀬戸内海と日本海の両方に面しており、淡路島も兵庫県に属している。

兵庫県は古墳の数が日本一多く、古代から中心地として栄えてきた。

この本では、トリビア(実は英語はtriviaなので、トリヴィアと書いた方が良いかもしれない)的な話題も含めて、70ばかりのテーマで兵庫県を紹介している。

オーソドックスな歴史上の出来事も参考になるが、面白かったトリヴィア的な話題をいくつか紹介しておく。

★灘が酒造業で発展したのはなぜ?

江戸時代のはじめには、鴻池屋の成功により、伊丹が国内有数の酒造地帯となった。しかし、18世紀後半になると「灘の生一本」で知られる灘の酒が伊丹を上回る大酒造地帯として発展した。

灘が発展した理由は、幕府の規制緩和だ。幕府は当初、京都、大坂、奈良といった古くからの銘醸地や、城下町や宿場町などの限られた都市部でしか酒造りを認めていなかった。

ところが、1754年に幕府が「勝手づくり」を認めたので、伊丹よりも海に面して交通の便が良く、良質な播州酒造米が採れ、六甲おろしの冷気が冬の醸造に適している灘が発展した。丹波・但馬からは「丹波杜氏」と呼ばれる、酒造りの専門家集団が灘の酒造りをリードした。

1840年には六甲山系の伏流水・宮水も発見され、酒の味に磨きがかかった。

ちなみに日本最古の酒蔵の一つである剣菱も、1505年の創業以来伊丹で酒を造っていたが、大正時代に灘に移ってきた。

★神戸の中華街「南京町」はどうやってできた?

1867年に幕府は兵庫を開港するが、周辺に居留地などをつくる余地がなかったため、神戸が開港地として選ばれた。

欧米の商会と日本人を仲介する「買弁」と呼ばれる中国人や、外国人の使用人として日本にやってくる中国人が増加したが、当時清国と日本は修好条約を締結しておらず、中国人は外国人居留地の居住が許可されなかった。

それで中国人は居留地の西側に隣接する雑居地に住居や店舗をかまえるようになり、これが現在の「南京町」となった。昭和20年の神戸大空襲により南京町は焼失するが、昭和50年代に復活した。

★世界初の缶入り緑茶を発売した「伊藤園」創業者兄弟は神戸出身だった?

「伊藤園」の創業者は神戸出身の本庄正則、八郎兄弟だ。

本庄兄弟は二人とも、早稲田大学を卒業後、日産のトップセールスマンとなるが、自動車販売に限界を感じて、昭和39年に独立して食料品販売会社の「日本ファミリーサービス」を設立、2年後の昭和41年にお茶の販売に事業を絞り、静岡市で「フロンティア製茶」を立ち上げ、昭和44年に商号を「(株)伊藤園」に変更した。

東京に本社を移転して、昭和56年に缶入りウーロン茶が大ヒット、そして昭和60年に缶入り煎茶を「お〜いお茶」のブランドで大ヒットさせ、お茶飲料メーカーとしての地位を確立させた。

筆者は神奈川県藤沢市出身なので、「あなたの知らない神奈川県の歴史」は読んだ。神奈川県の歴史は、小学校で鎌倉などの史跡を訪問して覚えたので、記憶があいまいな点もあり、こちらも非常に参考になった。



簡単に読めて、参考になるシリーズである。他の県のものも読んでみようと思う。


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2014年06月22日

税務署は見ている。 元国税調査官が語る税務調査の実態

税務署は見ている。 (日経プレミアシリーズ)
飯田 真弓
日本経済新聞出版社
2013-09-10


元大阪国税局管内の税務署で26年間税務調査官として勤務した飯田真弓さんの本。気になるタイトルなので、読んでみた。

プロローグで、「節税対策本ではありません。」と断っている。

節税対策本は、元国税調査官の大村大次郎さんの得意分野だ。筆者も大村さんの本を何冊か読んだことがある。



この本は節税本ではないが、税務調査の時はどこを見ているかとか、都市伝説の「税務調査が入ったら、おみやげを持たさないといけない」とか、「国税OB税理士は税務署に顔がきく」などは本当かなどの点を説明しており、参考になる。

税務調査は自分で事業でもやっていないかぎり、一般のサラリーマンには縁のない分野だ。なので、このあらすじも簡単に紹介しておく。

税務調査の時に見るべきポイントは、帳面ではなく、人柄だと。

飯田さんが最初に税務調査に行ったときに、統括官(課長)は「帳面は逃げへんのや。どんな納税者を調べに行くのが調査や!」と言っていたという。

「マルサの女」のモデルになった斎藤和子さんという国税OBの税理士も、その経営者が不正を働いているかどうかは、目を見ればわかると語っていたという。



「マルサの女」はYouTubeで全編公開されている。



たとえ税理士が同席していても、税理士にすべてを任せてはいけない。

調査官は経営者の人柄を見ているので、経営者より税理士が答える場面が多いと、「税理士に余計なことは話さない様に口止めされているかもしれない」という印象を与えて、かえって良くないという。


試験組税理士と国税OB税理士

以前は一定期間国税の組織に在籍し、在職中に簿記論と財務諸表の比較的簡単な研修を受ければ、「税法免除」となって、定年退職後は税理士として開業できる仕組みになっていた。

しかし平成13年に税理士試験制度がかわり、必須科目の簿記論と財務諸表については、かなりレベルの高い研修を受け、その後試験に合格しないと税理士資格を取得できなくなった。

だから今は、税務著に努めれば、退職後は全員税理士となれるわけではなくなった。

税理士資格は永久ライセンスなので、登録人数的には試験組税理士と国税OB税理士は半々だが、高齢の国税OB税理士もいるので、実際には試験組弁理士が多い。

最も気になるのが「国税OBは税務署に顔がきくのか」という点だが、昔はともかく、今はコネによってどうこうなる時代ではない。


「税務調査が入ったら、おみやげを持たさないといけない」のか

もう一つ気になるのが、いわゆる「おみやげ」だ。税務署員は手ぶらで帰るわけにはいかないので、何か見つかるまで調査する。調査を切り上げてもらうために、適当なところで妥協する必要はないと飯田さんは語る。

むしろ申告に絶対自信があれば、「修正申告に応じない」と主張するのが理にかなった行動なのだと。

申告是認(「申是」と呼ぶ)を勝ち取ると、次からは税務署は訪問しにくくなるのだ。

ところがおみやげを用意して、毎回修正申告に応じている会社は、税務署にとっては、「訪問しやすい会社」ということになる。

税務調査の対象となるのは、法人で5%、個人で0.8%だという。

飯田さんは、グレーな部分をおみやげとして残すのではなく、すべてガラス張りの経営をすれば、95%の会社になり、税務調査で煩わされることはなくなると語る。


税務調査ではどこまで調べるのか

この本では、飯田さんが実際に税務調査で調べたやり方が紹介されている。たとえば、現金商売の事業者では、車のダッシュボードの中にあった領収書の控えを見つけ出して、売り上げを過少計上していることがわかった。

飲食店などでは、テーブルごとの伝票、レジペーパーのロール、売上帳、現金を入金している金融機関の通帳をチェックする、さらにレジペーパーは、打ち直ししていないかどうか、レジペーパーの切れ目をつないでみるという。

そのほかにも税務署員が使う業界用語などが参考になる。税務調査が入りそうな会社は、一度読んでおくとよいと思う。


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2014年06月15日

「原因」と「結果」の法則 成功哲学のバイブル

「原因」と「結果」の法則
ジェームズ アレン
サンマーク出版
2003-04


原著は1902年に書かれ、デール・カーネギー、ナポレオン・ヒル、オグ・マンディーノなど、現代成功哲学の大家たちが最も影響を受けた本。

人を動かす 新装版
デール カーネギー
創元社
1999-10-31


地上最強の商人
オグ・マンディーノ
日本経営合理化協会出版局
1996-09


「聖書に次いで一世紀以上も多くの人に読まれ続けている」とこの本の帯に紹介されている。

原著は1902年に発行され、ジェームズ・アレンは英国以外での著作権料を無料にしたので、世界中で読まれている。

As a Man Thinketh
James Allen
Shadow Mountain
2002-11


この本の訳者まえがきには、「近年の自己啓発書のほとんどは、アレンのシンプルな哲学に具体的な事例をあれこれとくっつけて、複雑化したものにすぎない」と指摘する人さえいることを紹介している。

たしかにナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」は、この本に大きく影響されていることは間違いない。「思考は現実化する」は最近、文庫化されている。

思考は現実化する〈上〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2014-04-10


思考は現実化する〈下〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2014-04-10


この本のエッセンスはシンプルだ。

要は「Positive Mental Attitude」、PMA、に尽きる。

成功する人は、常に前向きに物事を考え、常に積極的に自分から行動する人だ。

そういう人は、必ず「自分はそれを達成できる」という信念を持って取り組む。だから成功する。というより成功するまで止めないと言った方が良いかもしれない。

アレンの言葉だと、「自分は自分の心の園芸主任であり、自分の人生の総責任者である」ということになる。

外側の世界である環境は、心という内側の世界に合わせて形づくられる。

それが「原因と結果の法則」だ

ナポレオン・ヒルの訳本のタイトルそのものだ。「思考は現実化する」。

コミック版もあるので、読んでみた。コミック版は200ページあり、ややピントがぼける感じだ。




本文はわずか80ページ程度の本で、一日で簡単に読める。現代の成功哲学の元となったアレンの本を一度読んでみることをおすすめする。


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