2014年07月24日

Jリーグ再建計画 新旧チェアマンによる継続的改善



2014年1月末にJリーグチェアマンを退任した大東さんと、後任チェアマンの村井さんの本。サッカーライターの秋元大輔さんが構成(ライティング)している。

大東さんがJリーグチェアマンを務めた3年間で、クラブライセンス制の構築、J1昇格プレーオフ導入、ポストシーズン制、J3創設など、様々な改革が推進され、大東さんは2014年シーズンが始まる前にリクルート出身の村井満氏にチェアマンを引き継いだ。まさに継続的改善だ。

大東さんは筆者の会社のラグビー部のチームメートで、一緒にスクラムを組んだ。今でも年に1〜2回は当時のメンバーで集まっている。

4月の大東さんのチェアマン退任慰労会で、大東さんがJリーグの広告代理店を変えたという話をされていたので、筆者は単純に電通の方がスポーツには強いのだなと勘違いしていた(筆者は博報堂との合弁会社に4年半出向していたので、広告業界はある程度知見がある)。

しかし、この本を読むと、電通が博報堂より強いとかいったレベルの問題ではなく、電通と博報堂の力をもってしても、スポンサーが集まらない今のJリーグの窮状がよくわかる。

Jリーグの現状

そもそもJリーグが赤字になりそうなことは、この本を読んで初めて知った。

Jリーグは2015年からのポストシーズン制導入を決定した。2014年のJリーグ収入が最大13億円減収になるという予想が出たことがきっかけとなった。

13億円減収となると、クラブへの分配金を減らさなければならないが、経営体質の弱いクラブにダメージを与える恐れがある。

年間1ステージのホーム&アウェイ方式が理想だが、ポストシーズン制を導入すれば増収につながるという見込みが立ったので、やむなくポストシーズン制を導入したというのが今回の制度改定の背景だ。

スーパーステージ












出典:Jリーグプレスリリース


Jリーグの収益構造

Jリーグの収入は、大体年間120億円で、放映権料(毎年50億円程度)、協賛金(トップパートナー全12枠、約40億円)、入場料30億円という構成だ。

Jリーグのテレビ視聴率と一試合平均の入場者数の推移は次の通りだ。

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出典:本書16ページ

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出典:本書22ページ

視聴率が上がらないとNHK、TBS、スカパーの3社との放映権料交渉も難航する。

協賛金に至っては、Jリーグ発足以来の広告代理店で、ファミリーともいえる博報堂が買い取っていたが、12社のパートナー=広告主を確保できないので、穴埋めのため毎年赤字取引になっていたという。

博報堂が2005年に東証一部に上場されたことから、赤字取引にメスが入り、2011年から電通も加わった。しかし博報堂と電通の力をもってしても、新しいパートナーは日本マクドナルド1社のみに留まっている。

Jリーグチームも赤字のチームがあり、責任企業から補てんを受けられないチームは、時々経営危機が表面化する。

岡田武史元日本代表監督は、今年で22年目を迎えるJリーグについて「最初の10年で選手がプロになり、次の10年で監督がプロになった。最後に残ったのは、経営者のプロ化だ」と語っているそうだ。しかし、言葉では「プロ化」とか言えても、会社経営と同じで、クラブ経営は簡単なものではない。


Jリーグが4大リーグのファーム化?

次の表はJリーグから海外移籍した選手のリストだ。

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出典:本書29ページ

世界のサッカーマーケットは欧州を中心に動いている。実力のある選手はJリーグから4大リーグ(スペイン、イタリア、イギリス、ドイツ)などへ移籍する。4大リーグの放映権料が高騰し、ローカルリーグが4大リーグのファーム化するのは世界で見られる傾向だ。


アジア戦略

アジアでもJリーグチームが勝てなくなっている。

ACL優勝は2007年の浦和レッズ、2008年のガンバ大阪の後は出ていない。最近ではACLで早期敗退するチームが続出している。中国の富裕クラブ(たとえば2013年に柏レイソルに合計8:1で勝った広州恒大は年間予算100億円と言われている)やオイルマネーがバックにあるクラブチームに勝てないのだ。

東南アジア初のJリーガー、ベトナムの英雄レ・コンビンのJ2コンサドーレ札幌加入は、Jリーグの新たな可能性を示した。ベトナムのテレビ局がコンサドーレ札幌の試合を生中継したり、パブリックビューイングも開催された。

レ・コンビンの移籍交渉がまとまらず、在籍はわずか6か月間だったが、アジアにおけるJリーグの認知度を上げ、Jリーグのアジア戦略の重要性を示した効果は大きい。

Jリーグでは、外国人枠3人のほかに、アジア枠が1名あった。2014年からは提携国枠として1名設けて、東南アジア選手の獲得がしやすいように制度変更をしている。


Jリーグチームの活性化策

この本ではJ1チームの活性化策の例として、横浜Fマリノスを紹介している。マリノスは日産を責任企業として持つが、2012年末で16億円の累積赤字を抱えていた。

マリノスの観客数はマリノスのリーグ順位上昇とともに増加し、2012年(4位)から最終節で優勝を逃した2013年には約25%増え、単一試合の62,632人はJリーグ記録を塗り替えた。

マリノスは日産で成功したクロスファンクショナルチームの考え方を導入した。

ホームタウンの横浜市港北地区担当の港北プロジェクトチーム、試合に行ったことのない人をスタジアムに行ってみようという気にさせるプロモーションチーム、試合結果にかかわらず試合に行った人がいい印象を持って帰るようホスピタリティ向上をめざすホスピタリティチームの3つが共同で作業している。

たとえば港北区の25の小学校に毎年トップチームの選手を2名ずつ派遣する活動や、児童全員のマリノスの選手名鑑と試合予定をプリントした下敷きとクリアファイルを配る活動、同じ横浜をベースとする横浜ベイスターズとのタイアップなどの活動を行っている。


J3創設

2014年よりJFLからJリーグ昇格をめざす12チーム(1チームはJ1とJ2のU22選抜)でJ3が誕生した。これでJ1、J2、J3あわせて51チームとなり、36都道府県をカバーすることになった。

J3は小さい予算規模でもまわるように配慮されている。プロ契約選手は3名以上(J2は5名以上)、予算規模は1〜3億円を想定している。

選手としての年俸は無給〜月20万円程度でも、それ以外の仕事をもつことで生計を立てているケースが一般的で、Jリーグ事務局では選手の食と住確保を各J3チームに要望している。

たとえば筆者が住んでいる町田市のチームの町田ゼルビアでは、クラブ社長イーグル建創社長)が建設関係の仕事をしているので、選手を手ごろな物件に安く住まわせ、地元の食堂と提携して1食あたり500円の食費援助を行っているという。

Jリーグでは選手育成のために、全クラブにアカデミー組織の保有を義務付けている。アカデミーからトップチームに昇格できなかった選手の大半は大学に進学し、大学サッカーのレベルアップに貢献している。


2050年までに自国W杯開催・優勝

日本サッカー協会では2050年までに自国でワールドカップを開催し、優勝することを目標に掲げている。Jリーグでは、ACLのタイトルを奪還することが、目標の一つだ。

2013年からJリーグではACLクラブサポートプロジェクトをスタートさせ、日本サッカー協会とともに遠征費や強化費といった費用援助や、日程調整についても協力することを表明している。

過密スケジュールとともに、足枷となっていた「ベストメンバー規定(先発メンバーは直近のリーグ戦5試合の内1試合以上先発出場した選手を6名以上含まなければならない)」も、プロA契約6名以上と緩和された。

選手の平均年俸は現在J1で2,000万円、J2で700万円だ。J2選手の中には年俸300万円程度の選手も多いという。もっと選手の年俸を上げていかないと、将来的にJリーガーを目指す子供が少なくなってしまうかもしれないと両チェアマンは危惧する。


W杯自国開催・優勝というのは、遠い目標だが、それに向けて一歩一歩近づけることはできるはずだ。

筆者は高校2年生まで湘南高校サッカー部に属し(下手なので3年になって辞めた。OB会には属していない)、最初の駐在地アルゼンチンではリーベル・プレートのソシオ(公式サポーター)だった。

プレーヤー歴としては会社に入って始めたラグビーの方が長いが、サッカーに対する愛情も強い。

Jリーグの関心度低下やJリーガーの年棒アップなど、簡単に解決できる問題ではないが、Jリーグの窮状を知り、ファンとして応援することで、Jリーグを盛りたてようという気持ちになった。


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2014年07月14日

あなたの年収は1分で決まる 要領よくまとめる技術



現役フリーアナウンサーの三橋泰介さんの本。

副題は「現役アナウンサーが教える『稼ぐ人』の話し方」となっている。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックしてまずは目次を見て欲しい。目次を読めば、大体の内容がわかると思う。

次の様な構成だ。

第1章 なぜいま「話し方」が求められるのか
第2章 「稼ぐ人」の話し方 3原則
第3章 「稼ぐ人」の話の組み立て方
第4章 「稼ぐ人」の話し方習慣
第5章 「稼ぐ人」のスピーチテクニック

年収が1分で決まるとは、1分程度であなたがどういう人かを判断されてしまうということだ。

エレベータートークの様に、簡潔に自分の考えを30秒〜1分で説明できなければならない。

それができれば「年収が上がる」のだ。

三橋さんは、「稼ぐ人」の話し方には次の3原則があるという。

原則1.本質を捉え、簡潔に伝える「要約力」

原則2.わかりやすく、広く伝える「マス伝達力」

原則3.相手を納得させる「WHYのあるストーリー」


原則1.の要約力の重要性は筆者も100%同感だ。実は、筆者がこのブログを書いている理由も、要約力をつけるためである。

筆者は大学に入学して、教養学部の大森弥(わたる)先生のゼミを取った時に、自分の読解力・要約力のなさを痛感させられた。

たしか「組織のなかの人間」という翻訳もののテキストをつかった社会学のゼミで、2〜3章ごとに学生が手分けして要約を説明するというものだった。




大森教授は後期ゼミでは、社会学における幼児教育の重要性を理解するために、当時は世界的に有名だった「スポック博士の育児書」の英語版をテキストとして導入したので、筆者も読んだ記憶がある。当時読んだ本がプレミアム付きでアマゾンで売られている。



最新版 スポック博士の育児書
ベンジャミン スポック
暮しの手帖社
1997-11



話が脱線したが、「著者は何ページで何々と言っている。」という様な引用をつなぎ合わせた説明しか筆者はできず、自分の言葉で内容を要約できなかった。

ところが、北沢豪みたいな長髪で、麻布だか開成だか出身の学生は、きちっと自分の言葉で要約を説明して、本文の引用はゼロだった。

筆者は大変ショックを受けた。同じ大学1年生とは、とても思えなかった。

それ以降、要約力をつけるべく、読んだ本はあらすじを人に説明できるくらいまで理解するように心がけてきた。あの時の屈辱が、このブログを書く遠因になったともいえる。

今度紹介する中谷彰宏さんの「大学時代しなければならない50のこと」の中でも同様の話が出てくる。



中谷さんの本で、50のことの最初に出てくるのが:

1.「コイツはすごい」という人に出会う。

2.このままではヤバイ、と感じることを体験する。

の2つだ。中谷さんの場合は、早稲田大学に入って文化人類学の西江雅之先生に出会ったのが、これはヤバイと感じたことだという。

原則1.の「要約力」の説明が長くなったが、原則2.の「マス伝達力」というのは、要は誰にでもわかる言葉で話せということだ。また、「WHYのあるストーリー」は、要は論理的な説明をしろということだ。

第3章「稼ぐ人」の話の組み立て方では、「稼ぐ人」の話の組み立て方として、次の9例を紹介している。
1.プレパ法 
2.ホールパート法
3.そもそも法
4.帰納法
5.問題解決法
6.B−ファベ法
7.ギャップストーリー法
8.電気製品法
9.タイムマシン法

プレパ法というのは、一般的にはPREP法と呼ばれ、P=Point(結論), R=Reason(理由), E=Example(具体例), P=Point(結論)という、結論をまず最初に言うやり方だ。三橋さんはこれにA=After that(その後どうなる)を付けて、PREPA法と言っている。

ホールパート法は、まず全体に触れ、それから部分的な説明をするやり方だ。3がキーワードで、最初に「3つのポイントがあります。」とか切りだすやり方だ。

上記9例をすべて知っておく必要はなく、最初のプレパ法とホールパート法さえ覚えておけば足りると思う。

第4章の「稼ぐ人」の話し方習慣、では7例を紹介している。

たとえば、「グチュグチュ法」(このネーミングはなんとかならないのかと感じるが…)として、具体的な事例と抽象概念を組み合わせて説明することで、話の奥行き、説得力が生まれると説明している。

第5章の「稼ぐ人」のスピーチテクニックでは、「一番左後ろの人」を意識しようとか、「Zの視線」と「短い言葉」、アガらないこつなど、アナウンサーとしての経験を基にしたスピーチテクニックを紹介している。

「稼ぐ人」というコンセプトだと、第2章と第3章が役に立つと思う。簡単に読めるので、一度手に取ってパラパラめくってみることをおすすめする。

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2014年07月13日

人は誰でも講師になれる 中谷彰宏さんの本領発揮

人は誰でも講師になれる
中谷 彰宏
日本経済新聞出版社
2012-08-25


著書が約900冊ある多作の中谷彰宏さんの本。

一度会社で中谷さんの講演を聞いたので、その後いくつか中谷さんの本を読んでいる。

中谷さんはいろいろなところで講演をしているので、この本はまさに本領発揮というところだ。

この本はアマゾンの「なか見!検索」に対応しているので、ここをクリックして目次をみてほしい。

自分が講師をやる場合の様々な注意事項が、次の章立てで説明されている。

1章 講師になる勉強をする10の方法

2章 講師の依頼をされる11の方法

3章 講師を依頼されたらする20のこと

4章 講師を続ける10の方法

5章 自分主催でする18の方法

中谷さんの経験に基づくアドバイスだけに実践的だ。こんなキーワードが全部で71並ぶ。

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出典:本書6〜9ページ

たとえば、35.の「反論に、反論しない。」というのは、まさに経験しないとできない局面打開法だと思う。

中谷さんは、基本的に同じネタは使い回ししないそうだが、この件の対応方法については、別の本にも説明されている。

中谷さんの「大学時代出会わなければならない50人」という本の「そんな考え方もあるのかと吸収することで大きくなる」という節のなかに、「ときどきこんなお手紙をいただきます。『あなたの考えはまちがっている』というのです。…」という文がある。




「あなたの言う通りですね」と答えるのだと。

講演内容を聞かれて、1分で説明できない話に、依頼は来ないという。まさにエレベータートークだ。

テーマは狭く絞り、1分でできる話をベースに、メモを見ずに1時間でも2時間でも話すのだ。

謝礼は自分の基準料金を伝え、最終的には先方の予算に合わせるというような実践的なTIP(秘訣・助言)も参考になる。

筆者も時々、会社でセミナー講師をやることがある。やはり自分で講師をやると大変勉強になる。

中谷さんは「生徒の10倍、毎回勉強して引き分け」という言い方をしている。その通りだと思う。

講師をやる上で大変参考になる本である。

1時間程度で簡単に読めるので、今度自分が講師になるという人には、是非一読をおすすめする。


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2014年07月06日

あなたの知らない兵庫県の歴史 各県版が出ていて参考になる



神奈川県から始まり、いまでは全国いろいろな県の歴史が紹介されている「あなたの知らない…」シリーズの兵庫県版。

古代から現代まで、それぞれの時代のトピックを紹介していて、その県の出身者や在住者でなくても、楽しく読める。

兵庫県は、NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」で、脚光を浴びている。姫路城とか神戸市など、様々な観光地があり、瀬戸内海と日本海の両方に面しており、淡路島も兵庫県に属している。

兵庫県は古墳の数が日本一多く、古代から中心地として栄えてきた。

この本では、トリビア(実は英語はtriviaなので、トリヴィアと書いた方が良いかもしれない)的な話題も含めて、70ばかりのテーマで兵庫県を紹介している。

オーソドックスな歴史上の出来事も参考になるが、面白かったトリヴィア的な話題をいくつか紹介しておく。

★灘が酒造業で発展したのはなぜ?

江戸時代のはじめには、鴻池屋の成功により、伊丹が国内有数の酒造地帯となった。しかし、18世紀後半になると「灘の生一本」で知られる灘の酒が伊丹を上回る大酒造地帯として発展した。

灘が発展した理由は、幕府の規制緩和だ。幕府は当初、京都、大坂、奈良といった古くからの銘醸地や、城下町や宿場町などの限られた都市部でしか酒造りを認めていなかった。

ところが、1754年に幕府が「勝手づくり」を認めたので、伊丹よりも海に面して交通の便が良く、良質な播州酒造米が採れ、六甲おろしの冷気が冬の醸造に適している灘が発展した。丹波・但馬からは「丹波杜氏」と呼ばれる、酒造りの専門家集団が灘の酒造りをリードした。

1840年には六甲山系の伏流水・宮水も発見され、酒の味に磨きがかかった。

ちなみに日本最古の酒蔵の一つである剣菱も、1505年の創業以来伊丹で酒を造っていたが、大正時代に灘に移ってきた。

★神戸の中華街「南京町」はどうやってできた?

1867年に幕府は兵庫を開港するが、周辺に居留地などをつくる余地がなかったため、神戸が開港地として選ばれた。

欧米の商会と日本人を仲介する「買弁」と呼ばれる中国人や、外国人の使用人として日本にやってくる中国人が増加したが、当時清国と日本は修好条約を締結しておらず、中国人は外国人居留地の居住が許可されなかった。

それで中国人は居留地の西側に隣接する雑居地に住居や店舗をかまえるようになり、これが現在の「南京町」となった。昭和20年の神戸大空襲により南京町は焼失するが、昭和50年代に復活した。

★世界初の缶入り緑茶を発売した「伊藤園」創業者兄弟は神戸出身だった?

「伊藤園」の創業者は神戸出身の本庄正則、八郎兄弟だ。

本庄兄弟は二人とも、早稲田大学を卒業後、日産のトップセールスマンとなるが、自動車販売に限界を感じて、昭和39年に独立して食料品販売会社の「日本ファミリーサービス」を設立、2年後の昭和41年にお茶の販売に事業を絞り、静岡市で「フロンティア製茶」を立ち上げ、昭和44年に商号を「(株)伊藤園」に変更した。

東京に本社を移転して、昭和56年に缶入りウーロン茶が大ヒット、そして昭和60年に缶入り煎茶を「お〜いお茶」のブランドで大ヒットさせ、お茶飲料メーカーとしての地位を確立させた。

筆者は神奈川県藤沢市出身なので、「あなたの知らない神奈川県の歴史」は読んだ。神奈川県の歴史は、小学校で鎌倉などの史跡を訪問して覚えたので、記憶があいまいな点もあり、こちらも非常に参考になった。



簡単に読めて、参考になるシリーズである。他の県のものも読んでみようと思う。


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2014年07月04日

運のいい人に好かれる50の方法 中谷彰宏さんの成功哲学

運のいい人に好かれる50の方法
中谷 彰宏
ダイヤモンド社
2005-03-04


先日中谷彰宏さんの講演を聞いたので、著書をいくつか読んでみた。

この本は860冊(今はもう900を超えているのかもしれない)あるという中谷さんの2005年の作品だ。

2005年の時点で、ダイヤモンド社からは「なぜあの人は…のか」シリーズなど、約120冊の著書を出版している。

中谷さんはさすが元CMプランナーだけに、自らのスタイルを大事にしている。たとえば、すべての著書に共通して、「この本は、3人のために書きました」という冒頭言を書いている。

ちなみに、この本はつぎの3人のために書いたという。

1.運のいい人に、なりたい人。
2.運のいい人に、出会いたい人。
3.運のいい人に、好かれたい人。

裏表紙にはAとNをシンボル化したマークと、「Move Your Heart」というキャッチフレーズを掲げている。

中谷さんの他の本と同様に、1時間弱で簡単に読める。

運のいい人に好かれる、というか、自分で運を引き寄せる、あるいは自分は運がいいと思い込む心の持ち方をコーチングしている。

50の方法はそれぞれ、すぐにも実行可能なものばかりだ。全体を通して中谷さんの感受性のするどさ、中谷さん自身が「デリカシー」と呼んでいるものが伝わってくる。

中谷さんの主張を一言でいうと、成功哲学でよくいわれる「Positive Mental Attitude」(PMA)に尽きる。

PMAの代表作が、最近文庫化された世界的ベストセラー・ナポレオン・ヒルの「Think and Grow Richー思考は現実化する」だ。

思考は現実化する〈上〉
ナポレオン・ヒル
きこ書房
2014-04-10



この本で印象に残った点を紹介しておく。

★会っていきなり、ムカついた体験談をしない。

人に会うと、最初にネガティブな話をする人と、ポジティブな話をする人の2種類がいる。

ムカつく話はマイナスの連鎖を引き起こす危険がある。だから、最初はポジティブな話をするのだ。

初めから、「この前、こんな嫌なことがあった…」などという話はしないのだ。


★食べ終わったテーブルにその人の精神状態が出る。

人が集まってくる人の食べた後はきれいで、人が寄り付かない人の食べた後は汚い。

ただ汚れているだけではなく、悪い波動が漂っている。一方、人が集まってくる人の食べた後は、きちんと割り箸が置かれている。

その人の隠せない素顔が、そこに出てしまうのだ。

汚いままにする人は、それを誰かが、かたずけるということが思い浮かばない。サービスをしてもらっているという感謝の気持ちもない。


★ネガティブな言葉は、1回まで。2回言わない。

まさにPMAだ。ネガティブな話をすると、自分の思いまでネガティブになる。

悪口を言ったら、必ずフォローしよう。


★「高ければ高いほどよい」という人は、ものの値打ちがわからない。

これは大変参考になった話だ。一番高いものは、実は一番いいものではない。

一番高いものを一番いいものにしないのは、お店の人はそのものに対して愛情があるから、本当にモノの値打ちがわかる人に持ってもらいたいのだ。

一番高いものは、値打ちのわからない人が買う。

そういう人には一番いいものは売りたくないから、一番高いものは一番いいものではないものを、わざわざ置いておくのだ。

本当に値打ちのわかる人は、値段に振り回されずにきちんと見る。

「一番高くないけど、こっちのほうがいい」と選べる力を持っているのだ。

特にワインはそうだという。

「一番高いワインを持ってきて」というお客様には、こだわりは何もない。一番高いものは、ただ店が儲けるために用意してあるだけだ。

ホテルでも、一番高い部屋は、ただ儲けのために置いてあるのだ。


★「…は間違っている」という人の話は、聞かない。

「…は間違っている」という話から始める人の話は聞き流せと。聞いても何のプラスもない。自分のプラスになる話を聞けばよいのだ。

間違いのなかにヒントはない。その人のユニークなところ、面白いところ、ヒントになるところを見つけるのだ。


というように50の例が紹介されている。

1時間でゆうゆう読める。

松下幸之助の「道をひらく」のような、人生訓的な重みはないけれども、軽く読めて頭にスッと入る。

道をひらく
松下 幸之助
PHP研究所
1968-05



2005年の本なので、もう本屋には置いていないと思う。もよりの図書館で、この本に限らず、中谷さんの書いた本を手に取って、パラパラとめくってみることをおすすめする。


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