
著者:マッテオ・モッテルリーニ
販売元:紀伊國屋書店
発売日:2009-01-21
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以前このブログで紹介した「経済は感情で動く」の姉妹編。
題材も基本的に同じで、クイズ感覚で楽しく読める。

著者:マッテオ モッテルリーニ
販売元:紀伊國屋書店
発売日:2008-04-17
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多くの論点は「経済は感情で動く」と共通なので、この本で印象に残った点を紹介しておく。
ヒューリスティック(heuristics)
元々アルキメデスが風呂でアルキメデスの原理を発見したときに、「ユーレカ」と叫んだことが語源となっていると言われる。意思決定したり、判断を下す時に、厳密な論理を積み上げる方法でなく、直感ですばやく結論を出すこと。
ヒューリスティック・バイアスの例として「代表性」が挙げられている。「代表性」とは、いわゆるステレオタイプのことで、国籍、出身地、職業、年齢などから思い浮かべる特徴でその人を判断してしまうことだ。
面白い例が紹介されている。
問15(選挙の候補者について)
3人の候補者の誰に投票しますか。
A.一番目の候補者は腐敗した政治団体との一件に巻き込まれたことがある。星占いに凝っている。愛人が2人。ヘビースモーカーで日に6箱から10箱開ける。
B.二番目の候補者は、二度役職を罷免されたことがある。抑うつ傾向(鬱病傾向)があり、お昼まで寝ている。毎日ウィスキーを一瓶空け、仕事中に居眠りする。
C.三番目の候補者は、愛国者で軍部から勲章を与えられた。菜食主義者で、タバコを嫌い、たまにビールを一本飲み、性生活はきわめて慎ましい。
A.はフランクリン・ルーズベルト
B.はウィンストン・チャーチル
C.がアドルフ・ヒトラーだという。
ハロー効果(ハローとは「後光がさす」の「後光」のこと)
商標とか価格などにまどわされて、判断をしてしまうことがある。これをハロー効果と呼ぶ。
たとえばブランドテイスティングでは、ペプシを選ぶ人が多いのに、商標が見えていると、圧倒的にコカコーラの方がおいしいと答える。
またワインのブラインドテイスティングの例では、5ドルと35ドルと90ドルの三本のワインが使われた。
値段を言われてテイスティングすると、5ドルのワインを45ドルと言われたときの方が、実際の値段の5ドルと言われた時よりもおいしいと感じる。
90ドルのワインも、90ドルと言われてテイスティングした時が最高においしく、同じワインを10ドルと言われてテイスティングするより断然おいしかったという。
この本では、「脳のなかで、味や香りが生み出す快感に密接に結びついた内側面前頭葉眼窩面皮質が、同じワインでも高い値段で試飲するときのほうが、見るからに活動的になるからである」と学説のように説明しているが、これは冗談半分・本気半分といったところだろう。
筆者もワイン好きなので、価格とか原産地、生産者、ブランドの魔法は気を付けなければならない。
実は一度だけテイスティングして、味がおかしいと感じて出すのをやめたことがある。アメリカに駐在していた時、取引先を自宅に招いて日本で買ったボルドーの第二級シャトーワインを出した時に、おかしいと感じたのだ。
1993年のシャトー・デュクリュ・ボーカイユだったが、日本で買ったのを普通のコンテナで引っ越し荷物の中に入れて持ってきたから劣化が激しかったのか、あるいは1993年のビンテージは元々良くないのか、ボルドー特有のタンニンの効いた味の深みが全然ないので、出すのをやめた。
ボルドーのシャトーワインは、良いビンテージと悪いビンテージと大きな差があり、同じワインの1993年のビンテージは、今でも値段は余り上がっていないようだ。
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良いビンテージだと若い2005年のワインでも、1993年のものの倍以上の値段で売られている。
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Wingdingsという記号フォント
どうでも良い話ではあるが、Wingdingsというフォント(特殊記号?)を選んで、”Q33NY”と入力すると次のシンボルが表示されるという。
これは「2つのタワーに飛行機が激突し、イスラエルを巻き込んだ大惨事に発展した」と読むのだと。
"wingdings"というフォントがあることを始めて知った。閑話休題。
「コノンの千里眼」
筆者は初めて聞く話だが、ギリシャの将軍コノンは、アテネ同盟軍でスパルタと戦い、紀元前394年のクニドスの海戦で、勝利を収める。
アテネは同盟国と戦利品を分けることになり、コノンは捕虜を裸にして、捕虜の所持品と捕虜とを分けて、同盟国にどちらか選択させた。
同盟国は驚いたが、所持品を選んだ。スパルタ人は労働には向いていないと考えたのだが、後にスパルタの捕虜の身内が捕虜開放に莫大な金を払ったことを知り、「コノンの千里眼」を身をもって知ることになったという。
多くのクイズが出題されており、コラムも面白く、前作の「経済は感情で動く」と同様クイズ感覚で楽しめる本だ。
いずれかを手にとってみることをおすすめする。
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