
販売元:講談社
発売日:2007-11-29
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筆者は今まで何十冊もワインの入門書を読んできた。
田崎真也さんや国際ソムリエ協会長の小飼一至(こがいかずよし)さんなど、ソムリエの書いた本。

著者:田崎 真也
販売元:新潮社
発売日:2009-05-28
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漫画家の弘兼憲史さんのワインの本。

著者:弘兼 憲史
販売元:幻冬舎
発売日:2000-12
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川島なお美さんなどのタレントの書いた本。

著者:川島 なお美
販売元:マガジンハウス
発売日:1999-06
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世界的に有名なワイン評論家ヒュー・ジョンソンのポケットワインブック。

著者:Hugh Johnson
販売元:Mitchell Beazley
発売日:2009-08-15
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著者:ヒュー ジョンソン
販売元:早川書房
発売日:2007-06
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日本のワイン評論家では山本博さんなどの本だ。

著者:山本 博
販売元:白水社
発売日:2009-05
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どれも特徴があり、それぞれ読んで楽しいが、これ一冊ということになるとやはりこの本をおすすめする。
5千円近くする本だが、内容はあまり毎年変わらないので、数年前の中古をアマゾンマーケットプレースなどで買うのもおすすめだ。
この本では8,800種類のワインの他、世界のウィスキー、ブランデー、リキュール、中国酒、焼酎、ビールまでも取り上げられていて、全部で11,200銘柄が紹介されており、載っていないのは日本酒くらいのものだ。
この本を薦める理由
この本をワインの入門書として薦める理由は、まずはわかりやすいことだ。
ワインについては、300ページにわたりそれぞれの産地の主要ワイン8,800銘柄についてボトルの写真と標準小売価格を紹介しており、ビジュアルでわかりやすい。
自分がレストランで飲んだワインを、家に帰って調べるのにも適している。
フランスワインについては格付けと年代ごとの価格も表示してあり、単に古いだけでは価格には影響しないことが一目でわかる。
そしてどこのワインが日本で売られているのかもすぐにわかる。実に全体の40%以上、130ページがフランスワインだ。
フランスワインの中でも、日本で販売されている銘柄が最も多いのがブルゴーニュワインの48ページ、次にボルドー30ページ、シャンパーニュ16ページ、南部フランス他14ページという順番だ。
ちなみに1ページには25本前後の銘柄が紹介されているので、おおざっぱにいってブルゴーニュが1,200本、ボルドーが700本程度紹介されている。
フランスの他の地域では:
ローヌ 8ページ
ロワール 8ページ
アルザス 6ページ
他の国ではイタリアが最も多く、南北イタリアの様々な地区のワインを45ページにわたって紹介している。そのほかは:
ドイツ 24ページ
アメリカ 18ページ
スペイン 16ページ
オーストラリア 12ページ
チリ 12ページ
日本 6ページ
という順番だ。
多くのワイン入門書の難点は、フランスの主要ワイン産地からはじまって、多くの国のワインをそれぞれ数ページずつで紹介しているので、フランスワインとその他の国のワインとの圧倒的な差がわかりづらい点だが、現実はフランスワインが圧倒的、そしてその中でもやはりボルドーとブルゴーニュが圧倒的なのだ。
近年ではニューワールドワインの躍進が目立つ
筆者はここ15年くらい毎年図書館でリクエストしてこの本を読んでいるが、当初はヨーロッパのワインが中心で、ニューワールド(新大陸)のワインは少なかった。
それが年を追うごとに新大陸や、従来ワイン生産国でなかった国のワインまでも紹介されるようになってきており、世界のワイン産業の発展が目に見えてわかる。
たとえば米国のワインといえばカリフォルニアワインが有名だが、カリフォルニアワインはこのブログでも紹介している「パリスの審判」の1976年パリでのブラインドテイスティングで、フランスのシャトーワインに勝ったということで、世界的に注目されたので、いまや品質に比して価格が高くなりすぎているきらいがある。
そこで急速に拡大してきているのがワシントン州やオレゴン州のワインだ。気候もカリフォルニアより寒冷で、フランスなどに似た気候のこともあり、日本でも多くのワインが紹介されるようになってきている。
本家本元のフランスなどはワイン消費量が減少しており、ユーロ高で輸出の採算も悪く、中小のワイナリーは閉鎖に追い込まれているところが続出している。ついにワイン生産量でもNo.1の地位をイタリアに奪われた。

出典:Wikipedia
ちなみに日本のワイン生産量は9万トンで、世界第28位だ。
一方チリ、アルゼンチン、オーストラリアなどのニューワールドワインは、価格も安いし、品質も良いので急速にシェアを伸ばしている。
この事典でもこれらの国のワイン紹介ページは毎年増える一方だ。変わったところでは、中国、インド、ベトナム、タイなどのワインも紹介されている。
日本のワイン産業の発展がわかる
この事典では日本のワインも取り上げられている。
日本では山梨ワインが有名だが、その山梨でも割合新しい中小ワイナリーが力をつけており、日本特有の甲州ブドウをつかった白ワインなどは、寿司や煮魚などの和食にも合うワインとして世界的にも注目されている。
日本のワインのページが毎年拡大していくのも見て楽しい。
米国のワシントン州のワイン協会は日本に事務所を持っており、日本語ホームページも開設しているが、ワシントン州のワイナリーの数は1981年の19から、2006年には400超となり、25年間で20倍以上に増えている。
ワイナリー関係の従業員の雇用が増えるのみならず、ワイン生産地を訪問する観光客も増え、旅行産業も大きく伸びる。
是非日本のワイナリーもがんばって数を増やし、日本の食糧自給率を上げるとともに、ワイン産業を起爆剤に地元の経済を拡大して欲しいと思う。
基礎知識も覚えられる
ブドウの銘柄や、白ワイン・赤ワインの製法、フランスの1935年に制定された原産地法などの基礎知識の解説もあり、それぞれの産地の地図もある。
ソムリエは1855年のパリ万博の時のボルドーワインの格付けで、いわゆるシャトーワインと呼ばれる5級以上のワインの銘柄をすべて暗記するそうだ。
ボルドーはともかく、ブルゴーニュは地区で細かく畑が分かれており、生産者とネゴシアン(仲買人)それぞれが銘柄を持っているので、単に銘柄の名前だけでは、とても覚えきれないと思うが、ボトルの写真と価格がセットで表示されているので、何年もののこのワインはいくらぐらいすると覚えると、情報が頭に入りやすいと思う。
時々ボルドーやブルゴーニュの当たり年を覚えているワイン通がいるが、この本を読めば、同じシャトーワインでも当たり年のワインと不作の年のワインでは価格が倍以上も違うことが一目瞭然でわかり、年表などを覚える必要がなく、自然と頭に入る。
日本酒をのぞきビールまでいれて、ほとんどの酒についてボトルの写真と価格を紹介しているので、ワイン以外の酒についても参考になる。
この本で紹介されているワイン以外の飲み物の銘柄数は次の通りだ。
ウィスキー 550銘柄
ブランデー 540銘柄
スピリッツ 290銘柄
リキュール 600銘柄
焼酎 370銘柄
中国酒 170銘柄
ビール 370銘柄
ウィスキーなどの解説では製法やスコットランドの醸造所の地図なども紹介されており、ウィスキーの知識としても役立つ。他の酒についても数ページの解説がついており、楽しく覚えられる。
お酒を飲む人にも、あまり飲まない人にもオールマイティのワイン・名酒紹介本として是非手にとって欲しい一冊である。
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