カラー版 ハッブル望遠鏡 宇宙の謎に挑む (講談社現代新書)著者:野本 陽代
販売元:講談社
発売日:2009-08-19
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筆者は中学の時に理科部天文班に属していたので、太陽の黒点の観測や、夏休みに校舎に泊まり込んで流星の観測などをやっていた。
宇宙の神秘には、昔から魅了されていたが、最近はあまり星を見ることもなくなり、流星観測などもやっていない。しかし、この本を読んで改めて科学の進歩と、2009年にハッブル宇宙望遠鏡に取り付けられた高性能カメラの威力に驚かされた。
アマゾンのリンクの写真だと、何の変哲もない無地の表紙写真となっているが、実はこの本にはカラーの帯が付いていて、書店で手に取ると次のような美しい写真が表紙になっている。

ハッブルの撮影した次のような映像が多く紹介されているHubbleSiteというウェブサイトもあるので、是非訪問して欲しい。

出典:Hubblesite
まるで精密に描いた絵のようだ。
ハッブル宇宙望遠鏡についての本は新書を中心に何冊も出版されているが、やはり2009年5月の高性能カメラ取り付け以降の写真は、従来の写真より解像度と鮮明さが全然異なる。
同じような系列の本で、写真をDVDーROMに収録したブルーバックスもある。
DVD-ROM&図解 ハッブル望遠鏡で見る宇宙の驚異 (ブルーバックス)著者:小野 夏子 ビバマンボ
販売元:講談社
発売日:2009-07-22
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この本のDVDに収録されている写真の多くは、Hubble Heritageという名前でコレクションが公開されている。
次がコレクション全体だ。
出典:The Hubble Heritage Project/Image Gallery
「ブルーバックス」を出版しているのは講談社だとは、この本を読むまで知らなかった。
ブルーバックス版は、どちらかというと説明が多く、説明のための資料として写真が紹介されている感じだ。それに対し講談社版は、次のような章建てで、写真に説明を付けているという感じだ。
1.ハッブル宇宙望遠鏡の栄光と苦難
2.宇宙の謎に挑む
3.星の誕生と死
4.衝突する銀河
5.太陽系の天体たち
6.ハッブルの今後と次世代望遠鏡
好みの問題ではあるが、筆者は講談社版の方が気に入った。
NASA(アメリカ航空宇宙局)が運営するハッブル宇宙望遠鏡は、地球の大気による影響を受けない宇宙で天体観測して、地上では到底得られない正確な情報を得ようという目的で1946年に構想が発表された。
しかし予算問題やシャトル事故による宇宙開発計画全体の遅れの影響を受けて計画実現が遅れ、当初直径3メートルだった反射鏡の大きさを縮小して直径2.4メートルの反射鏡を持つ宇宙望遠鏡が大気圏外に打ち上げられたのは1990年4月のことだ。
ハッブル宇宙望遠鏡という名前は、1920年代に宇宙が膨張していることを発見した米国の天文学者エドウィン・ハッブルにちなんだ名前だ。
ハッブルが打ち上げられた直後、反射鏡がわずか0.02mm平坦だったため、ピントが合わないという予想外のトラブルが発生した。
1993年末に、いわばコンタクトレンズを取り付けて、当初の性能を回復したが、それ以降も何度かトラブルに見舞われ、昨年5月の4回目の修理ミッションで現在の高性能カメラを設置した。
多くの時間と労力を費やしたNASAの執念と、それを支える世界中の市民の期待が、この壮大な宇宙望遠鏡計画を支えている。
ハッブルの威力と学術的価値がはっきりとわかるのは、ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドと呼ばれる狭い領域の観測だ。

出典:Hubblesite
たとえて言うと2.4メートルの長さのストローを通して見た狭い視野だという。
その狭い視野の観測に、ハッブル宇宙望遠鏡を約1ヶ月間張り付けた。その結果、地球の望遠鏡では何も見えない空間に、ハッブルは1万個の銀河を発見し、そのうちの一つが130億光年離れた銀河だった。
宇宙の誕生(ビッグバン)は138億年前といわれているので、ビッグバンで誕生した直後の宇宙の姿をハッブルによって見ることができたのだ。
様々な成長ステージの星を取り巻くガス雲も美しい。普段何気なく見上げている空の上に、こんな別世界があったとは!
なにか自分が地面の上を這っているアリの様に思えてきた。
文字での説明は難しいので、ウェブサイトを見たり、ハッブルに関するどの本でも良いので書店で手にとって写真をパラパラめくって欲しい。
美しい写真と多くの銀河の写真に魅了されること請け合いだ。
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