エディー・ジャパンがラグビーワールドカップで歴史的勝利を挙げた。なんと世界ランク3位の南アフリカにオーバータイムで逆転勝ちしたのだ。
早速Youtubeに映像が掲載されている。次の映像はスタジアムで観戦していた人が取ったビデオだ。観客の歓声も入って臨場感抜群だ。
エディー・ジョーンズが目指していた「世界一フィットネスが高いチーム」が、実現した。80分戦い抜いて、南アフリカ代表も疲れていたオーバータイムの84分に、日本代表がトライを決めたのだ。
84分の死闘を戦い抜く体力を備えたチームだ。
いままでのフィットネストレーニングが、この結果を生み出したことは間違いない。優れた戦略と実現力を持つヘッドコーチに恵まれたものだ。
このブログで取り上げている五郎丸選手のいう通り、まだ一つの歴史を変えただけだ。試合はこれからも続く、是非さらに上を目指して、頑張ってほしい。
歴史的勝利を記念し、上を目指して頑張るエディー・ジャパンのために、「エディー・ジョーンズの監督学」のあらすじを再掲する。
2013年6月6日再掲:
ラグビーワールドカップの準備がいよいよ始まった。
試合開催地に応募する自治体への説明が6月から始まり、2015年3月に最終的に試合開催地が決まるスケジュールとなっている。

ラグビーワールドカップ2019の基本方針は次の4つだ。

出典:いずれもラグビーワールドカップ2019組織委員会ニュースレター
今行われているパシフィックネーションズカップでは、国際ランキング上位のトンガ、フィジーと連敗を喫しているが、エディー・ジョーンズ監督の指導のもとに選手が奮起して、次のウェールズとの試合(リポビタン・チャレンジ・カップ)には是非勝ってほしいものだ。
2019年ワールドカップ準備の成功と、エディー・ジョーンズへの応援エールもこめて、「エディー・ジョーンズの監督学」のあらすじを再掲する。
2013年3月10日初掲:

著者:大友 信彦
東邦出版(2012-08-23)
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ラグビー日本代表監督のエディー・ジョーンズについて、ラグビーに関して多くの著書を出しているフリーランスジャーナリストの大友信彦さんがまとめた本。
ラグビー日本代表GMの岩渕健輔さんの「世界で勝たなければ意味がない」は、以前紹介した。

著者:岩渕 健輔
NHK出版(2012-11-07)
販売元:Amazon.co.jp
岩渕さんの描いた日本代表強化策を現場で実践するのがエディー・ジョーンズだ。
前日本代表監督のジョン・カーワンは、ニュージーランドのオールブラックスで10年間代表としてプレーし、第1回ラグビーワールドカップでは80メートルを独走する伝説のトライを決めたスタープレーヤーだ。
日本での選手経験や、イタリア代表チームの監督経験もあり、まさに最適の人材と思ったが、もっと適任の人物が日本にいた。
エディー・ジョーンズは1960年、オーストラリア・タスマニア島生まれ。オーストラリア人の父とアメリカ人の日系2世の母との間に生まれた。
173センチ、82キロとラグビープレーヤーとしては小柄だが、フッカーとしてクラブチームなどで活躍。オーストラリア代表に選出されたことはない。
教師の資格を持っており、一旦はラグビーから離れて、教師として教えていた時に、日本人の妻と知り合って結婚する。1995年から日本に来て、東海大学のラグビー部のコーチとなり、日本代表のアシスタント・コーチとしてフォワードを教える。
1998年からはスーパーラグビーリーグに属するオーストラリア・ACTブランビーズの監督として、スーパー12に参戦し、2001年シーズンには優勝する。
2001年にオーストラリア代表ワラビーズの監督となり、2003年ワールドカップ決勝戦では、惜しくも延長戦で英国に敗れ、準優勝となる。
その後、2007年ワールドカップでは南アフリカ代表の助監督として、南アフリカ代表の優勝に貢献した。
その後はイングランドのサラセンズの監督を経て、2009年からサントリー・サンゴリアスの監督に就任し、2010年から2011年のシーズン2連覇を達成した。
そして2015年ワールドカップまでの任期で、2012年に日本代表監督に就任した。
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最初にエディー・ジョーンズの生い立ちからラグビープレーヤー時代、指導者としてのキャリアを紹介し、サントリー・サンゴリアスでの戦い方、日本ラグビーの再建へという構成になっている。
エディー・ジョーンズの目標は、日本代表を世界一フィットネスの高いチームに作り上げることだという。
日本代表チームは、ワールドカップで過去20年間1勝もしていない。60分間はいい試合ができたが、最後の20分で力尽きるパターンが多い。
筋肉を増強する。最後の20分間にペースアップできるようなフィットネスを身につける。そして世界一のアタッキング・ラグビーを目指すのだ。
"TOO, HIGH, TOO HIGH"。エディー・ジョーンズが1996年に日本代表のアシスタント・コーチに就任した時に、練習で選手に呼び掛けていた言葉だという。
2012年には総合格闘家の高阪剛を臨時コーチに招いて、タックルの指導を受けた。体重が重い相手と同じスピート、同じ高さで当たったら、間違いなく重い方が勝つ。
負けないためには、こちらが低くならなければならないのだ。その点を、高阪に指導を受けた。
「絶対に頭を下げない。相手から目を離さない。」
「その低い姿勢を取った時の景色を覚えておいてください。覚えていれば、自分が正しい姿勢を取れているかどうか、考えなくてもわかるようになります。」
オーストラリアのナショナルチーム・ワラビーズは南アフリカなどのチームと比べると、体格的には劣る。エディー・ジョーンズは、「オーストラリアには大きい選手がいないんです。日本と変わらないよ(笑)」と言っていたという。
日本代表でも、スクラムでも、ラック、モールでも低く当たることが絶対に必要なのだ。
エディー・ジョーンズがオーストラリアのブランビーズの監督になった時に、取り入れた戦法が「シークエンス戦法」だ。
これは、ボールを持ったプレーヤーがタックルされる場所(クラッシュポイント)をあらかじめ想定しておき、そこに走り込むプレーヤー、次のボールは誰から誰にまわし、そして次のクラッシュポイントには誰が入るというシナリオを事前に意識して戦うのだという。
相手に攻撃権を渡すキックは控え、極力つなぐラグビーで陣地を取る。
ねちっこいラグビーが見られるだろう。
エディー・ジョーンズの最後の20分もペースが落ちない世界一フィットネスの高いチームを作るという基本方針は正しいと思う。
2015年ワールドカップの組み合わせはすでに決まっている。ぜひともアジア一位となって、POOL Bに入り、勝利を挙げてほしい。
エディー・ジョーンズの戦法はオーソドックスであり、日本ラグビーにぴったり合っていると思う。
今後のラグビー日本代表の奮闘に期待したい。
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