ワインマンガ「神の雫」の原作者・亜樹直(あぎ・ただし)さん(実は姉弟の二人)が、asahi.comに2007年4月から毎週連載していたワイン日記の2008年4月までのものを集めたもの。ワイン日記自体は、それ以降も続き、2010年後半からは間隔が開いて1カ月ごととなった。2011年3月11日の東日本大震災後の4月5日付の「いまこそ飲もう! 東北&北関東のワイン」という回で終了している。
「神の雫作者のノムリエ日記」は今でもバックナンバーを閲覧できるので、興味のある人はクリックしてみてほしい。
神の雫はテレビドラマにもなっている。
マンガの方は全44巻で完結している。
世界的なワイン評論家神咲豊多香(かんざきゆたか)が亡くなり、時価20億円のワインコレクションが残された。彼の遺言は、このコレクションの頂点に立つ1本=神の雫と、12本のワイン=12人の使徒の銘柄と生産年を1年以内に言い当てた者が、遺産を手に入れることができるというものだった。
豊多香の息子で仲たがいしていた神咲雫(かんざきしずく)と、豊多香死の直前に養子縁組をした天才ワイン評論家の遠峰一青(とおみねいっせい、実は豊多香の私生児)が、遺言の謎解きをめぐって争う。
という、いかにもマンガらしい荒唐無稽なストーリーだ。
テレビドラマでは、亀梨和也が神咲雫を演じた。このマンガは、韓国でも大ヒットし、遠峰一青のモデルといわれるペ・ヨンジュンが韓国でのドラマの版権を買い取って、テレビドラマ化を目指していたが、韓国ではドラマの中で特定の商品を宣伝するプロダクトプレイスメントを禁止しており、実現できなかったという。
神の雫は、ワインを紹介するというストーリー展開なので、この漫画で取り上げられたワインは一躍有名になった。
その一例が、シャトー・モン・ペラだ。

シャトー・モン・ペラ ルージュ 2012年 フランス ボルドー 赤ワイン フルボディ 750ml
シャトー・モン・ペラは、人気になっても価格は安いままなのはすばらしい。作者の亜樹直さんも、ノムリエ日記で生産者のティボー氏の良心的な姿勢をほめている。
亜樹直さんが、ワインにのめりこむようになったきっかけは、DRCのエシェゾーの1985年物を飲んだからだという。
![[1985] エシェゾー 【ラベル汚れ】 Echezeaux ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/katsuda/cabinet/drc/9004-201605-369.jpg?_ex=128x128)
[1985] エシェゾー 【ラベル汚れ】 Echezeaux ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC
今は到底高くて買えないが、10年ほど前までは、3万円程度ではなかったかと思う。当時はロマネコンティが、20万円弱だった。今はロマネコンティは、200万円以上する。
![[1995] ロマネコンティ 【ラベル不良】Romanee Contiドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC[自社輸入]](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/katsuda/cabinet/drc/9004-201608-001.jpg?_ex=128x128)
[1995] ロマネコンティ 【ラベル不良】Romanee Contiドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ DRC[自社輸入]
中国と東南アジアの経済成長により、成金が増えて、金に糸目をつけずにワインを買いあさっているから、高級ワインの値段は10年ほど前の10倍となっていると言われている。
ちなみに、「神の雫」で第一の使徒とされたのは、シャンボール・ミュジニーのレ・ザムルーズ(2001年)だ。
![ジョルジュ・ルーミエシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・ザムルーズ[2001] 赤 [750ml]](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/leluxe/cabinet/00942263/img56416861.jpg?_ex=128x128)
ジョルジュ・ルーミエシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュ・レ・ザムルーズ[2001] 赤 [750ml]
ちなみにシャンボール・ミュジニー村は人口わずか300人余りの小さな村だ。
普通の年の同じワインが2〜3万円程度なのに、この2001年だけは10倍の24万円もする。「神の雫」効果がいまだにあるのか、わからないところだ。
![シャンボール・ミュジニー[2013]ジョルジュ・ルーミエ(赤ワイン)[Y][A][P][S]](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/wine-takamura/cabinet/item9/0400003158836-1.jpg?_ex=128x128)
シャンボール・ミュジニー[2013]ジョルジュ・ルーミエ(赤ワイン)[Y][A][P][S]
まずは、ネットでバックナンバーを見て、興味のあるタイトルを読むことをお勧めする。
筆者も見た「モンドヴィーノ」のジョナサン・ノシター監督との対談も面白い。
「モンドヴィーノ」では、ロバート・パーカーの100点満点評価と、空飛ぶワインメーカーと呼ばれ世界中で同じタイプのワインをつくるワインコンサルタント・ミッシェル・ロランが暗に批判されている。
ノシター監督は1時間半遅れて、雪駄姿で現れたという。
どのワイン日記も本にすると4ページ程度で、簡単に読める。気軽に読めるワイン読本である。
参考になったら、投票ボタンをクリック願いたい。

書評・レビューランキング