2016年05月31日

パレオマニア 大英博物館の所蔵品の起源を訪ねる旅



大英博物館に所蔵する美術品の起源を訪ねる旅。

このブログで紹介した福原義春さんの「本読む幸せ」で紹介されていたので読んでみた。

大英博物館は一度行ったことがあるだけだが、その時はざっと見ただけなので、ロゼッタストーンとかエジプトのミイラ、ギリシャの神殿や彫刻、フェニキアの壺などが記憶にある。

大英博物館の所蔵品は、GoogleのCultural InstituteのBritish Museumで博物館に展示されている状態で見ることができるので、リンクが見つけられたものは入れておいた。まるで大英博物館の館内を見学しているような気分になる。

この本は大英博物館が所蔵する美術品が出土した地域をめぐる旅行記で、次のような構成となっている。

ギリシャ編 エルギン・マーブルと呼ばれる当時オスマン・トルコの支配下だったギリシャからトルコ政府の許可のもとで英国に運び出したパルテノンなどの彫刻や、パルテノンのわきにあるエレクティオンの柱となっているカリアティドの像など。

Elgin_Marbles_east_pediment
















出典:Wikipedia

エジプト編
棺を乗せた船の模型(クリックして表示される船の下にあるので、マウスで移動してほしい)。船大工の像などが紹介させている。

インド編
釈迦の生涯を描いた彫刻。仏像が紹介されている。

イラン編
古代ペルシャの鉢。牡牛に噛みつく獅子の図が紹介されている。

カナダ編
サンダーバードとトーテムポールが紹介されている。

イギリス/ケルト編
ケルトの青銅鏡リンドウ・マンが紹介されている。

カンボディア編
クメールの仏像。クメールの彫刻が紹介されている。

ヴェトナム編
ヴェトナム中部にあった海洋国家チャンパの獅子像。

イラク編
この本の表紙になっている「藪の中の牡山羊」ラピスラズリと金、貝殻でできている。すばらしい作品だ

Raminathicket2






































出典:Wikipedia

ラマッスーと呼ばれる人面有翼牡牛像

Winged_Human-headed_Bulls





















出典:Wikipedia

トルコ編
銀の鋳物でできた牡牛の像。帳簿と碑文。

韓国編
新羅時代の石仏。王族の耳飾り。

メキシコ編
火の蛇。王と王妃を描く石板。

British_Museum_Mesoamerica_004






























出典:Wikipedia

オーストラリア編
アボリジニの絵画。アボリジニが儀式に使うチュリンガのスケッチ。

イギリス/ロンドン編
大英博物館のできた由来(ハンス・スローンという商才ある医師が収集した7万1千点もの物品、5万札の書物、版画、337巻におよび植物標本などを国に2万ポンドで譲渡したことが大英博物館設立のきっかけとなった)。

グーグルのCultural Instituteは、様々な国の博物館などをバーチャル見学できるようになっている。たとえば日本で検索すると、国立西洋美術館はじめ、大原美術館、山種美術館など日本国内のおもだった美術館、博物館、海外の日本関係のコレクションなどが表示される。

美術館は通常は一部しか展示しておらず、展示していない所蔵品のほうが多いが、これなら展示していない所蔵品までアーカイブしている。便利な時代になったものである。


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Posted by yaori at 08:02Comments(0)TrackBack(0)

2015年01月20日

名画で読み解くギリシャ神話 ビジュアルでよくわかる



「名画で読み解く…」シリーズのギリシャ神話版。

ギリシャ神話については、阿刀田高さんの「ギリシャ神話を知っていますか?」が有名だ。このあらすじも近々紹介する。



なんとなく敷居が高かったギリシャ神話だが、この本でおおまかな流れがわかった。ヘラクレスエロスなどは、もはや普通名詞と化しているし、惑星の名前をはじめ、ペルセウスアンドロメダカシオペアとか天体の名前も多くはギリシャ神話にちなんだものが多い。

パリスの審判」、「エディプス・コンプレックス」なども、ギリシャ神話をもとにしている。

ギリシャ神話とは、古代ギリシャで口承で伝えられていた伝説のことだ。神々の系図は次のようになる。

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出典:本書186ページ

白黒でわかりにくいかもしれないが、まずはカオス(混沌)のなかからガイアと呼ばれる大地の女神が誕生した。テレビ東京の「ガイアの夜明け」は、これにちなんだネーミングだ。

ガイアの次に、暗黒の神タルタロス、愛の神エロス、エレボス、ニュクスなどが生まれた。

そして、ガイアは男女の交わりを持たずにウラノス(天空の男神)とポントス(海の男神)を生んだ。

次にガイアはエロスの力を借りて、息子ウラノスと男女の契りを結び、それから生まれたのがティタンと呼ばれる12の神々だ。表の上の部分の12の神々がティタンだ。

ウィキペディアでもギリシャ神話の神々の系図を載せている。神の名前をクリックすると、個別のページに遷移するスグレモノなので、一度見て欲しい。

ティタンに次いで、ガイアは2組の三つ子を生む。それが表の右端のキュクロプス(単眼の巨人)と、ヘカトンケイル(50の頭と100の腕を持つ)だ。ウラノスは彼らの奇怪な姿を見て、彼らを地底深く閉じ込めてしまう。

これに怒ったガイアは、息子のクロノスに巨大な鎌を手渡し、ウラノスの男性器を切り取らせてしまう。それが次の絵だ。

The_Mutiliation_of_Uranus_by_Saturn











出典:Wikipedia

クロノスはローマ神話では、農業神のサトゥルヌスと同一視されており、サトゥルヌスには、ゴヤの怖い絵がある。

Francisco_de_Goya,_Saturno_devorando_a_su_hijo_(1819-1823)

























出典:ヴァーチャル絵画館

クロノス率いるティタンと戦い、勝利を収めたのがゼウス率いるオリュンポスの神々だ。

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出典:Wikipedia

ゼウスは、クロノス(ゴヤの絵ではサトゥルヌス)に飲み込まれた兄妹たちを助け出した。

zeus
















出典:同上

それからゼウスは、多くの女神や人間と交わって子孫をつくっていく。ウィキペディアの神々の系図で見ると、中央右のゼウスのところから四方八方に点線が出ている。これが精力絶倫のゼウスの子孫の系図だ。

たとえばヘラクレスは、ゼウスが人間のアルクメーネに産ませた子供だ。ゼウスは既婚者であるアルクメーネに言い寄るため、アルクメーネーの夫に化けて一夜を共にして、ヘラクレスを産ませた。

ゼウスは「この次に生まれるペルセウスの子孫が、ペルセウス一族の支配者となる」と予言したが、ゼウスの浮気に怒ったへラが誕生を遅らせたため、凡庸なエウリュステウスが王となった。そして、ヘラクレスに獅子と対決したり、冥界の番犬・ケルベロスを生け捕らせたりする10(12)の難行を命じた。

2014年10月に封切られた映画「ヘラクレス」で、ヘラクレスが頭にかぶっている獅子の毛皮は、獅子と対決した時の戦利品だ。



ちなみに、ディズニーでも「ヘラクレス」は映画化されている。



ゼウスはヘラクレスに不死の力を与えるため、妻のヘラの乳を飲ませようとした。ところが、赤ん坊のヘラクレスが強く噛むものだから、ヘラは嫌がった。その時に飛び散った乳が天の川になったという。

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出典:Wikipedia

トロイ戦争のきっかけとなった「パリスの審判」の絵も紹介されている。

250px-Rubens_-_Judgement_of_Paris



















出典:Wikipedia

「パリスの審判」をもじったのが、このブログでも紹介したワインにおける「パリスの審判」つまり、ブランスワインとカリフォルニアワインのブラインドテイスティングだ。




ギリシャ神話は昔から絵画の題材によく使われてるので、有名な絵も多い。

ヴァーチャル絵画館という、ギリシャ神話にちなんだ絵を展示しているサイトもあるので、興味あれば見ていただきたい。

他にも紹介しておきたい神話が多いので、次の「ギリシャ神話を知っていますか?」のあらすじで紹介する。


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Posted by yaori at 23:24Comments(0)TrackBack(0)

2014年11月23日

名画で読み解く「聖書」 見て楽しい聖書の物語



世界文化社の「名画で読み解く」シリーズの第一弾。

旧約聖書と新約聖書にまつわる名画を多数紹介している。

ギリシャ神話編も読んでいるので、次に紹介する。



筆者が、「聖書」中で最も印象に残った名画は次のものだ。

湖上を歩くキリスト




















出典:ヴァーチャル絵画館のティントレット

ウェブで画像検索したら、ヴァーチャル絵画館という聖書の物語やギリシャ神話などのシリーズもので、絵画を紹介しているサイトを見つけた。

このサイトの「聖書の物語」のセクションで、この本で紹介されている名画が多く掲載されている。

ティントレットの「湖上を歩くキリスト」の話は筆者がルーテル教会幼稚園に通っている時に、幼稚園の先生から聞かされた話だ。

5歳程度の幼児だったが、病人を直したり、死者を復活させたりという、キリストの奇跡の話はよく覚えている。

湖を歩くという話に子供ながら驚いたものだ。

この本の前半は旧約聖書からの場面、後半は新約聖書からの場面だ。

次の絵は旧約聖書からのバベルの塔だ。

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出典:ヴァーチャル絵画館

新約聖書からは、キリストの洗礼。エルグレコの作品だ。

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出典:ヴァーチャル絵画館

そして、この本の表紙になっている最後の晩餐。

lastsupp[1]
















出典:ヴァーチャル絵画館

気軽に読めて、聖書の物語が楽しく学べる本である。


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Posted by yaori at 00:18Comments(0)